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忘れじの夢、彼方のアゴン 前編

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忘れじの夢、彼方のアゴン 前編
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 ◆『天地創造の書』の奥付を見るために(6)

 自分の肉体美やファッションが重視される世界が欲しい天導寺 朱は、『ファッションや肉体美等の自分の美しさ』を見せつけるダンスを披露することにした。
 朱にとって、自分の肉体美=ヘソであるし、自分のファッション=ヘソダシであることは言うまでもない。


 【ヘソダシグローリー】を最高にカッコよく着こなした朱は、【妖蝶の大扇】を持ってステージに登場した。
 この巨大な扇にはディーヴァの天導寺 紅がユニゾンしていて、朱のライブをサポートする。

 そしてもう一人、司馬八咫子も朱をサポートすることになっていた。
「ヘソやヘソダシファッションを強調した実況解説をしてほしいのぜ」
 と依頼された八咫子は、最初はムリだと断ったものの押しに負けて最終的に引き受けたからだ。

 朱はライブを始める前に【SSSビューイング】で空中に巨大ディスプレイを展開し、自分のダンスをベストアングルから映し出して会場のどこからでも見られるようにした。

 準備が整ったら早速パフォーマンスの開始だ。
 朱は【吠舞子】の力で『自分を見ろ!』という気持ちをダンスに込めて送り出した。
 『天地創造の書』は一応神格的なモノだろうと見当をつけて、手始めに神様に捧げる【天女の舞】を舞って『天地創造の書』へのご挨拶としておく。

 真面目な八咫子が実況解説を始めた。
「えっと……。さ、さあ、始まった、ヘソダシスト天導寺朱によるヘソダシ世界だ」
 戸惑いながらもやる時はやる八咫子である。

 朱はおもむろに【グロリアスマイウェイ】で輝く足場を出現させて空中へ駆けあがった。足場は朱が踏んだ後から崩れ、光の粒になって落ちていく。
 天井に届くほど上に昇ったところで高く跳躍し、宙返りを二度。

「おおっと、これは【トワイライトバックスピン】。沈む前の太陽の輝きをイメージした離れ業だ」

 危なげなく地面に着地した朱はすぐさま【高潔の夜霧】を発動し、さっきまでとは一変して高潔で澄んだ夜の闇で会場を満たした。
 空には星や流れ星が現れ、夜闇の中に立つ朱は神々しく見える。

「夜空には星が輝き、天導寺朱にはヘソが輝いている!」
 八咫子の実況もノッてきたではないか。

 【U.シェケナベイベー】で頭上をライトアップした朱は、自身の巨大なホログラムを浮かび上がらせた。朱の分身ともいえるホログラムに、朱のダンスを引き立てるように踊らせて自身の存在感をアピールしていく。

 最後は【絶景・燦然花】を使って、重力無視のダンスパフォーマンスで縦横無尽に駆けまわった。
 花火を弾けさせる合図として様々な動作をする時には、何をするにもヘソが見えるように宙返りを組み合わせる。
 何度も繰り返すとそれが一種のパターンとなって、ヘソが強調されているのが誰にでもわかるようになっていた。

「皆様ごらんあれ! ヘソが! 主役となったヘソが、まるで意思を持った生きもののように踊っているではないか!」

 ヘソダシファッションを彩るように色鮮やかな花火の花が咲き乱れ、八咫子のコメントも色を添えて、朱のパフォーマンスは華やかに終了した。


 ***


 ライブの経験が少ない月見里 迦耶は出番を待つ間ずっと、【ルミマルのキーホルダー】を撫でて心を落ち着かせようとしていた。
 だからだろうか、ステージに進み出た時には少し緊張がほぐれていて、丁寧なお辞儀をすることができた。
「一生懸命歌います。よろしくお願いします……!」

 可愛らしい女の子の一生懸命な様子は健気で微笑ましく、ライブをずっと見ていたジェノ・サリスが思わず励ましの声援を送ったほどだ。

 迦耶は【優し国の歌物語】のテクニックを使って【愛の唄】を穏やかに歌い始めた。
 温かく透き通るような歌声が響くと、【宵の明星】の効果で周囲は次第に暗くなり、夕闇の空に1つ星が輝いた。
 背景に人家の窓の明かりがぽつぽつと見えるのはまるで地上の星のよう。


 窓に明かりが灯り 街に星空(そら)広がるころ みちびき星に出逢う

 天に星 地にも星 星(きみ)とならどこへでも行ける そんな気がして

 近づく星一つ 遠ざかる星一つ どんな色してる


 ライトニンググルーヴが【ハルモニウム】を使って、空にたくさん光の粒を浮かべ、満天の星空を演出していた。
 時々、流れ星ように光の粒をすっと動かすことで、幻想的な雰囲気を増している。


 数多の出会い 数多の別れ 輝きそれぞれ 煌めかせながら

 約束はいらない 知っているから 心に同じ光 瞬いている事

 また逢える 星が見えなくなっても そこにいるみたいに


 シャインテールは歌詞に合わせて【クラリティエール】で光の球を人々の手元に灯した。
 光の球は【ハルモニウム】の光の粒と合わさって、銀河よりもたくさんの光に溢れた星の海のようになっている。
 この場にいる全員が【クラリティエール】の効果を知っているので、皆タイミングよくステージに光の球を投げ返してくれた。
 投げ返された光の球はステージに落ちるとパッと輝いて溶け、流れ星の光が弾けたような効果で迦耶のライブを華やかに彩っていた。

 最後は迦耶が【明けの明星】で明るく歌うと、暗かったステージは徐々に明るくなっていった。もちろんそれは夜明けを表しているのだ。
 すっかり明るくなって夜が明けたところで、迦耶の歌は終わった。

 しっかりとライブをすることが出来た迦耶は、最後にまたぺこりとお辞儀をした。
「わたしのような若輩者の歌を聞いてくださって、ありがとうございました……!」


 ***


 さて、ここまでで『天地創造の書』に巻かれた光の鎖がどうなっただろうか。
 先程よりはずいぶん緩んで、多くの鎖が解けてきたようだが、まだ何本かは書に絡まっている。
 これは更なる想いが必要なようだ。

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