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Frag-Connect~LINE.2『展開』~

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Frag-Connect~LINE.2『展開』~
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■絆を広げ、グラを解放せよ!(2)

「グラを誘拐したかと思えば、首輪で操りアダプターの抹殺を強要する……まったく、ふざけた真似をしてくれる」
 ウィリアム・ヘルツハフトが顔を歪めながら、グラの銃撃を防ぐための盾を造成する。ただ盾を作るだけでは破壊されることが想定されたため、オルガノレウムの循環率を上げて強固なものとする。
「己の意思に反して戦わされるなど業腹だろう。何としても救い出してやらねば。
 君にも働いてもらうぞ。攻撃を受け止め、仲間を守ってくれ」
 『シュガーアップ』にオルガノレウムを循環させ、仲間をグラの攻撃から守る盾として機能させる。
「救出対象であるグラ自身が敵として立ちはだかる……状況は悪い、だが対策はある。
 剣堂さんの声を皆も聞いただろう、彼女は首輪をはめられ、意思を縛られているという話だ」
「グラさんのオルガノレウムを消耗させることで、首輪を解放させることができるみたいです!
 わたしたちの手で、なんとしてもグラさんを助け出すですよ!」
 草薙 大和草薙 コロナがグラを助け出す意思を露わにする。
「わたしも全力全開で頑張るよ! みんな、援護は任せて!」
 虹村 歌音がメンバーの回復役として後衛に位置し、ウィリアムが大和、コロナ二名の前衛組を飛び込ませるための陽動役として立ち回る。
「グラに銃を使わせるわけにはいかないな」
 支援を担い、防御力に劣る後衛を狙い撃たれれば、メンバーの継戦力が失われる。何よりグラに、味方であったはずの者を傷つけたという負い目を作りかねない。
「多少強引にでも、押し込む!」
 剣を懐に収め、オルガノレウムの循環を活発にさせた盾を両手で支え、ウィリアムが強引に距離を詰める。一発、貫通の力を付与された弾丸が盾に弾かれ、続けて数発の弾丸が盾に弾かれる。
「……っ!」
 被弾こそしなかったもののウィリアムの体勢が崩れ、足から地面に倒れた。盾から覗くウィリアムの身体に弾丸を撃ち込もうとする直前、瞬間加速を繰り出し大和とコロナがグラを攻撃範囲に収めた。
「捉えたぞ!」
「逃しませんよ!」
 初撃はグラが地面を転がって避けるも、反撃を行う前に大和とコロナが即座に距離を詰める。こうなるとガンでは対抗が難しいと悟ったのか、片手にソードを持ち替え、もう片方の手には破片として転がっていたOCMを即席の盾として利用し、二人を迎撃する。
「手を抜いていい相手じゃないことはわかっている。本気で行くぞ……!」
 大和が強く踏み込み、まずは振りの小さい攻撃で防御を誘う。盾で防がれるのは想定済みで、軽く当たるように力を調整し素早く剣を引き次の行動に対処できるようにする。
(君を倒すつもりなら、別の戦法を取っただろう)
 グラの反撃を余裕を持たせた弾きでいなし、踏み込みを強める。掲げられた盾にこれまた剣をすぐに自身に戻せるようにして振るう。
(だが、そんなことはしない。僕達は君を助けに来たんだ)
 半歩下がり、グラが踏み込まなければ剣が届かない位置をキープしつつ剣を構える。少しでも怖気づいたならこの距離でさえ踏み込むのをためらうのだが、グラは気にせず半歩を詰め剣を突き出してきた。大和は自らの剣を切っ先に当てて軌道を逸らし回避するも紙一重といったところで、心の片隅に倒してしまいたい衝動が生まれるのを実感する。
「戦っているのは大和さんだけじゃありませんよ!」
 二歩、大きめに下がったタイミングでコロナがカバーに入り、拳大の大きさのOCMが投擲される。直前でグラが盾をかざし、弾けたOCMは盾に当たって破片となって周囲に散らばった。その間にコロナは加速からの踏み込みで距離を詰め剣の間合いに飛び込み、素早い連撃でグラに攻撃の機会を与えず防御を強いる。
(大和さんと一緒に戦場に出てきたからわかる、倒さずに戦うのは倒す以上に難しい)
 例えるならばじゃんけんで意図的にあいこを続けるようなもの、戦闘が長引けば集中力も衰え、判断にも迷いが生じる。倒さず戦闘を続行するのは『倒す』と『倒さず逃げる』の中間をキープし続けることと同義、そのバランスの天秤が崩れればつい倒してしまったり逃げてしまったりするものだ。
(けど、それをやり遂げてきたからこそ、今のわたしたちが在る!)
 こういった機会は今までに何度だってあった。辛かったがその時の経験は確実に、自分の糧になっている。
(経験の差ってものを、教えてあげますよ!)
 攻撃をあえて止め、グラにとって飛び込むチャンスを作る。狙い通り踏み込んで来たグラの頭上から星を降らせて意図をくじき、再び攻勢に出ることで盤面を有利に展開していく。

「流石、近接戦では草薙夫妻の連携が上だな。……歌音、もう大丈夫だ」
 大和とコロナの戦いぶりを称賛しつつ、ウィリアムが治療を続けていた歌音に頷く。
「今は互角でもいつか機会が来る、その時に切り札を切れるよう備えるぞ」
「はい!」
 ウィリアムが前線に復帰するのを見送り、歌音は決着の時まで誰一人として倒れさせない、という強い意思を胸に秘めた。


 ガンを構えたグラの発射した弾丸が、OCM2をベースに造成された遮蔽物をもへこませる。その後ろに隠れて攻撃の機会を伺う風花は、直撃を受けたらひとたまりもないと肝を冷やした。
「迂闊に頭も出せないわね……グラちゃんに言いように攻撃されてるわ」
 風花の持つアドプトガンは機関銃、一発の威力は低めの弾丸を高速発射するタイプであり、直接敵を仕留めるよりは制圧、攻撃機会を失わせるのに適した銃である。対するグラのアドプトガンは今の所、アサルトライフルとスナイパーライフルの間の子といったところで、一発の威力が高く速度はそこそこといった具合であり、当たれば大きなダメージを負わせられるが攻撃機会を得るのが難しく、普通なら風花が有利に立てる場面なのだが、実際は一方的にグラが攻撃の機会を得ていた。
「首輪の力が働いているのかしら……けど、この程度で諦める私達じゃない!」
 今は堪える局面だと悟った風花は、遮蔽物が破壊されないようオルガノレウムを循環させて修復を試み、少しでも自分に攻撃が集中するように努める。そうすることで同じく戦っている仲間が動きやすくなることを信じて――。

「グラさんを傷つけたくない、けど……みんなが傷つくのもイヤなの!」
 攻撃を続けるグラにリーニャがアドプトガンを構え、弾丸を発射する。数発の弾丸がグラの周囲の遮蔽物に当たって弾け、攻撃されていると悟ったグラは身を潜め、その間に攻撃を受けていた仲間は体勢を整えることができた。
「リー姉、アドプトガンをこっちに。雷撃の範囲を広げればグラ……さんの動きを妨害できるはずだ」
 ミーニャがリーニャを手招きし、リーニャが自身のアドプトガンを渡す。ミーニャの身体を循環したオルガノレウムがアドプトガンにも循環し、それまでとは異なる光を放ち始めた。
「これでよし。シュガーアップに行かせる、リー姉は撃てるだけ撃ってくれ」
「ミーニャ、ありがとなの! じゃあ私のも使って!」
 ミーニャからアドプトガンを受け取ったリーニャが変わりに、自分の分の『シュガーアップ』を渡す。
「二つでデュエット、面白いと思うの!」
「いや難しいこと言うねリー姉!? それに守りの手を失うのはまずくないか?」
「ミーニャが守ってくれるって信じてるの」
 真っ直ぐに言われてミーニャは次の言葉を紡げなくなる。
(そんな目で見つめられたらやるしかないじゃないか)
 心の内でため息を吐きつつ、頼られることを悪くないと感じつつ、ミーニャがそれぞれの『シュガーアップ』にオルガノレウムを通して動かせるようにした後、遮蔽物の陰から飛び出させる。二体が並走しながら付かず離れずの距離を保ってグラへと迫り、注意を削ぐように動く。
(こいつらを狙ってくれたらリー姉の攻撃チャンスだ、けどなんか後味悪いな……)
 全力で回避させなければとある種の使命感を胸に、ミーニャはシュガーアップの操作に専念する。だがそんな奮闘虚しく、グラは全力で『シュガーアップ』にアドプトガンを振り向けると弾丸をばらまき、二体とも転がしてしまった。
(ああっ、容赦ないぞちくしょう……けどこれで――)
 やられてしまったことを悔しがりつつ、ミーニャはリーニャの攻撃に期待する。
「今がチャンスなの! びりびりーって痺れちゃえなの!」
 身を乗り出したリーニャが、効果範囲の広げられた雷撃を伴う弾丸を発射する。直撃こそしなかったものの至近弾となった雷撃を浴びたのだろうか、遮蔽物に身を潜めたグラはしばらく出てこれなくなった。


「行くよ、グラちゃん! 痛くしないよ、ボクたちが絶対に助けてあげる!」
 シャーロットとグラの弾丸が互いを撃ち抜き、即座に回復を受ける。一方のグラは傷もなく次の行動に移る――かと思われたが、ガンを振り上げようとして思った場所に構えることができなくなっていた。
「ここまでよく戦った、けれど流石に体力の限界! アレクちゃん!」
『おうよ! グラ、ちっとだけ我慢してろ、すぐ終わっからな!』
 ガンをその場に捨て、ソードで迎撃しようとするグラへシャーロットと、アレクスの幻が左右から同時に攻撃を仕掛ける。シャーロットの攻撃でソードを、アレクスの攻撃で盾を吹き飛ばされ、壁まで押し込まれると四肢を氷漬けにされて身動きを封じられる。
「みんな今だよ、フラワーアローをグラちゃんに!」
 歌音の指示で、まだ力を残していた仲間が一斉にオルガノレウムを矢の形にしてグラへ放つ。ここに来るまでに一発、矢を受けていたのだがここでさらに六発の矢が突き刺さり、流石の猛威を振るっていたグラも力尽きてその場にぐったりとした。
「グラちゃん、実はすごくライブが得意だってアメリアちゃんに聞いたよ。それにアニメ好きなところとか、思ってたより可愛いなって♪
 これが終わったらフレンズになって、一緒にライブしたいな。……じゃあ、行くよ。
 グラちゃんの呪縛を断ち切れ! ブレイブワンの如く!」
 天を貫くビーム状のブレードを『ヴィクトリーソード』に付与し、首輪に向けて叩きつけるように振るう。
 ――しかしここで、目を疑うような事態が起こった。
「あっ!?」
 誰かが声を発した直後、首輪が自ら外れて宙へと打ち出されるように飛んでいったのだ。首輪の効力を失わせるはずだった攻撃はグラを断ち――そう見えただけで実際は斬っていない――、しかし元凶の首輪は戦場から遠ざかるように飛び去ろうとする――。

「あなたの思い通りにはさせません!
 私の想いの乗った一撃――受けなさい!」

 だがその前に、加速からの跳躍で首輪に追いついた楓の、想いを乗せた一撃必殺の攻撃が首輪を捉える。
 首輪にヒビが入ったかと思うと粉々に砕け、空に一瞬の煌めきを残して消えていった。


(何だ、この感覚……あたしは死んじまうのか……?)
 何もかもが混ざり合って溶けて吸い込まれていく、そんな感覚にグラは包まれようとしていた。
(嫌だ……まだ何も始まっちゃいねぇんだ……こっからじゃねぇか……)
 別世界からやって来たアイドルと共に戦い、気の合う仲間もできそうだったのに――何より自分が死ねば姉が――アメリアが悲しむ。自分のせいで誰かが悲しむのは……嫌だ。
(ん……?)
 ふと、ポケットの辺りに熱のようなものを感じ、意識を向ける。
(ペンダント……あぁ、母さんの……)
 力を振り絞ってペンダントに触れれば、熱が――オルガノレウムが全身へと駆け巡っていく。
(ありがとう、母さん……)
 自分を溶かしていく感覚は、いつの間にか消えていた。グラは自分を助けてくれた母に感謝の言葉を伝え、浮き上がるような感覚に身を委ねた――。
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