■プロローグ■
――カディヤックヒル 闘技場地下
「なるほど……これは興奮するねぇ……」
ミュータントに囚われた
椚 狂介(くぬぎ きょうすけ)が運ばれたのは、コロシアムにある闘技場の地下だった。
そこには複数の牢屋があり、彼と同様に、ミュータントに捕らえられ、ここへ連れて来られたカディヤックヒルの市民の姿があった。
中には見知った顔もいるが、ここは他人の振りをしておくことにした。
しかし、手枷や足枷などは付けず、見張りのミュータントも少ないので、狂介であれば脱出は容易であった。
単にこの地下牢から抜け出すなら、の話だ。
「ここに連れて来られるまでの間に、“開かずの扉”っぽいものがあったねぇ。あれは今の僕では開けられなさそうだねぇ」
狂介はここに連れて来られるまでの経路を全て覚えており、その途中に暗証番号によって開くドアが複数枚あることも確認していた。
ただ、今の彼はマジカルキャスターであり、電子錠を開ける術は持っていない。
「幸い、ブレイブコンバーターの通信は可能なようだし、光牙長官に連絡しておこうかねぇ」
「お前ら、飯だぞ」
「……追伸、食事はコンビニから奪ってきたらしいおにぎりのようだねぇ。しかし、あの数……一人4、5個は食えるねぇ。僕はツナマヨと明太、カルビをもらおうかねぇ」
イマジンレガリアの長官
光牙 影路郎に連絡を入れている最中に、見張りのミュータントが大量のフィルムが巻かれたおにぎりを牢屋へと投げ入れるのを、狂介は通信の締めくくりとした。
■目次■
プロローグ・目次
【1】地下を調査する/市民を救出する
・救出開幕
・交錯する思惑と
・そして動き出す者たち
・繋がっていく猛者たち
・市民救出の先に
【2】暴動を防ぐ
暴動の芽を摘み取れ・1
暴動の芽を摘み取れ・2
暴動の芽を摘み取れ・3
【3】ガネーシャサージェントを倒す
1.群衆(ガナ)の主
2.嗤う巨象
3.巨悪の求めた者
エピローグ