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巌からの挑戦状!

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巌からの挑戦状!
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闇の術者 1


 六禁の鎧衣によって我が道を行く巌。
 里の人たちを一人一人殺していくなど、これ以上許すものか。
 遠近 千羽矢の心は燃え盛っていた。
 五星流の隊士の一人として。
 師範の分まで、千春や、里の人たちを守ってみせると心に決めて。
 先に待つどんな絶望も焼き祓い、未来への希望の灯火とする――千羽矢が目指す弓使いのあり方に、近づくために。

「私も“武神”と呼ばれた身である以上、攻め入る策を卑怯とは思いませんわ。……ですが、一方的な蹂躙などという“華”のない戦は好みませんの」

 太刀茂 花雪は偉人である。
 互いの弱さを曝け出し、抉り合う……苦痛を堪えながらも立ち上がる姿こそ、戦いの場においてなによりも美しいものだと信じている。
 だからこそ、六禁の鎧衣は無粋でしかない。
 早々に脱ぎ捨ててもらわなければ。
 神州での初陣、見事戦果をあげて進ぜよう。

「……チィ。怒る、してる。めらめら。ぱちぱち。真っ赤な炎、みたい」

 アリステア・C・ヴァルプルギスは千羽矢のための青い薔薇。
 千羽矢の願いを叶えるためにここにいる。
 それはどこの世界に行っても変わらない。

「だから。チィが嫌いなもの。怒らせる、するものは。全部、ボクが食べる。してあげる、ね」

 妖幼の風向で闇の術者を探し始めるアリステア。
 花雪の持つ霊子端末壱号を借りて掲示板からの情報も集めて場所を特定すると、千羽矢と花雪に伝えアリステアたちは移動を始めた。
 それよりも早く見つけたのは霊視グラスをかけたエリカ・クラウンハート
 エリカは術者を見つけると輝麗錫杖【輝麗錫杖】から霊力を振りまき八乙女舞を踊りだす。
 霧のように撒かれた清浄な霊力が広範囲に広がるように舞襷を揺らし神に奉納を捧げる。

 闇の術者は前下がりの形をした漆黒の髪は切れ長の瞳と相性がよく、スレンダーな身体からは性別を判断するのは難しい。
 髪と袖を切り落とした服は純黒だが、肌は人外じみた白さをしている。
 細くしなやかな肉付きは女性のようだが、肩幅や腰つきは男性のよう。
 ひどく中性的な姿をしたマガカミだった。

 霊的に干渉してくるこの霧を嫌そうに見る闇の術者を桜花翠嵐・改で観察するのは西村 由梨
 優れた審美眼は共感覚により相手の心情を色として捉え、意思を受け止めるが、この術者からは明確な意思が感じられない。
 嫌そうな視線、表情を浮かべるが、それが邪魔くさいのか鬱陶しいのかはっきりとした感情が色として見えてこない。

「(まだ感情が育ち切っていないのね)」

 由梨の流派は五星流。
 その根源と考えるものは「救い」である。
 治療そして浄化、心を守り救うための精神干渉もすべては「救い」から生まれるもの。
 如何なる相手であろうとその意志を受け止め、本質を見て惑わされない精神力……それこそが由梨の生き様、そして矜持なのだが感情が芽吹いていないこのマガカミにも救いの手を伸ばせるのだろうか。
 巌は虚飾の鎧に身を包み、高笑いまでする感情あふれた存在。
 全くもって無粋だ。
 戦いは成すべきことを為すための手段。
 それがわからないのであれば、勝ち戦しか楽しめないだけのただの愚物。
 鎧を剥いだ愚物の中身、その本質を見せてもらう。

 鎧を作り出す術者を桜花翠嵐・改で覗く先。
 相手の感情の動きは感じ取れない。
 それ故にこちらの存在をどう捉えているかも分からない。
 不安もなければ自信に満ちた感情もない。
 揺らぎのなさに余裕など心情を把握することもできず、そこから行動予測することは困難に等しかった。
 眉を顰め、不機嫌そうにエリカを見つめた術者は毒が込められた闇の弾を放つ。

「勝つために何でもするというのは大したものだ……だが、美しくないな。そこは姫さんも同じなようだな。そのために利用された君はとても可哀そうだと思うが。里のためだ、悪く思うな」

 高天原 壱与が跳返の印で弾き飛ばす。
 禍々しい弾が印によって潰れ跳ね返った先を見てしまうのは仕方がない。
 放った相手に当たったかどうか確かめなければ次に移れない。
 跳ね返った先にはすでに術者はいない。
 それよりも前に壱与に接近していたのだから。
 闇を纏った拳に気づいた壱与が氷牢の印で足止めするが、沸き起こった闇の壁に遮断され効果がかき消される。
 もう一度跳返の印を結ぶが印を打ち破って拳が壱与の腹部にめり込んだ。

 しみ込む毒の瘴気を感じながら吹き飛ばされた壱与に興味を無くし、今度は霊力を振りまき踊るエリカに狙いを定めた。
 観察する由梨はまだ仕掛けていないこともあり、優先度が低かったようだ。
 闇の弾を放ち踊りをやめさせようとするが、エリカはチャンプムーブで弾を避け踊り続ける。
 ギリギリだろうと当たらなければどうってことはない。
 異世界のスキルだろうと使えればそれでいい。
 エリカは巫僧であるのだから。
 拳に闇を纏い接近してきても焦りはしない。
 輝麗錫杖で搦返し、受け流しからのカウンターで五星流弐ノ型・胡蝶を発動。

 瘴気ともなる毒の闇。
 それを纏った拳が当たれば身体を蝕む毒となる。
 それはエリカの胴を捉えた。
 だが、そのエリカは桜の花弁となって散り消える。
 どこに消えたのかと探せば、別の場所で踊っているではないか。
 そのエリカにも拳を叩きつける。
 それすらも桜となって消えてしまう。
 なぜ、当たらない。
 なぜ、人間が花弁になって消えるというのだ。
 戸惑い、だが殴らなければ人間は倒れない。
 六禁の鎧衣の術を送るには、妨害してくる人間を始末しなければ安心して術に集中できない。

 胡蝶に捕らわれた術者は殴っても花弁となって消えるエリカに惑わされた。
 現実ではチャンプムーブと搦返しで避けたところにカウンターを入れているだけなのだが、それは術者の意識の外である。

「皆の力を活かし、繋ぐこと。それが、アヤメの役に立つために、我が成すべきこと!」

 幻覚から抜け出さないうちに打って出る。
 そう決めて行動を起こしたのは【風雅乱舞】の一・アサギリ
 コールドリーディングしたことで術者の手札から動きを読み、エリカの幻覚の上から円爆符・絆【球爆の御符】で八重山吹を散乱する。
 エリカの幻覚から抜け出した術者の視界が覆われ、霊力からも辿れなくした状態で霊子噴進靴で加速しすると玉鋼符で魂奪を行った。

「闇の人……死んだ事は有りますかぁ? アレは冷たくて……痛くて……想像出来ない程苦しいんですよぉ……こんな風に~」

 霊力を奪われたことに反応を示した術者へ今度は忌ノ宮 刀華がサイコプレッシャーを与えていく。
 魂奪が戻る方向へ腕を伸ばした術者であったがプレッシャーから空を掴む。
 空振りを誘発させた刀華は機巧霊時計で加速し纏火・刃桜を黒時雨に纏わせ放つ。
 だが、幻覚の世界に惑わされなければ対応はできる。
 発生させた闇の壁が刃桜を遮断。
 青白い肌に傷はつかない。

「これでも五星流の端くれじゃが……白兵戦が得手とは決して言えぬ……故のこの策じゃ……必ず、妾なりの仕事はして見せる……協力頼みましたぞぃ……」

 闇の術者を見つけ出す前、高橋 凛音は確かにそう言っていた。
 厳の鎧衣を無効化するためにも六属性全て何とかせねばならないから、と。
 五星流を学んで居る凛音がどうにか太刀打ちできそうなのはこの闇の術者だからだ。
 闇の術者に一矢報いるため。
 闇の術者を倒すために立ち上がったのは【風雅乱舞】だけではない。
 師匠である千羽矢や頼りになる由梨がいる。
 たとえ託す事に成っても全力を尽くすにふさわしい相手だった。

 一の八重山吹や刀華の纏火・刃桜に続くように、シュヴェルトライテの鎧の上に厄除懐中合羽を羽織った凛音は走るように翼を羽ばたかせ接近。
 輝麗錫杖を手に殴りかかる。
 何の変哲もないただの横薙ぎは闇の壁に阻まれ、その状態のまま背後に闇の腕が出現する。
 握りしめられそうになるが幻影の翼で回避。
 翼の羽が落ちる中、闇の壁はすべての力を遮断し主を守り抜く。

「さて……これから我慢比べのしどころですね……」

 凛音の陽動の後ろではアヤメ・アルモシュタラが胡蝶蘭【久重式霊子回転拳銃】を忍ばせ、隠蓑笠で見た目を、霧隠で気配を、睦美流壱ノ型・音無で音を消しチャンスを窺っていた。
 無意味ともとれるただの打撃でしかない凛音の杖術と、いつ闇の手に握り潰されるか分からない状況に心が辛くなるが、それでも凛音の合図があるまでは耐え忍び続けなければならない。
 奇襲というのは耐え忍ぶもの。
 主の苦戦を見続け、機を掴むもの。
 アヤメは耐え続けた。

「闇の壁がなんじゃ……妾はまだ、このように立っておる……じゃが、無駄に浪費はしたくないものよの。闇が苦手とするは、光。光が注げばきっとこの壁も取り払われるであろうに……口惜しいの」
「……五星流中伝、遠近千羽矢。推して、参る……!」

 無駄ともとれる白兵戦を続ける凛音の耳に風に乗ってそんな声が運ばれる。
 それは大切な師匠の声。
 この場を切り開く一射となる矢を射ちし者。
 清浄な霊力によって形成された光の槍を放ちし者は凛音の師である千羽矢のもの。
 闇の壁に向かって放たれた春驟雨。
 浄火の大弓によって光の槍は射抜かれ闇の壁を破壊した。

「……ぜんぶ、ぜんぶ。永遠に、凍っちゃえ」

 無防備になった術者をアリステアが《四季符・冬》白姫【四季符・冬】で氷牢の印を結ぶ。
 遮断するものがなくなったことで冷気が術者を包み込むが凍結には至らない。
 薄く張った氷を剥がし抜け出してしまう。

「“武神”の力、とくと味わうがいいですわ」

 氷牢の印から抜け出す術者へ迫る花雪。
 接近を許さないとでもいうように闇の弾が放たれるが、橙晶の胸当で形成した盾で離環し、蓮華の白鞘に黒時雨を納め力を解放する。
 抜刀に合わせて影の刃を飛ばし視力を奪うとそのまま雪月落葉に繋げた。
 一が再び円爆符・絆【球爆の御符】で八重山吹を散乱すれば、花雪の雪月落葉避けられない。
 流し込まれた霊力により内側から凍り付くような冷気が広がる。
 それでも堪えた様子を見せない。
 闇の壁が存在しなくても耐性があるということか。
 無効化するのが闇の壁だというのなら、本体にはありとあらゆる耐性をつけたのかもしれない。
 コールドリーディングした一にはそう感じられた。
 流れを読んでいる間にも攻防は動き続ける。
 花雪の雪月落葉の三連打を受けた術者へ、千羽矢が霊子噴進靴で間を詰め五星流弐ノ型・胡蝶に捕らえた。
 幻覚から逃れようと暴れる術者が抜け出す前にアリステアは狩鈴蘭を展開。
 あちこちで咲き誇る花が花粉を撒き始めると空蹴で空中へ跳ぶ千羽矢。

「……全ての絶望を、焼き尽くして。希望を、灯せ。未来を、導け……!」
「“勝利”の美酒を交わすために。この渇きを癒す、甘美な一戦を繰り広げましょう」

 浄火の大弓に番えた矢に火を纏わせ、花雪の纏火・刃桜とタイミングを合わせて上空から乱れ撃ち。
 狩鈴蘭の花粉に引火し劫火を巻き起こす。
 術者が見る大火は現か幻か。
 焼きただれていく肌が痛々しい。
 その痛覚はこの術者にあるのか。
 現世と幻想の狭間にいる術者こそ機ではないのか。
 アヤメにはそう感じた。
 それは凛音も同様だったのか、輝麗錫杖で突貫したのを合図にアヤメは鎧貫を施した胡蝶蘭のトリガーを引いた。
 続けざまに勿忘草【常夜煙管】による不参撃が繰り出され重心がぶれる術者。
 凛音は輝麗錫杖を突き出しセカンドチャンスでバリツで投げにかかるが、アヤメの一撃で目が覚めた術者は投げられるのを堪え闇の弾を至近距離から撃ちだした。
 毒の込められた弾は凛音の身体をめぐり、苦しみのあまり膝をつく。
 解毒のためにアヤメは急いで凛音を抱きかかえると霧隠をして離脱した。
 後を追われないよう睦美流壱ノ型・音無まで使って。

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