三千界のアバター

≪フェイタル・ゲーム≫目覚めし者たち

リアクション公開中!

≪フェイタル・ゲーム≫目覚めし者たち
リアクション
First Prev  1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11  Next Last

【十字街に現れた強化フェイル4】


「そこにいたか」
 フェイル感知を働かせて近くにいるフェイルを発見したのは一浜 希だ。先程戦ったフェイルは1体だけだった為、まだある程度の余力を残している。
 フェイルを多く討伐するには連戦も覚悟をする必要があるが、無理をしてしまってはその次に繋げられなくなってしまうだろう。ただ、見付けたフェイルは潰しておかなければいけない。
 姿を隠したりする事が出来ないので希の姿に敵も気付く。もちろん、それは彼も想定内なので暗澹たる告発文と瞬盾の王冠を構えて戦闘態勢へと入った。
 周囲を確認すると近くで戦っている決闘者はいない。もちろん、どこかで戦っている音は聞こえるが理論爆弾を使っての爆風で巻き込まれる事はないだろう。
 まずは敵の出方を見る必要がある、と考えた時だった。敵は魔法をこちらへと放ってくると、距離を取ってくるような動きを取る。そこから考えるに相手は遠距離を主体とした戦いかただろう。
 上手く間合いに入る必要があるので、どうするかを考える。
 こちらが可能な遠距離攻撃は太陽神のレリーフだ。まず力を解放させて炎を放てる状態にする。そして、牽制の為に1度炎を放って攻撃。
 フェイルは炎を避けるように動き続け、希とフェイルがぐるっと一周するようにして動いた。これはある程度広さがあるこの場所だからの行動。
「上手く動いてくれて助かったよ」
 その言葉を希が言うと浮遊していた理論爆弾が爆発する。
 希は相手との間合いを取るといった行動をする直前に理論爆弾を設置。そして、回り込むという同じ動きをする事で、彼がいた場所にフェイルを誘導したのだ。
 爆発によってフェイルはダメージを受けたようだが撃破までには至っていない。接近戦をするのであればやはり間合いを詰める必要があった。
 盾で魔法を受けながらフェイルとの距離を詰めて追い立てていく希。そして、槌の一撃にて地面へと叩きつけた。
「はぁ……はぁ……やっぱ1人はきついな。誰か手伝ってくんないかな」
 深呼吸をしながら希は呟くと再びフェイル感知をし始めるのだった。

 1対3という人数としては非常に不利な状況。しかし、これをどうにか乗り切っている少女エリカ・クラウンハートはこの後どう動くかを考えていた。
 幸いなのは戦っているフェイル3体とも接近戦を中心に攻めてくるという部分。こちらは遠距離攻撃をする術がない。その為接近戦をして来てくれた方が良い。
 エリカは3体を相手にサイトデリートでの武器の発現と消失を組み合わせ、攻撃を見切り回避をするという戦い方をしてきた。しかし、敵の数が多いので彼女の体力も少なくなっているのが現実だ。
「流石に……3体は多かったわね」
 ラストエッジという大剣を持っているが武器の発現と消失を合わせたスキルなので、常に持っていないサイトデリートという技なら片手で扱う事が出来る。ただ、やはり敵の数が多いとなると厳しいのは変わらない。
(ただ突っ込んでは意味がない。しっかり相手の動きを見ながら――)
 サイトデリートを使い続けているとこの後の戦いが危険だと感じたエリカはラストエッジの柄を持つと、横薙ぎに払う。そこから影の刃が発生し敵へと襲い掛かる。
 この攻撃はもちろん牽制だ。相手も接近戦重視ならばこれを回避しながらこちらに向かってこなければいけない。そして、一番最初に接敵した相手へと1撃を食らわせる。
 色欲の性質であるエリカはこの1撃でフェイルに幻を見せつける事で隙を作らせた。そして、1撃を食らわせた剣の重さを変えて一気に押し込みフェイルの身体を切り裂いた。
 通常であればこれだけで倒す事は出来ない。ここまでエリカが複数を相手にしながらダメージを蓄積させていたからこそ、出来た撃破方法だ。
「……あれは」
 自身のフェイルを倒し、次の敵を探していたロウレス・ストレガはエリカがフェイルと戦っている場面に遭遇する。
 1体は倒したようだが、残り2体。その次点でロウレスは元々3体と彼女が戦っていた事を察した。そして、すぐに加勢に入るのだった。
「塵1つ残さず【掃除】してやろう……」
 賢智の擬棍を構えたロウレスはエリカと対峙しているフェイルを後方から襲い掛かる為に回り込む。現状彼女が引きつけている状態だからこそ出来る奇襲。
「人数が多いからと……油断をしているからだ」
 後方から現れたロウレスはフェイルの1体に向けて夜凱鳥を放つ。気付いた時には遅く直撃と同時に爆発を起こすと1体を引き離すかのように吹き飛んだ。
「……向こうは俺が掃除をする」
 そう一言の後に吹き飛ばしたフェイルへ全速力で駆けていく。そして、腐食の泥波を使うことで自身が相手をするフェイルに加えて、エリカに任せてきたフェイルも範囲内に入っており援護にも繋がっていた。
「フン……これ以上やらせん」
 これまでの戦いで敵がダメージを受けている事は分かっている。それならばすぐに殲滅をして消耗している彼女の元へ行った方が良いだろう。
 相手の攻撃を顧みずロウレスは突撃をしていく。それは原点回帰を使用しており、返すタイミングを計っているからだ。
 復讐の牙、藁人形、そして巡礼者の貝殻。相手は攻撃をすれば呪いを受け、そして攻撃を受ける度に相手に返す事が出来るダメージも増える。その間に自身の傷も治癒していく。
「ここだ……!」
 攻撃を受け流した隙をついて一気にカウンターで攻撃をする。復讐の牙にて受けたダメージを相手へと返すことでフェイルが大ダメージを与えられた。
 敵の撃破を確認するとロウレスはすぐに引き返す。そして、エリカの治療を行うべく巡礼者の貝殻の力を解放させて治療を行うのだった。

 十字街にある建物。比較的高い場所へと上がっている人物がいる。それは壬生 杏樹、そしてヨウ・ツイナサジー・パルザンソンフォルティス・ワーラインの4人だ。
 ヨウ、サジー、フォルティスはコミュニ・セラフのパートナーではあるが、今回彼女はこの作戦に来てはいない。そういった理由でここには3人しかいない。
 それぞれ杏樹がハイ・アタックを駆使しながら飛び移れる建物を移動し、現在の屋上へとやってきた。そして、ヨウもまた高い建物から高い建物へと移りながら移動。その際にサジーを途中の建物に置いておき、フォルティスをコールオーバーにて引き寄せる。
 こうして出来た射撃の布陣がナギサとエリザを囲むようにする布陣。ここから4人は近づいてくるフェイルへと向けて射撃をする手筈になっている。
 準備をするまでに時間が掛かってしまったが、逆に準備をしっかり行った事で地上にいるフェイルを狙い撃ちしやすい場所に陣取る事が出来たのだ。ただ、空中に飛ぶことが出来るフェイルの対処は各々しなくてはならないので、そこは警戒しなくてはいけない。
 そして、このチームの攻撃の合図は『爆発』だ。それを行う人物は2人。
「今だ」
「よっしゃ、やっとだな! やってやるぜぇ!」
 フォルティスがサジーへと合図を送ると、それに気付いたヨウも敵へと向けて、それぞれ吠エアゲル『憤怒』ノ銃と噴出ス【憤怒】ノ銃を向ける。
 ここで外すわけにはいかない。ヨウとサジーはエイムショットでしっかり狙いをつけてフェイルへと撃ちこんだ。そして、互いに憤怒の性質を持っている為、着弾と同時に爆発を起こす。
 爆発の合図で動き出したのは狙撃の者たちだけではない。地上でこの作戦を行う水瀬 茜ブランク・ストラテゴスもまた動き出した。
「やっぱり、包囲しているとはいっても2人の所に行ける場所は存在しちゃうよね」
「そうだな。上からの射撃。周囲で戦っている者。爆発を合図にフェイルを一気に掃討したいところだが……考えて動かなければいかんな」
 合図があるまで建物などの影で様子を窺っていた2人は今後どういった動きをしなくてはいけないかを確認した。
 屋上にて狙撃をする者たちはナギサとエリザがいる場所を包囲する形を取っている。そして、近づこうとしているフェイルを狙う事で近付かせなくさせ、自分で撃破もそうだが地上にいる決闘者に繋げていくもの。
 ただ、必ずどこかに穴は存在する。それを埋めるようにしてフェイルを倒していかなければ、ナギサとエリザにフェイル達が多く引き寄せられてしまい危険だ。
 これをどうにかしながら茜とブランクは動く事にする。
 屋上にいるとはいえ十字街での建物の影や路地など全てを網羅は出来ない。まずは路地裏へと入ることでフェイルを探し始める2人。
「見付けた!」
「やはりこういう所にも敵はいるな」
 狙撃する者達から見えない場所。そこにいたフェイルは2体だ。迅速に倒しつつ狙撃チームのカバーをして行く必要がある。
 グラビティフリーを使って壁を蹴ったりなどの重力を緩和した動きでフェイルを翻弄しながら間合いを詰める。茜は白刃持ちし結束の装飾剣を、ブランクは断罪の塊剣と接近戦をする為の武器だ。攻撃出来る射程に入れながら、遠距離攻撃をしてくる敵に捕捉されないように足を止めない。
 別方向へと分かれた茜とブランク。感覚共有をしながらお互いの状況を把握しつつ、各個撃破に向かう。
 フォーフォールドにて武器を4本発現させた茜は狭い通路を利用しながら上下左右と動き回りながら攻撃。そして、1度攻撃を加えた時に消失と発現を繰り返す攻撃で一気に畳みかけていく。
 ブランクもまた茜からのスキルトレースでサイトデリートを使えるようにしているので、敵の攻撃を躱し、見切りながら武器の出し入れによって攻撃。
「相棒、上だ」
 ブランクの言葉に茜は上を見上げると、建物の間からフェイルが壁伝いに移動している所が見える。誰を狙っているのかは分からないが、ここから先に行かせない方が良いだろう。
「投げて!」
「分かった、下は任せておけ」
 ブランクは茜を持ち上げると敵へ向けて投げつける。高所への攻撃はハイ・アタックを用いていく手段。そして、ブランクは言った通り先程自分が相手をしていた者と茜が戦っていた2体を相手をし始めた。
「上手く地上の2人はやってくれているみたいだな」
 板額弓を構えたフォルティスがそう言う。
 抜けが出てくるのは指示を出しているフォルティス自身も分かっている。共闘をしたいという宣言はなくとも、こうしてフェイルを倒したいという決闘者が集まっているこの場所では『共闘』の形になるのだ。
 味方を狙っているフェイルを見付けると弓を構え必穿の心での精神でしっかりと狙いを定める。板額弓は1度だけ軌道を曲げる事が出来るが、それを使う必要が来るまでは温存をしておきたいと彼は考えている。
「皆はどうだろうか」
 一矢放ち敵を撃ち抜いたのを確認すると別の場所にいるヨウ、サジー、杏樹の姿を確認する。別々の建物にいるので遠くからしか見えないが、攻撃をしているという事は分かる。
 フォルティスはヨウやサジーと感覚共有をしておくことによって状況の把握も容易だ。
「吹っ飛べ! どんどん吹っ飛べ!」
 サジーの銃は着弾するのと同時に爆発を起こす物。合図として使い、それでいて強力な武器だ。的確な射撃が可能となっている彼はフェイルへ弾を撃ちこみ爆発で大ダメージを与えていく。
「お、良い所にいるじゃねぇか……!」
 彼がいる屋上から少し離れた場所でフェイルと戦っている決闘者の姿が見えた。ここからならばプレッシャーをかける範囲に入っている。
 サジーはサイコプレッシャーを放って攻撃しようとしているフェイルへ揺さぶりをかける。そのせいで屋上にいる事に気付かれるが、正確な射撃で攻撃。爆発にて吹き飛ばした。
「流石でござるな」
 敵を攻撃しているサジーを見ながらヨウはそう呟く。もちろん、彼女もここまででフェイルを攻撃しダメージを与えたり、弱っている者は撃破する事が出来ていた。
 サジーとは違いヴィガースーツを着ているので攻撃された方向に気付かれても、ヨウが見付かる確率は少ない。彼よりも見つかりにくい状況での射撃と言えるだろう。
「向こうは3人が頑張ってくれてるみたいだね」
 杏樹は1度場所を移動する為に立ち上がっていた。周囲を警戒した後に状況を確認すると、別の建物へと移動を始める。ハイ・アタックでのジャンプで移動する事はもちろんだが、広角視野で周囲を見る。
 途中で漏らした敵などを見付けた場合は飛び移った建物の上から敵を狙撃。機巧弓【アルテミシア】の威力を持って敵を貫いていく。
 比較的近い敵はもちろんだが、弓の性能で通常の物よりも射程距離が長い。2本の矢を扱えることに加えて月夜の篭手を用いて更に2本。そして、ブランクの力を借りてシーアルブレイズをも駆使していく。
「敵はまだまだいるね。どれだけいるだろう」
 高い場所だからこそ見える物。敵がいる場所を探しながらどれだけいるのかを考える。しかし、今はフェイルを撃破する事によってナギサとエリザの負担を減らす必要がある。
 狙撃チームと地上チームに分かれた彼らは懸命にフェイルの数を減らし続けるのだった。
First Prev  1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11  Next Last