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方舟の行方5


「さぁて、死にたい子以外は逃げ出したかしら?」

 軽口を叩きながらアンラが方舟の被害が及びそうな範囲に未だ逃げそびれている一般人がいないかを見て回っていた。
 二ノ宮 初花など避難誘導を請け負ったアイドル達のおかげで、幸いそういった人は見受けられない。
 
 アンラは先ほどの軽口とは打って変わり、神妙な面持ちで方舟を見上げる。
 ――と、その時。
 
「るるちゃん大丈夫?」
「うーん、ここが限界かも……」

 アンラは方舟よりやや後方の地上で、小型艇のような形の乗り物をアライブクリエイトで作り出している
 ルルティーナ・アウスレーゼと、それを見守る美空 蒼たちを発見した。
 ルルティーナは4人乗りの艇を作り、それをフルフィルで固定するまでは成功していたが、
 そこに至るまでに時間と気力をかなり消費していた。
 それに加え、サーキュレイトⅡでその艇を飛ばすつもりだったが、現時点で数センチ浮かすのがやっとで、
 4人乗せて方舟に接近することは到底不可能だった。

「どうしたの、大丈夫かしら?」

 アンラの言葉に美空と人見 三美伏見 珠樹が振り返る。
 美空がアンラに状況と計画を話すと、アンラは少し考えた後、ルルティーナの作り出した小型艇に手をかざした。
 掌から黒々とした靄が生み出されたかと思うと、それは薄い膜の様に小型艇を覆う。
 
「これでしばらくの間は飛行できると思うわ。
 空気中のノイズを吸って進行方向もある程度制御できる。
 でも長続きはしないわ。他にやらなきゃいけないことがあるし、私も今回の件で消耗しているのよ」
 
 4人はアンラにお辞儀をすると、ひらひらと手を振りながらアンラはその場を後にする。
 
「なんとかなったことですし!
 蒼さん、三美さん、珠樹さん! 覚悟、決めてくださいね♪」

 ルルティーナは仕切り直して手を打つと、3人に向かって言う。
 黒いオーラを纏った小型艇にOCMガードをかけ、その強度をアップさせると、船尾に乗り込んだ。
 次に美空が船首の方に座り、2人の間を埋める様に、人見と伏見が乗り込む。
 
「覚悟はとっくに出来てるよっ☆ミ
 わたしが、きっちり破壊して見せるから!」
「みなさんの助けとなる為、私の力を尽くしましょう」
「ノアを止める為には、まずは方舟を堕とさなくては。その為に出来る事を成しましょう」

 全員が艇に乗り込み、互いの想いと成すべきことを確認し合うと、
 ルルティーナが屈託のない笑顔で、がんばろーね! とハイタッチの手をあげる。
 が、あ! と声をあげると、再び屈託のない笑顔で言い放つ。
 
「わたし、艇の操作に集中するので、もし攻撃が来たら護ってくださいね?
 もし、集中が切れるとたぶん、地上へ真っ逆さま♪ です♪ えへ☆ミ」
 
 行き場のなくなった手をあげたまま、ルルティーナ以外の3人が彼女を見つめる。
 しかしそれも仲間を信頼したうえでの発言だ。
 ルルティーナは天高く指差して、方舟に目標を合わせる。
 
「それじゃあ、行っきますよ~! スカイメイデン、いざ大空へー♪」
 
 言葉と一緒にふわっと浮いたスカイメイデンは、ぐんぐんと方舟に接近し、その動力部分を目指す。
 
(みみちゃんとるるちゃんとたまきちゃん!
 神州から一緒にいるお友達たちと一緒なら、きっと出来る!)

 船首側に座る美空は、特大の一撃で方舟を沈める役割だ。
 その為に、集中して力を溜めている。

 そんな彼女らの盾となり、這い寄る水龍を討つのは人見と伏見の役割だ。
 先行く方舟に徐々に距離を詰めていくスカイメンデンの前に、何匹かの龍が警戒感を露わに近寄ってくる。
 その顔は既に臨戦態勢で、水で出来た鋭い牙を剥きながら突進するように加速してきた。
 
「きゃーっ! 水竜も、早く何とか、して頂けると、助かり、ますっ!
 わたしが言っておいてなんですが、これ、大変です~~!!」
 
 向かい来る龍に、船尾のルルティーナが悲鳴を上げる。
 スカイメイデンの制御にはかなりの力がいるようだった。
 
 ルルティーナの叫びを背に、人見は星獣:りんぞうをスターフォール・ポテンシャルで飛行させると、
 その上に乗り、パレードマートフラッグを振る。
 現れたアンサンブルはスカイメイデンの前に整列し、光の壁を形成。
 勢いよく飛び出た水龍はその壁に激突、水飛沫が壁を濡らして忌々し気に睨んだ。
 
 その間に人見はりんぞうと共に龍と距離を取る。
 攻撃されれば消えてしまうりんぞうを守るためと、万一攻撃を受けて落下しても着地できるような建物の付近に寄るためだ。
 そして龍がスカイメイデンを再び襲わないよう、神格のカリスマでその意識と視線を引き付ける。
 龍はぐるりと回って甲高く不快な鳴き声を上げると、人見に猛進してきた。
 
 これでスカイメイデンから龍を引き離すことはできた。
 人見は光の壁を解除し、八百万の重奏でアンサンブルを攻撃に転じる。
 一斉に龍を迎え撃ったアンサンブルは当たる共に消えていくが、数の優位で龍をその場に押し留める。
 この隙にと、人見はフェイトスターシュートを展開。アバターの力でそれを龍の体に集中させる。
 空から大量の星のつぶてが、アバターの力によって目的の龍だけに降り注ぎ、無数の星が龍の体を貫通していく。
 
 一方で、伏見は蹂躙するダークロードで空を奔る。
 人見とは別の龍に相対し、伏見も神格のカリスマでスカイメイデンや、
 それに乗る仲間から龍の意識を逸らせる。

 龍は蛇が得物を狙うようにゆっくり距離をはかり、
 それに相対する伏見は大神剣イクタチを構えて牽制した。
 
 しばしのにらみ合いが続いた後、先に仕掛けたのは伏見だった。
 ノイズの足場を駆け、剣戟乱舞で斬りかかる。
 龍はまるで地面があるかのように前脚で空を踏むと、大口を開けて伏見の剣を受け止めた。
 
 それでも伏見は防御を顧みず大振りの攻撃を絶え間なく、踊るように繰り出していく。
 それを防御、転じて攻撃するように、龍は噛みつきや脚を振り上げた鋭い爪で伏見に迫るが、
 踏む度に加速していくダークロードでそれらを回避していく。
 
 伏見と水龍の攻防が幾度か続いた時、龍が伏見を振り払うように首を振るった。
 咄嗟にイクタチで伏見は身を庇うが、勢い負けし弾き飛ばされる。
 なんとか受け身を取って前を見ると、龍は口を大きく開け、その中央には凍える空気が集約されている最中だった。
 
 伏見はその隙に体勢を立て直し、神威カグツチの力を解放する。
 炎の巨人をその身に宿し、渦巻くような炎のオーラをイクタチが纏う。
 
 龍が波動を放ったのと、伏見がイクタチの一閃を放ったのは同時だった。
 互いの一撃がぶつかり、空気が振動した。
 
 勝ったのはイクタチの一閃。
 凍てつく波動を切り裂いた剣筋は、その軌跡に火の粉を残し、勢いのまま龍の体を両断した。
 
 悲鳴のような高い声が短く上がり、龍はそのまま炎に呑まれていく。
 人見が相手取っていた龍も、星のつぶてにその身を崩し、ただの水となって落下した。
 
 二人の活躍でスカイメイデンを邪魔するものはなくなった。
 人見と伏見の尽力はあったが、逸れて飛んでくる龍からの攻撃を躱すことに必死になっていたルルティーナは、
 美空の様子を伺いつつ、次は動力付近へ近づけるよう艇を操る。

「蒼さーん!
 攻撃の、準備、出来たら、言って、くださいねっ!
 艇を、動力部に、寄せます、からっ!」
 
 グワングワンと揺れていたスカイメンデンはようやく水平走行となり、
 方舟の船底、動力装置の付近へ舵を切る。
 
(頼りになるよーーっ! さっすがみみちゃん! たまきちゃん!
 そしてわたしはー……全力全開全霊で特大の一撃を方舟の動力装置に叩き込む役!)
 
「準備オッケー!
 るるちゃん! とっかーーーんっ!!」
「りょーかいっ! 全速前進ーー!」

 美空の合図にルルティーナの吶喊が響く。
 よりスピードを上げたスカイメイデンが、方舟の船底に急進すると、
 美空がサラマンダーフォシルで恐竜型ロボになり舟に向かってダイブする。
 
「ギャオー!
 ガナシガリバー必殺モード!」
 
 舟に向かいながらガナシガリバーの柄を引き、レーザーブレードを展開した必殺形態すると、
 今まで溜めに溜めた力を解放し、維新の乱撃を繰り出した。
 
「雷は水を伝い! 焔が水を蒸発する!
 
 一撃!
 必殺!
 ガナシィー!
 カリバァー!!
 
 アタァーーーーック!!!」

 炎と雷が交錯する特大の一撃が方舟を襲う。
 攻撃の反動で美空が成すすべなく落下していくのを、ルルティーナがUターンしてキャッチする。
 
 美空の一撃は大きな爆発音と一緒に舟を揺らした。
 炎と雷が水のコーティグ上を走り、亀裂が出来る様に水の膜に大きなひび割れを作った。
 
 ――が、その攻撃が通ったのはそこまでだった。
 水のコーティング、取り分け動力部分に近い船底のそれはかなり厚く、強固にできていた。
 それでも盾となる龍を退け、無手の舟に力を集中させた一撃を放ったことで、ここまで傷をつけることができたのだ。
 
 コーティングはその切れ目を中心に細かくヒビが入り、そこから漏れ出る様に水が落ちてきている。
 傷を治すように水がぐるぐると流動するが、仮に修復できたとしても動力部分を守るコーティングはかなり薄くなる。
 それに美空の入れた抉るような亀裂はそう簡単に修復できないだろう。
 
 なんとかアンラの力が及ぶ時間内にかなりのダメージを与えることに成功した4人。
 舟の墜落は叶わなかったが、成せることはしたと、動かなくなったスカイメンデンと共に地上に着地した。
 
「神様出てきてくれなかったねえ」
「空飛ぶ天岩戸? ですか?」
「しかし、他のアイドルの助けにはなったはずです」
「ええ。あとは皆様に託しましょう」
 
 4人は方舟の行方を後のアイドルに託し、その行く末を見守る――。




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