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巌からの挑戦状!

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〈叩ク者(2)〉


 「帝都華撃団」との戦いで雷を浴びた巌の呼吸は僅かに乱れていた。
 そこに今度は「豆柴班」が動き出す。
(六禁の鎧衣って言ったっけ? あれは剥がれたけど物理攻撃が効かないってのは何なんだ? 紫垣流の技そのもの……と言うよりも独自に昇華させた感じなんだろうか? ん~……)
 他の隊士たちの戦いぶりを見て作戦を立ててはいるが、それでも自身で試してみないと気が済まない朝霧 垂は、霊気ブランを呷った後柴垣流の基本型で体を頑強なものに変え、数枚の霊符に風の術式を刻み拳に貼り付ける。
 そして、共に戦う紫月 幸人ローザリア・フォルクングの前で
「……よし、元々格上相手だ、ダメ元上等でいっちょ行きますか!!」
 と気合を入れた。
 そんな垂に対し幸人は気が気ではない。
「垂ちゃん無茶するなぁ! いや、言ってる事は分かるけどさ!」
(んもー! 垂ちゃんは言い出したら聞かないもんね! うん、俺知ってた!)
 こうなったら腹を括って垂をサポートするしかない。
 幸人は硬い霊符を垂の腕に貼り付ける。
「とりあえずこれでがっちりガード固めてよね! 俺、スプラッタとか駄目だから! 見たくないからぁ!!」
「いや、その保証は出来ねぇ。格上相手だしな。それに……人質取って脅迫してきたその根性が許せねぇ! 行くぜ!」
 二人に一言合図を入れると、垂は瞳を赤く染めて駆け出した。
 ぐんぐんと距離を縮めてくる垂に巌は衝撃波を飛ばす。
 鎧衣が剥がれようと帝都華撃団との戦いで消耗していようと巌の衝撃波の威力は健在だ。
 跳ね上げた動体視力と反射神経のみならず靴の霊子噴射も借りて速度を上げ、垂はどうにか衝撃波を回避するものの、威力・スピード双方とも勝る巌相手ではじきに捕まってしまうだろう。
「ローザちゃん! ちょっと全力でサポートしないと駄目そうですよぅー!」
 幸人が叫ぶと、
「ええ、元よりそのつもりです」
 とローザリアは符を用意した。
 だが、垂が単独で挑んでいるわけでない事は巌もとうに気付いている。
「させねぇぜ」
 巌は四つ腕からローザリアと幸人にも衝撃波を放った。
 ローザリアは霊符を霊力盾として用い、仁科流の基本型で衝撃波を分散させ威力を削ごうとするが派手に吹き飛ばされる。
 使用した霊符も仁科流の基本型も、厳密に言えば「結界術」や「防御術」ではない。
 これらはそうした「術」と組み合わせる事で初めて巌が放つような物理攻撃の威力を緩和出来るのだ。
 いきなり想定外の事態が起こり幸人は内心泡を食うが、何とか垂を援護しようと巌に接近する。
 ローザリアも深手を負いながら立ち上がり、幸人と垂の助力になればと硬化した花弁を巌目がけて広範囲に飛ばした。
「鎧衣がなくてもこの程度じゃ俺は倒れねぇぜ」
 巌は硬化した花弁に全身を傷付けられ血を滲ませるが、掠り傷程度と然程意に介さない。
 それでも鬱陶しそうに目を細めた巌に一瞬の隙を見た幸人は、巌との距離を詰めて地面に手を付く。
 隆起した土壁が更に巌の視界を邪魔し、その隙を突いて垂が拳を繰り出した。
 垂の拳を腕で受け止め、巌は別の腕で土壁を粉砕する。
 すると、垂の拳に貼り付いていた符が暴風を巻き起こした。
 風は集束し強力な空気砲と姿を変えるが、本来離れた相手を仕留めるためのこの術は至近距離にいる巌には見切られ躱されてしまう。
「必死に考えちゃいるようだが、こっちも負けるつもりは毛頭ねぇんだよ」
 巌は四つ腕で垂の足を掬い取ると、彼女の体を鞭のように地面に激しく打ち付ける。
 垂は歯を食いしばり意識を繋ぎ止め、円形の霊符を握りしめた。
 気力を振り絞り、霊符に風の術式を刻む。
「俺の奥の手……つりはいらねぇ、あの世に持ってけ!」
 足を取られているとはいえ、巌に最も接近出来ている今こそチャンスだ。
 垂は上体を起こし、巌の口を狙って符を握った拳をねじ込もうとした。
 ローザリアも特殊な発声で巌の異能を妨害出来ないかと挑む。
 しかし……。
「言った筈だぜ? 負けるつもりは毛頭ねぇってな。勝ちに来てる奴がそう易々とデカイ隙を見せると思うなよ!」
 異能とはいえ、生まれついた力はローザリアの発声で妨害出来るものではなかった。
 力の流れを乱される事なく、巌は垂を横に蹴り飛ばす。
 彼方に飛ばされた垂はとうとう意識を手放したが、巌の足には彼女の血が付着していた。
 ……垂は蹴り飛ばされる直前に体内の血を浄めており、それは巌にとっては多少なりとも毒となる。
 デカイ隙こそ見せなかったが、垂は仲間の力を借りながら、巌がちらつかせた小さな小さな隙を確実に突いたのだ。

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