■プロローグ■
――楽園シャングリラ、アーク、王都レンスター
「ここがアークか~。んー、カディヤックヒルと違って空気が澄んでる~」
王都レンスターへとやってきた、ロディニアのセイヴァー、
リベリカ・トゥーバは大きく伸びをした。
地球における中世ヨーロッパの石造りの街並みをしたそこは、摩天楼が聳え立つ近未来的な外観に慣れてしまった彼女からすれば、おとぎ話や映画の中の世界であり、空気すら美味しく感じてしまう。
――♪ ~♪
耳を澄ませば、ジオマンサーの【星音】に合わせて、トルバドールたちが【星詩】を朗々と唄っている。
バルバロイ・アマゾナスの脅威は間近に迫っているが、【星楽】はアーケディア王国の人々にとって生活の一部であり、またこんな時だからこそ、【星楽】で楽しさを忘れないようにしているともいえる。
「よーし、迎えが来るまで、あたしも唄っちゃおー」
そういうとリベリカは他のトルバドールたちの邪魔にならない場所を選んで元気が出る持ち歌を披露する。
フェリシア……
ロミア・レンスター王女との邂逅を経てトルバドールとなっていた彼女もまた、既に【星詩】をマスターしていた。
それはカディヤックヒルで放送されていた、子供向けロボットアニメの主題歌であったが、見知らぬトルバドールの、聞いたことのない必殺技を連呼しまくる暑苦しくも雄々しい旋律に、多くの人々だけではなく、近くにいたトルバドールやジオマンサーたちも集まり、ちょっとした人だかりとなっていた。
『流石は、フェリシア様が目を掛けられていることはありますね』
「のわ!? びっくりした!? 本当に立体映像なんだ!」
そこへレンスター王家直属のオペレーションAI・
ミレナスが現れる。
話には聞いていたし、カディヤックヒルにもこういった立体映像の看板などはある。しかし、サイボーグは居てもここまで高度なオペレーションAIはないため、リベリカも目を見開いて驚いてしまう。
『フェリシア様からご案内するように承っております』
「よろしくお願いします。皆さん、また聞きに来てくださいね!」
下積みの長いリベリカは、歌を聞きに来てくれた聴衆への感謝の気持ちを忘れることはない。
深々と頭を下げると、ミレナスの案内で歩き始める。
「アーケディア王国の人々はしっかり歌を聞いてくれて嬉しかったよ!」
『それは何よりでございます。私としても、リベリカ様の先程の【星詩】は、胸がスカッとするほど小気味よかったです』
「でへへ……AIに褒められても嬉しいものだね。だからこそ、ゼノビアさんのことはしっかりと情報共有していかないとね!
その背後にいるものも含めて、ね」
『もちろんでございます』
■目次■
プロローグ・目次
【1】紅の月で防衛する
・紅の月の攻防1
・紅の月の攻防2
・マジシャンを狩れ1
・マジシャンを狩れ2
・マジシャンを狩れ3
・マジシャンを狩れ4
・異変
・狂乱の超大型ステージ
・この一歩を、大きな一歩とするために1
・この一歩を、大きな一歩とするために2
・この一歩を、大きな一歩とするために3
・この一歩を、大きな一歩とするために4
【2】イペタムを撃退する
・選択の結果1
・選択の結果2
・選択の結果3
・繋げるバトン1
・繋げるバトン2
【3】バルバロイ・アマゾナスの浮遊大陸を潜入調査する
・会議と準備
・嵐の前1
・嵐の前2
・地獄の蓋を開ける1
・地獄の蓋を開ける2
エピローグ