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オアシス・ドゥニア防衛戦

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オアシス・ドゥニア防衛戦
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最後まで



 街の中心部にいた住民たちの避難はほぼ完了し、ルーニャたちの残る仕事は各所から続々と集まって来る逃げ遅れた者たちへの対処のみとなった。
 が、戦況は激化していく一方で、そのあと少しが困難を極めている。

 引き続き避難誘導に加わっていた竜一も、スロートワイヤレスでその連絡を受け取っていた。
「俺は“手弄の開拓者”青井竜一だ! 街の南側に向かって避難してくれ!」
 ボイスチューニングを済ませたよく通る声で、市民たちに避難を呼び掛けていく。
 傍らではシルヴェリアも、「南側へ向かえ!」と市民たちに声をかけている。
「あきらめるな! 南側に行けば活路は開ける!」
 ブレイブハートをもって檄を飛ばし、不安に駆られていた市民たちの心を後押しした。
 さらにシルヴェリアは、避難を続けながらもガンカメラを構えている。アディス・カウンターの市民たちへの振る舞い、その真実を記録しておこうというわけだ。
 二人はエスケープセンスを研ぎ澄ませて接敵を警戒しつつ、避難誘導を続けていく。
 と、避難民たちの後方を守っていた竜一とシルヴェリアに敵が急接近し、攻撃を仕掛けてきた。
 その瞬間、プロテクション・ブルーが発動して二人を守る。

 プリテンダー側の人間も、逃げ遅れた住民たちも皆が一斉に南を目指したため、警備隊が数人こちらへ派遣されたようだ。
 生身で相手をするには少々厳しい相手だが……市民の命を守るため、引くわけにはいかない。今しがた住民たちと共に合流した心美も、敵を跳ね除けるべく後ろを向いた。
 ここまで来れば、隠れさせていた僚機と合流できる。心美はユニコーンリッターとシュツルムアタックの陣形を組み、連続攻撃を仕掛ける。
 さらに怯む敵のブロウクンポイントを狙って、キャヴァルリィブレイクを叩き込んだ。
 ラディア式戦闘技を活かした身のこなしで繰り出される攻撃に、敵の機体は致命傷を負った。
 爆弾処理を終えた恭司たちもここへ合流し、敵への対処に乗り出す。
 恭司がキュベレー・レイを放って、自分に注意を引き付ける。アクロバティックな動きで敵の反撃をかわし、バリアオーブを展開して身を守った。
 その後ろから、恭司の僚機たちが蜘蛛の糸を放って敵を拘束しようと試みる。シャドウストライクの陣形――恭司はいわば囮だったのだ。
 恭司は敵の動きが止まった隙に遠距離から再度キュベレー・レイを叩き込むと、接近してハイパーカッターで切り付ける。
 さらに、
『これ以上、罪のない人々を傷つけるのはやめなさい!』
 と通信宝珠を通じて、誰かが敵に声をかける。言葉に反抗するように敵が放った射撃を、その人物はホーリーセイバーで切り払った。
『どうしても戦うというのなら、この“日輪の刀自”が相手になるわ…!』
 そう名乗って敵前に立ちふさがったのは、逃げ遅れた住民たちを連れて追いついて来たエリカだった。
「武装を解除しなさい、次は手加減しないわよ」
 とエリカは再度声をかける。相手はエリカの名に少し腰が引けた様子だったが、向こうは向こうで、もう後にも引けないのだろう。こちらに急接近し、攻撃を仕掛けてくる。
 エリカはそれを、飛行して裏に回り込むようにして避け、敵のメインカメラを狙って剣を振るう。
 視界がひび割れ敵が怯む。テンポを崩されながらもまだ抵抗しようとするが、エリカの放つ震気浪にあてられ、引き下がる。

 これで逃げ切れる、と思った矢先。
 最後の賭けとでも言わんばかりに敵の一人が、何かを振りかざした――爆弾だ。
 住民の避難を優先し急いでいた故に、どうやらひとつだけ、解除が追い付いていなかったらしいのだ。
 それを見て、フィアが動く。まだ自分たちの真後ろに、逃げている住民たちがいる……ここで爆発を起こすわけにはいかない。
「絶対爆発させたくないよ…守る為の力を貸して…イチかバチかだけどやってみなきゃ!」
 フィアは決意のもと、キュウソネコカミの反撃力で氷晶石を投げつけた。さらに地晶石を暴走させて、地面に大穴を開ける。
 敵が宙に放った爆弾が凍り付き、フィアが作った穴に落ちる。その直後、周囲に爆発音が響く――が、その爆風は最小限にとどめられ、付近の住民たちに危害を及ぼすことはなかった。
 皆がほっと、胸をなでおろす。追ってきていた警備隊たちにはもう、あまり余力は残っていないようだ。
 とはいえ、増援を呼ばれてしまっては危険な状況だ。これ以上ここにとどまるわけにはいかない。
「シルヴェリア、俺たちも退く時だ! 行こう!」
「わかった、竜一!」
 とシルヴェリアは竜一の言葉に応え、皆を敵の視界から守るように煙幕を発動させた。
 さらにメリーナが、ディスターブ・バーンで通信妨害を行う。この隙に皆は、南へと走った。



 寸でのところで無事、住民たちの避難は完了し、爆弾も全て処理することができた。
 ピンチはあったとはいえ、中心部から遠い区画の者や小さな子供まで皆避難ができたことには、住民たちも随分と安心したようだ。
 しかし、大切な街がいわれもない理由で大きな被害を受けたことに、変わりは無かった。
 未だ混沌と戦闘音が聞こえてくる街を背に、シルヴェリアがルーニャに声をかけた。
「これ……ナティス殿なら、内部からの切り崩しにうまく使えるかもしれない」
 そう言ってシルヴェリアが差し出したのは、ガンカメラで撮影しておいたアディス・カウンターの所業の記録だった。
 ルーニャはその記録を手にして、険しい表情を見せる。
 今回は無事に市民の避難ができたが、だからといって、やはりその行為は見逃せるものではない。



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