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Frag-Connect~LINE.2『展開』~

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Frag-Connect~LINE.2『展開』~
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■住民たちの不安を、ライブで和らげよう!(2)

 砂原 秋良の目から見ても、グラ救出作戦に使用される装甲車は十分な設備を備えているように見えた。
「ああ、後少しだ。一段落ついたらシャワー浴びてえなぁ」
「水の供給もだいぶ安定してきたよな。いや、もちろん無駄使いは厳禁だってのはわかってるぜ?」
「ただ、シャワー浴びてっと結構、ぬるくなったりしねぇ?」
「確かにそれは――!?」
 作業に従事していた住民が秋良の視線に気づき、姿勢を正す。秋良は彼らを萎縮させないよう微笑みを浮かべながら近づき、声をかける。
「畏まらないでください、ただ少々興味深い話をしていたものですから。
 よろしければ水の供給について思うところを聞かせてもらえませんか?」
 秋良の言葉に理解を得た住民は、水の供給が安定したことを感謝しつつ、問題となる点を列挙していった。水を水のまま利用する分には問題なさそうだが、温度を変えて利用する際には不安定さを感じる、まとめるとそんなところであった。
「無理なお願いだとは思うが、対策してもらえるとありがたい」
「いえ、貴重な意見をありがとうございます。ちょうどOCMも持ってきましたし、少し時間をいただければ装置をアップグレードできると思います」
 先日修復を行った装置に温度調整機能を追加するのは、手持ちのOCMで可能だろう。後は水の移動時にどれほど熱損失があるかによってはさらなる機能追加も検討する必要があるだろう。
「では、話していただいたお礼に一曲――」
 秋良がOCMをエレキギターの形にした芸器に触れ、柔らかな音を奏でる。音楽に合わせて地面から花が咲き、住民の心に潤いと彩りをもたらし、作業の合間のいい気休めとなった。


 死 雲人の手のひらの間で、オルガノレウムを通されたOCMが形を変える。最初はシンプルな形の櫛からさらにオルガノレウムを流し込むことで、髪を梳かすのに最適な形状へと変化させる。
「よし、いいだろう。いくぞ」
「はい、お願いします」
 少し緊張の見られるアメリアの背中側に回り、櫛を通す。オルガノレウムが移動していることを示す微かな光が断続的に生じていく。
「グラや住民の面倒を見ることはできても、自分の面倒は後回しにしてしまう性格のようだな」
「グラにもよく言われます……リーダーがそんなんじゃダメだって自分でもわかっているのですけど」
 雲人の操る櫛が通るたび、はねていた毛が落ち着いていく。同時にアメリアの緊張も解けていくようだった。
「……俺等が信用できないか?」
「そうではありません、ですが……頼りにさせていただく以上はこちらも相応しい振る舞いをしなければと思うと、その……」
「なるほど。言いたいことは理解する、だがまずは俺の話を聞いてほしい」
 アメリアが口を閉じ、聞く姿勢になったのを見計らって雲人が言葉を紡ぐ。
「失敗や危険が嫌なら、俺はこの場には立たん。目の前にどれほどの不利が待っていたとしても、命ある限り可能性は無限大に存在する。どれほどカッコ悪い姿を晒しても、最後に成功すればそれでいい。俺も周りの仲間も、そうしてここまでやって来た」
 周りがどう思うかも大切な意識ではあるが、それよりも大事なのは自分がどうしたいか、ということ。
「俺はアメリアのためなら命をかけられる。俺は美女を皆、愛せる男だからこそだ」
 髪を梳かし終えた雲人はアメリアの正面に回り、手に入れた香水を差し出す。
「……ありがとうございます。雲人さんはお強い方ですね」
 微笑んだアメリアが香水を受け取り、自身に使用する。使い慣れたローズの香りはアメリアを落ち着かせ、また雲人にも恍惚感をもたらした。
「俺がついててやる」
 伸ばされた手の感触を頭に受け、アメリアは少し恥ずかしそうにしつつもはい、と笑顔で頷いた。


「ライブがオルガノレウムを賑やかにすることができて、オルガノレウムを使う武器や道具の効率が上がるってことよね! 住民も励ますこともできるし、一石二鳥じゃない!
 行きましょう圭、音羽。私達のライブを住民やオルガノレウムに見てもらいましょう!」
 颯爽とステージに駆け上がっていく白波 桃葉の背中を麦倉 音羽藤崎 圭が遅れないようについていく。
「オルガノレウムにもライブを見てもらうって、よく考えたらおかしな言葉じゃないかしら」
「はは、そうだね。不思議な言葉だけど……でも、なんとなくわかる気はするんだ」
 圭が見てきた光景の中には、歌に反応して光を強くするオルガノレウムだったり、作業に従事する住民へオルガノレウムが取り込まれるように消えていったりといった、どこか生き物らしさを感じさせるものがあった。この世界の基礎をなすエネルギーであるオルガノレウムはそんな側面を持っているのだと考えると、オルガノレウムにライブを見てもらう、は決して的はずれな言葉ではない。
「オルガノレウムが喜ぶライブ、って言われてもどんなのかはまだわからないけどね」
「そうね……きっと想いを込めたものなら、喜んでくれるんじゃないかしら。
 グラさんが無事で帰ってきますように。住民の皆さんが希望を持てるように。よく想いが力になるって言うけど、まさにそういうことじゃないかしら」
 音羽の言葉に圭がなるほど、と同意の頷きを返した。それならば目指すライブを想像するのは難しいことではない。
「桃葉はいち早く、それに気づいていたのかな?」
「うーん、そこまで考えてないと思うわよ?」
 これには圭も苦笑を返さざるを得なかった。
「ちょっと、何してるの? 早く来ないと私だけでライブ、始めちゃうわよ!」
 ステージから桃葉の急かす声が聞こえてきた。音羽と圭は互いに頷き合い、ステージを駆け上がる――。

 音羽が腕を広げ、観客席に向かって腕を下ろす。心身の疲れを癒やし活力を与える香りが届けられ、住民は落ち着きを得ると同時にライブを楽しもうという気持ちを得る。
「さぁ、けだま。私と一緒に踊りましょ☆」
 オルガノレウムをエネルギーとして浮遊するドローンの発するレーザー光に触れて演奏する桃葉の周囲を、星獣けだまがかわいらしく飛び跳ねる。自身もうさぎ耳としっぽを付けてお揃いになり、一緒になって飛び跳ねながら音羽の歌に彩りを添える。
(前は桃葉とけだまに任せて、僕はそうだな……観客がテーマを、僕たちの想いを受け取れるように頑張ろう)
 ライブを通して伝えたいこと、それは『今はどんなに小さな星屑であっても、そんな皆が集まれば心を動かすことができる』ということ。
(星屑は一等星に憧れる。……僕たちは今でも未熟な星屑、だけど成長を続けていつかは一等星のような大きな輝きをもって多くの人の心を照らし出せるって信じているんだ)
 見上げた空には、わずかに星の浮かぶ夜空が映し出されていた。圭はそこにオルガノレウムを放ち、星を浮かべる。ステージの中央に桃葉とけだま、音羽が集まってセッションしながら同じく空に向けてオルガノレウムを放つと、夜空は満天の星空へと生まれ変わった。
(感動するということは、心が動いたということ。まだ諦めてない、未来を捨ててない証拠。
 あなたの、そして私の心に美しいと思う気持ちがあれば、きっと大丈夫)
(私たちはいつでも誰も見捨てない、諦めない。だから皆も諦めないで。
 グラさんを無事に助けられるように。皆が笑顔を取り戻せますように。
 さあ、笑顔の花を咲かせましょう)
 そんな二人の想いがこもった歌が、夜空に光り輝くオルガノレウムに力をもたらす。やがてゆっくりと降り注いだオルガノレウムの星は住民と戯れるようにした後消えていき、作業が続けられていた装甲車へも飛んでいくと吸い込まれるようにして取り込まれていった。装甲車が力を得ていく、そんな実感を得た住民にも自信と、笑顔が生まれる。
「世界を繋ぐ、希望の虹を私達と、皆で!」
 夜空が朝空へと変わり、桃葉と音羽が息を合わせ、虹をかける。
 『Frag-Connect』の成功をも願ったライブに、住民は大きな拍手と歓声を送って応えた――。
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