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猛者の集う場所

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・救出開幕

「……よりにもよってこの人とペアを組むことになるなんて……」
 そうぼやいた八上 ひかりは椚 狂介へと目配せする。
「市民と共に囚われてきたはいいが、どうしてなのだか連中、まともな拘束をしようともしない。……これは妙だな」
「妙なのはこの状況よ。……ミュータントの数は……この地下牢には多くないみたい」
 一応監視の眼はあるものの、それは確実に逃がさないようにしている、と言うような徹底ぶりではない。
 どこか――この状況はまだ前哨戦に過ぎないとでも言うような布陣である。
「見ていない隙をついて地下牢から一足早く出て、他のセイヴァーズの助けになるように動かないと……。幸いにしてあたしならさほど扉を開くのは難しくないし……」
「では、とっとと動くとするか。ここで歩みを止めていても致し方ない」
 それは相手の言う通りであるが、何となく承服はしづらい。
「……分かった。ひとまず地下牢から出て、すぐにでも合流できるように、地下牢の数を押さえておかないと。それと、あたしたちだけでも救出できる市民も居るはず。……ペアがこれだけれど」
「おいおい、贅沢言うなよ。何ならこの状況そのものが不可解だろう? 不可解なことは解き明かさないことには」
「セイヴァーズの名が廃る、か」
 言葉尻を引き継ぎ、ひかりは地下牢の扉を開いていた。
 ミュータントの注意は今のところ引かれていないが、いつどのミュータントが気づいてもおかしくはない。
 それほどに相手の陣形自体はそこそこの盤石さを誇っている。
「……こっちが動けば相手は勘付く」
「それも込みで、だろう。信じるしかないさ。他のセイヴァーズの手腕を」

高橋 蕃茄は閉じ込められた自身の周囲を見渡し、ミュータントたちの視線を読んでいた。
 ミュータントの注意はさほどではあるが、暗証番号付きの扉が厄介だと判じた彼は敵の視線が逸れた隙をついてサッと変身を果たす。
 他の市民が驚愕に声を上げようとしたのを人差し指を唇の前に立てて制する。
「声を出さないでくれ。見張りにバレる」
 地下牢からほど近い個所に一体、ミュータントが屹立している。射程は充分か、と判じた蕃茄は声を張っていた。
「ちょっと来てください! 大変なんです!」
 自分の声にミュータントは牢を開け、胡乱そうに歩み寄ってくる。
 その身体が至近に迫った瞬間、ブレイブアタック「ペネトレイションインパクト」を発揮していた。
 外側からの衝撃で内臓を的確に破壊する暗殺拳である。
 一撃で内蔵を潰され、僅かにかっ血したミュータントがその場に膝を折ったのを確認し、蕃茄は引き寄せて適当な布を見繕い、猿轡を噛ませる。
「まずは一体。さて、こいつの持ち物は……、通信機にこの地下牢の鍵か。市民のみんな、私はセイヴァーズの一員。不安が残るとは思うが、ここに少しの間、残っていて欲しい。私は見張りのミュータントを一体ずつ潰していく。必ず諸君らの脱出の好機は作る。これは必ず、だ。約束する」
 市民らの首肯を確認してから、蕃茄は地下牢から飛び出していた。
 その瞬間、行き遭った影に戦闘姿勢を取って飛び退る。
 早速敵か、と身構えたのも一瞬、ひかりと狂介の姿を確認すると、恐らく都合は同じであろうと瞬時に理解する。
「……見張りは……?」
「私は自力で脱出したが、まだ市民が残っている。やるべきことは……」
「脱出経路の確保と、暗証番号の扉の開錠……」
 心得た様子のひかりと視線を交わし、蕃茄は頷く。
「……私は一体でも多くのミュータントを排除する。こちらには他の扉の開錠手段は乏しい。私が剣となり、そちらを補助しよう」
「助かるよ。そうしてもらえると、こっちも暗証番号の開錠に専念できる」
 やるべきことは決まったな、と決意の双眸を交錯させ、三人は駆け出していた。
「……まだ、内部にセイヴァーズが居ると思うか?」
「分からない。けれどでも、希望はあると、信じたいよね……」

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