■プロローグ■
「あの
ダーガンのために、兵士が……こんなに戦力が集まるなんてね……。
ちょっと、彼の求心力を舐めていたかもしれないな」
「喜び(興奮)」の楽巫
メリディスはそう苦笑交じりに呟いた。
しかも、こんなに早く事が進んでしまうなんて。
だが今更そんなことを考えてももう遅い。
この色彩の宮殿に押し寄せた兵士たちは、自分から進んで自称「皇帝」に従っているのか。
それとも脅されたのか。
あるいは洗脳状態にあるのか。
その真相はまだ分からない。
確かなのは今、独裁者となったあの男の権力が確実に増しているという事だ。
そしてこのパトリアがその支配下に落ちてしまう危険性が、ますます高まっているという事だ。
(あーあ……これじゃ
メリディム兄さんの予想した通りじゃないか。
これが終わったら、ちゃんと仲直りしないとな。とりあえず、ボクから謝りにいかないと)
――だけど1人じゃ心細いから、ここにいる誰かに付き合ってもらえないかなぁ?
武器を手に海へと向かいながら、メリディスは密かにそんなことを考えていた。
■目次■
1ページ プロローグ・目次
2ページ 【1】1.潮津波を喚ぶ
3ページ 【1】2.伝承歌が語らぬ歴史
4ページ 【2】1.赤き襲撃者たち
5ページ 【2】2.平和のために奏でる
6ページ 【2】3.支配されし者の力 1
7ページ 【2】3.支配されし者の力 2
8ページ 【3】1.音と音で通じる事
9ページ 【3】2.重なり合い、共鳴すること 1
10ページ 【3】2.重なり合い、共鳴すること 2
11ページ 【3】3.言葉以上に通じ合う事 1
12ページ 【3】3.言葉以上に通じ合う事 2
13ページ エピローグ