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巌からの挑戦状!

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〈叩ク者(6)〉


 「雷鳴」が巌に畳み掛ける合間に、彩斗は傷付いた体に鞭打ち渾身の一撃を入れようと駆け出した。
 霊力によって右手を硬化させ、鈍る速度を靴の霊子噴射で補う。
「手負いの獣が……そんなに死にてぇか!」
 巌も相当疲弊しているが、衝撃波に耐えた彩斗を潰そうと目の色を変えた。
 一撃の構えを見せる彩斗、カウンターを狙う巌。
 彩斗はたすき掛けした布の力も借りて、巌の心臓目がけ出来るだけ素早く強く拳打を繰り出す。
 籠手が霊力を噴射しその威力を高めるが、右手を硬化しての打撃は彩斗の体に大きな負担を掛けた。
 それでも彩斗は
「教えてやろう……変に頭捻ってる暇があったら、ただ全力を以て事を為す……それが脳筋の勝利の道筋だ!!」
 と叫び、再び血を吐きながら拳を突き出す。
「ぐっ……ぬおおっ……」
 全てを懸けた全力の「剛」の一撃。
 迎撃と反撃を目論んでいた巌の戦術を崩すには十分な一撃だった。
 しかも、衝撃波を当てた時と違い、至近距離で彩斗の血が巌に飛ぶ。
「ば、馬鹿な……っ!」
 力尽き瞼を閉じる間際、確かに彩斗は見た……巌が初めて片膝を着いた瞬間を。

* * *


 追撃の手を止めてはならない。
 決着をつけるなら、今しかない。
「一旦下がれ!」
 ジェノの声が響く。
 遥たちが周囲を見回すと、巌の周囲にはいつの間にか毒花がちらほら咲いていた。
 どうやら、遥たちが戦っている間にジェノが動き回り咲かせていたようだ。
 本来ならば気力の限り咲き乱れさせたかったところだが、巌は遥たちとの戦いの最中でも時折ジェノの動きを警戒しており、土壁が出現する度に衝撃波で粉砕していたためなかなかジェノの思い通りにはいかなかった。
「こんな花の毒程度で俺が動けなくなると本気で思ってるのか。無駄な足掻きを!」
 巌は衝撃波で毒花を消し去ろうとしたが、その先手を打つようにジェノは秘薬を一気に呷り、
「お天道様よ、悪逆非道を焼きつくせ!」
 と大規模な浄化の炎を全力で放つ。
 仲間に下がるよう告げたのは、いくら浄化の炎といえど巻き込む危険性があったからだろう。
 内なる霊力を限界まで引き出しての炎は、ここまでの戦いで疲弊しつつあった巌を逃がさない。
 炎が消えた時には、巌はぜいぜいと息を荒げやっとの事で三戦立ちの構えを取っているような状態だった。
(そこから動けねぇようにしてやるよ!)
 春虎が霊子を噴射させて地を蹴る。
 同時に遥も勝負に出た。
 遥は秘薬を飲み込み、決め技――片手平突き――の構えを取る。
 巌は怪訝そうに顔をしかめるが、どんな攻撃が来ようと迎え撃つまでとばかりに僅かに腰を下げた。
 再度身体能力を高めた春虎は、両の手に握る刀に冷気を纏わせ三連撃を叩き込む。
 もはや満身創痍の巌は、動く両腕で払いのけるしかない。
 刃が当たった瞬間に流れ込む霊力、それが次の攻撃時には巌を内側から凍り付かせていった。
「くっ!」
 足掻く巌に、
「三井流奥伝、桐ヶ谷遥……推して参る」
 と遥が刀に霊力を纏わせて挑む。
 狙うは一点、ここまで幾度となく刃を入れてきた巌の胸部――心臓部分――だ。
 螺旋状の風を纏った切っ先が真っ直ぐに巌に向かう。
 巌は雄叫びを上げ遥に拳を突き出そうとするが、春虎の攻撃が効いており思うような速度で腕を突き出せない。
 翻る外套が風を呼ぶ。
 予め刀に纏わせた霊力が剣速を上げた。
 遥にとって乾坤一擲とも言える一撃……遥はその手の感触に僅かに息を呑み、眼前の敵に刮目する。
「修祓隊の、力……よもや、これ程とは……な……」
 遥の妖刀を胸に突き刺したまま巌は反っくり返り、やがてその巨体を地面に叩き付けた。
 巌が動く事は、二度となかった。

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