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Frag-Connect~LINE.2『展開』~

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Frag-Connect~LINE.2『展開』~
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■グラを解放に導く絆を打ち込め!(2)

「皆様、助けは必ず来てくださいます。それまで諦めずに頑張りましょう」
 人見 三美が捕らわれの身となった住民たちを励ます。だが流石に不安の色は隠せず、本当に大丈夫なのだろうか、といった声もちらほら聞こえてきた。
「お前たち、何を言っている! 自分が無事でいられたのが誰のおかげかしっかり考えろ!
 今ここで下手に動けば、すべてがフイになってしまうかもしれないんだぞ!」
 だが、続けて声を上げたカルロ・ストーンの言葉は流石に堪えたのだろう、謝罪の言葉と共に住民は大人しくなった。
「カルロ様、ありがとうございます」
「いや、君には助けられた、今度は俺たちが力を合わせて君を助ける番だ」
「そのお気持ち、とても嬉しく思います。はい、皆様で力を合わせて脱出しましょう」
 三美が微笑んで応えたところで、先行していた夏輝・リドホルム松永 焔子が戻ってきた。
「人見嬢、あなたの装備を回収してきた。だが残念ながら悪い知らせだ。グラ嬢がこちらに明らかな殺意を持って近づいている」
「あの白衣姿の男がグラ様にとんでもなく悪趣味な仕掛けをしていったのです。今グラ様は自身の意思を無くされ、オルガノレウムの恩恵を受ける者すべてを抹殺する指示を受けて動いている様子」
「そんな……!」
 三美が驚きと悲しみの混じった表情を浮かべ、カルロと住民たちは嘆き、そのような真似をした者への怒りを露わにする。
「許せない! なんとしてもそいつを捕まえてやる!」
「カルロ様、落ち着いてください」
 一歩を踏み出したカルロが、三美になだめられて踏みとどまる。
「たとえグラ様が正気を取り戻されても、もしそれまでに誰かを手にかけていれば取り返しがつきません」
「アメリア嬢が救出部隊を派遣してくれている。状況が好転するまではグラ嬢へは時間稼ぎをするしかあるまい。
 その役目はオレと焔子嬢が務める、人見嬢は皆の安全な場所への誘導を頼む」
「わかりました。夏輝様、焔子様、どうかお気をつけて」
「ここで倒れるつもりはありません。グラ様とはお友達になれそうな関係ですもの」
 方針を確認し合った三人が行動を開始する。夏輝と焔子の背中を見送った三美はカルロに移動する旨を伝え、住民が準備を開始する前にリップグロスで移動している旨を書き残す。後でここを訪れた仲間がメッセージを見つければ合流が円滑に進む。
「人見さん、準備完了です。いつでも出発できます」
「はい、では行きましょう」
 カルロが先頭、三美が殿を務める布陣で一行は移動を開始した――。

「いたぞ、通路の先だ」
 夏輝が焔子に注意を促し、通路の先の足元付近に銃撃を行う。焔子が右側の遮蔽物に身を潜め、夏輝が左側の遮蔽物に身を潜める。
「このままオレが左、焔子嬢が右から――うおっ!?」
 指示を送ろうとした矢先、夏輝が銃撃に見舞われ後方へ弾かれた。
「夏輝様!?」
「……ああ、問題ない。早速備えが役に立ったようだ」
 夏輝の腕から、二つに割れたガジェットが床に落ちた。銃撃を受ける直前にオルガノレウムが放出されたことで夏輝自身に被弾は防がれたものの、ガジェットが身代わりとなる形で使用不可能となる。
「ただの遮蔽物では『貫通』されるか。確かここに来る前、使い方がわかったと喜んでいたな」
 オルガノレウムを引っ張るイメージができれば、エグズーダーだろうと何だろうと貫通できる気がする――共闘した仲間のアイドルとそう話していたのを夏輝は思い出し、苦笑いを浮かべた。
「成長を喜ぶべき、なのだろう。この状況を無事に乗り切れるのが前提ではあるが」
 破壊された遮蔽物がOCM製であるのを確認し、夏輝がオルガノレウムを循環させて即席の盾とする。
「見ての通りだ焔子嬢、意思の敗北は自身の敗北と同じと思った方が良い」
「ええ、心に刻みつけますわ!」
 焔子が手にした剣にオルガノレウムを変換した炎の力を付与しつつ、盾としてグラが好んで見ていたアニメに登場するロボ――オルガノレウムを循環され、ほのかに青く光りかつ鋭い目、ギザギザの歯がどことなくサメを連想させた――を掲げて次の遮蔽物へと移動を試みる。
『!!』
 次々と弾丸が焔子へ襲いかかり、何発かは直撃コースを通るが『シュガーシャーク』が受け切った。
「これは貴女が好きだったものです。正気を取り戻してください!
 『話の合ういい友達になれる気がしてきた』って言っていましたでしょう!?」
 呼びかけにもしかし、グラは攻撃の手を緩めない。ついに一発の弾丸が『シュガーシャーク』のシンボルであるツノを欠けさせた直後、体勢を整えた夏輝の銃撃がグラの攻撃を停止させた。
「オレもキミとは戦友になれる、そう思っている。
 だからこそこのような形で、キミの手を味方の血で汚させはせんよ!」
 両手にオルガノレウムを発生させ、床につけることで――床もまたOCM製である――即座かつ大量に狼を造成することに成功した夏輝がそれらを守りの盾としながら距離を詰め、銃撃を間断なく浴びせることでグラに安定した射撃を行わせないようにする。
「たとえ遮蔽物無効の銃撃があろうとも、発射位置が見えていれば不意は打たれない」
 自身の発した言葉を証明するように、物陰から直接撃ち込まれた弾丸は狼の一匹を撃ち抜くも、かざした盾の前に弾かれかき消えた。
「言っただろう、その手は汚させないと。申し訳ないが付き合ってもらうぞ!」
 焔子が積極的に切り込み、夏輝が焔子の突撃を銃撃で支援する――。


 先程まで三美と住民たちが潜んでいた場所に、水谷 大和リア・アトランティカリク・ライニングがやって来た。
「大和、ここにメッセージがあるわ」
 リアが見つけたそれは、出発前に三美が書き残したものだった。
「住民はここから左、グラ迎撃チームは右か。確かに右の方から戦闘音が聞こえてくるな」
「どうするでゴザルか?」
 少し考え、大和が方針を口にする。
「住民の誰かが傷ついても、グラは気に病むだろうな」
「そうでゴザルな。最悪アダプターを止めるなど言われては、姉妹アイドルユニットを二度と見られなくなってしまうでゴザル!」
 リクの動機はともかく、移動した住民のケアは必要だろう。
「かといってグラの足止めが失敗すれば追撃を受けてもろとも全滅だ。
 ……別行動になってしまうが、二人はこのメッセージを残した三美さんと合流を図ってほしい。オレは夏輝さんと焔子さんの援護に行ってグラを相手する」
「わかったわ。大和、シュガーアップを動かせるようにするからピンチの時は使って!」
「拙者に任せるでゴザル! グラ殿の未来は拙者がこの身に賭けて守るでゴザル!」
 リアとリクが左ヘ向かい、大和は右へ向かいグラが仲間のアイドルと戦っているであろう場所に急行する。そして大和が駆けつけた時には一時的にグラ迎撃の火力が途絶えていたタイミングであり、もう少しタイミングが遅れていればグラが広場を抜けて先の通路に移動してしまうところだった。
「お嬢さん、一曲どうよ? かなり手荒になるけどな!」
 リアから受け取った『シュガーアップ』を右に展開させつつ、自分は左側に高速移動を繰り出す。オルガノレウムの弾丸が大和の足元を穿った。
「なかなかいい狙いだが、もう少し踏み込みが足りないな! こちらからも行くぞ!」
 大和の銃撃に、グラは回避を強いられる。遮蔽物に身を潜めたのを見届け大和は加速を解こうとするも、仲間の忠告がそれを押し止める。
「注意しろ、グラ嬢の銃撃は遮蔽物を貫通する!」
「忠告助かる! そいつがグラの大技ってわけだな、ならばこいつで受け止めてやる!」
 大和がオルガノレウムで生成した盾にあえて射撃を行い、水の盾を重ねる。それを鉄壁の防御術で構えれば三重の壁。
「この盾で防げなければ、オレは誰も守れない……何が何でも守り抜く!」
 その強い意思がさらなる壁となり、盾は強大な防御力を備えグラの大技、貫通射撃を防ぎ切った。

 大和が奮戦する中、リアとリクは三美の背中を見つけ合流に成功する。
「殿は疲れたでしょう、私が交代するから休んで頂戴」
「ありがとうございます、ではお言葉に甘えさせていただきますね」
「皆はどこに向かっているでゴザルか?」
「ひとまず安全な場所へ、とは考えているが、どこが安全かという指標があるわけでもないのがな……」
「確かにそうでゴザルな。いざという時にはすぐ逃げられて、かつ守りを固めやすい、そんな場所が都合よくあって欲しいでゴザルよ」
 建物は資材の生産、回収用に効率化されており、決して戦闘に適した構造になっていない。搬出口は今まさにグラとの戦闘が行われている場所であり、それ以外は通路か装置が置かれた広場かしか無いため、場所選びには苦労を要した。
「ここにしましょう。向こうの扉の他に道は無い、ここに垂れ幕を張って目を欺いてみるわ」
 住民の疲労も蓄積してきた頃、一行は一時的に身を休める場所を確保することに成功する。扉のすぐ前にリクとカルロがつき、リアと三美が半透明の垂れ幕を広げ追っ手の目を欺かんとする。
「リク、これ使って」
 リアから砲丸を受け取り、リクはそれに弾ける性質を持たせることで手りゅう弾とする。扉を突き破ってこようとする相手に使用することでまとめて撃退することができるだろう。
「とりあえずはこれでよし、と。後はアメリア達が来るのを待ちましょう」
 リアの言葉にリクと三美、カルロが頷いた。


「さて、助けに来た相手に問答無用で攻撃されるってのはどーいう状況か、誰か説明できる人ー」
「あ、あの……! グラ様は首輪で意思を奪われているって聞きました。今攻撃しているグラ様は自らの意思ではないって私は信じてますっ」
 グラの攻撃をかわして避難してきた行坂 貫の言葉に、結笹 紗菜が応える。
「アダプターを襲うように命令されていると……なんと腹立たしい。自ら手を下さずにグラさんにアメリアさんを殺させようとするなど――」
 行坂 真怜が前のめりになりかけたところを、貫がやんわりと制する。
「真怜、怒るのは良いが冷静にな?
 怒りで大事な事を見落とすと、助けられるものも助けられなくなるぞ」
「ええ、分かってますよ、兄さん。
 ……たとえ操られているのだとしても、グラさんを止めない事にはどうしようもない事も。それに手加減して止められる程、彼女が弱くないことも」
 真怜の言葉が真実であるように、グラの銃撃は的確であった。さらには遮蔽物へ退避したはずの紗菜に銃撃がヒットしたのはどういう原理だろうと貫が訝しんでいると、紗菜自身から声が返ってきた。
「ペネトレーションです……! グラ様は最初こそ使いこなせていませんでしたが、今では立派に使いこなしていらっしゃいます」
「貫通、か。厄介だな。
 ま、真怜がわかっていればいい。よし、それじゃ真怜、ライブだ」
「…………は!?」
 貫の突然の言葉に真怜が素っ頓狂な声を上げた。
「いや、ちょっと待ってくださいよ、僕はライブなんてした事ないですし兄さんはプロでしょう?
 どう考えても兄さんがやった方が効果的じゃないですか」
「何言ってんだ。ライブでエグズーダーみたいになってるワイズ妹止めたいならお前がメインでやるんだよ。
 確かに、ライブをするにはある程度の経験や技術は必要だ。だが一番重要なのは心だ。
 お前の思いの丈をそのマイクで、
 お前の言葉で、
 お前の力で、
 お前のやり方で、
 観客に伝えなきゃお前の想いは届かないだろ?」
「兄さん、この状況でよくそれだけ言えますね」
「焦ったら負けだからな。……ともかく、やりたい様にやってみろ。貸せる手は貸してやる」
「……わかりました。歌、下手でも笑わないで下さいよ」
「誰が笑うか。異世界人で血の繋がりもなければ年も上だが弟が頑張るんだ、応援しない兄はいない。
 まあこの状況、彼女と協力してグラを釘付けにするのが手っ取り早いか」
 素早く状況を判断し、貫がアドプトガンを持ちつつ前線に向かう。
「お待たせ、加勢させてもらっていいかな」
「あ、ありがとうございます……! あの、ご家族さんですか……?」
 紗菜の真怜を見る視線に貫が兄弟さ、と頷く。
「アメリアさんとグラさんも姉妹です……弟さんは家族の絆を壊されるのが許せないのですね……!」
 紗菜の言葉に貫はどうだろう、と思い、そうだね、と答えた。その言葉は多分、間違っていないと思うから。
「俺は右から行こう」
「は、はい……! じゃあ私は左から、行きます……!」
 貫が右側、グラから見て左側、紗菜が左側、グラから見て右側から距離を詰める。どちらも守りにはオルガノレウムを通した『シュガーアップ』を採用しており、両手をフリーにしつついざという時には盾として利用することで戦闘の自由度を確保していた。
「真怜は俺が守る」
 後方の真怜に対し、貫はオルガノレウムを発生させた手を床につけ、瞬く間に数十匹の蝶を造成する。それらをまとめて守りとして配置させた後、グラの注意を自分に引き続けるように動きながら射撃で牽制する。
「グラ様……! あの時グラ様が忠告してくれなかったら、今頃捕まっていました。
 今度は私がグラ様を助ける番です……! 私、グラ様に誰も殺させず、助けてみせます……!」
 貫の射撃に重ねて紗菜が射撃を行い、グラを狭い範囲に押し込める。
(グラさん。貴方はこんな事、望んでない筈です。目を覚まして下さい。
 貴方とアメリアさんは、二人でアイドルなんでしょう?)
 貫の守りを受けながら、真怜がグラへ送りたい言葉を歌にする。マイクに加えスピーカーも使い、貫と紗菜が押し込めた空間へ歌を届ければグラの挙動に変化が生じた。苦しんでいるのか落ち着いているのかは見えなかったが、少なくとも攻撃する意思は一時的にかもしれないが消え失せていた。
(聞こえているのですね。では続けて――)
 歌いながら真怜が天井にオルガノレウムを放ち、天井で星となって降り注ぐ。星は貫によって大多数がグラのいる空間へと向かい、さらにグラを無防備にさせた。
(思い出してください。たったひとりの家族であるアメリアさんのことを)
 真怜がオルガノレウムを矢の形にして、グラ目がけて真っ直ぐに放つ。矢はグラに命中し胸にはアメリアの花が咲いた。
「!!」
 直後、突然身を起こしたグラが胸の花を掴んで引き抜いてしまう。そのまま反撃を行うかと思いきや、グラは振り向いてその場を立ち去っていった――。
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