クリエイティブRPG

3000年前の遺産

リアクション公開中!

 133

3000年前の遺産
リアクション
First Prev  7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17  Next Last

・応戦の火花

 現状のベーダシュトロルガルへと潜入し、ギロチン型を引き付けているのは日向 千尋である。
「なんかオモロそうな島があるじゃないデスか~! ヴァ、じゃない、バルバロイにくれてやるなんてもったいないデス! ウェイ、やっておしまいデス!」
「千尋は好きかって言ってないでちゃんと連携して! ウェインとミリアとははじめましてなんだから! まったく、ボクが居ないとすぐ暴走する……!」
 そう言ってたしなめた由真・才羽は「グッドイヤー」に搭乗し、戦場を舞う。
 交錯するギロチン型へと「アーマーリベットガン」が掃射されギロチン型の体躯に突き刺さって爆発の光を押し広げていく。
「いいぞいいぞ~! もっとキリキリ働いて伏兵をやっつけろデス~! え? 人任せ? うっせー! アイドルってのはスタッフに支えてもらうもんなんデスよ! 治癒と春告げで元気づけて、もうひと頑張りするのデス!」
「でも敵も相当強いっぽいし……追いつかれて当たったらごめん! もし撃ち落とされちゃった時にはミリアを怪我させないように着陸軌道を……」
「あの~、ワタシは?」
「千尋? 知らないよ! どーせほっといても勝手にケガ作ってくるし!」
「うーん、手厳しいのデス~!」
「ミリア。【星詩】で敵の動きを鈍らせていってもらえる? そのほうが命中精度も上がるし」
 才羽の言葉にミリア・サンダライトはおっとりとして頷く。
「ふぉれすとひーりんぐなの」
 木の根がたちまち敵と味方を隔て、味方を治癒し素早さを上げていく中で、千尋も相乗効果を狙ってコーラスを奏でる。
「夜の帳でヴァ……じゃなかった、バルバロイの眼はこれでイチコロデス~! それと疾駆でブースターを吹かせやがれデスよ!」
 宵闇がギロチン型の視界を奪い、その隙を逃さずにアウグスト・ウェインは「クリアマインドソード」でギロチン型を両断する。
 その瞳はあえて閉ざされ、擬態に惑わされることはない。
「ギロチン型の再発見は頼むのじゃ。毒舌メイド」
『了解。しかし今の一閃、少しずれていましたよ。【星詩】の支援がなければまともに真っ直ぐ斬れもしないのですか?』
 【使徒AI】毒舌メイドが辛辣に言いやるのを、アウグストはがっくし来る。
「主に向かってその言い草はないじゃろ!」
『言い返している場合ですか? 敵の攻撃が来ますよ、さっさと盾を構えてください』
「言われんでも!」
 ギロチン型の一閃を盾で受け流してから返す刀を閃かせる。
『攻撃に集中し過ぎです。守ることも覚えてください』
 そう言いやるなり、ロングカノン型の砲撃網が次々と咲く。
 回避運動に移りながら、アウグストは攻勢に出ていた。
 出現したギロチン型の一撃を盾で受けて積極的な攻撃に打って出るが、ロングカノン型の支援は切れず、舌打ち混じりに剣を薙ぎ払う。
「一旦、撤退するのじゃ! ミリア、回復をお願いしたいのじゃ」
『やれやれ。もう回復を? ミリア様の負担も考えられては?』
「どうして主相手に様じゃなくって、ミリアには様なのじゃ!」
 ミリアは「ブルームド・カンタービレ」で【星詩】を拡張させつつ、樹木の壁が敵の砲撃を防ぐ。
「よし、回復を行ってから、じっくりと敵の軍勢を減らすのじゃぞ!」
『敵がこっちを狙っていますよ』
「えー、もうすこしきゅうけーしたいの」
「言っとる場合か! ミリアよ、お主は早くワシを守らんか! アタッカーが落ちてからでは遅いのじゃぞ!」
「むー、しかたないなのー」
『そうですね、仕方がありません』
 舞を踊って癒しつつ、攻撃の射線にアウグストは飛び出す。
「まったく……なんでこうもワシの周りは勝手な奴ばっかりなんじゃー!」
 嘆きつつも、攻撃精度の上がったアウグストはギロチン型を的確に見定めて斬撃を浴びせる。
「……ウェインとミリアはいつもこんな感じで?」
 尋ねた才羽にミリアはうーんと呻る。
「いつもじゃないの。でも、こんなかんじなの」
「やれやれ……やり過ぎかのう!」
 敵の勢いを削いでアウグストの刃が奔るのを、千尋が面白がって挑発する。
「いいぞ、いいぞ~! もっとやってしまえなのデス!」
「千尋は自分勝手言ってないで、早く補助とサポート!」
「え~、補助とサポートって同じじゃないデスか?」
「揚げ足取らない! こっちはミリア抱えてるんだから!」
 ロングカノン型が照準するのをアウグストは飛び退って回避しつつ、放たれるギロチン型の殺意には敏感だ。
 敵影の瞬時の奇襲を掻い潜って横薙ぎに叩き割っていく。
『少しはマシに見れてきましたね。ですが油断は禁物。墜ちればそこまでですよ』
「がんばれーなのー」
「ええい! 言っておるのならもっと具体的なアドバイスを寄越すのじゃ! とりあえず、これで!」
 出現したギロチン型を狩ってロングカノン型の砲撃網より後退する。
 繰り返しで少しは敵の勢力が削れていくはずだ。
 そう信じて、アウグストは敵の陣営を見据えていた。

First Prev  7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17  Next Last