クリエイティブRPG

無人の浮遊大陸

リアクション公開中!

 124

無人の浮遊大陸
リアクション
First Prev  8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18  Next Last

・激戦区域を抜けて

 戦線を行くのはガーネット・スライトリーの「エイヴォンMV」である。
「アタシは火夜を乗せて行動すればいいんだな? どーんと任せな! 戦闘前にエイタローのあにさんのスカイグレオン、小ノ葉と徒長のあにさんのドラグーンアーマーにアーマー・コーティングするぜ! バルバロイとの戦いは何が起こるか分からないな。事前に打てる手は全部やっとくってもんだろ?」
 群れを見据え、同乗する迅雷 火夜が声にする。
「思ったより多いなぁ……。トルバトールの火夜ちゃんが援護するよ~。……ガーネット、安全運転でね?」
「何を今さら! アタシの腕が不安ってか?」
「うーん、ガーネットの操縦ってがさつなんだもん……。ちょっとふあーん」
「いいから、仕留めに行くぞ! せっかくの主戦場だ!」
「そうだね~。さぁさぁ、バルバロイを倒しまくって他のところの人たちを行動しやすくするよ~。サクラ・ヒメバオリも着てるし、ブルームド・カンタービレで歌うから、きっとすごい星詩になるよ~」
 火夜が星詩を奏でたのに合わせ迅雷 敦也が火夜とルー・チャロアイトへと星音を響かせる。
「空に夢を奏でる者の力……存分に振るわせてもらうぜ! トルバトールの火夜の星詩を拡散する星音を奏で、バルバロイを堕とす悪夢を奏でる! さぁ、やるぜ!」
 敦也は「オーシャニックシロフォン」を演奏し、星音を構築していく。
「ただのジオマンサーじゃできない……ユニークアバターである空夢奏者の俺だからできることだぜ! 俺の星音はネバーランド……夢の始まりの地だ! 火夜の星詩を響かせろ!」
「綺羅星」が降り注ぎ、「銀霧」が視界を塞いでバルバロイの動きを阻害していく。ツインカノン型の火砲が舞う中で、敦也は盾で受け流していた。
「星降り注ぐと凶悪な悪夢だろ? こいつで堕ちろ! ……あ、響振切れたら回収よろしくだぜ……。こればっかりはどうしようもないからな」
「マスターの回収はアタシがやる! ア・タ・シがやる! おっと! バルバロイの砲撃には、これで!」
 操縦技術たる「フラッピングプレス」を駆使してスタンドガレオンを羽ばたかせ、バルバロイの接近を回避する。そのまま錐もみ回転に入って敵の照準から完全に逃れていた。
「嘗めるなって! こちとらステージを務めてるんだから!」
「やっぱし、ガーネットの操縦、がさつだなー。でもま、今はいっか」
 ガーネットの声も響く中で、火夜は星詩に入っていた。

癒しの雨が降り注ぐよ♪ 君を癒す五月雨よ~♪
癒しの雨が降り注ぐの♪ ここは高天原~♪

 歌い上げる火夜に追従し、【使徒AI】ヴァレットの補助を受ける夢風 小ノ葉が前に出ている。
「バルバロイの群れを蹴散らして、少しでも他のところに居る人たちの行動をしやすくするよー。ドラグナーのボクが前に出て戦わなきゃだね! ……ボクがやる! 行くよ、狼武者! やや閉所っぽいからきっと戦いやすいよ」
『やれやれ。小娘の支援など退屈な仕事じゃ。戦局把握の補助はこちらでやる。存分に戦うがよい。それで戦場は少しでもマシになるのならばな』
 小言を挟むヴァレットと小ノ葉は駆け出していた。忌枝 徒長も前に出てバルバロイの攻撃を引き付けている。
 盾を装備し、ツインカノン型の砲撃を弾きつつ常に移動し続けることで囮役をしっかりと果たそうとしていた。
 徒長へと攻撃を仕掛けようとするバルバロイへと、小ノ葉が背後より仕掛ける。
「がら空き。スプラッシュハーレーで一気に引き裂くよー」
 携えた刃――「インパクトソード」の柄のトリガーを敵の肉体を切り裂く瞬間に引き、破壊力を増大させる。
 二刀流を駆使し、振り上げと上段よりの打ち下ろしを交互に浴びせて閉所でも物ともせずに高威力を叩き込む。
 バルバロイの砲撃が舞うのを、小ノ葉は「瞬間加速斬り」で華麗に避けていた。
「斬るだけが能だとは思わないでねー」
 それを少し離れた位置で見据えていたエイタロー・ロペス【使徒AI】女教師の支援を受け、「ヴォルケーノ・カノン」を構えていた。
「にしても、虫下し、かぁ……。なんだろうね、イメージとしては胃腸辺りに寄生生物が居るのかな。それがつまり、うん、その、えーっと……出てくるのかな……きっと? まぁ、とにかく、手に入れるために頑張らせてもらうよー。新しい武器も試したいし、実戦投入させてもらうさー。敦也くん、そちらの近接射程は任せた。僕は枝葉の間から、狙い撃つ」
『狙う箇所は授業で教えたでしょう? 復習の時間ですよ』
 女教師は忠言とカノンのレンズ操作を一任している。
「分かっているよ、一発必中を心構えに――撃つ」
 誘い込まれたバルバロイへとカノンが一射されていた。
 狙い澄ましたバルバロイが撃墜され、エイタローは呼気と共に感想を漏らす。
「うんうん……分かってるよー。狙うべきは脆いところや、弱点……貫ける場所、だね」
 周辺警戒を努めるルーは接近する敵影を報告する。
「エイタロー。敵です。九時の方向に。ご注意ください」
「うっわ、うっわー! 最悪ー! 何でこっちに来るんだよぅ! ルー! 落ちないように捕まっていて! 蛇歩旋回で回避運動に入る! 頼むから、数は来ないで欲しいなぁ」
「新しい武器を手に入れたことは。いいことなのですが。はしゃいでいるように。見られます。子供なので。仕方ないですね。ルーが気を付けておかなければ。所謂。お目付け役というものです」
「そんなこと言ったって、そりゃ新しい武器は試したくなるのが人情さ」
「やれやれ。反省の意はない様子。仕方ないですね。栄転の舞で軽やかに。味方の安心のために」
 祈りを捧げながらルーは舞を踊る。
 それは無事の帰還と、そして仲間たちに活力をもたらす。
 エイタローはすかさず指示された方向へと「メタルチェーンソー」で攻撃を放ち、バルバロイを迎撃する。
「近づけば勝てるって思った? 残念だったね!」
「あまり気を緩めないよう」
 火夜の星詩の加護を引き受けたガーネットがバルバロイに肉薄し、「ジェットアンカー」でその装甲を射抜く。
 徒長を狙ってきたバルバロイへと小ノ葉が背後から斬り伏せていた。
「狙わせない! 徒長おにーさんは、ボクが守る!」
「瞬間加速斬り」を用いた鋭い一撃は三連撃と組み合わさって威力を増大させていた。
「インパクトソード」を二刀振り翳し、巧みに操って回避しつつバルバロイへと交差する一閃を浴びせかける。
 敦也は戦況を見据えつつ、確信を声にしていた。
「行けるはずだ……。このままなら!」

First Prev  8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18  Next Last