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巌からの挑戦状!

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〈叩ク者(5)〉


 隊士個々の一撃は巌を倒すには至らないが、それが積もれば話は別だ。
 鎧衣が剥がれた巌には、ここまで戦ってきた隊士たちの攻撃が確実にダメージとして蓄積され、彼はいよいよ荒々しい呼吸を見せ始めた。
(敵の攻撃を正面から受け止めた上での後の先……俺が考える柴垣流の神髄、この身を以て証明してやる……!)
 猛進してくる彩斗に巌は衝撃波を浴びせるが、身体能力を大幅に向上させた彩斗は靴の霊子噴射の力も借りて衝撃波の軌道の外に跳躍して逃れながら巌に迫る。
「脳筋はな……姑息な手に走った時点で敗北が決まったようなものだ……!」
 左腕の巨大な籠手が霊力を噴射し唸りを上げた。
「偉そうにご高説垂れてんじゃねぇぜ!」
 巌は三戦立ちの堅牢な構えで彩斗の拳を受け流しカウンターを入れようとするが、籠手から浄化の力を宿した衝撃波が伝播し、それに目を剥きサッと後退る。
「危ねぇ危ねぇ……食らいやがれ!」
 巌は彩斗と距離を取った直後、間髪を入れず衝撃波を放った。
「……食らってやろうじゃないか!」
 彩斗は柴垣流の基本型で体を頑強なものに変化させ、真正面から衝撃波を受ける。
「柴垣流奥伝を……舐めるな!」
 衝撃波が彩斗の体を圧倒的な力で押し潰し吹き飛ばそうとしたが、彼は靴から霊子を噴射させて衝撃波の威力に抵抗し血を吐きながらその場に留まった。
 単に基本の型を構え体を頑強にしただけでは巌の衝撃波など到底凌げはしない。
 奥伝に至るまで血の滲むような修練を積み重ねた者が、潜在能力を解放し大幅に身体能力を向上させた状態で体を頑強に変化させて攻撃を受ける……そしてそれらの覚悟を決める気合、これらが全て揃って初めて成し得る事だ。
 とはいえ当然無事では済まず、大量に血を失った彩斗の余力は恐らくあと一撃突っ込めるかどうかといったところだろう。
 それでも、衝撃波に真正面から挑んで耐えた者を見た巌は焦りの色を濃くする。
「俺の一撃を受け止めた……だと?」

* * *


 巌の心に、集中力に、彩斗が小さな綻びを作った。
 それを見過ごす手はないと「雷鳴」の五人が動き出す。
 アルフレッド・エイガーに背中を叩かれ霊力を増強させた桐ヶ谷 遥ビーシャ・ウォルコットそして壬生 春虎がすっと前に出た。
 まずは一織流の基本型で身体能力を上げた春虎が刀を抜く。
 反射神経と動体視力を高めた証に染まる双眸で巌から目を離さず、靴から霊子を噴射させて一気に巌に近付くと、刀の力で磁場を乱し巌の動きを妨害しようとした。
「その程度の力に俺の体が持ってかれてたまるか!」
 巌は磁場の乱れにも抗い春虎に拳を繰り出した。
 これに対し春虎が磁力の反発作用で後方に退避すると、巌もその隙に春虎から離れ衝撃波を放とうとする。
(何が何でも追い縋る!)
 春虎は霊子を噴射させて巌を追跡するが、巌の別の腕が春虎を掴もうと横から伸びた。
 意識外の攻撃には胸当から霊糸を出しての盾も間に合わず、巌の腕が春虎に迫る。
 そこに短い錫杖の音と共に防御結界が展開された。
 アルフレッドが滑り込み錫杖を地に突き立てたのだ。
「邪魔だぁ!」
 巌は結界ごとアルフレッドを力任せに蹴り飛ばすが、結界が功を奏したか巌の体幹がぐらつく。
 すると、間髪を入れず遥が斬り掛かった。
 籠手の効果で霊力の通りが良くなっている刀は清浄な霊力を持ち光を帯びている。
 頑強な肉体の持ち主を斬るための斬撃を遥は巌の胸目がけて走らせた。
「ちっ!」
 巌はぐらつきながらも遥の剣撃を手の甲で払い、すぐに体勢を立て直し拳をねじ込もうとする……が。
「柴垣流師範の直弟子として……お相手させていただきますね~?」
 霊力を全身に行き渡らせ体を頑強な状態にしたビーシャが巌の前に立ちはだかり、籠手を付けた手で巌の拳をいなそうとした。
「この俺の相手は弟子で十分ってか。ケッ、舐められたもんだぜ」
 巌はビーシャを鋭く睨みながら拳に力を入れる。
 受け流しきれない巌の攻撃の威力にビーシャは地を滑るように後方に弾かれた。
「弟子じゃ話にならねぇってところを見せてやるぜ」
 巌の衝撃波がビーシャを貫こうとする。
 ビーシャはタイミングを見計らい、拳圧で周囲の空気を打ち払う要領で衝撃波の威力を緩和しようと試みたが、殺傷力の高い巌の衝撃波は殆ど威力を落とさずビーシャに直撃した。
 立ち上がれない程に全身を痛めたビーシャに、こちらも無事ではなかったアルフレッドがふらつきながらも駆け寄り、純度の高い自身の霊力を一気に直接流し込む。
「守りの要が倒れちゃ元も子もないからな。オレが動けない間は何とか気合入れて頼むぜ」
 倦怠感に襲われその場にへたり込むアルフレッドに巌は衝撃波を撃とうとしたが、遥と春虎がそれを阻む。
 春虎は青い炎を纏った小太刀と磁場を乱す妖刀の二刀使いで巌の腕を封じに掛かり、遥は岩をも断ち切る剛剣を巌の胸部にしつこく叩き付ける。
 ビーシャはその間に己の潜在能力を解放し身体能力を大幅に向上させると、そこから霊子噴射の力で一足飛びに再び巌の前に迫った。
 巌の技は確かに柴垣流と共通している。
 だが、ビーシャが玄の下で研鑽を重ね鍛錬している柴垣流の技で、巌は相手をいたぶっている。
 それは、玄の直弟子となったビーシャにとっては受容しがたいものだった。
「……私は……! あなたには負けたくない!」
 その怒りも悲しみも、決して表面には出さずに己の内で燃焼させ、ただ気合だけを滾らせてビーシャは突き進む。
 性根の腐った外道相手に己の感情を晒すなど、それすら勿体ないと。

 一方、ジェノ・サリスは仲間たちと戦う巌の周囲に土壁を築いて回った後、強力な術式が刻まれた霊符を用いて岩の獣を三体召喚し巌に差し向ける。
 三つ腕のうちの一本が土壁を衝撃波で粉砕し、太い足が岩の獣を踏み潰したが、その間にも遥と春虎が入れ替わり立ち替わり巌に刃を向けた。
 すると、巌の視線が一瞬ビーシャを貫く。
「てめぇを先に潰した方が良さそうだな」
 そう呟くや否や、巌は腕を一本犠牲にして遥の刀を受け止め、別の腕でビーシャに豪速の連突を繰り出した。
 消耗はしている筈の巌だが、それでもその速度に殆ど陰りはない。
 上昇させた身体能力で躱したりいなしたりするが、やがて強烈な一発がビーシャのどてっ腹に入る。
「し、師範の一発に比べたら、この程度……!」
 そう言って歯を食いしばるビーシャだったが、巌は彼女の頭を掴み躊躇なく握り潰そうとした。
 頑強な体で懸命に堪え抵抗を見せるが、巌はこの世の全てを粉砕するかの如く怒りを込めてビーシャに圧を掛ける。
 しかし、巌の注意がビーシャに注がれたその一瞬に、春虎の小太刀の切っ先が巌の腕のひとつに掠り、ボッと青い炎がそこに走った。
 巌ほどの手練れであれば、この炎が放っておけば後々面倒な事になるものだという事くらい察しがつく。
 忌々しげに春虎を睨みながら巌はやむを得ず腕を振り炎を消すが、その間に遥がまたも刀を叩き付け、巌はその体に徐々に傷を増やしていった。

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