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忘れじの夢、彼方のアゴン 前編

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忘れじの夢、彼方のアゴン 前編
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 ◆『天地創造の書』の奥付を見るために(5)

 小世界への手掛かりを得たいと考えたシルノ・アルフェリエは、エスター・アルナイルエーリオ・ブランシェットと一緒にライブの構成を相談していた。

「私が世界を創造するなら色とりどりの花が咲くお花畑がいいですね。誰も仲間外れにならない、優しくてあったかい世界になるように願いを込めましょう」
 シルノが言うとエーリオが続ける。
「そういう純心さが今は必要だし、楽しい世界を創造するのはシルノとエスターの方が向いているからな。僕も上手くいくようにほんの少し手を加えさせてもらう」
「手伝ってくれるのは助かるけど、エーリオ君は創りたい物はないの?」
 エスターの質問にエーリオが返事に窮して言葉を探しているうちに、出番が来た。
「……っと、出番だね。また聞かせて」

 ライブを始める前に、エーリオはシルノとエスターに【よしよし】してあげた。
 シルノはエーリオの【よしよし】に加え、好きな要素をエスターと話せたことで、やる気は十分になっていた。

 *

 シルノとエスターはステージ上に並び、まず優雅にカーテシーから始める。
「これから皆さんを私達の世界へご招待します」
 口上を述べたシルノが、【スイッチ:アポロンズフィールド】を発動してスモーク状に霧散させたカリスマを撒き、そこにぼんやりとした情景を投射させた。
 それは子供の頃に絵本を読んでもらった情景で、これから始まるライブに入り込みやすいようにする演出だった。

 背景が整ったところでエスターが【極光のクラヴィコード】で演奏開始。エスターは【シンクロナイザー】のスタイルで自分の心を強く認識させやすくしているので、始まりの音は皆の心に直接響いたのだった。

 エスターの演奏に合わせてシルノが歌い始める。そのメロディーはゆったりとした童謡のようで、どこか懐かしさを感じさせる歌だ。

 夢の生まれるピアノ奏でてごらん
 そう 好きなように心から

 光溢れ 弾むように咲かせ
 たんたららん たんたららん
 色どり踊る精霊達

 切なる音は笑顔になるため
 鳥になって行くから
 あなたと私 世界が広がる

 歌詞に歌われている情景は、エスターが出しておいた【ライブ・ライティング】の巨大な白紙の本の幻影に、絵本のような絵柄で描かれていく。
 その絵に合うようにシルノが【U.チェイスブルーミング】で大小さまざまな植物を発生させてお花畑を作ると、花々は楽しそうに歌ったり踊ったりしてくれた。
 またシルノは【ターヘル・アナトミア】を用いて、【スイッチ:トリオ・エレメント】で三つのエレメントも出現させた。五感に作用するエレメントたちで見ている人々を楽しませるのだ。

 ここでエーリオが【ロイヤルキャスター】の華麗な身のこなしで登場した。
 腕に付けた【コンビネーションチャンス】が、シルノとエスターとのタイミングを合わせやすくしてくれているので、途中からでも合流がスムースだ。
 エーリオがライブの演出として【トリックハーツ】でウインクすると、事前に準備しておいたクッキーやチョコがハート型のシャボン玉に包まれて飛んできて、ライブが一気に賑やかになった。

 エスターはシルノの歌のフレーズの合い間に、語りを挿入していた。

「夢の生まれるピアノ、知ってる?
 そのピアノを弾くと思い描いた夢が創れるんだって。

 私達は願う。

 世界に音が弾けて光や花になっていく。
 精霊や鳥、動物達が飛び出して

 キミもおいでよ。歌おう踊ろう」

 エスターは妹の笑顔を思い浮かべながら、指先を軽く弾ませて希望のメロディーを届ける。
 ピアノを弾くといつも喜んでくれた妹。彼女のような笑顔がたくさん溢れる世界を創りたい――。
 そんな思いを【吠舞子】で送り出していた。

 一方エーリオは【春嵐の酔扇子】を広げて柔らかい春風を吹かせていた。
(花畑には暖かな春が似合うと思ってな)
 【春嵐の酔扇子】を使ってキレのある舞を舞うと桜の木の幻影が現れ、桜の花びらが舞い散る。それを彩るように【U.ヒートウェーブ】が光の波紋を放射した。

 様々な演出の効果もあり、ライブは次第に盛り上がってきた。

 エーリオはエスターの耳元に顔を寄せた。
「さっきは上手く答えられなかったがな、エスター。
 言葉や形にするのは難しくてもそこに光あれと願う気持ちは僕にもある。
 だからこそお前達の優しい世界に託すんだ。
 さぁ【リミックスアプローチ】をかけてラストを盛り上げるぞ」

 エーリオの合図を受けてシルノが曲をリミックスし、【雨恋いの青い鳥】の青い小鳥の幻影を飛ばせた。
 エスターが放った【キラキラオーラ】で効果の上がった【#うちで歌おう】で、シルノは一緒に歌ってくれるよう皆に呼び掛け、アットホームな雰囲気に演出する。

 シルノがラストフレーズを歌い切った。
 直後にエスターは【許容のクラリティクライマックス】を発動し、虹がかかる空の景色を映した光の幕で会場を包み込んだ。
 虹にはまだ見ぬ小世界への架け橋となるようにとの、エスターの思いが込められているのだった。

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