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巌からの挑戦状!

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〈食ラヒ付ク者(7)〉


 八玖斗と貫によるしつこい毒攻撃の末、巌の四つ腕のうち一本の動きが鈍ったように見えた。
 そのまま毒が巌の体内に巡り、徐々に彼を蝕んでいくものと思ったが……巌に焦りや疲労は一切窺えない。
 いつの間にか鈍っていた腕の動きも元に戻っており、巌自身にも全く変調はない。
 恐らく、巌は隊士たちから一時的に毒を盛られても存外早く解毒してしまうのだろう。
 それは彼がそれだけ強力で無尽蔵に近い霊力を秘めた相手という事と、現状で巌を弱らせる事が出来る毒といえば殺生石と化した千春が己の身を挺して醸し続けているものだけであるという事を意味していた。
 だが、八玖斗らが必死に巌を足止めしている間に、妖怪たちは次々と巌の前から逃げ始めている。
 里を包囲するマガカミを他の仲間たちが退治してくれれば、この妖怪たちも安全に避難出来るだろう。
 犠牲者はゼロではないとはいえ、隊士たちの決死の戦いが殺戮を最小限に食い止めていた。

(六禁の鎧衣が剥がれるまでは引き付けておかないとな)
 有間 時雨は、加速の呪文を唱えると、脚部に内蔵した車輪を利用して巌の周りを高速で駆け回る。
 彼の視界の端には、いまだ諦めずに何らかの「作戦」を遂行しようと機を窺っている舞花たちの姿も映っていた。
「ちょろちょろと目障りな奴だぜ」
 巌は時雨に舌打ちしつつ、
「だが、まだ俺の方が速ぇ」
 と、時雨の進行方向を塞ぐようにして衝撃波を発する。
 時雨は車輪の機動力で周囲の木々や里の建物の壁などを足場にし、一見無秩序な走りで巌の攻撃から辛くも逃れると、霊符を放った。
 霊符は光る花弁に変化して巌の視界を害する。
 花弁は霊力を纏っているため、巌が霊力を頼りに隊士たちの位置を掴もうとすればそれをも妨害出来る。
 巌は新たに衝撃波を放つが、それは時雨から体ひとつ分外れて突き抜けていった。
「やるじゃねぇか」
 巌はニヤリと笑うと、足のひと振りで突風を起こし花弁を消し去る。
 そして、素早く駆け回る時雨に一気に接近すると、時雨を逃がすまいと拳の連打を繰り出した。
 時雨は咄嗟に分身を出して巌を撹乱しようとするが、その思惑は巌にもお見通しだったようで、巌は一撃で分身を消し去り、続けて容赦なく時雨に連打を浴びせる。
(まともにぶつかっていたらこっちが持たない……っ)
 時雨は煙幕の術式を刻んだ符を投げ、煙で巌の動きを鈍らせると、その隙に距離を取った。
 微かにだが、
「くそっ」
 という声が時雨の耳に入る。
 たとえ僅かな間だったとしても、符による煙幕は巌を苛立たせたのだろう。
(これで多少は嫌がらせになったか? だが、こんなもんでは終わらない)
「嫌がらせ……追加だ」
 食らった拳は時雨の体を相応に傷付けていたが、弱ったところを見せれば巌はつまらないとばかりに時雨からターゲットを妖怪たちに変えるかもしれない。
 それだけは何としても避けようと、時雨は再び光る花弁を舞わせた後、巌の足元目がけて霊符を投げた。
 土砂を操る強力な霊符で、時雨は巌の足元の土を操る。
 巌の足を沈めようとする時雨の策から巌は一足飛びに後退して逃れたが、畳み掛けるようにして今度は時雨の「左手」が火を噴いた。
 左手に仕込んでいた砲筒から霊力弾を撃ったのだ。
「フンッ!」
 巌は忌々しげに霊力弾を手で払う。

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