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巌からの挑戦状!

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巌からの挑戦状!
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闇の術者 2


 入れ替わるように【花千本槍】の信道 正義が跳流駆で接近してくる。
 離脱した凛音とアヤメのことを気にした様子もなく、今度は正義が挑んでくるのを知ると闇の弾丸を雨のように降らせ正義の移動を妨害する。

「距離が空いてる以上、巌の相手は向こうの連中に任せることになるが……俺たちにやれることをやるだけだ」

 巌と六禁の鎧衣の術者、正義はこの手の敵は嫌いじゃなかった。
 何の加減もする必要なく戦えるからだ。
 そしてやることはとてもシンプル。
 術者を倒して六禁の鎧衣を形成する結界を解く。
 そのひとりである闇の術者を選んだまでのこと。
 纏火で炎を蒼碌【蒼碌】に纏わせて斬り付け、追撃には纏火・遅裂きで押し込む。

「精神攻撃って実はあんまり好きじゃないけど、やるしかないね……」

 正義と連携するようにエル・スワンが五星流壱ノ型・朧月夜で霊力を乱し離環で受け流していく。
 巌にしても次々に里の妖怪たちを平気で殺していくことのなんと惨いことか。
 何としてでも止めなければと心に決めたエル。
 気になるのはルシア・エルシオがどの術者を選ぶのかということ。
 彼は三井流であるから、相性的には風の術者のところが一番やりやすそうだとエルは考える。
 いずれにしてもやることは変わらない。
 できれば戦闘が終わったらもう一度だけ話をしたい。
 そう思うのはいけないことだろうか。
 ほかの【花千本槍】も気にしていることはエルも気づいている。
 だからこそ、チャンスがあればいいのにと願ってしまう。
 その願いが通じたのだろうか。
 正義とエルが攻めあぐねているとルシアが剣で三井流参ノ型・天昇を繰り出し割り込んできた。
 抜刀と同時に爆発した霊力の爆風が追い風となって術者を切り裂いていく。
 だが、切り裂いたのは地面から起き上がった影の方。

「チッ斬ったのは影の方かよ」
「ルシアくん? なんで……」
「なんでここにいるかって? キミがコイツを狙ったからに決まっているじゃん。なに、なんか文句でもあんの」
「だ、だって……ルシアくんなら風の術者に行くもんだとばかり」
「ハァ? 勝手に決めつけないでくれる?」
「ご、ごめん……」
「なんで謝るんだよ。オレが三井流だから風の術者って考えなら、キミは五星流、狙うなら闇の術者って子供でもわかることじゃん」
「それはそうだけど」
「あーもう! 面倒くさいなぁ! 単純至極、コイツをどっちが早く倒せるか勝負しようぜ」
「しょ、勝負……?」
「話してても埒が明かないんだよ、キミと話していると。今はコイツを倒す、それ以外にすることはないじゃん」
「あっ……」

 エルが事が終わったら話がしたいという前にルシアは雷光閃で速度を上げ2つの剣で斬撃を放つ。
 話がまとまらないまま勝負が始まり風を操りルシアが果敢に攻めてく。
 暗闇に閉じ込めて視界を遮られてもルシアは止まらない。
 心円で霊力を感知し視野を奪われても太刀筋は衰えない。

「あの少年……ルシアと言ったか。エルと顔は似ているが、雰囲気はやはり少し違うな。……と、いかんな。今はとりあえず目の前の相手に集中だ」

 霊断していたベルナデッタ・シュテットが杭撃を仕掛け常夜煙管を突き刺そうとするが再び闇の壁に防がれる。
 即座に千羽矢の春驟雨で破壊されるとしても、一撃を無効化されては奇襲による一撃は無に等しい。
 闇の弾が尽きることはなく、接近することも難しい中、ベルナデッタは正義と手を組み攪乱部隊として霊子噴進靴の加速状態で跳流駆を行うことで狙いを分散させる。
 影分身も出すことで紫陽花の存在に気づかれ難くし中心部の刃を内部に入り込ませ肉をえぐっていく。

「皆さん、負傷を気にすることなく攻めに転じてください。傷はわたしが癒しますから」

 納屋 タヱ子が術者につけられた傷を輝麗錫杖【輝麗錫杖】から霊力を散布し癒しの霧を展開。
 散布した霊力では足りない負傷者ならば気吹で回復させる。
 後方支援に徹するタヱ子がいるからこそ、他の仲間は五星流弐ノ型・胡蝶を狙うことができた。

 術者からしてもタヱ子のような存在は鬱陶しいだろう。
 感情がなくても傷を与えた者が何度も息を吹き返しては攻撃を繰り出してくるようでは巌の六禁の鎧衣を保つもの大変なことである。
 六禁の鎧衣の術に集中したい。
 そう思うくらいの感覚は術者にもあった。
 まだ小さく感情というにははっきりした自我ではないが、与えられた使命を全うしようとする気概を感じられる。
 だからこそ、回復手段があるタヱ子は邪魔でしかない。
 着実に仕留める。
 術者がタヱ子に迫るとタヱ子は輝麗錫杖でバッシュガードし桔梗印の護符を持った手で五星流弐ノ型・胡蝶を行う。

 胡蝶が見せた幻は、人間たちが自分に向けて攻撃をしてきたのを耐え切れず打ち負けるというもの。
 使命を邪魔立てする人間の攻撃がすべて重く、痛く感じられる。
 なぜ……どうして……人間の攻撃がこんなにも痛い。
 耐性をつけた身体ならば、術という術はすべて軽減されるはずなのに。
 闇の壁が全てを遮断し、それを破ってくるような攻撃にも耐えうる身体にしたというのに。
 なぜ。
 なぜ。
 闇の弾も拳も人間には届かず打ち消される。
 それができるのは自分の方だったはずなのに。
 この世界はどうなっているのだ。

「使えるものは何だって使ってやるさ。俺は俺の思うまま、世界を救う」

 戸惑い混乱している隙に正義は蒼碌【蒼碌】に霊力を吸わせ凍結させにかかった。
 今回ばかりはルシアにいい所を取られたくない。
 前の戦いのようにエルとルシアに助けられるような男にはなりたくない。
 先輩としての意地のようなものだ。
 先輩らしくきっちりキメてやりたい……単なる格好つけであっても。
 エルとルシアは同じような顔をしている。
 そんな二人に格好悪い姿は余り見せたくない、所詮プライドというものかもしれない。

 胡蝶で揺らいだ闇の壁を越えて冷気が表面の肌が凍てついていく。
 その痛みに意識が戻った術者が見たのは影分身で挟撃し黒鉤縄で捕縛しようとする正義の姿だった。
 寒さで固まった足を無理やり動かし黒鉤縄を避けるが、ルシアが三井流壱ノ型・木枯で態勢を崩し、エルが夢俔の緩急で接触すると何度目かの幻に誘う五星流弐ノ型・胡蝶に捕らわれる。

 エルの見せる幻はタヱ子の幻と似て非なるもの。
 今までどんな攻撃でも耐えてみせた身体の耐性が一気に剥がれ落ちたもの。
 守りの壁が破壊されるもの。
 理由なく打ち負けるもの耐えがたいが、信じていた守りが崩れ、弱る自分を見せつけられるのも耐え難いものだった。
 ありえない世界が目の前に広がっている。
 それが嘘の幻だと分からずに。

「行くよ、ルージュ」
「えぇ、行きましょう。優!」

 ルージュ・コーデュロイの霊気ブラン【霊気ブラン】を分けてもらい飲み干す優・コーデュロイ
 透霊の白無垢姿に寒菊のかんざしを挿したその下には導霊隊服を着こんである。
 ルージュも緋法衣【緋法衣】を着こみ、耐性面を強化した状態でこの場に来ていた。
 優とルージュは五星流壱ノ型・朧月夜で霊力に干渉すると、ルージュが絣の祝詞を紡ぎ始める。
 エルの幻覚にルージュの祝詞が加わり術者の精神が乱れていく。
 優が夢俔で氷月【冬霧】を斬りつけるのに合わせてルージュは浄火の大弓を射っていく。
 守りが崩れるのは幻か現実か。
 その境目が分からない術者に由梨も五星流壱ノ型・朧月夜で干渉し、3人がかりの干渉によって意識が揺らぎ続ける。

「う、ぐぅっ……姐さんが与える、救いの心……芯まで届いてくれよ」

 毒に侵されながらも壱与は結鏡の印を結び霊符を投げ放つ。
 互いに移動可能な窓を作り出すと由梨は結鏡の印に飛び込んだ。
 壱与の霊子技術Ⅱを活かし、霊子端末壱号を最大限に活用することで整備した霊子噴進靴を噴射させて。

「弱い心を救い、闇を捨て去る優しい幻を見せてあげる」

 ショートカットで現れた由梨が五星流弐ノ型・胡蝶を飛ばせる。
 闇に包まれた術者へ差し込む優しい光の筋を見せる幻を。
 希望の光を。
 たとえ幻であっても見えた映像は希望となる。
 救いの光となるだろう。
 胡蝶に捕らわれた術者へ優が雪月落葉が叩き込まれようとした時、無意識か影が意志を持ったのか術者を守る壁が現れる。
 その最後の壁はルージュが祓行灯【祓行灯】を解放し春驟雨が放たれたことで打ち砕かれてしまう。
 それだけに留まらず燃え上がった炎によって高められた光の槍が闇の術者を貫き地面に突き刺さった。
 光に包まれ影が細くなるように闇の術者は形を保てずに光に溶け込むように消えていく。
 まるで由梨が見せた救いの光に導かれるように。

「あー決着はつかないか」
「あの、ルシアくん……」
「なに。用は済んだでしょ。これで六禁の鎧衣の術は解ける。あとは何をするっていうのさ」

 今にも帰りそうなルシアをどうにか呼び止めたいエル。
 なかなか言葉が思うように出ないのを助けるようにタヱ子が言葉を投げてくれた。

「ところでルシア君……ルシアちゃんだったらごめんなさいね。ルシア君はエル君と瓜二つに見えますけれど、生き別れの兄弟だったりはしませんよね?」
「なんでさ」
「ちょっとふたりの関係を見ているとぎこちない部分というか、ルシア君がエル君を避けている部分があるような気がして……ほら、こうして闇の術者も片付いたようですし、教えてくださればなぁ、なんて」
「オレは男だよ。避けてるというか、似てるから驚いただけだし」

 ツンとそっぽを向くルシア。
 会話を切り開いてくれたタヱ子に感謝しながらエルが会話を繋げる。

「どうしてオレたちふたりがこんなに似てるのか分からないけど、でもきっと、オレたちが似てるのにはなにか意味があるんじゃないかな。ルシアの助け方と、オレの助け方はきっと違うけど。ふたりの力が合わされば今よりもっと沢山の人を救えるって、そうは思わない?」
「そう、だな。痛いのは懲り懲りだが、それ以上に人が傷つくのは見たくないからな。オレはもう少し修祓隊にいるから、協力できることがあれば協力するぞ」
「ほんとう!? ふたりで頑張ろうね!」
「い、や……協力できるときだけ。協力できるときだけだからな。キミとセット扱いなんてされたくないし」
「えーそうなの」

 しょんぼりするエル。
 それに言葉が詰まったルシア。
 本当にふたりは似ていた。
 エルがポニーテールなら、ルシアは男の子っぽいミディアムヘアという違いはあるが、フードで顔を隠さなければそっくりである。
 これ以上は話をしていられないとばかりに話を切り上げたルシアはフードをかぶり顔を隠すとこの場から走り去っていった。

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