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シルエット・ウォー

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シルエット・ウォー
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1.影に追われる戦場(1)

 シルエット戦の会場となる荒野の廃墟の市街地に続々とサバイバーがログインしてくる。
 個人で降り立つ者、チームを組んで打ち合わせをする者、参加者リストにその名が表示されていく。
 シルエット帯で有力者であることを示すマークと共にトガシという名前とチーム”大和塾”のメンバーのキャラネームが並び、メンバーの最後にツバキオニキスの名が表示された。
 特異者の青井 竜一はその名前を見つめる。
「ツバキ、オニキスーー」
 【スキン】ロボットによる姿で機械的な音声を響かせて呟く。
「やはりツバキはあのツバキだな。オニキスも一緒なのを見ると間違いない」
「オニキスはあれだけ娘や子供と言っておいて、モモのことをアクアマリンに丸投げとは……」
 竜一のパートナーのネヴュラ・シェーレは不満を隠せない様子だった。
「モモが自分の意思で彼女自身の世界に戻るなら、もうそれでいいって思ってたのかもな」
「たまたま自分に宿っただけの赤の他人とわかって冷めたのか。
ツバキも結婚したばかりの夫を放り出し、長い付き合いといっても別の男とRWOで遊んでいたとは。あまり褒められたことではない」
 ネヴュラの言葉は辛辣だった。一人の女としてツバキとオニキスにはいろいろ思うところがあったのだ。
「一人の女性として妻になったって自覚がまだ薄いのかもしれない。リアルの星川鍔姫と、RWOのツバキは違うって意識でのキャラロールかも」
 竜一は一応ツバキとオニキスの弁護をしてみる。もちろん竜一とネヴュラが一方的にそう感じていることを話しているだけなのだが。
 ただ今回の事態に竜一は疑問を持っていた。
(あの二人がKODCに吸い込まれた……出来過ぎというか、誰かの作為なのでは?)
 どちらにしても竜一はツバキとオニキスを全力で見守らなければと決意してKODCのシルエット戦に参加したのだった。


 ツバキの背後ーー星川鍔姫の伴侶であるジュンヤこと星川 潤也も別の場所でリストを見つめていた。
 ツバキ達がKODCに巻き込まれたと聞いた時は驚いたが、ツバキが大和塾に居るのであればそれはチャンスかもしれないと考えていた。
「とりあえず、ツバキとちゃんと話をしないと」
「ツバキに会うお膳立てはあたしたちに任せなさい!」
  ジュンヤはチーム『一時の安らぎ』として参加していたが、 パートナーのアリーチェことアリーチェ・ビブリオテカリオの言葉にチームのメンバーも頷く。
「ツバキさんとオニキスさんのの状況確認も必要ですね」
 アキラこと砂原 秋良もツバキとオニキスの近くに行けるようジュンヤを支援することに同意していた。
(今のジュンヤさんの気持ち……よくわかります。本当はすごく心配でしょうね。)
 ヨウタこと影野 陽太にも同じように愛しい大切な人が居る。引続きKODCに参加してジュンヤと仲間の役に立てるよう頑張りたいと考えていた。
 『一時の安らぎ』は大和塾を制圧して迅速にツバキと接触することを目指す。

  砂混じりの風が吹く廃墟の市街地で、開始を告げる電子音が鳴り響くと同時にエリアの外周が影色化し、ゆっくりと中央に向かって侵食し始めた。
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