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【覚醒のアーキタイプ】文明衝突トーナメント―決勝戦―

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【覚醒のアーキタイプ】文明衝突トーナメント―決勝戦―
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■手探り状態から■



(勝利君と共闘して、スフィンクスと戦おう。あと、彼について、気になったこともあったしな)
 青井 竜一はやぁ、と叶 勝利に声をかけ、疑問に思っていたことを口にする。
「勝利君、君は本当は偉人となったピサロとの戦いに向かいたかったんじゃないのか? 強くなった今の自分の手で、今度こそイサバさんの仇を討ちたい……そういう思いがあったんじゃないか?」
 そう。青井が今まで叶を見てきて、今回の彼の行動の選択は彼らしくない。想いは力だ。自分の意に添わない行動には力が入らず――な事態を招き易い。それは叶にとっても周りの人にとっても避けたい出来事だ。
「厳しいことを言うようだが。ケチュア会長の指示だから仕方なくこっちに回った……そんな迷いを抱えたままの中途半端な心構えで、戦いを挑んでいい相手じゃないぞ」
 青井の問いに少し困った笑みを零した叶。
「今のピサロはあの時のピサロとは別人だと俺は考えている。だからこそ、そうやって都合よくピサロを再利用してくるシヌヘは危険だと考えてるし、本気で倒そうと思ってる。
 ……でも、ありがとうな」
 彼に気持ちの整理を。と、思っていたのだが――しかし、なるほど。これでは逆にピサロに思い入れあったからこそ、シヌヘに対する熱情が湧きあがっているのだろう。
「いや。余計なおせっかいだったようですまなかった。この戦い、必ずシヌヘを倒そう」
「ああ、必ず」
 青井と一緒に来ているアクリャのジルディーヌ・ベルセネーミラシファー・冴架・アテネメシアは、叶の守護者のアクリャ……マイア、そしてリーゼロッテと言葉を交わす。
 友情を深め合った青井は闘っている守護者クリスタルスカルの元へ応援へ向かう。
「いくぞ」
「イエス、マイマスター!」
「お望みのままに、私の騎士様。ふふっ」
 青井が乗るのは双力の守護者オパリオス。一緒に乗るのはジルディーヌとミラシファー。
 ジルディーヌは守護者知識で知りえるスフィンクスのデータを青井とミラシファーに伝え、フォースコーティングで守護者の機動力と防御力を高める。
 そして、自分自身の行動スピードも汎用アシストユニットで高めておく。
「大守護者のアクリャなら、同じアクリャとしての手の内は知り尽くされてるでしょうね。だから異世界の技で攻防を組み立てれば、少しは戸惑わせられるかも」
「それは妙案ね……ただ、わたしはマイアほどアクリャに慣れている訳ではないから。この戦いはザフィーアのコントロールに集中する」
 才女のリーゼロッテなら、面白い助言があるかもとミラシファーは話を振ってみたのだが……元々、彼女達の作戦案・手の内をこちらに披露した後なのだから、それ以上は特にないのだろう。
 致命的ダメージを与えたいのなら、異世界の技はない方がいいのだが、戸惑わせるというのであれば、あの手この手と技に広がりと相手の知らない業が山のようにでるという話であり、組み合わせるというのであれば作戦に広がりがでると考えたのだが。
「この子に黄金の力を」
 ミラシファーは、ゴールデンルールで守護者の性能を全般的に向上させ、バトルサポートユニットで身体能力、魔力、回避能力と上げ、ジルディーヌ同様、守護者肉弾戦時対応である。
 青井をサポートする2人は絆のエンブレムで意識を合わせやすくしている。
 2人のアクリャがいる為に二刀流となっている双力の守護者オパリオスに、大型のウィップソード――オリハルコン・スラッシャー【オリハルコンソード】とビームソード、サイバーブレイドを持ってスフィンクスへと向かう。
 リアリティクローゼット、ドレッシングフレイム、ドレッシングプロミネンスでその身体を灼熱化し、熱波を放ちながら突っ込んでいく。
 クリティカルヒットが出やすくなるインテュイション――本能を働かせてスフィンクスを見やり、何か、を探す。
 スフィンクスの動きはいい。熱波も易々と交わす。
「こういうのはどう?」
 ミラシファーが使うのはセカンドチャンス。
 瞬刻の見切りで相手の攻撃を見切ろうとしつつ、2本の剣を使いセカンドチャンスによる初撃――本命の2撃目、二連撃をお見舞いしようとするが――シヌヘはそれを読んでいた。
 それさえも、簡単に避けてしまうが。そうだろう、と思っていたミラシファーは次の手を呼ぶ。
「ジルディーヌ!」
「これが特異者となって得た、アクリャとしての私の戦い方です!」
 ジルディーヌは<引力>★3でスフィンクスを捕らえる。身近での単体に向ける魔法。逃げられるはずもない。
「どちらの形態でも有効な策は、立ててあります!」
 きぱっと言い切るジルディーヌだが、その案は青井のものだったりする。
 ぐらっと、青井の守護者の剣もスフィンクスに吸い込まれるように揺れる。双力の守護者オパリオスにも<引力>の力が掛かったのだ。
「今だ!」
 青井はそれを利用し、セカンドスラスターを全開、倍の速さで突っ込んでいく。
「この灼熱の機体自体が武器だ!」
 インテュイションの本能に従い突っ込んでいくが――あっさりと避けられる。
「私は難しいことはわからないですけど、エージくんも、ミスティちゃんも、勝利くんたちも、みんな頑張ってますねぇ~。なら、私も頑張って応援しますよ~。ふぁ~いと、ですぅ」
 ラティーシャ・ドプナーはユニゾンヘルプで頑張る人の背中を後押しする応援を皆に送る。
「スフィンクスは強敵……これまで関わってきた縁もあるし、勝利たちと上手く共闘して立ち回らないとな」
 幾嶋 衛司は「勿論、勝利とマイアちゃんの関係も引き続き応援するよ♪」とウィンクで伝えておくのも忘れない。
 ……2人は守護者の中で何とも言えず顔を赤くして顔を抑えていたりするのだが。
 幾嶋は文明の守護者トパースにラティーシャ、ミスティ・ベルのアクリャと共に乗り込む。
「さて、いよいよ決勝戦で相手も強敵……こういう時こそ、いつも通りであることが大切だね」
 幾嶋はワイドビューで広い視野をもち、コールドリーディングで相手の動きを注意深く観察する。
「私はマスターの道具。であれば、マスターと共に戦うのは当然だろう」
 ミスティはツインマニューバーで幾嶋とラティーシャとの思考を共有し、プレディクショントレースで未来をみるが……。
「そう簡単に隙は見せないだろうけど……ミスティちゃん、そっちの予知ではどんな感じかな?」
「やはり、ドレッシングアンリミテッドが難関だろう。今の所、上手く隙をついて攻撃できても跳ね返される。接近戦にしても返り討ちにされる」
「俺のコールドリーディングで集中して考えても、シヌヘ君冷静でね」
「ちょっとだけ、ぴか~ってしますよぉ」
 ラティーシャが皆に警告を飛ばす。
 情報収集と、幾嶋は初めは実態のないサイバーチャクラムをスフィンクスに投げ、その際にラティーシャもドレッシングブライトによる目眩ましもするのだが、見えなかったはずのその武器をシヌヘは確実に中心を狙って破壊してくる。
 ……目眩まし攻撃は見事に跳ね返されて幾嶋達の視野をも奪う。
 その隙に迫ってきて文明の守護者トパースは吹き飛ばされる。
 ミスティはその隙にアナリティクスによる攻撃パターンをも読み取った。
「みんななら勝てますよ~。だから、怖い顔しないでリラックスしましょ~」
 ラティーシャからめげないユニゾンヘルプでの応援が送られる。
 幾嶋はデフラグメンテーションでミスティから流れてくる情報も一緒に整理していく。
 見えない攻撃をも肉弾戦で反撃できるという事は、音も気にしているのではなかろうか。見えないはずの幾嶋達の位置を確実に狙えたのは、音――いや、動いてないのだから、初めに場所を把握していて攻撃してきた線が強い。
 ドレッシングアンリミテッドに目が行き易い……いや、そもそもそれがあるだけでシヌヘを無敵にしている。なのに、戦闘技術も高いとなれば、シヌヘはアンリミテッドがなくとも特異者達とやりあえるのでなかろうか。
 倒すためにはデータも、交戦記録も足りない。三人寄れば文殊の知恵と言う。あの手この手で皆が交戦して糸口を掴んでいかねば。
 ……ただ、シヌヘの戦闘能力にまで勘付いている特異者はどれぐらいいるだろうか。
 アンリミテッドを発動させた後は攻撃を避ける、と前回の交戦記録からそう話はでている。そう攻撃を『避けられるだけの』戦闘能力になったのだ。アンリミテッドが発動するのは攻撃が避けられなかったからであり、避けられなかったからアンリミテッドが発動したのが正しいのではなかろうか。
「……今何が起きた?」
「アンリミテッドが発動したんだろう。勝利、そっちにも情報を共有しておくよ」
 呆然とする叶に幾嶋はウェアラブルPCを介して情報を流した。


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