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オアシス・ドゥニア防衛戦

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オアシス・ドゥニア防衛戦
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陽動と爆弾処理



 いよいよ相手も、南側での不審な動きに気づき始めているようだ。もしこのまま警備が増員されてしまえば、ルーニャたちはぐっと動きづらくなってしまうだろう。
 しかし各方面には、敵の注意を引こうと動く者たちがいた。


 皆が南側へと避難していく一方で、街の西側に向かった人物がいる。
 ルキナ・クレマティスだ。ルキナはホールアップで気配を消して、物陰に身を潜めながら西から時計回りに移動していた。
 サウンドコレクトコートを羽織って周囲の音を聞き、生命感知を行いながら進む。敵のMECに遭遇しそうになれば、入り組んだ路地や瓦礫を利用して身を隠し、やり過ごす。
「まだ死にたくはないのでね。失礼します」
 敵が去ったのを確認すると、ルキナが再び歩を進めた。
 と、近くに人の気配がある。敵なら避けて通るところだが……敵にしては動きが不自然だ。
 近づいて見ると、そこにいたのは逃げ遅れた少年と母親だった。少年は怪我をしているようで、周囲を囲む瓦礫から脱出できなくなっていた。
 ルキナは親子に近づくと救急箱を取り出し、応急処置を施した。と、少年のお腹がぐうと鳴る。
 この騒動で、まともにご飯を食べてはいないのだろう。ルキナはラディアレーションの一部を分け与えると、
「私が道を開けたら、物陰に隠れつつ南に向かってください。あちらは比較的安全です」
 と伝えた。「ありがとうございます……!」と母親は涙ながらに礼を言う。
 そしてルキナは、瓦礫に対峙する。
「瓦礫を吹き飛ばすので離れて下さい。――これなら3割でいける……か?」
 親子を傷つけないよう加減に気を付けながら、マキシマムブレイクを放って周囲の瓦礫を破壊する。
 ルキナは反動によりしばらく身動きが取れなくなったが、今のところ敵の接近は無さそうだ。この隙に親子は、何度も礼を言いながら南側へと逃げ出した。


 市街に蔓延る敵の注意を引くように、高橋 蕃茄の指示を受けた僚機――スクラマサクスが駆ける。
 一方の蕃茄は建物の陰に身を潜め、じっと機会を窺っていた。
 「中華鍋」という愛称を付けられた蕃茄のメタルキャヴァルリィは、タンクユニットを取り付けてウェポンチェンバーを装備してある。素体は旧型でも、充分に複数の敵を相手にできるように整備済みだ。
 蕃茄は僚機が誘き寄せた敵にターゲットロックをかけると、ミサイルランチャーを放って敵の動きを妨害し、さらにエイムショットを叩き込む。
「歪な旧型に仲間落とされるのはどんな気分だコノヤロウ」
 と立ちはだかる蕃茄に、敵は応戦する構えだ。
 引き付けて時間を稼げれば作戦としては成功だが、なめられて相手にされないようでは意味がない。そのためにも、最初の一撃を全力であてる必要があった。
 目論見通り、敵は蕃茄たちを追ってくる。蕃茄は背後を僚機に任せてこの場から移動しながら、バズーカとミサイルランチャーを駆使してヤブサメの要領で攻撃を続ける。
「止められるもんなら止めてみろってんだ」
 と挑発する蕃茄に敵が攻撃を仕掛けると、全速回避でそれを避ける。そして眼前に迫る相手に、「武器を持ってるのは上半身だけじゃないのさ」とタンクユニットにセットされた高射砲を放った。
 蕃茄の手元にはまだ、豊富な射撃武器と弾が残されている。今引き付けているだけの人数なら、もうしばらく相手にできるだろう。

 一方、神前 藤麻はカモフラージュコートで周囲の景色に溶け込むと、索敵宝珠改を使って全方位索敵を行い、接敵を避けながら市街を進む。
 索敵で把握できた敵の配置については、影から見守る伝達兵が藤麻の代わりに味方にも伝えに行く。
 藤麻は現在、イカれた仮面で変装している。伝達兵にも藤麻の名は語らせないつもりだ。現状こちら側に協力していることは、プリテンダー側にもあまり知られたくないのだ。
 藤麻は市民の避難が始まった頃合いを見て、避難経路の真逆にあたる北側へと移動を開始した。
 目標としていたあたりまで到着すると、そこに敵の姿がある。藤麻はマジックチャフで敵の探知を阻害したうえで、キュベレー・レイを放った。
 どこからともなく放たれた先制攻撃に敵が振り向くと、藤麻は迷彩を解いて敵前に姿を現す。
「清く正しいエロの伝道師“仮面エロ・オルタ”ここに見参!
エクセリア様やルトガー宰相が善良なのにつけこんで暴虐の限りを尽くすアディス・カウンターに、義によって天誅を下す!」
 予想外の風体をした人物の出現に、敵も一瞬驚いたようだったが、“仮面エロ・オルタ”が邪魔者であるとわかると反撃を開始した。
「一人で立ち向かうとはいい度胸だな、仮面何とか! 邪魔するなら容赦はせん!」
 殺意を向けられることを苦手とする藤麻は、敵の勢いに自身の体が震えていることに気づく。しかし、こんなふざけた格好で死ぬわけにもいかないというものだ。
「表向きは全滅と宣っておいて、どうせ裏では若い女性を攫っていたりするのだろう? うらやま……いや、けしからん! 不浄極まりない!」
 万全の状態とまでは言えないまでも、どうにか気合いで誤魔化しつつ、セカンドステップで敵の攻撃を回避し応戦する。
 敵の注意を引くため優先すべきは、無理に攻めることよりも敵の攻撃の回避だ。囮となってそのまま街の北側への離脱を目指し、藤麻は敵の目を集めながら移動していく。
 しかしセカンドステップだけでは捌ききれず、敵の攻撃が藤麻に迫る――と、頼みの綱と期待していたプロテクション・ブルーは発動せず、藤麻は被弾してしまう。
 プロテクション・ブルーに頼れない以上、藤麻は慎重に敵の攻撃を避けながら、北側へと向かう。
 そこへ、西側から移動してきたルキナが通りかかった。ルキナは不思議な仮面をつけたその姿に一瞬身構えたが、アディス・カウンター側を相手取っているということは、味方なのだろう。
「西からこの辺りまでは捜索済みです。そちらはどうですか?」
 ルキナが問う。
「このあたりはこれで全部だ、向こうを頼む!」
 と怪しい仮面の人物は北へ走り去る。このまま敵を引き付けて、北から街を抜ける作戦だ。ルキナは北側を任せて、引き続き東側へと向かった。


 一方藤麻の指示を受けた伝達兵は、“仮面エロ・オルタ”を名乗る人物からの情報だと言って、味方に敵の配置や北側での動きを伝えると、自身もオペレーターとして爆弾処理に加勢した。
 他のオペレーターと同じ手際とまではいかないが、作戦中にひとつくらいは解除することができそうだ。



 皆が敵を引き付けてくれたおかげで、南側は依然としてほとんど警備隊がいない状態だ。
 この隙にオペレーターとして爆弾処理に向かっていた者たちも、市街への潜入を成功させていた。

 避難誘導が順当に進んでいるとはいえ、万が一の事態を避けるためには、市街に仕掛けられた爆弾への対処を急ぐ必要があった。
 邑垣 舞花は住民が犠牲となるのを防ぐべく、爆弾の位置を探し出そうとしていた。
 避難の妨げにならないよう気を付けながら、住民に爆弾の設置場所に心当たりがないか尋ねた。
 舞花の気品のある振る舞いに、住民たちは迷惑がらずにその質問に応えてくれたが、はっきりとした爆弾の位置を知っている者は少なかった。
 が、「ここでは見かけなかった」といった逆の情報や、他のオペレーターたちの情報共有から、おおよその位置はわかりそうだ。
 舞花はホライゾンホバーボードに乗り、全方位索敵で敵に発見されないよう注意しながら、土地鑑を活かしてその場所まで進んでいく。
 シックスセンスを研ぎ澄ませて爆弾を探して回ると、大きな建物の陰にひとつ、それがあった。


 一度は警備員に止められた雨海も、この隙に市街へと侵入することができたようだ。
 市街地にたどり着くと鵞天宝珠を使って全方位索敵を行い、さらにオーダースティールで敵の無線を傍受する。
 敵や爆弾の位置を探りながら、自身のいる位置から解除できそうな爆弾がある方へと急ぐ。
 あと少しで爆弾のある場所へたどり着ける……というところで、傍受していた情報から付近に敵がいることが発覚した。雨海はソルジャーデコイを使用して、偽情報で敵を惑わせる。
 ……この場はどうにか撒けたようだが、情報が偽物だとバレる前に、爆弾を解除しなければならない。


「クルーゼ! バイク温めておいて! すぐに出るから!」
 ヒルデガルド・ガードナーは自身の部下である幻影猟兵 クルーゼにそう指示を飛ばし、土地鑑を活かして爆弾の設置場所に目星をつける。
(私なら……私ならどうする? いざと言うときに混乱を仕掛け……そして逃げる)
 包囲にあって退路は断つべからず……ヒルデガルドは孫子の九変の軍略に基づき、推測を立てていく。南側を退路と考え、混乱を狙うならどの位置に爆弾を仕掛けるか、思考を巡らせる。
 そうして場所の推測が済む頃には、他の皆による陽動作戦もあったようで、街の南側は大分手薄になっていたのだった。
 いつでも出発できるようエンジンをかけておいたワラセアバイクに跨り、ヒルデガルドは部下と共に爆弾処理へと向かう。
「クルーゼ! 敵の妨害があるかも知れないから、絶対に交戦しないようにね! 爆弾守ってる奴だろうから、素早く通信で周囲に通達するのよ!」
 全方位索敵で詳細な爆弾の位置を特定しながら、ヒルデガルドは進む。敵が遠隔操作で爆破できるようにしているなら、そのための電波等から場所が絞れるはずだ。
「あの城壁で感じた……あの『勘』を大事にしないとね!」
 “幻影の諜報員”の名にかけて、戦闘を回避しながら順調に市街を走る。


 テレサ・ファルシエは索敵宝珠改で全方位索敵を行って、敵や爆弾の位置を確認していた。そして爆弾の位置をウェアラブルPCに記録すると、ホーリースパイダーに乗って爆弾解除を目指す。
 その傍らには、3人のスパイダーリッターがいる。スパイダーならではのアクロバティックな動きで、接敵を避けながら進んでいく。
 目的地となる爆弾の設置場所までは、少し距離があった。その間に配置や変更に追加があった場合に備え、定期的な索敵も忘れない。
 さらにテレサは、オーダースティールによって敵の通信を傍受できないかと試みる。逆に敵の妨害を受けてしまわないよう、ジャミングカットを行いながら、状況の変化に耳を傾ける。
 現状敵側に大きな動きは無さそうだが、細かい人員の移動は起こっているようだった。敵を避けて進むための参考になりそうだ。

 ひとつめの爆弾にたどり着いたテレサは、僚機たちとそれぞれ役割を分担しながら、早速解除に取り掛かる。僚機に周辺警戒を任せているから、しばらくは解除に専念できるだろう。
 処理を進めるのと同時に、テレサたちはその手順をウェアラブルPCに記録していった。手順をまとめて共有できれば、より効率的に爆弾に対処できるはずだ。
 ひとつの処理を終えたところで、警戒を行っていた僚機が敵の接近に気づいた。テレサたちはすぐに接敵に備えたが、まだ向こうはこちらに気づいていないようだ。
 それならばと、テレサはソルジャーデコイで敵のレーダーに偽物の反応を表示させ、敵が騙されている隙にこの場を立ち去った。


 テレサが発信した手順はオペレーター以外にはうまく扱えなかったが、各々の処理速度を上げることにつながったようだ。
 特に、伝達兵のような元々の手際が皆に劣る者にとっては、大きな力となった。
 敵に見つからないよう急いでいた雨海も、無事に爆弾を解除出来たようだ。
 舞花も無事に爆弾処理を完了させると、ヘッドセットを通して皆と連絡をとる。今のところ、救援が必要な者もいなさそうだ。

 その頃にはヒルデガルドも無事に目的地へとたどり着き、爆弾処理を開始しようとしていた。が、そこに爆弾を見張っていたらしい敵が接近してきている。ゆっくり解除している時間は無さそうだ。
「爆弾! 見つけたわ、解除できなければ破壊する! クルーゼ! 全方位に通信宝珠で伝達!」
 指示を受けた部下が連絡をとり、仮に爆破しても近づいて来る敵以外を巻き込むことがないよう、周りの状況を確認する。今なら、爆破を行っても大丈夫そうだ……。
 ヒルデガルドはしばらく爆弾処理に奮闘したが、敵が襲い掛かってくる方がやや早かった。ヒルデガルドはバイクを乗り回して敵の攻撃を受け流すと、意を決して爆弾に武器を投げつけた。
 ヒルデガルドに攻撃を流されて、そのまま爆弾の方へと直進していた相手は、真っ直ぐに爆風に飲み込まれる――。
 強硬手段ではあったが、どうにか無事、被害者を出さずに爆弾の数を減らせたようだ。



 黄泉ヶ丘 蔵人と、蔵人と行動を共にするシジマ アキナは、市街地の外で保智 ユリカが戻るのを待っていた。
 ユリカはカモフラージュコートで姿を消すことで、先に市街へと潜入することに成功し、安全なルートを調べてくれているのだ。
 しばらくしてユリカが戻ると、ユリカの案内のもと、三人は市街地へと潜入を開始した。事前に読み込んでおいた自衛マニュアルの内容を参考に、身を隠しながら進んでいく。
 道中、アキナは人影を見かけるたびにコールドリーディングを行って、相手に人間として違和感のある点がないか、観察していった。
 聖女ではないアキナには、確実に冥王の使いを見分けることはできないが……それでも、何もせずに人々が犠牲になるのを見てはいられなかった。
 特に怪しい者に出くわすこともなく、一行は爆弾の設置場所へとたどり着いた。
 オペレーターであるアキナが爆弾の解除を開始すると、蔵人は別行動をとるため、その場に背を向ける。
「気をつけろよ」
 アキナの護衛につくためその場に残ったユリカが、蔵人の背中に声をかける。
「あんただって、冥王軍から恨まれてもおかしくないんだからな」
 蔵人は、周辺に冥王の使いが潜んでいないか、潜んでいれば排除できないか探ろうとしていたのだった。異変があればすぐにアキナたちに伝えられるよう通信宝珠を備えると、ホールアップで気配を消して立ち去った。

 蔵人はアキナ以外にレゾナンスの反応がないか探ってみるが、そちらも特に変わった点は無さそうだ。
 敵部隊に見つからないよう気を付けながら見回りを続けていると、何者かが住民を襲っているのが目に入った。
「貴様、何をしている――!」
 蔵人はその場に割って入り、聖域を出現させて住民を庇った。アキナに連絡をとって自分の居場所を伝えると、バーニングブリットを発射し応戦する。
 冥王の使いが潜んでいたものかと思ったが、よく見れば敵はただのアディス・カウンターの一員のようだった。蔵人の反撃に、あっさりとその場から引き下がる。
 その後も蔵人は周辺を注視し続けたら、どうやらこの街には本当に、冥王の使いは潜んでいないようだ……。

 レゾナンスで蔵人の位置を把握しながら、アキナは爆弾処理を続けている。
 その途中、ヴァーミリオンガウンに付属しているインカムを通して、蔵人から周辺に冥王の使いがいないことを告げられていた。
(軍が、守るべき自国の民を虐殺するなんて……)
 冥王の使いがここにいないとなれば、なおさら歯がゆい話である。
 蔵人からの要請があれば、ユリカが支援に迎えるよう身構えていたのだが、現状その必要も無さそうだった。
 間もなくして、爆弾の解除は無事に終了した。偵察を終えた蔵人が合流し、三人は別の爆弾を探しに向かう。
 と、三人の行く手に複数の敵の気配がある――先ほど蔵人が退けた敵が、仲間を呼んできたらしい。まともにやり合うには厄介な数だ。
 それにアキナが、マジックチャフやディスターブ・バーンを発生させて、敵から探知されないよう通信系統を妨害した。
 敵に気づかれないうちに三人は、次の爆弾がある場所へと急ぐ。



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