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巌からの挑戦状!

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巌からの挑戦状!
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〈食ラヒ付ク者(2)〉


 手酷い傷を負ったミレルではあったが、彼女の「悪足掻き」は他の隊士たちに戦いに備える暇を、妖怪たちに逃亡の時間を与えた。
 ミレルと玄に翻弄された巌は、ここから息吐く間もなく隊士たちを相手取らなければならなくなる。

 まずは体を小さくした八上 ひかりがトリッキーに飛び出し、衝撃波を出したばかりの巌の腕をすり抜けるように接近した。
 ひかりは曲芸師さながらに巌の背中に飛び移り、煙管から毒煙を吐き出す。
(ダメージは与えられないかもしれないけど、気を散らせる方法だったら幾らでもあるよ~♪)
 ひかりは毒煙を吐きながら、ちらりと妖怪たちを見やった。
 他の隊士たちがきっと巌の「六禁の鎧衣」を剥ぎ取ってくれる……それまでの間一人でも多くの妖怪を巌の殺戮から救おうという決意を秘めながら。
 ここまでの一連のひかりの動きに、ほんの紙一重ではあったが巌の反応は後れを取っている。
 ひかりは単に体を小さくしていただけではなく、予め簑笠でその姿を消し、霊力を隠蔽させて気配まで絶った状態で巌に迫っていた。
 しかも、彼女が履くのは空中を駆けられる下駄……足音さえ聞かせない徹底した対策だ。
 毒煙の気配にさすがの巌も顔をしかめる……が。
 彼はその煙を辿るようにして四つ腕でひかりを攻め立てる。
「俺に近付いてただで済むとは思ってねぇだろうな?」
 ひかりは姿を消し気配を絶ったまま逃げ回るが、四方から伸びた腕にとうとう拘束されてしまった。
 ひかりの体はミシミシと嫌な音を立て、ねじり上げられていく。

 誰もが思わず悲惨な末路を予感したその時だ。
 ソッソルト・モードックの霊力がこもった霊符を貼っ付けて、コトミヤ・フォーゼルランドが靴の霊子噴射で加速し巌に突進、高速で拳による羅刹の奥義を繰り出した。
 そして、それとほぼ同時に水谷 大和の妖刀から冷気が飛ぶ。
 本来ならば音の塊と強烈な殴打の二連撃となるコトミヤの拳打も巌には通じなかったが、それでもひかりを手放すには十分な妨害となった。
 巌に放り投げられたひかりは、殺生石と化した千春の傍に偶然にも落下する。
 絶え絶えの意識で、ひかりは殺生石にしがみついた。
「ごめんなさい、千春さん……少しの間だけ、ここで休ませて頂戴」
 カタカタッと殺生石が震えたものの、ひかりはそれに気付く事なく瞼を閉じる。

 巌がひかりを放棄したのは、「そうせざるを得なかった」からと言っても過言ではない。
 コトミヤの拳も大和の冷気も巌にはさしもの傷をも負わせなかったが、巌の動きを妨害しようとする攻撃が立て続けに入った事に、彼の注意と苛立ちはコトミヤらに向く。
 そして、彼らが巌にそうして攻撃を仕掛けられたのは、数瞬とはいえ四つ腕が全てひかりの拘束に使われていたためでもある。
「修祓隊ってのはよってたかってちまちまとちょっかい出すのが得意らしいなぁ、オイ」
 巌の腕が一本、コトミヤに高速で手刀を走らせる。
 コトミヤは手刀を受け流した後カウンターを入れようとした……が。
 巌の豪腕はそう簡単に受け流せる程脆弱なものではなく、受け流しきれなかった手刀はコトミヤの肩を砕き、その衝撃は体内を走り臓腑に達する。
 それでも、決死で入れたカウンターの拳は僅かに巌の頬を掠った。
(何なのよあの「六禁の鎧衣」ってやつ。ずるいわよ、こっちによこしなさいっての。そんでそんなの持ってる相手にうちのバカ臣下ときたら……)
「はいはい、援護するわよっと」
 そう呟きながらコトミヤの背後に近付いたソッソルトが霊力を注いで治療し彼の継戦を支える。
「そのけったいな鎧衣さえなければ、颪に比べて大した相手ではないんだがな……」
 口元の血を親指で拭い飛ばしながらそう口にしたコトミヤに、巌の片眉が鬼面の内側でぴくりと動いた。
「颪に一発くれた奴がいるってのは聞いちゃいたが……てめぇの事か。だが、鎧衣があろうとなかろうと、俺の力は大して変わらねぇぜ? 何なら、お前自身の体で試してみるか?」
 大仰に腕を振りかぶったかと思いきや、巌は俊敏な動きで一気にコトミヤとの間合いを詰める。
「臣下、腕はフェイントよ!」
 ソッソルトが予期せぬ巌の反撃を見抜きはしたものの、巌が繰り出した回し蹴りはあまりに豪速だ。
 ステップを踏んで回避する暇さえ与えない巌の蹴撃に、コトミヤはいよいよ地に伏す。
「てめぇの覚悟は悪くはなかったぜ? だが、刃向かう相手を間違えたなぁっ!」
 巌はコトミヤの頭上から踵を振り下ろすが、そこにソッソルトの矢が割って入った。
 実物の矢に加えて霊力の矢を二本、四つ腕に対抗するにはあと一歩だが……手段がないわけではない。
 矢を放った直後にソッソルトはコトミヤの傍まで駆け、弓を空打ちする音で強固な結界を張った。
 致命傷となる一撃をほんの一瞬いなせれば、それで十分。
 ソッソルトの結界で巌の踏み降ろしが一瞬鈍ったところに再び大和の冷気が加勢し、その僅かな隙にソッソルトとコトミヤは退避する。

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