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巌からの挑戦状!

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〈食ラヒ付ク者(5)〉


 巌の掌底が捕らわれた妖怪のどてっ腹に入ろうとした時。
「まぁ待て。妖怪たちを嬲ってもつまらんだろ。ちょっとはやるぞ、オレたちは」
 と、霊酒を飲みながら龍造寺 八玖斗が声を張り上げた。
 潜在能力を解放させている八玖斗の姿に気を良くしたのか、巌は鬼面の中で不敵に笑う……が。
「ああ、てめぇは確かにちっとはやるみてぇだな。だが、約束は約束だ」
 巌が言い終えるか否かのところで、先程の妖怪が吹き飛んだ。
 行坂 貫が奥歯をぎりっと噛みしめる。
(俺の計算だと、一刻は約15分……その間巌を引き付けられれば1人助かる計算か)
 巌の強大な力を前に踏みにじられてきたものの、ここまでの隊士たちの毒攻撃は確かに効いてはいた。
(どれだけやれるか分からんが、六禁の鎧衣を剥ぐまでの時間稼ぎに全力を尽くす……)
 貫は八玖斗と視線を交わすと、下駄の能力で空中を駆け始める。
「何人で掛かろうと同じ事だぜ?」
 巌は貫に鋭い視線を投げた後、四つ腕を駆使して多方向から衝撃波を飛ばす。
 すると、今度は胸当で防御を固めた八玖斗が妖刀を抜いて影の刃を飛ばした。
 これで巌の視力を奪えればと思ったが、やはり巌は素早い身のこなしを見せ紙一重で躱してしまう。
(影の刃が効くかどうかもまだ何とも言えないか……)
 唇を噛む八玖斗に巌が拳を構えたその時。
 双眸を血走らせ身体能力を上げた貫が高速移動で巌との距離を一気に詰め、吸い口を外した煙管の刃で斬り掛かった。
「おっと」
 巌はニィッと不敵な笑みを浮かべながら貫の刃から逃れたかと思いきや、その動きのままに裏拳で貫を殴る。
 これ以上貫に攻撃が入るのを避けたい八玖斗は懸命に巌の正面に入り、妖刀を振るう。

 貫と八玖斗が巌に攻撃を仕掛け始めた頃、戦局を見守る柴垣玄に伊藤 弥景が声を掛けていた。
「ねえねえ、柴垣様。柴垣玄様?」
「おう、どうした?」
 玄は戦う隊士たちの方を向いたまま、弥景に返事する。
「これより私、この弥景さんも巌様相手に時間稼ぎをして参ります」
 突然の宣言にさすがの玄も視線を弥景に移した。
 弥景は変わらぬ調子で続ける。
「もし上手く事が運びましたら、睦美流の私でも褒めて下さいますか?」
「それは構わんが、『上手く事が運んだら』って……そう甘くはねぇ相手だぞ」
 玄は眼光鋭いままに弥景に告げるが、彼女はいたって平静だ。
「ええ。だからこそ、もしちゃんと褒めて下さるなら、この弥景さん。全身全霊を賭して可憐に舞って見せますよう? 弥景さん、たまには年相応に褒めて頂きたいのです」
 危険である事に変わりはないが、それが弥景の「生きて帰る糧」となるならそれに越した事はない。
「はっはっは! いいだろう、いくらでも頭を撫で繰り回してやるぞ!」
 玄はそう言って豪快に笑った。
 玄との約束を糧に弥景は霊酒をひと口飲み、妖刀を抜く。
 八玖斗がそうしていたように、弥景もまた巌の視力を奪う作戦に出た。
 他の隊士たちが戦ったり移動したりしている中、弥景は下駄で空中を駆けるように動き回り、仲間の間隙を縫って高速移動して巌に迫ると、間合いを保ち攻防一体の型で巌に挑み、影の刃を飛ばす。
 巌は安定した堅牢な防御の構えで影の刃を振り払うが、当然ながら巌の腕は弥景の放った刃に触れる。
 これで巌の視力を奪えた筈なのだが、彼の動きが精彩を欠く事はなかった。
「目が見えなければ動きが鈍るだろうとでも考えたか。俺も甘く見られたもんだぜ。だがな、俺は視力に頼らずとも全てを見通せる――こんな風にな!」
 弥景はあっという間に間合いを制され地面に投げつけられる……が。
「……甘くなど見ておりませぬ。一足、一撃、それで詰み。覚悟の上でございます」
(――然り。命を惜しむな刃が曇る)
 投げつけられた拍子に弥景が吐いた血は巌の眉間に皺を刻ませた。
 その隙に彼女は巌に妖刀を斬り付け毒を流し込む。
「死なねば安い……」
 弥景はよろよろと立ち上がる。
「さあさあさあ、消耗戦と……泥仕合と。死合いと参りましょう。拙は、鬼ごっこならば得意でございますよ……?」
 そう言いながら距離を取ろうとする弥景に巌はまたも瞬時に接近すると、弥景の体に組み付いて地面に叩き付ける。
「ああそうだ、毒ってのは確かに厄介だ。だが、この程度じゃ俺は倒れねぇぜ」
 巌の掌が今にも弥景の頭を潰そうとした時、玄が割って入り霊力の波動を巌にぶつけた。
 玄の攻撃でさえも今の巌には全く入らないが、それでも巌が一瞬怯んだ隙に玄は弥景を抱えて下がる。
「十分だ、お前はよくやった」
 玄は弥景の頭を髪の毛がぐしゃぐしゃになるまで撫で繰り回した。

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