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Frag-Connect~LINE.2『展開』~

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Frag-Connect~LINE.2『展開』~
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■グラを解放に導く絆を打ち込め!(1)

「さあ、仲間の元に返してあげましょう、ククク……」
 捕らえたグラへ首輪をはめたオルガ・フールが不敵な笑みを残し、部屋を後にする。
(……今です)
 オルガの気配が十分遠くなったのを確認し、小鈴木 あえかが壁から身体を離して動き出す。あえかが離れたことで壁だったものはオルガノレウムの残滓を残して消え、あえかは部屋の中を身をかがめて慎重に進み、グラの元へたどり着く。
(あの白衣の博士風の男性がグラさんにつけた首輪……一体どのような影響をグラさんに及ぼすのでしょう)
 首輪に何が仕掛けられているかわからない以上、あえかは触れないようにしつつ先程の会話の内容を思い返す。
(まず、この装置はアダプターが特に嫌がるようなことを言っていました。アダプターはオルガノレウムを強く知覚し使いこなすことができる存在、つまりオルガノレウムに作用するもの。オルガノレウムを消耗させる装置と見るのが妥当でしょう)
 オルガはグラを消耗させ、言うことを聞かせようとした。しかしグラが抵抗を続けたので首輪をはめて従わせようとした。
(アダプターがオルガノレウムを過度に消耗すれば、本人が意図せずともオルガノレウムを周りから吸収してしまうのかもしれません。この首輪にはアダプターを狂わせる意図の込められたオルガノレウムが含まれていると考えられませんか?)
 そこまで考えたあえかは、では何故オルガはグラをひと思いに殺さず、利用しようとしたのだろうかと考える。オルガは『オルガノレウムの恩恵を受ける者すべてを抹殺する』ほどの憎しみを抱えていることは会話の中から読み取れた。エグズーダーをどの程度かはわからないが指揮することができるほどの力も持っている。
(意趣を含む復讐がしたいのか、力が足りないと考えているのか……)
 グラを殺せば、力を削げる。だがアメリアは無事であり、今後手を出すのが難しくなる可能性が高い。
(ならば、グラさんを無理矢理にでも引き入れ、まずグラさんを助けに来た街の住民たちを殺す。そして街に戻ってアメリアさんを殺す。アメリアさんとグラさんは家族ですから、一瞬でも懐に忍び寄るチャンスはあるでしょう)
 首輪はグラを自身の手駒に引き入れるためのいわば、鍵なのだろう。首輪に手出しができないあえかはどうすればいいか手がかりを得るべく、グラを起こさないように身辺を漁った。
(これは……)
 ポケットに手を入れ取り出したのは、暗赤色の宝石が取り付けられたペンダント。これはおそらくグラ自身が持ち込んだものだ。
(アメリアさんか、もしくはお母さんが贈ったものなら――)
 一縷の望みを託し、あえかはペンダントにOCMで作った装飾を施し、ポケットに戻して転がり落ちないようにする。首輪に重ねてかけたかったが首輪がセンサーの類を兼ね備えていた場合、オルガに気づかれてしまう可能性があった。
(……扉にもセンサーが仕掛けられているとみていいでしょう)
 やれることはやった、と自分に言い聞かせ、あえかは再び壁を作って潜んだ――。


 身を寄せた壁の、オルガノレウムが循環するのを感じながら優・コーデュロイルージュ・コーデュロイは互いに視線だけで頷き合い、移動を開始する。
(……ここでは襲われる未来を感じられません。黒瀬さんと連絡を取れるなら今でしょう)
 先に起こる出来事のより危険性が少ないと感じられる場所を探り当て、そこに二人身を寄せ一息つく。優とルージュはグラ同様一度は捕らえられたものの仲間の手助けもあって建物の外に出ることができた。
『アタシだ。出るのが遅れてすまない、安全そうな場所を見つけるのに手間取った』
「いえ、お気になさらないでください。私とルージュも今のところは無事です。外は少数ではありますがエグズーダーの気配を感じます、排除は可能ですが捕らわれた方の安全を考慮すれば得策ではありませんね」
『ああ、アタシも同感だ。街にここでの異変は伝わっているはずだ、必ず助けは来る。それまでにアタシらのできることをしよう。
 気になっているのはグラの様子だ。アタシは直接見たわけじゃないが首輪をはめられて良くないことになっているみたいなんだ』
「首輪ね……意のままにして操るつもりかしら?」
『どうやらそうみたいだぜ。実際に襲われたって報告はまだ上がってないが、警戒は続けてる』
「まあ……!」
 優が驚きの表情を浮かべ、ルージュが趣味が悪い、と吐き捨てる。
『アタシと心愛で、建物の中を探ってみるつもりだ。あいつはここを拠点にしていたような感じだし、探せば何か手がかりが見つかるかもしれねぇからな』
「わかりました、お気をつけて。私達も外から援護します」
『助かる! じゃあ、また後でな』
「はい」
 通話を切り、端末をしまい優はルージュと今後の方針を検討し始める――。

「さて……探ってみる、とはいったものの土地勘も無いとなれば……やっぱオルガノレウムが鍵になるかな」
 通話を切り端末を収めた黒瀬 心美は、身体を潜めていた陰から少しだけ身を乗り出し、通路の様子を確認する。視界には何も映っていないがここにオルガノレウムの動きや流れを織り交ぜれば、見えてくるものがあるはず。
「心愛、アタシがオルガノレウムの流れを見ている間、周囲の警戒を頼む」
「はい、姉さん」
 無防備になる間の介護を黒瀬 心愛に任せ、心美はオルガノレウムを意識して集中し、視線に映る世界のオルガノレウムの流れを読む。
(くっ……情報量が膨大だぜ)
 例えるならば自分が人間の内部に居て、血管の血の流れを知覚しているようなもの。循環を重ねるオルガノレウムの流れは心美の想像以上の負担を強いる。
(流れの強いところと弱いところを見ろ……!)
 情報量を意識して絞り、手がかりを得るための必要情報だけをインプットしてもう一度目を開ける。今度は先程よりも負担なく目を凝らすことができ、すると流れの強い箇所は視線の左、弱い箇所は視線の右にあるのが感じられた。
「……っ」
「姉さん!?」
 心美がふらつき、心愛が咄嗟に身体を支える。
「ああ、もう大丈夫だ。心愛もこいつを使う時は気をつけた方がいい、なんでも見ちまうと壊れるぞ。
 アタシらはこの通路を右に行く。心愛、背後の警戒を怠るなよ」
「……わかりました、覚えておきます」
 移動を開始し、心美が前、心愛が後ろを警戒しながら通路を進み右に折れ、一本道を進む。
「オルガノレウムの流れの弱い箇所……何が起きているのでしょうか」
「さあな、行ってみなきゃわからねぇ。……確かこの辺りだったはずだが……」
 たどり着いた先に何かおかしい箇所がないか、二人で探索を始める。オルガノレウムが循環する構造材がもたらすほのかな光に二人の、真剣な表情が映し出される。
「姉さん。こちらに来てもらえますか」
 心愛の心美を呼ぶ声に、素早く心美が合流する。
「どうした? 何か見つけたか?」
「はい、見つけたといえばそうなのですが……この部分が不自然な循環をしているようなのです」
 心愛が示した先、二股に分かれた循環の片方がもう片方に比べかなり細っていた。さらによく調べてみると、どうやら意図的に流れを操作されたような痕跡が見受けられた。
「オルガノレウムの流れを操作するOCM……? こいつはくせぇな」
 こんな真似ができるのは、一人くらいしか思いつかない。心美は優に連絡を取り、発見したものの内容を伝える。
「アタシらはこの、オルガノレウムの流れを操作するOCMを外して代わりのOCMをセットする。これでどんな変化が起きるか見ててくれるか」
『了解しました。お気をつけて』
 通話を切り、心愛にOCMを用いた部品を生成してもらい、心美は取り付けられていたOCMを外す。
「……よし、ここはこれでいいはずだ」
 異常が起きないのを確認してその場を離れようとした心美の端末が反応し、優の声が聞こえてきた。
『建物の一部の反応が大きく弱まりました、同時にエグズーダーの反応が増えたように思います』
「マズイな、気付かれたか?」
「裏を返せば今の仕掛けが、敵を利していたということでしょう。それを外されたので警戒を強めたと考えられます」
『私と優で外のエグズーダーは抑えてみせるわ。危なくなりそうだったら連絡するけど!』
「そうしてくれ、ピンチの時はすぐに駆けつける」

『!!!!』

 突如、内部で大きな音が生じた。爆発というほどの騒ぎではないが明らかに異常な音だった。
『何か聞こえましたよ!』
「ああ、こっちだ。確かめてくる。また後でな!」
 通話を切り、心愛に先程入手したOCMを託して、心美は音の生じた箇所へと駆ける――。
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