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Frag-Connect~LINE.2『展開』~

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Frag-Connect~LINE.2『展開』~
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■グラ救出作戦――フィフスシティ帰還

「むむむ、せっかくデコトラで凱旋といきたかったのですのに、思ったより事態は深刻ですね?
 しかも空気を読まず――いえ、定石通りのエグズーダー追撃。なるほど、敵は相当こじらせてますね」
 『ウィッシュコネクト』の上に腕組みをして立つ狛込 めじろの下では、救出メンバーが撤収準備を大急ぎで進めていた。作戦は一応の成功を見たものの、グラはアイドルたちとの交戦の結果あわや死亡というところまで行き、そして此度の事件の黒幕は未だグラを亡き者にせんとエグズーダーの集団を『ウィッシュコネクト』に差し向けてきていた。
「遊び心は大切ですが締めるところは締める。校長先生も言っていました、「家に帰るまでが遠足」。
 ……おや、あべさん? まだ車酔いから覚めていらっしゃらない? それではこれなんてどうです?」
「おおっと!? いやいやじーちゃん、もう大丈夫だ、気遣いには感謝するが勘弁してくれ」
『そうだぞ、へっくし! 我も居るということを忘れておるのではないか!?』
 慌てて妖精の粉――とめじろが呼んでいるだけで実際は胡椒――を振り払い、アウロラ・メタモルフォーゼスをユニゾンさせたアーヴェント・ゾネンウンターガングが『ウィッシュコネクト』から飛び上がる。
「じーちゃんも言っていたように事態は深刻、ライブを楽しむ状況ではないかもしれない。
 けれども、ここまで作戦を共にし、力を振り絞って作戦を全うした彼らを労い、お疲れ様、の言葉を伝えたい思いは本物だ」
 『ウィッシュコネクト』に再び火が入り、フィフスシティへ向けて走り出す。エグズーダーの集団はプラントからやって来る大規模なのがひとつに、現在確認できている限りでは小規模なのがひとつ。
「最後の大仕事、皆で無事にフィフスシティへ帰ろう! ライブスタート!」
 オルガノレウムの翼を羽ばたかせ、アーヴェントの歌が光となってエグズーダーの大規模集団を包み込んだ――。


「たとえ獣の形をしていようと、敵対していようと、わたしにとってはライブを見に来てくれたお客さんです。
 大人しく満腹になっていってもらうなら、手出しはしません。ですがウィッシュコネクトにおいたは許しませんよ!」
 『ウィッシュコネクト』上の狭いながらもライブの行えるスペースに立った納屋 タヱ子が柳刃包丁を手に、小規模であるがゆえに迅速に『ウィッシュコネクト』へ迫るエグズーダーの集団へまずは鯛やヒラメの幻影を呼び出すパフォーマンスで気を引く。このパフォーマンスだけではただ『ウィッシュコネクト』にエグズーダーの集団を引き寄せるだけで攻撃を受けやすくなってしまうが、タヱ子はドレスに散りばめられたマグロ、ウニ、イクラなどの寿司ネタを包丁で切り取ると、瞬く間に海鮮料理を完成させる。包丁は調理の残光を残し、覗き見していた住民たちも思わず見惚れる中、タヱ子は完成させた海鮮料理を口を開けて迫るエグズーダー【S】に放り込んだ。
「食べるということは生きているということ。生きているということは食べるということ。
 エグズーダーもご飯を食べる、そうでしょう?」
 タヱ子の予測が当たり、エグズーダー【S】は海鮮料理を頬張った後動きを止めた。やがて満足したのか自ら地面に染み込むようにして消えていく。
「溺れるまでもなく自ら退場するのはいい心がけですね。美味しく食べていただきありがとうございます。
 他の方もどうぞ召し上がってください」
 接近を繰り返すエグズーダーの集団に、タヱ子は次々と極上の料理を振る舞っていった。


「こんにゃろー、よくも貴重なヘソダシスト仲間を酷い目に合わせたなー! お前ら絶対に許さないのぜ!」
 今も仲間によって懸命の治療を受けているグラを守るべく、天導寺 朱も『ウィッシュコネクト』から身を乗り出してエグズーダーの迎撃を行う。
「へっへー、俺だってコツを掴んできたのぜ。こいつをくらえー!」
 上空にオルガノレウムを放ち、生じた星を引っ張るようにしてエグズーダーの集団にぶつける。通常ではただ落ちてくるだけの星が明確な意思を持って落とされることで威力を増し、空を飛んでいたエグズーダー【B】は痛打を受けて地面に叩き落された。
「おっ、一匹抜けてくるか。けど、近づいたからって油断は禁物!」
 俊敏な動きで星の落下を抜けてきたエグズーダー【W】に対し、朱はスーツの跳躍力で『ウィッシュコネクト』の上面に上がり、装甲を食い千切ろうとした【W】の攻撃をOCM2を盾にして防ぐ。
「迷惑な観客はお帰りください! なのぜ!」
 ソードをオルガノレウムが循環し、光の刃として【W】を切り裂く。空中を回って地面に叩きつけられ、そのまま転がった【W】は起き上がることなく地面に染み込むようにして消えていった。
「ふぅ、これで追ってくるものは居なくなったのぜ」
 戦闘を終え、一息ついた朱は直後、車内からグラが目覚めたという声を聞く。
「おっ! へへっ、ヘソダシスト交流を深めるのぜー♪」
 会話を楽しみにしながら、朱が車内へ戻る――。


「……こ、ここはどこだ……?」
「ここはウィッシュコネクト……アメリア様とフィフスシティの住民の皆さんがグラ様救出のために製造した装甲車です」
 見慣れない天井に戸惑うグラへ、膝を貸していた紗菜が頭を優しく撫でつつ答える。
「ふえぇ、ごめんねグラちゃん、ボクたちやり過ぎちゃったよぅ」
 涙を浮かべたシャーロットがグラに泣きつく。後方では懸命の治療をしていたアイと歌音が安らかな寝息を立てており、仲間たちに介抱されていた。
「いいぜ、あたしを助けようとしてくれたんだろ……?
 ま、胸に七つも矢を食らってたたっ斬られるなんてそうそう経験できるもんじゃねぇ。いい経験になったぜ」
「ふええぇぇぇ」
 喜びの混じった嗚咽をもらすシャーロットの頭をグラがよしよし、と撫でてやる。
「しっかし、結局出てきやがらなかったな、黒幕」
「あれだけあたしが身を張ったのに興味なしなんて、アイドルとして自信無くすわ……ううん、こんなことでめげちゃダメよ!」
「スズラン……まあ、イキロ。あそこでホイホイ出てくるやつにボスは張れねぇよ」
 決死の行動であったものの成果を得られずしょげる鈴蘭をアレクスが労う。
「オルガ……てめぇはどうしてそこまでアダプターを憎んでやがる……?」
 考えても仕方ないこととは分かっているが、オルガの憎しみを目の当たりにしたグラはそう呟かざるを得なかった――。

『さあさあ皆様お待ちかね、ここからは辛気臭い雰囲気にサヨナラしてもらって。
 今日の主役が起きたところでお疲れさまライブの開幕です!』

 パチン、とめじろが合図をすれば、『ウィッシュコネクト』に装着されていた装甲が七色に煌めき出す。そして『ウィッシュコネクト』の周囲にはチョコレートの包みが括り付けられたハート型の風船が浮かび、なおも追いすがろうとしていたエグズーダーの集団には爆弾のついた風船が飛び、やがて後方で大きな爆発が生じた。
『派手にやりおるのう。よくもまああのタイミングで切り込める』
「それがじーちゃんのスキルってやつさ。さ、自分たちも盛り上げていくぞ。
 お疲れムードで帰るよりかは、ライブを楽しんでもらいたいからな」
 アーヴェントが自分を囲むように数十もの落雷を連続で起こす。星を降らせるのと似ているがこちらはより鋭く、より強烈に見る者のテンションを上げる効果を示した。アーヴェントとアウロラ、めじろがライブをすることでオルガノレウムが生成され、それは『ウィッシュコネクト』と共にするアイドルや住民たちを元気づけた。
「やっぱりデコトラなんですよ、デコトラしか勝たんのです!」
 めじろが生み出した数羽のタカに命じて、『ウィッシュコネクト』の外周をさらに絢爛にデコっていく。そしてそのデコった外周にドローンのレーザーを張り巡らせ、自由に移動できるようにしたらめじろのアクロバティックなパフォーマンスライブの開幕である。
「自分たちも混ざろう、数は多い方が良い!」
 放出されたオルガノレウムが反響し合い、『ウィッシュコネクト』の周りにはたくさんのアーヴェントとアウロラの分身たちが散らばってレーザー光の上を飛び跳ねた。『ウィッシュコネクト』の上空でめじろと合流しハイタッチを交わした後は、めじろがデコった装飾物をオルガノレウムを循環させることで大きくし、まるでそれ自体がひとつの楽器であるかのように様々な音色を鳴らし始める。

「見よ、このオルガノレウムの輝き溢れるマッスルを! アイ・アム・サンシャイン!!」
 祭りかと見紛う盛り上がりの中、紫月 幸人が早速フラグランドで編み出した自慢の一発芸を披露する。オルガノレウムを活性化させることで向上する身体能力を見た目に全振りし、体外にオルガノレウムを放つことで自身をカラフルに彩りおまけに背中に羽まで生やしてしまったもので、幸人本人としてはツッコミ待ちの芸でもあったのだが状況が状況だけに、好意的に受け止められてしまった。
「あ、あれ? いやあ、ツッコミがないと満足しない身体になってしまったぞ?
 まあいいでしょう、今は無事作戦を終えられたことを喜ぶのみ! さあさあ美味しいお酒で乾杯しましょう!」
 幸人が持ち込んだ、神格持ちだろうと酔い潰せるほど美味いをコンセプトとした日本酒が振る舞われる。
「さあさあグラちゃんも一杯どうぞ。大丈夫、未成年だと酒じゃない仕様になるから飲ませても犯罪にならない、実に都合のいいお酒だから!」
「へえ、じゃあまあ一杯……おっ、ほんとだ。甘くて美味いジュースになったぜ」
 訝しみつつも口にしたグラは、幸人が言った通り酒ではなくジュースになったのを感心した様子だった。この結果によりグラが未成年である――なおアメリアは成人している――ことがバレてしまったのだが、まあ、些細な問題だろう。


 賑やかな一台の装甲車、いや、合奏車とも呼ぶべきか。
 作戦を完遂した『ウィッシュコネクト』はフィフスシティの直前まで楽しげな音楽を奏で続けたのだった――。
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