クリエイティブRPG

無人の浮遊大陸

リアクション公開中!

 124

無人の浮遊大陸
リアクション
First Prev  2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12  Next Last


空の大陸とエルフの宝玉6―フルール歌劇団2―


 第二の鍵を突破した後は一本道だった。
 一行は前方、後方からの挟み撃ちも警戒し、先を急いだ。

「エルフさんの言ってた一本道ってこのことかしら」
「確かこんな感じの道でした!」

 弥久の言葉に、エルフが明るく答える。どうやら第三の鍵、そして宝玉までもう少しのようだ。

「宝玉の部屋の直前にはもう一つ部屋のような空間があるはずです。
 そしてそこには……」

 エルフが言いかけて、ルルティーナ・アウスレーゼが楽し気に言った。

「ふっふっふ~♪
 出ましたね、待ちに待ったゴーレムさん♪ 今回はこの武装の試しがいがありそうです♪
 さっきはわたしの出る幕がなかったので」

 大げさに肩を落としたルルティーナの前には、エルフの言った通り少し開けた空間があった。
 その奥には膜の張った道――第三の鍵があったが、その両サイドには先ほど会敵したゴーレムよりも一回り大きなものが鎮座していた。
 ルルティーナが足取り軽くその空間に入ると、ゴーレムが起動し大ぶりな一歩を踏み出す――!

「フルール歌劇団の工房長は戦闘だってこなせるんですっ!」

 リペアアームズ・FCに取り付けたガン・ハンマーType.Fwをぶん回しながら、ルルティーナがゴーレムを迎え撃つ。

「ルルちゃん、思いっきりやっちゃってくださいねー!」

 後方で弥久がルルティーナを支援するように、雷球を飛ばした。
 ゴーレムの顔面にぶつかった雷球は弾け、ゴーレムがブンブンと顔を振る。

「ゴーレムとはいえ全体構造は人型……だったらッ!」

 そこへルルティーナが機械工戦闘術によるディスマンタリングでゴーレムの腕を狙った。
 拳を奪えば打撃は無効化できるし、この体肢であれば拳がなくなればバランスが崩れる。
 ルルティーナの解体に弥久の光弾が合わされば、ゴーレムの片腕の手首から先がガコンと落ちた。

 その隙に、もう片腕へ向かってアレクスの綺羅星が降り注ぐ。それによって解体中の反撃は阻止され、ゴーレムの集中がブレる。
 そこへ戦局把握で敵味方の位置取りを頭に入れた大和が、半身に向かってスプラッシュハーレーを放った。
 Fインパクトによる三連の斬撃は、立て続けにゴーレムを襲い、ルルティーナの解体と相まってゴーレムのバランスが崩れる。

 しかしゴーレムは、拳を失くして宙ぶらりんとなった片腕を鞭のように振るった。
 遠心力と共に加速して迫りくる腕に、ルルティーナは間一髪のところでシールド・ユニット/Bを展開。
 ゴーレムとの激しい攻防に、辺りには弾丸のように木片が飛び散るが、アレクスはそれらを纏ったタオシーローブや石柱で防ぎ、攻撃の術を持たない仲間やエルフを守る。

「わふっ!?
 ――って、備えあればってやつですね♪」

 振るわれた腕がシールドに弾かれ、ゴーレムがたたらを踏む。
 その隙に次は脚をディスマンタリングで解体すると、自立が不可能となったゴーレムが地面でもがいた。

「せぇ~のぉ、ハードスワイプッ!」

 ハンマーを大きく振りかぶったルルティーナがサードスワイプの一撃を胴体目掛けて放つ。
 大ぶりな攻撃ではあるが、回避能力を奪われたゴーレムに避ける術はなかった。

「もういっぱぁつ!
 ガン・ハンマーType.Fw、インッッパクトッ!」

 二撃目が決まる。インパクトの瞬間、弾倉が回転し内部の火薬に引火。ゴーレムの胴体から花火が打ち上がった。

「わわ、引火しちゃう!」
「消火活動~」

 火花程度ではあったが、ゴーレムからの火にエルフが慌てる。弥久は火花を受けたゴーレムの胸にすぐさま水輪を展開した。
 ゴーレムは胴体部分が少し焦げた後、バラバラと木片になっていく。

「風花さんありがとうございました。
 わたし、久々に暴れられてスッキリしましたぁ!」

 しっぽをぴこぴこさせながらぺこりとお辞儀したルルティーナに、弥久は手をひらひらと振った。

 一方で、もう片方のゴーレム戦も終止符を打った。

 ルルティーナが意気揚々とゴーレムに向かった頃、もう一人のマシーナリー――サヤカは、モンキーレンチを投げつけて相手の注意を引くと、メタルチェーンソーで迫るゴーレムを相手にした。

「歌劇団の道を作るのが私の役目ですから……!」

 金属をも切ることのできるチェーンソーは、木製ゴーレムにはうってつけだった。
 サヤカをフォローするようにフレデリカが木扉で彼女をゴーレムの攻撃から守り、機械工戦闘術によるレーザーカッティングで、サヤカは文字通りゴーレムを削っていく。
 そうしてゴーレムの動きを徐々に鈍らせていったところで、入れ替わるように望月が前線へ走り向かい、龍爪重撃でゴーレムを引き裂き潰したのだった。

「ルルちゃん、サヤカちゃん、いのりちゃん、お疲れ様っ♪
 残るは第三の鍵……だね」

 動かなくなったゴーレムの横にシャーロットが立つ。

「星を紡ぐ者に扉は現れん……」

 剣堂 愛菜が呟く。

「『扉』というのが、『三つの鍵を開いた』という結果を指すのか、あるいは『扉』自体が鍵なのか、解釈が難しい」
「……えっ? 鍵になるのは「扉」の方? その発想はなかったよ。ウィルさんさっすがぁ♪」

 ウィリアムの言葉に虹村がポンと手を打った。

「……でも、星楽の使い手が関係しているのは確かだと思う。
 だから、木扉が含まれる星音支援を受けた歌姫の星音を披露する……のがあたしの回答」
「ほむ。
 あいなちゃんは星詩と星音の連携って意見か」

 シャーロットは剣堂の意見に相槌すると、にひひと笑った。

「ならばやることは決まった! アイドルらしいライブだよっ♪」

 次は剣堂がシャーロットに頷く。
 ペアとなったジオマンサーとトルバトールは位置について、鍵を解くためのスペシャルステージが始まった――。


「妖精の扉開くとき、花盛りの舞台が開かれる……」

 冒険気分で持っていたマジックトーチをシルドミレーナロッドに持ち替えた剣堂は、それを地面に突き刺す。
 すると彼女の周りに花園が出現し、星音:ETSフェアリーズ が展開される。
 
「さあ弥久さん、思い切り舞っちゃって」

 剣堂の支援を受けて、弥久が星詩:ライスワイフ を歌う。
 同時に、シャーロットによる星詩:闇裂く輝刃☆ツインサテライト が開始される。

 アレクスの星音・ミーティアステージ によりキラキラと銀色に光輝く流星群が、シャーロットの詩を彩るステージになる。
 そのステージに立った歌姫は、その空間を闇の帳とし、二つの耀く刃を浮かび上がらせた。
 片手に持った日輪の扇は闇の中を優雅にたゆたい、無数の星々のような光を漂わせる。
 星空のようなシャーロットのステージで、弥久が星屑砂を宙へ撒く。天の川のように星屑は宙を舞い、そこへ流れる一片の流れ星のごとく、弥久は星種を投げ入れた。

 一本の軌跡が尾を引いて、星屑砂がさらさらと落ちてくる。そしてその中から、剣堂の星音による木の扉が出現した。
 弥久がその扉をそっと開けてくぐってみると、幕の張った道が目の前にある。そして木の扉が消えた時、膜も同時に弾けて消えた。

「大いなる大樹や大樹に寄り添う様々な命は「ユッピテル」の根源。
 青き円環を維持し星の命を紡ぎ、「ユッピテル」の未来のためにその身を捧げる。
 そんな思いを体現されたライブだったわね」

 フレデリカが拍手でシャーロットたちを迎えると、見張り役のエルフも涙を堪えながら拍手した。

「素敵なステージでした。さぁ、宝玉はこの奥です」

 エルフの先導に従って開いた道を行けば、早々に小さな空間へ出た。
 その中央には枝葉をベッドにしたように宝玉が安置されており、フルール歌劇団は無事それを入手することができたのだった。


First Prev  2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12  Next Last