三千界のアバター

≪フェイタル・ゲーム≫蠍座の迷宮

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■プロローグ■



 彼女は“死”と隣り合わせだった。
 誰もがいずれは死ぬ。その時期が違うだけで。
 少女はそれがすぐそこに迫っていることを知っていた。
 ここでの治療が、「気休め」でしかないことも。
 それでも周囲の友人はいつか完治して、日常に戻れると信じていた。

「奇跡。それは私にとっては呪いなんですよ」

 現代の医療では治療は絶望的。しかし彼女にとっては“不本意”なことに、奇跡が起こってしまった。

「笑っちゃいますよね。
 本当に奇跡が起こって欲しい人のところで奇跡は起こらず、私みたいに死を受け入れた者が生き残ってしまうなんて」
「……生きるために足掻き続け、このような姿に成り果てた身からすれば、何とも羨ましい限りニャ。
 ニャが、自ら命を絶たなかったということは、生きる意思があったということニャろう」
「それもまた、呪いですよ。“世界”が私から死を取り上げ続けたんです。奇跡の少女として。
 自殺する気力もなくなってしまいましたよ」
 
 自分は生きることを強いられている。しかし彼女の目には時折、先に逝った友の幻影が見えた。
 “天国”から自分を呼んでいる。早くこっちに来い、と。
 しかし“呪い”が自分を現世に止めて離さない。
 
 そんな彼女の前に、一人の青年が現れた。

『君には“適性”がある。私は君を迎えに来た』
『あなたは死神さんですか?』

 青年が微笑み、応える。

『残念ながら。それは我が友だ。私は、そうだね、存在格としては“破壊神”となる』
『ふふ、面白い冗談ですね。それなら、私を縛るこの呪いを、足枷を壊して下さるんですか?』
『それは君次第だ。選択するといい』
『そうですね。……一つだけ、お願いがあります』

 少女は青年を目をじっと見上げた。

『死に場所か生き甲斐を。どちからを私に下さい』
『どちらを手に入れるかは君次第だ。ただ……退屈はさせない。それは約束しよう』

 そして少女は選んだ。彼の誘いに乗ることを。

『我が名は“シヴァ”、君を三千界へと誘う者だ』

「死をお預けにされた私が、死した英雄を蘇らせ、共に戦う。
 ふふふ、本当に。本当に皮肉ですよね。最初に得た力がこれで、来た場所が“楽園”なんて」

 果たしてこの世界は自分を――霞ヶ城光祈(かすみがじょう みつき)を満たしてくるだろうか。



■目次■


プロローグ・目次

【1】先駆の代償
【1】螺旋上の決闘者
【1】栄具を掴め!
【1】急がば悩め
【1】栄光と栄具を掴め

【2】交差するエレベーター1
【2】交差するエレベーター2
【2】因縁の糸は絡み合う1
【2】因縁の糸は絡み合う2
【2】最上階への切符

【3】不落の難関(1)
【3】不落の難関(2)
【3】不落の難関(3)

聖なる門番


エピローグ

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