■プロローグ■
「わたくしは姉さん……カリオの代わり。
姉さんができないことはわたくしが代わりにやる。そして観客はカリオに拍手を送り、崇める」
キリィは
カリオの妹。
【Supreme】カリオと比べてほんの少し劣っている、それだけでカリオのスケープゴートにされながら生きてきた。
「わたくしはカリオ。
アダプターを憎む者の誹謗中傷にも笑って応え、フラグランドを希望の光で照らす【最優】のアイドル――」
そんな日々を送るキリィは肉体的、精神的に傷を負っていく。
やがて限界を迎えたキリィは行き倒れ、誰にも看取られずに生涯を終える……はずだった。
「人類と、そしてアダプターが安心して暮らすことのできる世界。
それこそがわたくしの望みですわ――」
数年後、政界に進出したキリィはワンスシティ市長の座を手に入れる。
過去、自身をスケープゴートにした者の同情を買い、地位を手に入れた後は処分する。“悪しきイドラ”が作用したオルガノレウムを取り込んだキリィはカリオをも上回る力を手に入れたが、精神は大きくねじ曲がってしまった。
「姉さんにはフィフスシティへ行っていただきます」
「……わかりました」
カリオ、そしてカリオの娘であるアメリアとグラをフィフスシティに追いやり、ワンスシティを『全能の街』として発展させる。
表向きは人類のため、時にアダプターを利用する政策も採用することで善政者であろうとする一方、裏では人類をオルガノレウムを無駄遣いする無能とみなし、彼らの抹殺を計画する。
そして――デッド・スプリットの発生。
世界は分断され、キリィは全能の街の長として君臨する……はずだった。
「どうして……。
どうしてこの世界は二度も、キリィをいじめるの!?」
少女の姿のキリィが叫べば、数多の
エグズーダーが彼女を囲むように集結する。
キリィの殺意は人類を越えて世界に及んでいた。
(みんな、キリィと仲良くしてくれないなら――なくなってしまえばいい)
向ける手の先から発されるノイズがアイドルたちを襲う。
何もかもが消し飛ぶ……しかしその光景は現れなかった。
「キリィさん。私たちはあなたとも繋がるために、ここまでやって来ました」
「あんたがあたしたちにしたことを許すには、時間がかかる。
けど――キリィさん。あんたをここから失わせるつもりはねぇ」
キリィの視界に現れた、キリィにとって最も忌むべきカリオの意思を継ぐ娘たち。
「今更言ったって――もう遅いんだから!」
拒絶の言葉を放つキリィの、手はしかし二人の、そして背後に控えるアイドルたちの手を取りたそうに差し伸べられていた。
■目次■
1ページ プロローグ・目次
2ページ 2nd Flag-Connect(1)
3ページ 2nd Flag-Connect(2)
4ページ 2nd Flag-Connect(3)
5ページ 2nd Flag-Connect(4)
6ページ 5th City One event
7ページ 2nd Flag-Connect(5)
8ページ 2nd Flag-Connect(6)
9ページ 2nd Flag-Connect(7)
10ページ 2nd Flag-Connect(8)
11ページ エピローグ