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シルエット・ウォー

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シルエット・ウォー
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4.影と戦う戦場(2)

『全力で生き残り隊』もニコルの指揮下で参加していた。
「ログイン直後が一番狙われるからすぐに移動すること。次のポイントまで走るわよ」
 銃声や爆発音が響く中、ガードでヒーラーの人見 三美は必死にニコルの動きについていきながら不安そうに様子を伺う。
「激しい戦闘ですね……」
「訓練通りにできれば大丈夫だよ!」
「はい、精一杯頑張ります!」
 地表に影が迫ってきていたが、三美は【クイックスキャン】で付近の様子を確認して【グライディフェンダー】に乗って離れる。
 まだ戦闘に慣れていない為影の境目に入っての戦闘は避けるようにしていた。
 【スタータレット】の自動検知の威嚇射撃で相手の足を止めた後、操作をして集中攻撃を仕掛ける戦法で攻撃を行う。
 相手の攻撃は【ファストウォール】で凌ぎながら戦い、負ったダメージは【シャドーフィルム】で治療する。
 そんな三美の様子を見ていて、ニコルは感心する。
「しっかりできているじゃない」
「はい!」
【ロードビルダー】として味方が移動に難儀するようなら道を作って支援する。

 コタローこと小山田 小太郎も『全力で生き残り隊』としてシルエット戦に全力で挑む。
「まさか軽い気持ちで提案した名が採用されるとは……些か気恥ずかしいですね」
 チーム名は前回小太郎達の仲間が提案したものだった。
「ストレートで気に入ったよ! ありがとう!」
 ニコルとしても今のチームの状態によく当てはまっていると感じていた。
「ですが、決まった以上名にある通り……全力で生き残り活路を拓きましょう」
 今回参加できなかった仲間や、前回KODCについて指導してくれたニコルやおじさんに恥じぬ、全力なサバイブを行うつもりだった。
「そうだな……。
参加できなかった仲間の分も、オレ達が思いっきり生き残って練習の成果を見せてやるぜ!」
 ヴィーことヴィーリヤ・プラジュニャーが気を吐く。
「皆で勝とうな、兄貴!
オレも……全力で生き残っからさ!」

「影の力を増幅する事がシルエット戦における必勝法……ならば、その集まりを狙う者がいてもまた道理でしょう」
 ガードで僧兵のコタローは影の境目付近にて影の力を増幅しに来た者を狙い交戦し、敵サバイバーを減らす。
 そうしてニコル達の支援をする。
 先ず影の境目付近の戦いを制し、他の戦法をとったサバイバー達の打倒に勢いをつけたかった。
  シャドーフィールドには入らず、ギリギリ手前を維持するようにした。
 境目に【リコリスジェイル】を設置しヴィーが【シェルターチェイン】にて影の力を増幅に来た者達をその場まで追い込む事で敵サバイバーを攻める。
【無我の境地】の気配察知能力と行動予測能力を駆使し、境目付近に迫った相手の動きをヴィーに知らせる。
「すいませんが……影に呑まれて頂きます」
 コタローが【ブロックブレイク×50】にて相手の地面を陥没させて迫るシャドーフィールドに落とし相手のログアウトを促す。
 【無心無想】で焦らず【無我の境地】で相手の動きを読む。
「リアクティブシールド」で攻撃を防ぎながら相手の隙や動きに合わせてリコリスジェイルやブロックブレイク×50を当てる。
 自分達が影に呑まれては本末転倒。罠や影を踏んで呑まれぬよう「韋駄天の靴」で地面を踏まず移動する。
 常に戦場を狭める影の広がりを頭において行動する。
 引き際を間違えず、できる限り境目の激戦を緩和しニコルや皆の援護に繋がるよう頑張る。

「カチコミ入れるぜ!」
 アサルトで不良のヴィーはヤンキー然とした少年だが、根は曲がった事が大嫌いの任侠人だった。
「今日のオレはシノビの者ってね……追い込んで行くぜ……!」
【デザートカメレオン】で光学迷彩で姿を消しながら【シェルターチェイン】でコタローの方まで敵を追い込む。
コタローのの気配察知による助言と【レイス】シノビノモノ」の物音を聞き取る力で境目に来る連中を素早く捉える。

【スキン】学生番長の効果で【冷刀シャーク】をバットの形状に変える。そこから放つ【タービュランス】で周囲の者を圧倒する。
 空を飛んでいる者や身を隠している者の気配を探り影の中に落とす。
 勿論コタローやニコルや仲間の皆を巻き込まないよう注意しながらの攻撃を行う。
 あくまでこれはシェルターチェインの威嚇射撃の代わりで、本番はコタローの攻撃だった。
 居場所を悟られないよう慎重に、それでいて苛烈な威嚇斬撃と乱気流で敵を追い込む。
「おっと、逃がさねぇぜ……一発デカイの食らっていきな……!!」
 姿消しや剣技に加えて【バトルタイプ】フラメンコの踊るように素早い剣撃をお見舞いする。
 隙があれば影に落とす前に【ダークジャケット】で相手をホームラン的に吹き飛ばす。

 ガードで専門家[スペシャリスト]の永見 玲央も『全力で生き残り隊』の回復担当を担う。
【ネストグレネード】【スモールイーグル】を使って【戦場攪乱】を誘う。
【ライトオブライフ】【【バトルタイプ】おじさん】で回復する作戦をより効率的に【作戦立案】で微修正しつつ実行する。
 博人と共にシャドーフィールドには接触しないように注意する。
 そうしながら、シルエット戦の前にニコルとおじさんとの会話を思い返していた。
「ところで、KODC三大勢力の残り二つとはどのようなチームなのでしょう」
 情報の有無が【作戦立案】での作戦修正に影響を及ぼすので玲央はニコルやおじさんに確認したのだ。
 だがその他勢力は今回は参加していないとのことだった。
「どのようなチーム、って一言では説明が難しいわね。大和塾と同様に幅広いタイプのサバイバーが所属しているから。
エゴサ避けのために『蟹』と『11』という符号で呼ばれているけどね」
「『蟹』……と『11』、ですか……」
 玲央はすぐさまサーチする。するとかなりの量の情報がヒットした。ただフェイクも多そうだった。
「マッチごとに出場する編成も違うからねえ(-_-;)
対策もその時々で考えないといけないんだよね(-_-;)」
 バトル毎に主力になるメンバーの構成でチームの戦い方は変化する。どちらにしても玲央のような分析を行う役割が必要になりそうだった。

 永見 博人は【コドクギア】に【生体LANジャック】【ARデバイス】を接続して操作する。動作自体は問題なく行えるようだった。
 博人は別のことに興味があった。
「今回はクレギオン世界の技術を使ってKODCで遊んでみよう」
 高速情報処理という思考の加速化により反射や判断のスピードを上げてKODCをフルダイブヴァーチャルリアルティゲーム的に楽しむ。
 ただ、感覚の精度が上がるとそれだけやはりKODCの装備やアイテムの方がより高い反応速度で扱えることも感じた。
(ここまでが他世界の限界でしょうか。)
『全力で生き残り隊』もチームとして着実にまとまり戦果を上げていった。
 そんな中だった。
「あ、ツバキさん!」
 三美はツバキとオニキスを見かけて思わず声をかけた。
「ツバキさん、オニキスさん、今回に限れば競い合う間柄、お手合わせをお願いします!」
 だが、ツバキとオニキスは慌ててバトルの意思がない様子を見せた。
「あたし達、見学なの!」
 自分たちを護衛している大和塾の者らが非常に強いことを伝えようとしていた。
 だが、別方向から激しい攻撃が大和塾らに向けられる。

「やはり『全力で生き残り隊』がツバキとオニキスに接触しようとしているようだな。よし」
『全力で生き残り隊』の動きを見張っていた竜一は影の力を活性化する為に【シャドーパイ】を食べる。ロボットがお菓子を貪り食べる様子はなかなかシュールであった。
(ツバキとオニキスを見守るーーその為にもネヴュラと共にツバキとオニキスを全力で攻撃だ!)
 アサルトでレプリカントの竜一は通常フィールドでツバキとオニキスを含む大和塾のサバイバーに攻撃する。ツバキとオニキスが『全力で生き残り隊』の者との繋がりを大和塾側に勘付かれないようにするためだった。
 ただ大和塾側からしたら多く参加している単独参加のサバイバーの攻撃でしかないのだが。
 ネヴュラからの支援を受け【アブソーブキャノン】の射撃をしながら【シャドーサブウェイ】で影を伸ばしてその中を潜って移動する。
 影から飛び出したら、【クイックシャドー】で影の上を滑りながら、「カクサンナックル」とアブソーブキャノンで砲身になってる片腕からの射撃攻撃を行う。
【バトルタイプ】フラッグレイダーとして全身の手榴弾を爆発させる。
 二人が『全力で生き残り隊』に通じていると疑われないよう徹底してツバキをメインの目標にすることが竜一の目的だった。
(必ずダメージを与える攻撃をするぞ!)
ガードでストレンジャーのネヴュラも竜一のパートナーとして「ツバキ、オニキス」に攻撃をする。
【シャドーフィルム】で防御力を高め、【バトルタイプ】トラップサーチャーで、攻撃目標のツバキとオニキスたちの大和塾サバイバーの周囲にトラップが無いかを確認して【クールアシスト】で竜一への冷静な支援を行う。
「スライムグレネード」の榴弾も惜しみなく放ち、消耗したら「FUUZIN」でMPの回復を行う。
 ツバキとオニキスの護衛の大和塾のサバイバーも反撃を開始する。
 ネヴュラが「バトルサポートユニット」で戦闘能力を向上させ、「スタータレット」のドローン群で攻撃を仕掛ける。
 その時ドローンが撃ち落とされ、竜一らに一斉射撃が打ち込まれてログアウトとなった。
「悪いな……大切な人が攻撃されるのを黙って見てられるほど、俺は薄情じゃないんだ」
 ツバキを守るためにジュンヤが【シャドーヘイズ】で分身を3体出現させ、テク】連打・上級と分身の一斉射撃で撃ちまくったのだった。
「ジュンヤ……」
 ツバキもジュンヤの姿を見つけて駆け寄ろうとした。
「ほら、ジュンヤ。お膳立てはしてあげたんだから、さっさとツバキの所に行きなさいよ」
 支援で同行してきていたアリーチェが周囲に警戒しながら声をかける。
「大和塾の方は任せて」
 オニキスが大和塾の仲間の方に向かう。
 ツバキとジュンヤは一瞬見つめ合うが、互いに頷いて身を隠しながら移動した。
 今はモモのことで話をする必要があった。
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