■プロローグ■
「ふむ、ここならちゃんと先生のお姿も見えます。
私も己の務めを果たせてお誂え向きと言えるでしょう」
夜の月を背に、
“時計ウサギ”は微笑んだ。
ぴこぴこ、と耳が動く。どうやら腹を空かせたオオカミは筋書き通りに子ヤギ達の元へ向かっているようだ。
ただ、筋書きには無い登場人物たちの動きも気になるところであった。
(これは、これで)
あどけない少女は物語を紡ぐ上で型には囚われない。
きっと、彼らの奮闘すら楽しそうに笑って――ぐちゃぐちゃに叩き潰すのを好むのだろう。
彼の視線の先で夜の街を行く少女は、血塗れのまま鼻歌を歌い歩いていた。
■目次■
1ページ プロローグ・目次
2ページ 【1】リトルフルールとハーメルンの笛吹き(1)
3ページ 【1】リトルフルールとハーメルンの笛吹き(2)
4ページ 【1】リトルフルールとハーメルンの笛吹き(3)
5ページ 【1】巻髪お姉ちゃんはお茶会に……(1)
6ページ 【1】巻髪お姉ちゃんはお茶会に……(2)
7ページ 【1】お留守番の終わり(1)
8ページ 【1】お留守番の終わり(2)
9ページ 【2】運命の配役
10ページ 【2】飴玉の願い
11ページ 【3】騒乱の狩場
12ページ 【3】相克する物語
13ページ エピローグ