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Frag-Connect~LINE.2『展開』~

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Frag-Connect~LINE.2『展開』~
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■作戦に必要な装甲車を組み立てよう!(2)

「地震に対応するには耐震、免震、制震のバランスに考慮した組み合わせが重要なのと同じで、耐久性と速度を共に向上させるには『攻撃や空気の抵抗を受け流す』という形状を構築した上で構造的に頑丈にするのが一番だと思うんだ。具体的には――」
 集まった住民に対し、永見 博人が用意された端末に最適と思われる形状を示す。空気も『正面からの攻撃』と考えるならば正面は傾斜形状となるのは必然であり、その上に設置される装甲も傾斜を持つのは然りであった。
「エグズーダーの襲撃に対しては、音波の発射を行える装置があればいいと思うんだけど」
「それについては他からも提供があったぞ、ああ、君が持っているのを装甲とセットにしたもののようだ」
 住民の一人が、博人が持っていた四角いOCMの塊を指して言う。増加装甲の一パーツとして組み込まれる予定だというのを耳にして、博人は頭の中でひらめくものを感じた。
(なるほどね。輸送車に取り付けるものとしては十分かな。音波を拡散させながら発射することでエグズーダーを近寄らせない、とできればいいわけだから、側面と上面に……うん、こんな感じ)
 端末を操作し、描かれたのは車両の側面と上面に一直線に先程のパーツを組み込んだもの。地上と上空から襲ってくるエグズーダーに対し死角となる位置が生じないような設計とし、中の住民たちを安全に運ぶための乗り物を構成する。
(これとは別に、音波を収束させて発射する装置もあるといいよね。僕たちの知らない、強力なエグズーダーがいつ現れるともわからないんだし。間に合えば『Frag-Connect』開催計画の防衛用として使ってもらえるかもだし)
 設置型の砲台のような音波発射装置の完成を目指し、博人が設計図を描こうとしたところで、傍らにふわり、と湯気を昇らせる飲み物が置かれた。
「作業に精を出すのはいいが、集中力は持続しないものだ。適度に休憩を入れるといい」
「お義父さん。うん、ありがとう」
 永見 玲央に微笑んで、博人は飲み物に口をつけた。

「俺が見た限りではエグズーダーは倒された際、地面に染み込むようにして消えていくんだ」
「なるほど、液体のような挙動を示すわけか。私らが制作したもの、またOCMは固体であるからそこに差異があるというわけか」
 住民の一人と珈琲を口にしながら、玲央は興味本位でいくつか話題を提供していく。
「はて、OCMもいずれ消滅するのだろうか?」
「する、だったかな? いやほら、直接見たわけじゃないからさ」
 住民の話ではOCMの表面を覆っているフィルム状のものを剥がした上で地面に埋めることでやがて消えていくそうだが、一朝一夕でというわけではないらしい。そこまで聞いた玲央はどこか、なにかの関係に似ているなという感覚を得た。
(OCMはオルガノレウムでできており、アダプターはオルガノレウムを吸い上げる感覚を得る。エグズーダーもOCMでさえもやがて地面に還る……循環エネルギーとはよく言ったものだな)
 確かに循環しているが、それならば総量が一定である以上、オルガノレウムを吸い上げすぎることは世界の弱体化を引き起こすことにはならないだろうか。無から有を生み出すことはできないのだから。
(エグズーダーも不明な点が多い。彼らがオルガノレウムを吸い上げたことへの反作用として存在するのなら、オルガノレウムを利用すればするだけ強化されることになる。だがオルガノレウムを利用したシステムが構築されてしまったこの世界でオルガノレウムを手放すことは自殺に等しい。時間を掛けて対処するしかないだろうな……)
 そんなことを考えていたら、いつの間にか飲み物がすっかり冷めてしまった。
(……うむ、苦い。そろそろ仕事に戻らねばな)
 ただただ苦味だけが濃縮された珈琲を一息に飲み干し、玲央は休憩を終え仕事に復帰する。


「仲間の方も指摘していましたように、正面の形状は斜めに設置しましょう。
 私がプレイしていた戦車を操作するゲームでも、初期型は垂直だった装甲が後期型になるにつれて傾斜装甲に変わっていくんです」
「おー、やっぱりそうなんだね♪ 傾斜をつければ敵の攻撃だけじゃなくて風の抵抗も抑えられるって言ってたよね。
 じゃ、早速はじめよっか。二人ですご~い装甲車の完成を目指しちゃおう!」
 傾斜装甲とする意見で一致を見た二人、クロティア・ライハ空莉・ヴィルトールが共同作業で車体正面に装甲を設置していく。側面は元々完成していた車体に増加装甲を取り付けることで済んだが、正面は基礎から組み立て直した方が性能を落とすことなく強化を図れることがわかったため、人手が必要であった。
「できればこの装甲に、電流が流れるようにしたいわね。聞いた感じ敵は物理的に体当たりを仕掛けてくることが多いみたいだから、装甲に触れることでひるませることができたらその後の迎撃もしやすいと思うの」
 そう語ったクロティアだが、あまり全面にそのような仕掛けを施せば出力がカツカツになりそうだな、とも思っていた。装甲の追加分は対応可能とのことだが、果たしてそれだけの余剰があるのだろうかとクロティアは気にする。
「じゃあ、こんなのはどうかな? 私ね、装甲の部分塗装で被弾箇所を誘導できないかなって考えてたの」
 空莉の話した提案は、装甲の厚い部分に派手な塗装を施すことでエグズーダーの目を引き、どうしても装甲が薄くなってしまう箇所への被弾を抑えるものだった。話を聞いたクロティアは仲間の強化案も参考に、案を切り出す。
「仲間の方の七色装甲案を利用しましょう。正面の一部に空莉さんの言う派手な色の装甲を取り付ければ、敵の目はそこに向くはず。その装甲のみ触れると電気が流れるようにすれば、エンジンへの負担も最小限に抑えられるはずだわ」
「それいいね♪ 採用だっ♪ せっかくだから顔になるようにしたら楽しいかな?」
「楽しいかは、まあ……正面だから顔になってもいいとは思うけど?」
「ふふん、楽しいかどうかは大事だよ♪ よーし、私の顔造形センス、見せつけてくぅ!」
 意気揚々と正面装甲の配置に精を出す空莉にその場を任せ、クロティアはさらなる強化案としてエグズーダーを足止めできる可能性のある装備の検討に入る。
(OCMってたぶん、投射するとバッ、って広がる網、作れるわよね。それでエグズーダーを絡め取ることができたら足止めになると思うんだけど)
 手持ちの素材をやりくりすれば、網くらいなら作れそうだった。ナレッジ・ディアの分もあてがえば専用の投射機を作れそうだが設置場所の問題もある他、ナレッジにも作りたいものがありそれを優先したいとクロティアは考え、今回は近距離用の投網のみを用意することに決めた。

「マスター、ただいま戻りました!」
 クロティアが投網をいくつか製作したところで、加工場に向かっていたナレッジが帰ってきた。手提げ袋の中には使用することで身体を綺麗にすることができる日用品が入っており、別の袋にはまるで湯気を立てそうなほどにこんがりと焼かれた肉が入っていた。
「こちらは夜通し作業で頑張っている皆さんに差し入れしたくて作りました。
 マスター聞いてください、ナレッジマスターのゲーム機の音楽なしでも完璧に肉を焼けるようになりましたよ!」
「そう、よかったわね、ナレッジ」
 クロティアが微笑みを浮かべてナレッジに手を伸ばし、作業の過程で乱れたであろう髪を直してやる。
「えへへ、ありがとうございます」
 ナレッジも笑顔を見せたタイミングで、空莉の作業も終わったようで装甲車から戻ってきた。
「ナレちゃんおかえり~♪ ねえ、一緒にライブしよっ♪ 私すご~い技覚えてきたんだよ!」
「はい、ただいまです! 私は大丈夫ですけど、マスターはどうですか?」
「ええ、問題ないわ」
「それじゃ早速――いでよにゃんこ!」
 ナレッジとクロティアが頷いたのを見た空莉が掌にオルガノレウムを集めフレームを造成し、複数の猫を周囲に呼び出す。
「わぁ、かわいいです」
 生み出されたうちの一匹をナレッジが呼び寄せ、頭をよしよし、と撫でてやると猫はにゃあ、とかわいらしく鳴いて身を寄せた。
「フレームであることを思わせない猫の可動域を完全再現した『極愛にゃんこダンス』! ほらほら、みんな集まって集まって~。
 作業おつかれさま! 休息してこ?」
 空莉の声と、あちこちで好き勝手気ままに振る舞う猫に引かれて住民たちが集まってきた。
「それじゃ私は、そうね……こんなのはどうかしら」
 ゲーム機から旅立ちがテーマの曲を流し、同時にもうひとりの自分であるプライを呼び出しての二人息の合ったダンスを披露する。これは『何かを得るためには冒険も必要』という思いを込めて、きっとこれから外に出ていく必要があるはずの住民たちの背中を押すライブ。
「猫さんも一緒に、はい、歌いましょう」
 すっかり猫に懐かれてしまったナレッジが歌を口ずさみ、住民を元気にすると共に完成間近の装甲車へオルガノレウムを供給していった。
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