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ヒロイックソングス!

流れ行く世界の中心で

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第三幕


イタズラ天使


 キラキラと舞う氷片が未だ僅かにステージに残る中、ヒーローの次に人々の前に姿を現したのは――

「空から落ちて来た天使系アイドルのリーニャ!
 初めましてさんは名前だけでも覚えてって欲しいの!」

 リーニャ・クラフレットは天真爛漫に観客席へと手を振ると、
 小柄な体躯と対照的な大きな旗型の指揮器を大胆にはためかせてマーチングバンドの姿をしたアンサンブルを呼ぶ。
 エタニティシャインで会場を光と期待感で包み込みながらリーニャが口遊んだ曲は、彼女にとってとても思い入れのある曲だった。

 大事な人が自分のことを考えて書いてくれた曲、きっと一番自分らしさを出せる特別な曲。
 この曲があるからこそ、今日のリーニャには迷いも不安も無かった。

「イタズラ天使は今日も行く 笑顔を配りに空を飛ぶ」

 可愛らしい曲調が会場を盛り上げる中、リーニャは輝く足場を楽しげに昇っては無邪気に歌いながら宙を歩いていく。
 まるで天使の散歩のような光景に、魂の写したちも表情が和らぎ彼女の足取りを目で追っていった。

「それでも人を見つけると 隙間に浮かぶイタズラ心」

 ――「わっ!」っと脅かしサプライズ。
 歌詞に合わせてリーニャが自分と同じほどの背丈の子供を驚かすと、皆が一瞬驚くもののすぐ笑顔が満ちて行く。

「はっ!っと気づけばこみ上げる オモシロ素敵なこのキモチ」

 リーニャがふと空を指差し雪が降ってきたかと思えば、次の瞬間それは突然ルミマル並みの光を放ち観客の目を眩ませた。
 それは本人も流石に予想外だったようでリーニャは少しわたわたと慌てるが、
 笑いながら観客とハイタッチをしてそんな失敗も楽しさで上書きしていく。

「さあ! 良ければみんなも歌ってくれると嬉しいの!」

 リーニャと一緒に観客席へと空を行進していくアンサンブル。
 いつしか、彼女達に合わせて観客達も楽しそうに口を開き愛らしいメロディを口遊んでいた。

「仲良く楽しく愉快なイタズラ 気づけばみんないい笑顔」

 空から降るのは今度は淡く光る粉雪だった。盛り上がりにつれ輝きを増したエタニティシャインと合わさり、
 皆とハイタッチを交わしていく無邪気な天使のライブは笑顔と光で満ち溢れていた。

「イタズラハートもまた天使」

 アンサンブルと共にステージに戻ったリーニャへ、惜しみない拍手が送られた。


■ ■ ■


歩み


 会場から拍手が止み、次のステージを待ち望む観客の前に大きな闇が現れた。
 いや、現れたというよりもこのステージを包みこんだといった方が正しい。
 そしてその中心には剣堂 愛菜が佇んでいる。
 
 先ほどのshowとは打って変わって、緊迫した空気が走る。
 静かに、けれども熱く燃える瞳を有した剣堂を、観客は見つめている。
 
「この世界には多くの闇や混乱があった。
 でもあたし達アイドルはそんな困難に立ち向かい解決してきた」
 
 闇の中で聞こえる言葉は、まるで耳元で囁かれているかのように、魂の写しへ伝わる。
 
 一歩ずつ前へ踏みでる剣堂は、ステージの外側へも歩み行き、
 蹂躙するダークロードの足場は、彼女の望む方向に彼女をエスコートする。
 GMWのきらめきが闇の中に零れ落ち、剣堂の脚を、姿を、より幻想的に彩っていく。
 
「あたしはまだまだ多くの人に会ってみたい。
 あたしはみんなのお陰でここまで立ち向かえて来たから……もっと繋がっていたい……」
 
 言葉と共に、剣堂の思いがあふれ出る。
 
 病気の為に大きな声が出せないという、致命的ともいえるハンデを負ったアイドル――剣堂 愛菜。
 しかし、彼女はアイドルになったことに後悔などしていない。
 ライブを通じて出会った多くのファンやライバル……それらをなかったことになんてできない。
 誰かの推しになりたい。彼女は他人が洗い流せる程簡単な気持ちで「アイドル」をやってはいないのだ。
 
 観客の上を歩きながら、テイクアハンドの動作で、
 一つ一つ、一人一人の魂に話しかけるように言葉を語る剣堂に、近くの写したちが彼女に共鳴するよう手を伸ばした。
 それは剣堂の思いに対する、観客からの答えのように見えた。
 
 再びステージに戻った剣堂は、ファーストスターを頭上に掲げる。
 宝石から浮かび上がった小さな光球は、上へ上へと上昇し、ひと際美しく燦然とこの闇を照らした。
 
「さあ、探しに行こうよ。まだ見たこともない綺麗な輝きを放つステージへ」

 言葉と同時に、シューティングスターの七つ星のような光が観客席へ降り注ぐ。
 その光が魂の写しに触れれば、小さな光の粒に砕け、四方へ飛んでいった。
 
 彼女の心がやりたいことを、仮にこれが最後だとしても悔いはないと、やりきった剣堂。
 会場にふわふわと浮かぶ光の粒は、まるで観客一人一人に寄り添うように浮遊する。
 
 観客は嬉しそうに、楽しそうに光の粒に触れ、剣堂に声援を送る。
 そうしてその光は、剣堂がステージを降りた後も、彼女のアイドルの道のようにいつまでも光り続けていた。

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