■プロローグ■
「そうそうたる顔ぶれだな」
赤兎団所属パーティ『ラビットフット』のレッキスは、集まった団員たちを見て息を呑んだ。
総勢50組。それだけのパーティが団長ユーセイカの下に集っている。
これでもまだ、赤兎の総力ではない。依頼の最中で合流できていないパーティの中にも実力者はいる。
「久しぶりね、ラビットフットのみんな」
「ええ、ご無沙汰しています、パールラビット」
『パールラビット』のハニーに、アンドレが応じた。
「ご無事で何よりです」
「どうにかねー。そっちも……いや、ベアナックルのことは残念だね」
「俺たちがこうしてここにいられるのはアイツが体を張ったおかげだ。
だから……あのトロール野郎を放ったヴェイロン共をぶっ潰す」
クロードが鋭い声で言った。
ここに集まっている者たちは、魔王軍と戦う理由がはっきりしており、覚悟もできている。
「皆さん、団長たちが来ましたよ」
兎耳の男女五人が、団員たちの前に立った。
真ん中には一番小さな、フードを被った女の子がいる。
成人しているが、見た目には幼い。隣に立つクレリックの女性が長身なことも相まって。
平均的なドワーフの女性よりはさすがに大きいが、それでも兎耳がなければ勘違いされていてもおかしくはない。
彼女こそ、赤兎団の団長
ユーセイカである。
そして隣に立つ長身のクレリックが、副団長の
ライラック。通称、ライラ。
「はい、団員のみんな~、ウサ子団長にちゅうもーく」
ライラが目を細め、呼びかける。
(ライラ、団員の前でウサ子呼びはやめないか?)
(えー、大丈夫よぉ。ほら)
団員たちから巻き起こる「U・S・K」コールが、次第に「ウ・サ・コ」へと変化していく。
「ねっ?」
団員たちが異様な熱気に包まれる中、ユーセイカがフードを目深に被り、拡声器型魔導具「猛き咆哮」を起動した。
「待たせたな、団員諸君!
私から君たちに言いたいのは、ただ一つ」
彼女の声には力があるが、それでも「場が温まっている」方が効果が高い。
だからユーセイカは、決して団員の前では弱さを見せない。
顔を上げ、自身に満ちた顔でユーセイカは言い放った。
「勝て! そして生き抜け! 以上だ!!」
■目次■
プロローグ・目次
【3】市民救護(1)
【3】市民救護(2)
【3】市民救護(3)
【3】市民救護(4)
【3】市民救護(5)
【3】市民救護(6)
【3】斥候
【3】魔族戦(1)
【3】魔族戦(2)
【3】魔族戦(3)
【3】魔族戦(4)
【3】魔族戦(5)
【3】魔族戦(6)
【3】魔族戦(7)
【3】魔族戦(8)
【3】陰惨たる領主
【3】暗黒騎士戦(1)
【3】暗黒騎士戦(2)
【3】暗黒騎士戦(3)
【3】暗黒騎士戦(4)
【3】暗黒騎士戦(5)
【3】アーデン候戦(1)
【3】アーデン候戦(2)
【3】アーデン候戦(3)
【3】アーデン候戦(4)
【3】アーデン候戦(5)
【3】アーデン候戦(6)
【3】アーデン候戦(7)
【3】探索
【3】アーデン候戦(8)
【3】アーデン候戦(9)
【3】アーデン候戦(10)
【3】アーデン候戦(11)
【1】最前線を駆れ!
【1】最前線を駆れ!・2
【1】最前線を駆れ!・3
【1】最前線を駆れ!・フライシュッツ
【1】最前線を駆れ!・4
【1】ぱんぷきんすまっしゃー
【1】蜻蛉と蝶々
【1】突き破れ中盤戦
【1】“応援”守護戦線
【1】非情なる“矢”
【1】決死の防衛戦・モデスト・グッド・ピープル
【1】決死の防衛戦・月梟第二班
【1】動き出せ時の閃・リトルフルール
【1】挟撃陣営、監視塔へ到達
【1】四魔将イサカ
【1】手繰り寄せる糸
【1】外壁からの強襲者
【1】故に四魔将である
【1】大橋の奥で
【1】虹の旅人・ソル
【1】虹の旅人・ルナ
【1】月梟・監視塔制圧戦線
【1】月梟・監視塔制圧戦線・2
【1】ローランド華撃団
【1】撤退
【2】より高みへ
【2】コレクション
【2】リベンジ
【2】リベンジ2
【2】リベンジ3
【2】リベンジ4
【2】新たな英雄譚
エピローグ