クリエイティブRPG

≪フェイタル・ゲーム≫覚醒する偉能力(ちから)

リアクション公開中!

≪フェイタル・ゲーム≫覚醒する偉能力(ちから)
リアクション
First Prev  6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16  Next Last


【クロノミーティア】


 セクターKの郊外に位置するとある広場に四人はいた。サイレンが鳴り響き、今まさに戦闘領域の境界が狭まっていることを知らせていた。
「いろいろ可能性を試すのは良いですが、非人道的なものは容認しかねますね」
「ソロウといいウォルターといい色々な実験しているわね、まったく」
風間 玲華ミモザ・アルティストはため息をついて実験への非難をこぼす。
「時間が経てば経つほど実験体がおかしくなる、ということは放っておくこともできませんね」
「もちろん、俺らが止めてやるんだぞ」
風間 那岐朽木 猛が準備運動をしながら今回の作戦について話していた。
「今回私達は実験体の中でも暴走した敗者の撃破および無力化を主目的にしたいと思います」
 那岐が三人にそう話す。玲華は神妙な面持ちで賛同の意を示し、猛・ミモザも快くうなずいた。
「戦闘に関しては那岐と猛さんが前衛、自分とミモザが後衛でよろしいでしょうか?」
「問題ないけど、アタイは近くにいるフェイルの対処を優先するわ。もちろん玲華がアタイの力が必要だろうから、その時は言うのよ」
「わかりました」
「間違いなく強敵です。油断しないで行きましょう」
「俺も皆と連携して効率よく、短期決戦のフォローをしていくぞ」
 四人は肩を組んで円陣を作る。そして敗者との戦闘に向けて息を合わせた。


 ◆◇◆


 少し歩いて、四人は大通りに出た。その大通りはセクターKの中心部へと向かう道だった。そして四人の前には一際大きなフェイルがいた。それの周りには小さなフェイルの群れがいた。
 ふと違和感に気付いた。それはそのフェイルが他の個体と異なるところだ。大きさ、仮面の色。
「あれは……何をしているのでしょうか?」
「フェイルのど真ん中で大きなフェイルが何やっているんだろ?」
 玲華とミモザが首をかしげた。そして次の瞬間、断末魔とも呼べるような叫び声があたりに響いた。その声の発生源はその真ん中にいる一際大きなフェイルだ。
 真ん中にいたフェイルが喉を掻きむしる。まるで中で暴走しているものを抑えきれていないようだった。
「あれがもしかして……暴走した敗者……」
 四人は絶句しながらそれをただただ見ていた。
 普通のフェイルとは異なる何かが発する強大な殺意や覇気に気圧されてただただ呆然と見ていることしかできなかった。周りにいるような通常のフェイルとは異なり、その仮面にはヒビが入っていた。
 暴走、という単語に覚悟はしていたものの、四人は信じられないようなものを見る目で暴走した敗者を眺める。
「暴走を、止めましょう」
 沈黙していた四人の中で最初に声をあげたのは那岐だ。
「もしかしたら戦うことで『壁』を突破できるかもしれませんし、それに暴走を止めなければいけません」
「……そうですね。全力で止めましょう」
 玲華も立ち上がると自身の指にはめられた指輪を撫でた。
 他の三人も立ち上がると各々の武器を構えた。そして暴走した敗者を助けるべく、駆け出した。


 那岐は宙を舞っていた。グラビティフリーによって軽くなった那岐と猛は立体的な挙動で暴走した敗者を翻弄していた。それは敵を倒すためではなく、ここから先へと進ませないことが目的だった。
「ミモザ!」
「玲華!」
 ミモザと玲華は背中を合わせてフェイルの群れのど真ん中にいた。追い詰められたわけではなく、追い詰めようとしているのだった。
 フェイルが油断した矢先、突然二人の周りの地面が隆起した。思わぬ現象にフェイル達は体勢を崩し大きく隙を作った。
「今よ、玲華!」
「はい!」
 二人はまるで踊るように攻撃を始める。背中合わせのままミモザは彼女の武器である巻物を開いた。開いたそれを思い切り横に薙いだ。偉能力のこもった巻物にあたったフェイルの群れは軽く吹き飛ばされてしまう。
 二人は大きめのフェイルに向けて同時に攻撃をかました。ただの攻撃なら対して脅威ではなかっただろう。しかし互いの偉能力が呼応した結果、大きめのフェイルを凌駕する強さとなっていた。また、追い打ちをかけるかのごとく圧縮した空間を玲華が敵めがけて発射する。
 フェイルの群れは瞬く間に吹き飛ばされ倒されていった。
「そっちに行くぞ!」
 ひときわ大きく猛の声があたりに響く。あわてて玲華はグロウシールドを構えた。すぐ後にシールドにものすごい勢いで衝撃波が飛んできた。
「大丈夫でしたか!?」
 四本の剣を展開させている那岐が心配そうに玲華とミモザに声をかけた。ミモザの聖人の欠角によって高められていた防御力によって少し掠めたものの、大した傷ではなかった。大丈夫、と二人は目くばせをするとターゲットをフェイルから敗者へと変えた。
「俺の仲間に手を挙げるとは、良い度胸してるな、お前」
 猛がウィスパードを上手に構えた。怒りを覚えている目をしているが、それを上手く抑え込み代わりに力に変換していった。フルムーンチャームがきらりと光った。
「食らえ!」
 怒りが増幅させた渾身の一撃が暴走した敗者へを襲った。おもわぬ一撃に暴走した敗者は大声で鳴くとそこから逃げようとする。
「させません!」
 いつの間にか背後に回り込んでいた那岐がその場に暴走した敗者を留める。四つの剣は暴走した敗者の攻撃を辛くも防ぎ、そして斬り刻んだ。
「まずいわ! 境界がもうすぐ来るわよ!」
 ミモザが大声を上げた。ふと見れば、戦闘領域の境界はすぐそこに見えていた。
「全員で決めましょう!」
 那岐が叫んだ。それに応えるように四人一斉に暴走した敗者へと駆け出した。
 那岐は四本の剣を投擲する。猛は怒りを込めた一撃を向ける。玲華とミモザは背を合わせて踊るように暴走した敗者へ近づく。ミモザは巻物を、玲華は圧縮した空間を暴走した敗者へと向けた。
 一撃。
 四人の一撃が暴走した敗者を襲った。
 パリン、と暴走した敗者の仮面が割れる。しかし暴走した敗者は止まらない。大きな雄叫びを一つあげる。大声をあげて飛翔するとその場から離れようとする。
「させるか!?」
 しかし猛の攻撃は届かない。暴走した敗者は戦闘領域の境界から逃れるべく飛翔し、去った。
 肩で息をする四人はそれを呆然と見上げ、そして戦闘領域の境界がその場を通過した。


First Prev  6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16  Next Last