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オアシス・ドゥニア防衛戦

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オアシス・ドゥニア防衛戦
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差し伸べる手



 天津 恭司や、恭司と行動を共にするフィア・ヒーターメリーナ・ブリーゼたちもまた、連携して爆弾解除へと動いていた。
 フィアはシビリアンとして先に市街へ潜入し、警備が手薄な場所を探していた。
 フィールドハイドで器用に身を隠しながら、サウンドコレクトコートの集音機能を活用して周囲の音に耳を澄ます。
 音の情報から侵入できそうな位置を特定すると、ヘッドセットで恭司たちに連絡をとった。

 フィアからの情報を参考にしつつ、メリーナは索敵宝珠改で全方位索敵を行い、マジックチャフで敵の探知を免れながら恭司と共に市街地を目指す。間もなく二人も市街に入り、フィアと合流した。
 街に入るとすぐに、避難誘導に助力しているルーニャの姿があった。
 恭司たちが声をかけ情報を求めると、ルーニャは快く応えてくれた。ルーニャであれば、爆弾が設置されていそうな場所を知っているかと思ったのだ。
 例えば工場のように、火薬などがあり爆発の効果が大きく見込める場所なら、爆弾がある可能性も高いと恭司は考えたが……この街は宿場町であり、目ぼしい施設は少なそうだ。
 しかしルーニャのもとには既に他のオペレーターたちからの情報がある程度集まっていたため、まだ解除されていない爆弾の大まかな位置や、これまでの設置場所の傾向を知ることができた。
 恭司たちはルーニャに礼を言うと、ひとまずその情報から推測できる場所へ向かってみることにした。
「ルーニャさんが任務や人助け等を苦にしない方なのは承知ですが、ルーニャさん自身も大切にしてくださいね」
 去り際、恭司はルーニャにそう語った。今まさにすぐに任務へ戻ろうと険しい顔をしていたルーニャは、その言葉にはっとして微笑み応える。
「お気遣い、ありがとうございます。そちらもどうかお気をつけて」

「ここから先は危ないから、メリーナさんは避難予定路の方を宜しく…絶対無茶しちゃだめだからね…」
 恭司はそう言って、フィアと二人で爆弾解除へと向かった。
 ルーニャたちのもとに留まったメリーナは、予定されている避難経路に爆弾が仕掛けられていないか探っていく。
 爆弾探しの他にもメリーナは、負傷した住民たちを大地母神の抱擁で癒し、応援の言葉をかけていった。
 くるくると動き回るメリーナの姿を心配そうに見つめる住民もいたが、
「私だってちゃんと爆弾見つけて解除できますよ!」
 とメリーナは意気込む。
「だから、絶対に大丈夫です!」
 消耗する魔力をラディアポーションで補い、爆弾を見落とさないよう街並みに違和感がないか注意深く目を光らせ、メリーナは探索と回復を続ける。


 恭司はホーリースパイダーの糸を利用して壁際を移動したりしながら、情報収集を試みる。全方位索敵で敵の位置を探り、オーダースティールで通信を盗み聞きして、接敵を避けるように進んでいく。
 フィアは土地鑑を活かして、爆弾が設置されていそうな建物が密集している場所を推測していた。フィールドハイドで身を隠しながら、エスケープセンスを研ぎ澄ませて周囲を警戒している。
 何とか敵に出くわすことなく、二人は爆弾が設置されていると思われる建物付近へと到着した。
 恭司は自身の僚機であるスパイダーリッターたちと手分けして、怪しそうな場所を探っていく。そして爆弾を発見すると僚機たちに周囲を見張らせ、ハイパーカッターを手に解体を開始した。
 フィアも他に爆弾がないかと、周囲を探し回る。その傍らには恭司の指示を受けた影から見守る伝達兵の姿もあり、フィアと連絡を取り合いながら爆弾を探した。
 と、またひとつ爆弾が見つかった。このあたりは手付かずだったようで、まだ他にも爆弾が残っていそうだ。フィアと伝達兵も、協力して爆弾処理を進めていく。
『……これ以上の暴挙は止め』
「えっ!?」
 フィアの耳に届いた綺麗な、でも怒りと悲しみを帯びた声。
 フィアは周囲を見回すが、そんな声を発する女性の姿は見当たらなかった。


 南の出入口からそう遠くはないある一画では、逃げ場を見失い迷子になった複数人の住民たちが、恐怖に震えていた。
 そこに、南側に向かって走るワラセアバイクを走らせる影がひとつ――柳 綺朔だ。
 警備が手薄になった隙に市街へ入った綺朔は、別の方角から回り込んで南を目指しながら、逃げ場を探す人々へ声をかけて回っていた。
「皆、南側へ避難してるわ! 今なら合流できる!」
 土地鑑を活かしてルートを確認しながら、綺朔は住民たちを誘導していく。このあたりには今はあまり敵の手が及んでいないようだが、先ほどまで戦地となっていたようで、建物の損傷が激しかった。
 綺朔は瓦礫の崩落や万が一敵が襲ってきた時に備えて、簡易防壁を展開して住民たちを守った。さらにカバーしきれない範囲で瓦礫や流れ弾が襲ってくると、ストーンバレットを放って跳ね除ける。
 住民たちを守りながら南へと走り続け、無事にルーニャたちが避難誘導を行っている列へと合流した。


 街が本格的に戦場になり始めている今、綺朔が誘導した数名の他にも逃げ遅れた者は少なからずいたようで、各所の自室の中や建物の影で誰かの助けを待っていた。
 エリカ・クラウンハートはそんな住民たちを助け出すため、市街を走る。索敵宝珠改による全方位索敵で敵の視界に入らないエリアを探り、その中でも特に遮蔽物が多い場所を選んで、身を隠しながら進む。
 鳳翼のソレイユで少しだけ地面から浮くようにして、足音も立てずに行動することを可能にしている。
 傍らではエリカの指示を受けたシンフォニアが、ソルジャーデコイで周辺の敵を惑わせている。一体ふらりとこちらに近寄ってきたが、強制通信で別所からの救援を装い、方向転換させる。

 エリカはやがて、ボロボロになった街中にたどり着いた。生命感知で数人の住民が物陰に潜んでいるのに気づくと、そちらへ駆け寄る。
 そこには小さな子供たちと、それを守るようにして屈む大人たちの姿があった。
「あなたは……」
 と身構え顔を上げる大人たちに、エリカは手を差し伸べる。
「ここは危険よ、一緒に街の外まで避難しましょう」
 鍛冶職人の街というだけあって、大人の中には腕力のある屈強な男もいた。子供たちは彼らにだっこやおんぶをしてもらって、一行は南側の避難経路へと急ぐ。



 再び戦乱の恐怖がテルスに広がっていくことに、小山田 小太郎は深い悲しみを覚えていた。
 行動を共にする八代 優八葉 蓮花もまたそれぞれに、ドゥニアの人々を救おうという意志は固い。
 シビリアンである小太郎は市民に紛れて街に潜入できたが、優と蓮花はそうはいかない。蓮花の僚機であるミゼット・サブマリンたちに同乗し、ホールアップで気配を消して慎重に潜入した。
 幸い警備がだいぶ手薄になった後だったこともあって、優と蓮花は無事に小太郎と合流した。
 街の中心部にいた者の多くは、無事に避難が進んでいる。問題は、その他の地域で取り残された人々だ。
 小太郎たち三人は無事に市街地へと辿り着き、ルーニャたちと共に避難誘導に従事していたが、状況を知った小太郎は街の東側へと向かうことを決めた。
「待って、東側は危険です!」
 とルーニャが制す。東側は今なおアディス・カウンターたちが進行してきている区画だ。しかし、小太郎の決意は固かった。
「まだ取り残された人がいるかもしれない……ならば、行かぬ訳にはいきません」
 その言葉を聞いて、住民を見殺しにしようなどと言うルーニャではない。小太郎を止めるのを諦めたルーニャは、「必ず、無事に戻ってくださいね」と告げると自分の仕事に戻っていった。
「小太郎君、迅速に行動するわよ」
 と蓮花が声をかける。ここからは、これまで以上に時間との勝負になる――。

 小太郎は無心無想の心構えで冷静さを保ち、無我の境地に至って東へ向かう。助けを呼ぶ声を聞き逃さないように――身に纏った心音の僧衣も、音を聞き取るのに一役買っていた。
「…小太郎、その先に敵機がいる……こちらの道を通ろう…」
 と優は、癒し系ナビゲートで道案内を行っている。ジャミングカットで妨害を受けないよう対策し、索敵宝珠改を用いて周辺の敵の位置を探って、ヘッドセットを通して皆に情報を共有していく。
 目的の区画までたどり着く前に、逃げ遅れたらしい住民の男が、取り乱した様子で物陰から飛び出してきた。
 優が男に駆け寄り、大地母神の浄化で落ち着かせる。はっと冷静になった男は、優たちが敵でないと見ると、「ば、爆弾が……! 俺が隠れてたとこに、爆弾があって……!」と狼狽えながらも訴えた。
 それを聞いて優は、
「…ここはわたしと蓮花で対処するから……小太郎は誘導を…」
 と小太郎を見やる。小太郎は頷き、この先で助けを待つ人々を救うため、一人先を急いだ。
 優はオペレーターとして爆弾処理に取り掛かり、蓮花は万が一に備え、いつでも優を守れるよう身構える。

 一人になった小太郎は、ある地点でグッドフィールを察知した。
 人が隠れている……逃げ遅れた住民かもしれない。
 敵が隠れている可能性もある以上、一種の賭けではある。小太郎はエスケープセンスを研ぎ澄ませて敵の襲撃を警戒しつつ、その人影を覗き込んだ。
 そこには数人の若い市民が、逃げ場を失ってしゃがみ込んでいた。ほっと胸をなでおろした矢先、遠くから敵が近づいて来る音がした。
「大丈夫……皆で生きて帰りましょう」
 “救世の仏顔”たる小太郎の言葉に、市民たちの不安そうな表情が少し晴れる。
 幸い敵はまだこちらに気づいていない。小太郎と市民たちは、避難経路へと移動を開始する。あと少しでやり過ごせる、というところで、敵がこちらを振り返る。
 小太郎は無我の境地でこれを察知し、敵の隙をつくように火晶石を放って爆発させ、視界を遮る。
 倒せなくとも、これで足止めにはなる。相手が視界を奪われた隙に、小太郎たちはこの場から撤退した。

 無事に避難誘導を終えて撤退する小太郎と、爆弾処理を成功させた優と蓮花が合流した。
 その後ろを、小太郎により足止めされた敵が遅れて追ってきている。
 すぐに蓮花がクールアシストで状況を見極め、二人が避難経路に向かえるよう支援する。僚機たちにマジックテリトリーの陣形を組ませ結界を張ると、フロストブロウを発生させて敵の動きを鈍らせる。
 先に小太郎の妨害を受けていた敵は、これで大きく後れを取ることとなった。その隙に、蓮花も二人に続いて撤退する。



 黒瀬 心美はユニコーンに乗って、警備が手薄な南側から静かに市街へ侵入した。
 街へ入るとすぐ、目立つ行動を避けるためにユニコーンと僚機を隠れさせ、単身ルーニャとの合流を目指す。
 スロートワイヤレスで連絡を取ってみると、既に避難誘導は大きく進み、ルーニャ自身もすぐ近くまで来ていることがわかった。
 住民たちを誘導しているルーニャを発見して駆け寄り、「市民の避難は……」と問いかけるとすぐ、ルーニャは真っ直ぐに心美を見て告げた。
「まだ一か所だけ、手が追い付いていない場所があります……その区画を見てもらないでしょうか?」


 シビリアンとして市民紛れ、避難誘導に回っていた弥久 ウォークスも、逃げ遅れた者たちを助けるため走り回っている。
 行商人や観光客など、この街の連絡網に入っていない人物もまだ多く残されている。裏道や裏路地を中心に、大声で避難を呼び掛け続ける――。
 スロートワイヤレスを通して避難誘導組と連絡を取り合っているが、その情報からするに、このあたりにはまだ避難できていない住民が残っているらしかった。
「おい! 逃げるぞ!」
 諦めたように布団を被っている老人に声をかけると、首を横に振る……足が弱く、逃げられないようだ。
「背負ってやる、まだ諦めるな!!」
 とウォークスは老人を担ぎ出し、荷台を引いて逃げている他の住人に頼み、老人を運んでもらった。
 あと少しでこの付近の住民の避難が終わる、というところで、アディス・カウンターの一員がこの区画に迫ってきた。
「来たか……、食い止める! 急いで南へと走れ!」
 ウォークスが敵前に立ちふさがり、人々へブレイブハートをもって檄を飛ばす。皆その言葉に頷き一斉に走り出したが、一人の少年が鍛冶道具を手に「お、俺も……!」と傍らに立った。
 その姿にもしやと思い、
「敵の狙いは街に潜むという冥王の配下だ、何か知らないか?」
 とウォークスは問いかけた。しかし少年は「そんなの知らないけど……あいつら、仇だから……!」と震える手で叫ぶ。
 その様子は、ウォークスの嘘感知には何も引っかからなかった。冥王の使いやその仲間、ということも無さそうだ。となればなおさら、共に戦わせるのも危険だった。
 少年はウォークスに言いくるめられ、ここで戦う代わりに避難民を守ると約束して、南側へと走り去った。
 残ったウォークスは単身ハンドランチャーを構え、敵機に応戦する。
 撃破するのは難しそうだが……皆が逃げる時間を稼げれば充分だ。頃合いを見て引き上げ、自分も避難を開始した。


 ウォークスが逃がした住民たちがいたのが、ルーニャからの要請を受けた心美が向かっていたあたりだった。
 避難住民たちが続々と集まってくると、心美はその先頭に立って避難経路へと誘導を開始した。なるべく敵に見つかりにくいようルートを選びながら、ここに来るまでに見てきた情報を頼りに、ルーニャたちとの合流を目指す。
 途中敵軍の警備兵が心美たちの前に立ちふさがったが、幸いさほど強敵ではなかった。心美はファイアーソードを振るって地面に炎を這わせ、道を切り開く。



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