三千界のアバター

≪フェイタル・ゲーム≫暗躍する勝者

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■プロローグ■



 毎日が退屈だった。
 裕福な家に生まれ、幼い頃から才能に恵まれ、学校の成績も常に上位であった。
 少年はテレビの向こう側の「正義の味方」に憧れていた。
 正義をもって悪を裁く。善良で正しき者が、間違った悪しき者を懲らしめる姿は見ていて気持ちが良かった。

「……だが、現実はどうだ?」

 権力者になびき、強者に媚び、不正を働く輩がデカい顔して堂々と歩いている。
 少年にはそれが許せなかった。
 彼には教養がある。独学で法律を学び「正しさの指標」も身に付けた。
 だが、時として正義は理不尽な暴力とも向き合うことになる。
 様々な武術を学び、それらを短期間でマスターすることで、暴力にも対抗できるようにした。
 常に自分が正しい。その自負がある。
 わずか十数年の人生ではあるが、彼に失敗や挫折はなかった。
 しかし、彼は憧れた正義の味方とは違い、他人から称賛されることはなかった。
 周囲の者は、少年を恐れていた。
 街中で絡んできたチンピラを半殺しにし、「正当防衛」を主張して警察に引き渡すと、彼は人の溢れる大通りに出た。

「君には“適性”がある」

 誰かに突然声を掛けられた。
 少年は無視して歩こうとする。

「つまらなそうな顔をしているな。だが、君には素質がある。
 世界を変えるだけの――“特異者”としての適性が」

 周囲の時間が止まったように感じた。
 気づけば、白い詰襟の青年が目の前に立っている。

「世界を変える、か」
「君なら興味を持つと思ったのだが」

 少年は睨むように青年の顔を見た。

「一つだけ問う。お前は目の前に悪がいたらどうする?」
「障害は排除する。それが何者であれ。……君の望む答えはこんなところかな」
「……気に入らないな。だが」

 自分が試されているようで不快だった。
 しかし、不思議なことにこの青年は「自分が知らない世界」を見せてくれるように思えた。
 
「このつまらない日常から解放してくれるというのなら、ついていってやる。
 だが忘れるな。お前が俺にとっての悪となれば、裁かせてもらう」
「……面白い。やはり君には見込みがある」

 青年は手を伸ばしてきた。

「我が名は“シヴァ”、君を三千界へと誘う者だ」

 少年――坂橋 夜鳩(さかばし やはと)はその手を強く握りしめた。




■目次■


プロローグ・目次

【3】捜索1
【3】捜索2
【3】捜索3
【3】対立1
【3】対立2
【3】縁1
【3】縁2

【1】黒翼と白面
【1】猛進の獣
【1】鎖の音、物言わぬ貌
【1】猛々しきものたちの咆哮1
【1】猛々しきものたちの咆哮2
【1】猛々しきものたちの咆哮3
【2】猛々しきものたちの咆哮4

【2】傲慢なる決闘者
【2】トーラスを狙うもの
【2】勝利を見せつけしは


エピローグ

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