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巌からの挑戦状!

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巌からの挑戦状!
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〈食ラヒ付ク者(1)〉


「さぁて、次はどいつだ? てめぇか? それともてめぇか?」
 鋭い爪を生やした巌の食指が捕らわれた妖怪たちに順に向けられる。
「よう、そこの殺生石さんよぉ、何ならてめぇに決めさせてやろうか? ガハハハハッ!」
 巌の狂気がその場を支配し始めた時、
「何してんだテメェコノヤロォォォ!!!」
 とアキラ・セイルーンが全力疾走で突っ込んできた。
 巌はフンと鼻で笑うと、四本ある腕のうちの一本からアキラに向けて衝撃波を飛ばす。
 アキラは下駄の力で空中を駆け辛うじてこれを躱し、更に間合いを詰めた。
 巌の顔面目がけて渾身の拳を繰り出しながら、
「誘いを断られたからってこんなことするなんてサイテーだぞテメーコノヤロー! こんなことすれば嫌われて当然だバカコノヤロー! てかもうちょっと誘い方ってものがあるだろコノヤロー!」
 と叫ぶ。
「ガハハハハッ! この俺様に説教とは、見上げた根性だなぁオイ!」
 アキラの拳を容易く握り返し、巌は高笑いした。
 アキラはそれでも言葉を止めない。
 今度は殺生石となった千春を安心させるかのように声を張った。
「もう大丈夫だ! 俺たちが来たからにはもう里も妖怪たちもあいつの好き勝手にはさせねぇ! 絶対に! 絶対にだ! だから今度俺と一緒にお茶しませんか!?」
「……」
 怒りや悲しみ、やるせなさに打ち震えていた殺生石は、一瞬ぴたりと静止する。
 進退窮まっている状態にもかかわらずアキラが発した一見軽薄なその言葉は、精一杯の彼の虚勢。
 そうだと分かっていても、千春にとってはアキラの言葉も少しは支えになっているのかもしれない。
「フンッ、ほざけ」
 葡萄の粒が弾けるように、アキラの拳は簡単に潰された。
 更に別の腕がアキラの首をへし折ろうと伸びる。
 すると、
(やれやれ、相変わらず世話の焼ける奴じゃ)
 と内心嘆息しながらもルシェイメア・フローズンが割って入り、斧を振りかぶった。
 漆黒の咬口が巌の腕に食らい付く。
「オイオイ、小賢しい真似してんじゃねぇぜ?」
 言い終えるや否や、巌はルシェイメアにアキラを投げつけた。
 二人はいっぺんに飛ばされるが、まだ諦めてはいない。
「あらゆる攻撃が無効、ならば“死”の力はどうだ!」
 アキラは身に付けた死の力をぶつけてみたり、田中全能神の幻影を出現させてパンチのラッシュを繰り出してみたり、とにかくなりふり構わずに攻撃を続ける。
 巌はアキラの攻撃など歯牙にも掛けぬが、その間にルシェイメアは急いで霊酒を呷り、鬼の血を覚醒させると時計を起動させた。
 体感時間が速まるのはほんの僅かの間……ルシェイメアはその僅かな時間に全てを懸けた。
 全速で駆けて巌の脚にしがみつき、
「アキラ、やるのじゃ!」
 と叫ぶ。
 アキラは躊躇なく霊符を取り出し、硬化した花弁をルシェイメア目がけて飛ばした。
 広範囲に及ぶ花弁は巌の視界を妨害し、ルシェイメアの体に数多の傷を付ける。
 だが、この「傷」こそが二人の狙いだった。
 霊力を活性化させる事で浄められた血が巌にぱっと散る。
 浄血は巌にとっては毒に等しい。
「チッ!」
 巌は舌打ちしながら脚を振り回し、ルシェイメアを近くの木に叩き付け、ほぼ同時にアキラに衝撃波を食らわせた。
 アキラは視界が真っ白になったのを最後にその意識も途絶える。

 今度は
「そこまでよ!」
 とミレル・ウルフベルが巌の前に出た。
 ミレルがちらりと背後を見やると、柴垣玄が「思う存分やれ」と言わんばかりに頷く。
 ミレルは背後に玄の頼もしい存在を感じながら狐の式神を召喚して巌に差し向けた。
「妖怪さんたち、今のうちに逃げて!」
 巌は狐の式神を足蹴にすると、
「てめぇもしち面倒くせぇ修祓隊か」
 と嘆息する。
「え、ええ、そうよ、しゅばつたいよ! さあ、私が相手よ、掛かってきなさい!」
 ミレルは自身の周りに霊符を撒いて毒花を咲かせ、びしっと巌に指さしポーズ。
 だが、その額には冷や汗が浮かんでいた。
(あー怖い……全力回避モードで行かないと。さあ、命懸けの時間稼ぎの始まりよー!)
 ミレルは己を奮い立たせて次の霊符を使う。
 巻き起こる砂煙。
「式神召喚!」
 砂煙で巌の視界を淀ませその間に自らの盾となる式神を召喚したミレルに、高笑いと共に巌の衝撃波が入った。
 衝撃波で毒花を瞬時に消し去り、巌は更に拳を振り抜き突風を起こして砂煙を一気に吹き飛ばす。
 式神が閃光を放って散った時には、巌は既にミレルの顔前まで迫っていた。
「多少はこの俺の足を鈍らせたかもしれねぇが、それでもまだまだ甘ぇぜ」
 つまり、ここまでの砂煙や式神がなかったらミレルは今頃生きてはいないという事だ。
 ミレルは足を滑らせるようにして高速で間合いを広げ、浄化の力を宿した護符を投げつける。
 その僅かな隙を突くようにして玄が巌との間合いを詰めた。
「小賢しい!」
 巌は護符が貼り付く前に爪で切り裂き、勢いのままにミレルに鋭い拳を突き込む。
(こうなったら、悪足掻きよ!)
 ミレルは巌の拳に全身を砕かれるような痛みを覚えながらも、彼の霊力に干渉し玄の幻覚を見せた。
 巌ほどの手練れならば、本物の玄が間合いを詰めている事にも当然既に気付いている。
 そして、玄ならば仮に一気に距離を詰め巌の前に出てきてもおかしくはない。
 ミレルが見せた幻覚は、玄の実力を警戒する巌には効果があったと言えよう。
 一瞬……ほんの一瞬巌が戸惑ったかのように見えた。
 この一瞬を逃すまいと、玄は巌に急接近して腕を取り豪快な投げ技を繰り出す……が。
「師範自らお出ましとは、ご苦労なこったぜ」
 派手に地面に叩き付けられたにもかかわらず、巌は全く効いていないといった様子でニヤリと笑い、四つ腕の一本を倒れたミレルに向け衝撃波を撃とうとした。
「させん!」
 玄は巌から離れると、素早くミレルを抱えて退く。

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