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巌からの挑戦状!

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巌からの挑戦状!
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地の術者


「……風が重たいね、やり方がすっきりしない。こんな事を許す六禁の鎧衣……きっちり解除しよう。……仕事の時間だ。行こうか、疾き風の如く」
「でしたら、これを。自分は見晴らしのいいところで観察します。音と目で術者を調べ、攻略しましょう。誘い込む場所は自分が決めますので、決まりましたらモニカさんから通信が入ります。エレナも、構いませんね」
「もちろん。貴方の力を最大限活かせるように頑張るから」

 【天鈴雪花】の辻風 風巻が駆けだそうとしたところを綾瀬 智也が傾聴の印を刻んだ札を差し出す。
 傾聴の印が集める音を頼りに情報を集めようとしたのだ。
 風巻はそれを受け取り走り出す。
 エレナ・フォックスも傾聴の印を刻んだ札を受け取ると風巻を追って走り出した。
 すぐに追いつくと反響定測を始め六禁の鎧衣の術者の場所を探っていく。

「こういう知恵を使う必要がある戦場は自分の好みですね。
『己を知り、敵味方たる他を知り、地形や状況たる世界を知り、目的を知る。さすれば目的を達するだろう』
特異者になる前に友人達と作った言葉ですが、存外この戦闘スタイル自分に合っているようです。
―――そういう訳でどこのどなたか存じませんが、攻略させて頂きます」

 五行書を用いて束雷の印や流水の印に適している場所を探していく智也。
 水場がポイントになれば束雷の印による通電がよくなると考えてのことだったが、感電させるには水の通り具合は関係ない。
 それでも自然の事象に逆らわないよう最大限の結果を得ようとするのは間違っていない。
 そのためには地の利すらも味方につける。
 ポイントを決め、誘い込む場所を決めると成神月 鈴奈モニカ・ヴァネルをその地点に待機させ、智也はポイント地点が見える見晴らしがいい場所に陣取って地の術者が放つ音に耳を澄ませた。
 誘導に失敗した場合もあらかじめ伝えてある。
 イレギュラーが発生してもきっと対応できるだろう。

「非戦闘者を人質にとる奴がいるとはね……そんなふざけた奴の鎧は、アタシらが剥がしてやろうじゃないか」
「同じ妖怪として、里の長の頑張りを無駄にしないためにも、一刻も早くこの術者を倒さないとですね。しかし冷静さを失っていては足元をすくわれかねませんから気を付けないと……」

 誘導ポイントはモニカが霊子端末壱号で伝達済み。
 エレナは霊子端末壱号で、風巻は妖水晶から了承の返事が返ってきている。
 誘導の手伝いを買って出たシレーネ・アーカムハイトブリジット・シャッテンには風巻から妖水晶で連絡が行き、別地点で待機している状態だ。

「ほぼ無敵モードからの一方的蹂躙とか脳筋枠として恥ずかしくてアーシにはできないことだわ。ちょっとやり口がきったないし、チート防御をひん剥いてやるし」
「本当ね。安全な状態からの一方的な蹂躙……やる事が小さいわね。こういうの、気に入らないの。さっさと術式潰して、防御をひん剥いてやるわ」
≪エレナさんが地の術者を発見したよ。方角は合っているから、そろそろ移動を開始して。こっちで時間を稼ぐから≫
「オッケーオッケー、アーシに任せるし」

 風巻からの連絡にシレーネが返答し、古式隠密装束に身を包んだブリジットは霧隠をすると睦美流壱ノ型・音無で動き始めた。
 シレーネにはそのような術はないがそれでもできるだけ音を、気配を消して移動する。

「うわっと!」

 エレナの反響定測で発見した地の術者がエレナと風巻の存在に気づくと先の尖った鋭い岩を投擲してくる。
 筋骨隆々とした男型のマガカミはいくつもの尖った岩を生成してはエレナに向かって投げつけていく。
 エレナは尖った岩を避けるために霊子噴進靴を噴出し跳流駆でスライディングし回避。
 狙いの外れた岩は地面をえぐり土に還っていった。
 力任せの投擲だが、生成された岩のひとつひとつはとても硬質で純度の高い岩のようだ。
 それを瞬く間に作り上げては投げつけ、土に還らせる循環だけみると物理型の術者というわけではないことが窺える。
 あの筋肉あっての投擲力ではあるが、単純ゆえに驚異的ともとれる。
 褐色の肌に金色の短髪姿のマガカミ。
 まさにマッチョイムズである。

 エレナに攻撃が向いた隙に風巻が蒼碌で斬鉄するがその皮膚は岩のように固い。
 褐色の肌に真っ白な歯をキラリとさせ硬質化させた筋肉を自慢げに見せつけてくる。
 硬化した腕を振り回し風巻を吹き飛ばすと、拳を地面に叩きつけ小石を巻き上げた。
 巻き上げた礫を広範囲に射出しエレナの接近を許さない。
 跳流駆による軽やかな足運びで岩を礫を回避するエレナ。
 そのような軽業を持たない風巻はエレナを囮に接近しては皮膚に弾かれてしまう。
 天氷を纏っても風雷を纏っても硬い皮膚の内側にある肉を切ることができない。
 むしろどんな攻撃であろうと弾き返してみせる気概さえ感じられる。

 自然と囮になったエレナも距離を詰められるときは詰め蒼碌で斬鉄を繰り出すが風巻と同じように歯が通らない。
 別れる時に智也は言っていた。
 硬いという状態が防御として機能するのはその攻撃が運動エネルギーによるものの時だけだと。
 それ以外の攻撃、熱や毒、感電といったものには硬さはあまり意味を成さないとも。
 ならば蒼碌で斬りつけ続ければ冷気は防げないということになるだろうか。

「腕、足、腹部。筋肉が集まり力を込めることが可能な位置は極めて硬いみたいね。指、首、あと関節部分は削られる深さが大きいかな……」
「皮膚を硬化させるときは動きが鈍くなるのも重要じゃない? 息を止めて筋肉を硬くするみたいな感じ」
「そうね。あと、確かめるとするなら、硬化は全身なのか一部だけなのか。私が腕を狙うから、貴方は足を狙って」
「わかったよ」
「それじゃ、行くよ!」

 わざと智也に状況が分かるように言葉にしたエレナは跳流駆で駆けだすと腕を狙って斬鉄を繰り出す。
 それに合わせるように風巻も足に向かって斬鉄。
 同時硬化の範囲を調べようとしたが、その思惑は術者を囲むように発生した土壁に阻まれた。
 何度繰り返しても土壁によって防がれる。
 見方によっては同時に硬化できないから土壁を発生させているようにも取れる。
 反対に分配すると消費霊力が大きくなってしまうから、大きく消耗しないようあえて土壁を発生させることで低燃費を狙っているとも取れる。

「私たちに探れるのはこれくらいね……」
「OK。……そっちも準備できてるよね? チャンスは一回、しっかり決めてよ」

 シレーネとブリジットに妖水晶で言葉を投げておき、風巻は三井流壱ノ型・木枯を繰り出した。
 硬化させた身体は重く、皮膚を通さないが今度の術は風で押し倒すもの。
 重心がぐらつけば態勢が崩れるのは必然。
 そこを逃さず右腕をシレーネが、左腕をブリジットが裏葉を活用して鎖螺奏呪の先端の鉤を絡ませ拘束に成功する。

「アーシたち、ナイスじゃない? このまま綾瀬マンが決めたポイントまで運ぶし」

 絡まった両腕を見やる術者。
 邪魔ならば引きちぎればいい。
 鎖螺奏呪の鎖がギチギチと音をたて鎖がピンと張り詰めていく。
 鉄の鎖ならばすでに引き千切られているが、どうにか鎖螺奏呪の鎖は保っている。
 だが、この場から引きずって目的の場所に運ぶにはきつく張った状態のままではいつ千切れてもおかしくはない。

「これ、無理じゃない?」
「そんなことないし! ブリジーとアーシが同じくらいの力で引っ張れば大丈夫っしょ。せーの!」

 強引にシレーネが引っ張れば、地の術者も抵抗するように引き直す。
 そしてとうとう両方から引かれた鎖螺奏呪の鎖はブチリと真ん中から弾け飛んだ。

「うぎゃーっ!?」

 ひっくり返るシレーネ。
 ブリジットもバランスを崩して尻もちをついている。
 千切れた鎖をそのままに術者は拳を握り、地面を叩きつけ礫を発生させるとふたりに向かって発射させた。

「シレーネ!」

 風巻は叫ぶが、シレーネもブリジットも逃げられるような態勢ではない。
 エレナは辛うじてシレーネを掴んで跳び上がるが、ブリジットまでは手が届かない。
 小さくもない礫がブリジットに当たると思った瞬間。
 風間 玲華が仁科流壱ノ型・波紋を浸透させた結界符で跳返の印を組み礫を反射させた。

「危ないところでしたね」
「あ、ありがとう……」
「師範の前で恥ずかしい真似はできませんから」

 仁科流派として碧斗に恥ずかしくない生徒でいたい。
 氷牢の印の使い手として、威力が高くないといわれていてもこの世界では常にこの氷と共にあった玲華。
 だからこそこの世界では氷を極めたい。
 彼女の目指す場所はそこだ。

「五行の思想からすると土剋水であり、その点では不利な事は百も承知ですが、強ければ水侮土ともなりえますから。ふふ、誰が相手であろうと全て凍らせましょう」

 水侮土をもって地の術者を倒しましょう。
 その思いに応えるようにシルヴァーナ・テニエルは玲華の剣として、盾として前に出る。
 空走下駄でソリッドアーツを行うことで岩の投擲から、礫の射出から逃げるシルヴァーナ。
 獄卒撮棒を振るい重さで殴るそれは、注がれた霊力にとって内部へと浸透し衝撃は確かに術者へ伝わっている。
 それは明敏審眼を持つ玲華も理解した。
 どんな攻撃でも自慢の筋肉が弾き返してくれるはずなのに、シルヴァーナの獄卒撮棒はなぜか体内を震わせてくる。
 ここにきて初めての衝撃だった。

「殴るなら関節を狙うといいよ! 肘や膝なら、攻撃を相殺しつつ衝撃でバランスが崩れるかも。筋肉のある場所は力が込めやすい分硬いから、そこは気を付けて」
「助言ありがとうございます。シルヴァ、狙うのは頭部、腹部。力を込めた状態の上から殴りなさい」
「はぁーい……」
「え!?」
「シルヴァの武器は打撃。それも浸透できるもの。柔らかいものを殴るには向いていませんが、硬いものならば十二分に力を発揮できます。もし関節を狙うとすれば、それは攻撃を往なす時でしょう。関節というのは向きがありますから。可動範囲外に押しやってしまえば攻撃は外れます。そして、お二方の武器は冷気を送り込めるモノ。それこそ浸透する術がなくとも厚みのない関節ならばしっかりと冷気を送り込むことができ、蓄積した冷気で部位破壊ができるかもしれません」

 武器には向き不向きがあるのだと玲華は言いたいようだ。
 狙いを分散させれば、それだけ術者も守るのが難しくなる。
 難しくなれば土の壁を発生させるということも共有しておいて損はない。
 その説明の裏では作戦が失敗した旨をモニカに伝える風巻がいた。
 待機している仲間が来るまでは、ここにいる面子で戦わなければならない。
 守りが可能な玲華と浸透武器を持っているシルヴァーナ、一撃必殺にはならないが時間をかければ有利になり得るエレナと風巻。
 奇襲可能なブリジットだっている。
 シレーネも術士隊服・燕から取り出したシルフィーネ【紫電の霊符】に刻んだ流水の印で水をばら撒くことで誘導先にしていた水場を疑似的に作り上げていく。
 一番のダメージソースであるシルヴァーナは腹部目がけて双杭を。
 土壁を発生させないように同じ関節を狙うエレナと風巻。
 生成される岩たちを玲華が跳ね返し、連携することで僅かながらダメージが蓄積していく。

「時間稼ぎお疲れ様!」

 駆け付けた鈴奈が仁科流壱ノ型・波紋の型を取ると、碧水干と氷霊符で流水の印との親和性を高めた状態で祓行灯の力を解放。
 水の親和性を高めた流水の印をぶつける。
 水浸しにするとエレナと風巻が蒼碌による天氷で足場を凍りつかせ身動きを封じる。
 薄い氷を剥がすように踏み出す術者へ二度目の流水の印を放つ鈴奈。
 天氷で止まらないのならば仁科流壱ノ型・波紋による束雷の印で動きを封じるまで。
 祓行灯を解放した智也の紫電の霊符と術士隊服・燕から取り出したシルフィーネを握るシレーネが束雷の印を放つ。
 二人がかりの束雷の印はしっかりと内部に浸透し大きな負担となった。

「その命ごと、凍りなさい」

 落雷の衝撃で動けない術者へ容赦なく霊子噴進靴を噴射させ接近した玲華が術士隊服・燕から四葉神符・氷【四季符・冬】を取り出し口内へ入れ込むとそのまま寒波を発生させる。
 体内へ寒波を流し込み、氷牢の印で捕縛。
 冷気で動けない術者が動きを取り戻す前に畳みかける。
 シルヴァーナが潜能解放し、琥珀の色砂【琥珀の色砂】で雷の力を纏わせた獄卒撮棒を金砕拳で硬化させ双杭。
 硬化している皮膚にヒビが走る。
 筋弛緩で余計な力を抜いたモニカも潜能解放すると、烈竜籠手【烈閃籠手】で金砕拳すると肘から霊力を噴射させた練気の拳を叩き込む。

「止めよ」

 睦美流派であっても内部へ衝撃を叩き込む術はある。
 ブリジットは常夜煙管で浸透撃を繰り出した。
 ふたりの羅刹によってひび割れた地の術者は吸い口部分を外した常夜煙管を弾くほどの硬化ができず、心臓に送り込まれた霊力の衝撃によって動きを止めるのだった。

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