■プロローグ■
――楽園シャングリラ、アーク、王都レンスター
王都レンスターに控えるゼピュロス・マンスターの元に、各駐屯地からの情報が続々と集まってくる。
それをまとめ、報告書の形とするのも、留守を預かる彼の仕事である。
「ミレナス、アーマーの武器の申請は決済する。これは娯楽費の使途不明金が多い、突き返せ」
『了承いたしました』
「ミレナス、食料の損耗率をリストアップしておけ。この野草と毒草の群生地は地図に追記だ」
『了承いたしました……やれやれ、オペレーションAI遣いが荒いですね』
レンスター王家直属のオペレーションAI・
ミレナスは、テキパキと書類を捌くゼピュロスに愚痴の一つをこぼす。
意外かもしれないが、ゼピュロスは文官としても優秀な一面があり、
ロミア・レンスター王女が不在の時は、こうして彼女の代わりに政の決済を取り仕切るのだ。
ちなみに、ロミア王女はエーデル・アバルトの仲介で
ロディニアへ行っている最中である。
そうなると、決裁権は王弟であるゼピュロスに移るため、ミレナスも彼の仕事を手伝う羽目になるのだ。
オペレーションAIとしては極めて優秀な彼女だが、愚痴をこぼすのはミレナスとカラドボルグのオペレーションAI・
テスタロッサだけだと、ゼピュロスは記憶している。
「貴殿らは使われてこそであろうに」
『それはそうですけど……』
大仰に溜息を吐くゼピュロスに、「あなたが嫌いだからです」と反論したかったが、口が裂けても言えないミレナスであった。
本来オペレーションAIはアークの人々に仕える存在であり、好き嫌いなどないようにプログラムされているはずである。しかし、ミレナスとテスタロッサだけは、愚痴をこぼしたり好き嫌いが有ったりするのであった。
■目次■
プロローグ・目次
【1】前線基地の建築に協力する
・前線基地の案を出そう
・前線基地の案を出そう2
・皆で前線基地を造ろう1
・皆で前線基地を造ろう2
【2】入植を支援する
・いっときの憩い
・戦局群青
・敵陣を砕くために
・頭目を見据えて{
・シャングリラの明日のために
【3】“オリジン”の遺跡を調査する
・遺跡の最奥を目指して1
・遺跡の最奥を目指して2
・遺跡の最奥を目指して3
・遺跡の最奥を目指して4
・遺跡の最奥を目指して5
・遺跡の最奥を目指して6
・遺跡の最奥を目指して7
・世界が違う枷
・深まる謎1
・深まる謎2
【2】入植を支援する
・切羽脛金
エピローグ