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無人の浮遊大陸

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無人の浮遊大陸
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■エピローグ■


 ――木の浮遊大陸ユッピテル

 “外法の者”たちと各騎士団の活躍により、木の浮遊大陸ユッピテルからバルバロイは撤退していった。
 また、全ての宝玉を集めることにも成功し、木の浮遊大陸ユッピテルに同化して自らを守っていたエルフたちを元に戻すことが出来た。

「ロミア王女、エルフを代表して礼を言いますじゃ」

 ゼピュロス・マンスタークローヴィス・キルデアルイーズ・ウィックローファニス・リーシュカオルコ・オワリといった各騎士団の団長に守られながら、ロミア・レンスター王女はエルフの長であるコモンルーとの謁見に臨んだ。
 コモンルーは白髭を蓄え、垂れ下がった長く白い眉毛などから、好々爺といった印象を受ける。
 しかし、数百年から数千年の寿命を持つとされるエルフの長老であり、“樹上の賢者”束ねる生き字引である。

「残念ながら、わたくしたちの力が及ばず、何人かのエルフはバルバロイに連れ去られてしまいましたが……」
「生物に寄生する奴らも、流石に木には寄生出来んのじゃ」
「ただ……これはここにいる“外法の者”たちの受け売りですが、バルバロイはデータリンクを行ってる可能性があるとのことですわ。また、幼体からもデータを得られるとも……連れ去られたエルフから、“樹上の賢者”の英知が、何らかの方法で奪われてしまうことを危惧しておりますの」
「かっかっかっ! 心配には及ばんのじゃ。そこのカレン(香蓮)が、宝玉やユッピテルの中に事を全て知らんように、こんなこともあろうかとエルフは各自が情報の断片しか持ち合わせておらんようにしているのじゃ。奴らも、断片的な情報を得ても、生かす術はないじゃろうて」
「そこまで考えられておられるとは……“樹上の賢者”の英知の一端を垣間見ることができ、このロミア・レンスター、恐悦至極に存じますわ」

 その上で、「連れ去られたエルフたちも、見つけ次第救出いたしますわ」と付け加えると、コモンルーは満足そうに頷いた。
 改めて、アークがここに来た理由を話すと、コモンルーはエルフに伝わる“虫下し”を快く譲ってくれた。

「ただし、“虫下し”には数に限りがあり、ご覧の通りワシらも長らく眠っておったから替えは作っておらんのじゃ。濫用せぬことじゃ」
「心して使わせていただきますわ」
「また、バルバロイの寄生の深度が進んでいる場合、それでも効かぬ可能性があるのじゃ」
「そんなことが……」
「故に薬学に秀でた者を同行させたいのじゃが、受け入れてもらえるじゃろうか?」
「もちろんですわ! 薬学と言わず、全てのエルフを受け入れさせていただきますわ」

 普段であれば露骨に嫌な顔をするゼピュロスも、今回ばかりはエルフの受け入れを否定しなかった。
 今後もバルバロイに寄生される可能性がある以上、エルフの持つ“虫下し”はその最終防衛ラインともいえるからだ。
 それがアークでも作れるとなるのなら、ゼピュロスも断る理由はないだろう。

「バルバロイも、この“虫下し”をはじめとしたエルフの英知を恐れているのでしょうね」
「……そうか、ロミア王女のオペレーションAIも知らなんだな……」

 ロミア王女の言葉に、今まで「孫と話すお爺ちゃん」といった雰囲気だったコモンルーは一転、厳しい表情となった。

「バルバロイが狙っていたのは、“虫下し”などではないぞ。あわよくば、くらいでは考えておったと思うがな。ワシらエルフが持つアークのデータ・エンハンサーじゃ」
「データ・エンハンサー……?」

 聞き慣れない言葉に、一瞬きょとんとするロミア王女。

「いうなれば、アークの外付けのデータベースじゃ。使徒(アポストル)たちはアークのデータベースにアクセスしておるじゃろう? じゃが、今のアークのデータベースは完全ではないのじゃ。3000年前にいくつかのデータを、外付けのデータベースであるエンハンサーに分けたのじゃ」

 コモンルーが手を翳すと、ユッピテルの洞の一つが大きく開き、そこにはプリズムの様な結晶体が宙をくるくると回っていた。

「持って行くがよい。このデータ・エンハンサーは、二つの因子を持つ“スプリガン”“ビルドチューナー”の因子情報が眠っておるはずじゃ」
「二つの因子を持つ!? まさか、“ジェミニスト”でしょうか?」

 コモンルーが語る内容にロミア王女は驚きながらも、アーケディア王国に伝わるジェミニストについて掻い摘んで話した。
 話を聞いたコモンルーは複雑な表情を浮かべた。

「そのジェミニストと、スプリガン、ビルドチューナーは、少々性質が異なるようじゃな。使徒たちがデータベースから情報を引き出せなくなり、3000年のうちに正しい情報が捻じ曲がったのか、それとも捻じ曲げられたのか……ただ、ロミア王女を始め、ワシらエルフを救って下さった“外法の者”たちと騎士たちであれば、正しく使ってくれるじゃろうて」

 もし、エルフたちの救出に失敗していれば、“スプリガン”と“ビルドチューナー”の情報は、バルバロイの目論見通りアークに渡らなかったことになる。
 そう考えると、エルフの救出に成功してよかったと胸を撫で下ろすロミア王女であった。

「ささ、行かれるがよいのじゃ」
「ええ、コモンルー様もご一緒に」
「いや、ワシは残らせてもらうのじゃ」
「え!?」

 思い掛けない言葉に、ロミア王女は驚きを隠せない。てっきり、コモンルーも一緒に来ると思っていたからだ。

「ワシはもう老い先短い。十分に生きたのじゃ。それに、またバルバロイがワシらの英知を奪いに来るやもしれぬのじゃ。だから、最後の長であるワシが、エルフの英知を跡形もなく処分する義務があるのじゃよ」
「……分かりましたわ。受け入れたエルフは、このロミア・レンスターの名に於いて、楽園シャングリラへと共に行かせていただきますわ」
「うむうむ……アークの前途に幸あらんことを!」

 コモンルーの考えが変えられないと思ったロミア王女は、約束を守ると誓うと、彼は好々爺へと戻っていた。



 エルフを受け入れ、データ・エンハンサーを格納したアークは、木の浮遊大陸ユッピテルから離れていったのだった。


【無人の浮遊大陸 完】

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担当マスターより

▼担当マスター:クリエイティブRPG運営チーム

マスターコメント

『クリエイティブRPG』運営チームです。
「無人の浮遊大陸」のリアクションをお届けいたします。

パブリックシナリオは、アクションを投稿しているか、
アクションを投稿していなくても「・アクション投稿しなくても登場を希望」の項目にチェックを入れた場合、基本的にリアクションに登場しています。
基本的にPCは1シーンに登場していますが、シーン分割の関係で数ページに渡って名前がある場合もございますので、リアクションを読み進めてご確認頂ければと思います。

今回の功績は下記の通りとなります。

▼以下の方にアーケディア王国功績証を付与させていただきます。
※アーケディア王国功績証は、枚数に応じて戦功品と交換できるチケットになります。
ラインナップは後日発表しますので、今しばらくお待ち下さい。


●騎士団
・アルガス騎工団
・フルール歌劇団
・ベイグラント騎士団
・鶏肉騎士団
・オーバーチュア騎士団
・エスパーダ騎士団

●個人(騎士団以外のGAは個人で判定しております)
・迅雷 敦也(SAM0058626)様
・エイタロー・ロペス(SAM0075114)様
・忌枝 徒長(SAM0075119)様


▼アークの上級アバターについて
エルフたちを無事に助け出すことに成功したため、彼らが持つデータ・エンハンサーを手に入れ、
アークの上級アバターである

・スプリガン
・ビルドチューナー


が解放されます。
追加時期につきましては今しばらくお待ちください。


▼騎士団の称号について
騎士団の所属称号につきましては、「申請制」とさせていただきます。
騎士団に所属しており、称号がない方につきましては、
お手数ではございますが、ユーザーサポートの「シナリオ」までお問い合わせください。


▼「バルバロイの幼体に寄生された」「バルバロイの幼体(青)寄生」の称号について
今回、エルフの秘薬である“虫下し”が入手できましたので、
上記の称号をお持ちの方は服薬によって取り除かれます。

2週間以内に称号が消滅しますが、
もし「称号を残しておきたい(=服薬しない)」
という希望の方がおりましたら、
お手数ではございますが、公開日より1週間以内にユーザーサポートの「シナリオ」までお問い合わせください。

ただし、寄生はアークの加護が効きませんので、
残す場合は「NPC化するリスク」を含めてお客様の自己責任でお願いいたします。


最後に今回のリアクションを執筆したマスターからのコメントをお送りします。


【1】エルフを保護し、宝玉を取りに行く 担当:やまぐちたけし

今回【1】を担当しました、やまぐちたけしと申します。
ご参加いただきありがとうございました。また、お疲れ様でした。

今回は激しいバトルというよりも、謎解きがメインのパートとなりました。
鍵に対する様々な回答、考察をアクションから読み取ることができ、戦闘アクションとは違った楽しさを感じました。

鍵の正答についてですが、
第一……星素:水輪
これについては殆どの方が正解していました。

第二……ドラグナーの剣(武器)
こちらについてはドラグナーガッツと答える方も多かったです。
確かに魂と言われると精神的なものもイメージしますが、「捧げる」まで考えると、騎士の誇りである剣がより近しいかと思います。

第三……星素:木扉を含む星音
こちらは様々な解釈がありました。木扉が含まれていなかったり、逆に木扉は分かっても星音として使用していなかったりと、惜しい! という方もおりましたが、他の仲間のフォローで無事突破できた場面もありました。騎士団制のメリットでしょうか。

謎解きというとどうしても正答・誤答となってしまう部分はあるのですが、間違えたから失敗というわけではなく、他の仲間の回答が正解で先に進めた、誤答をきっかけに正答を導き出した、逆に別の道へ進んだことで新たな展開となった……という物語になるのがCRPGらしく、また楽しみ方の一つになるのだなと思います。

なお、今回は木の内部であること、ゴーレムが木製であることから、火を使う攻撃はその規模や発生後の処理ができるかどうかで、使用可能かどうか判断しております。
星詩の演出での使い方であれば今回は問題ありませんが、周りの環境等を考慮した攻撃方法であるとより活躍度がUPするかと思います。

それでは、この度はアクションお疲れ様でした。皆様のアクションがリアクションとしてお返しできていれば幸いです。


【2】バルバロイの群れを倒す 担当:シチミ大使

本シナリオにご参加していただきありがとうございます。
シナリオを担当したシチミ大使と申します。


バルバロイの群れを八割以上殲滅したため、このシナリオは成功となりました。

バルバロイの群れ相手にあらゆる手を尽くして奮闘する皆さんのプレイングはどれも描き甲斐があり、面白く書かせていただきました。
またご縁がございましたら、その際はよろしくお願いいたします。


【3】ドラグーンアーマー型バルバロイを倒す 担当:白井梨恵

 ご参加の皆さま、お疲れ様でした。
 ドラグーンアーマー型とその護衛との戦い方、バルバロイに対しての思いなど、様々なものがこもったアクションだと感じました。
 この世界の物語はまだまだ続くこととと思いますので、またお目にかかれたら嬉しいです。