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オアシス・ドゥニア防衛戦

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オアシス・ドゥニア防衛戦
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★    ★    ★

「よくも集まってくれたものだ。そう、それでいい」
 したり顔でつぶやくと、まずは挨拶代わりだとディッカがミサイルを乱舞させた。一瞬にしてロックオンされたミサイルが、特異者たちの力量を計るかのように、一機に一発ずつむかってくる。
 柊恭也の鬼刃が、切り払いで難なくミサイルを撥ね飛ばす。
 伊勢日向の指揮装甲車が全速回避を試みるものの、至近弾を受けて横転した。そのまま、横の建物の中に突っ込んで動かなくなる。
「避けろ、ミシャ!」
 サイコフォーキャストで弾道を読んだリリアナ・ヘイズが、輝槌のエネルギーシールドを展開して叫んだ。自らへのミサイルは防ぐものの、同時に味方の攻撃を防げるほどに障壁は大きくない。シュナイダーで迎撃しようとはするが、ワンテンポ遅れた。
 ミシャ・ルメイは試製グライドアーマーの装甲でなんとか防いだものの、マカイラDがロングライフルに直撃を受け、弾倉の誘爆で戦闘不能に追い込まれた。
 アリア・ファールスのトムキャットベースのグレイハウンドと、クラン・イノセンテのトムキャット・ニエーバが、頭部バルカンの弾幕でなんとかミサイルを撃ち落とす。グレイのモノトーンの機体カラーと、明るい青に白いパートカラーの二体のトムキャットが、互いをカバーしつつ信道正義の後方に位置していた。
 サイコフォーキャストで早期回避に移った黒杉優が、攻撃レンジ外へと逃れる。
 フォースフィールドは実弾兵器に効果がないため全速回避で乗りきろうとするラスティア・フェリオに、避けきれないと判断したエラルウェン・アモンスールが指揮装甲車を停車させ、バリアオーブで障壁を展開した。バリアの表面に閃光が走るも、なんとか耐え凌ぐ。だが、その上空には、墜落していくラスティア・フェリオのプレゼントボマー小隊の姿があった。
 サイコフォーキャストでミサイルの弾道を把握した信道正義がメックマシンガンの弾幕でミサイルを撃ち落とす。信道正義とツーマンセルを取っているアルエット・ノインテータも、青紫色のスクラマサクスアサルトベースのミセリコルデに装備されたシュナイダーで迎撃を試みるがミサイルにビームを命中できず、なんとかシュナイダー一機を盾代わりの犠牲にして凌いだ。だが、至近距離の爆風を受けて、機体がゆらぐ。
 信道正義が、味方の混乱を立てなおす時間を稼ぐために、ズルフィカールにむかってサイコプレッシャーで最大限の圧力をかける。
「ふ、こそばゆいものだな。貴様らの気合いとは、この程度の物か。笑えるではないか、なあ」
 信道正義のサイコプレッシャーを余裕で弾き返しながら、逆に、ディッカがサイコプレッシャーで周囲に群がるすべてのMECの動きを止めた。次の瞬間、ズルフィカールが飛び出した。信道正義が乗るブラックバードRverベースのエグゼキューターへと一直線にとむかう。白い機体に青のパーツからで彩られたエグゼキューターを、ズルフィカールのパイルバンカーが左から襲った。
 サイコフォーキャストでかろうじて見切った信道正義が、MEC制動でギリギリ回避する。いや、わずかに掠めたらしく、ウエポンランチャーのアームが凄い勢いで後方へと吹っ飛んでいった。だが、すぐに右側からもパイルバンカーがコックピットに迫る。こちらが本命だ。
 避けられないと信道正義が覚悟を決めたとき、横合いから繰り出されたソードブレーカーが、パイルバンカーを引っ掛けてベクトルを狂わせた。
 光学迷彩を解いて現れた飛鷹 シンのカッツバルゲルベースのスキアヴォーナの漆黒に赤いパーツカラーの機体が、滑り込むようにしてズルフィカールに密着する。
『今だ!』
 飛鷹シンが〇距離でビームバズーカを放つのに合わせて、信道正義がウェポンランチャーから取り出した二つ折りバズーカを折れたまま〇距離で発射した。
 ズルフィカールの機体表面で激しい爆発が前後で起こり、反動でエグゼキューターとスキアヴォーナが弾き飛ばされ、もんどり打つようにして地面の上を転がっていく。
『さすがに、手練れが集まっていると言うことか。だが、このズルフィカールに勝てるとでも思っているのかな?』
 その場に踏みとどまったズルフィカールが、赤いマントを翻した。その下の機体は赤熱していたものの、すぐに本来の白銀の機体カラーを取り戻していく。
「無傷だと!?」
 転倒し、機体に機能障害を起こしたエグゼキューターとスキアヴォーナの中で、信道正義と飛鷹シンが唖然とした。
 ディッカのサイコプレッシャーからやっと立ちなおったアルエット・ノインテータが、ヘヴィウエポンのショルダーミニガトリングガンで牽制する。カンカンと小気味いい音を響かせながら、ズルフィカールがパイルバンカーのカバーシールドで銃弾を弾き返した。
『戻ってください。こちらで応急処置を!!』
 メイベル・グレッセルの指揮する空挺戦車に乗ったシンシア・スターチスが、信道正義と飛鷹シンの二人に呼びかけた。後方でマジックチャフを展開し、援護するサイフォスキャノンとスカイライダーの小隊ともどもミサイルを回避している。
 サイフォスキャノンが援護射撃をしつつ、エグゼキューターの救援に駆けつけようとする。その上半身が突然吹き飛んだ。アルケブスガンを放ったズルフィカールが、損傷した敵には興味を示さず、次の活きのいい獲物を求めて移動していった。
「スカイライダーを下がらせるんだ。近づけばいい的だ。空の目をすべて失うわけにはいかない!」
 空挺戦車のパイロット席に身を乗り出すようにして、飛鳥玲人がメイベル・グレッセルに進言した。このまま近くを旋回していては、飛鳥玲人のスカイライダー小隊と同じ運命を辿る。
 すぐさま、メイベル・グレッセルが後退の指示を出す。そのまま、アディス・カウンターの別のMECが接近してこないかを監視させることにする。
 シンシア・スターチスの閃光宝珠で目眩ましをかけつつ、メイベル・グレッセルが自動擲弾銃でズルフィカール近くの地面をセキュルーションの攻撃で荒れ地にして動きにくくする。
 残るサイフォスキャノンで気休めの威嚇射撃をしつつ、空挺戦車は後退していった。
「記録は取ったが、公表しても奴らの悪行の説明にはならないな……」
 フィルムカメラを握り締めながら、飛鳥玲人がつぶやいた。移っているのは、ズルフィカールの戦闘記録とも言える写真だけだ。本来は、アディス・カウンターの暴挙を記録して公表し、世論に訴えかけるつもりだったのだが。けれども、これはこれで、貴重なズルフィカールの資料となりそうではある。もっとも、どこまで分析できるかは未知数ではあるが。
「弱点があるはずなんだが……」
 飛鳥玲人は、ずっとズルフィカールを観察して弱点を探してはいるのだが、普通に頭部あたりかとしか分からない。まあ、どんなMECでも、頭部を潰されればセンサーが使えなくなるので、弱点であると言えば弱点でもある。
 それにしても、各MECは、それぞれ技術を持つ者たちが事前にチューンしてある。さらに、大地母神の依代で強化した機体もあるのだ。それでも、これだけ性能に差が出るものなのかと、空挺戦車に乗っていたMEC専門の整備士が信じられないと目を見張った。
「ほんっとに、男の子たちったら、無謀なんだから……」
 困ったような、楽しむような口調でアリア・ファールスが言った。
 メイベル・グレッセルたちに代わって、アリア・ファールスとクラン・イノセンテが飛鷹シンの救助にむかう。アルエット・ノインテータは、ダッシュローラーで飛び出すと、一目散に信道正義の許へむかった。
 それへ、ズルフィカールがアルケブスガンをむける。クラン・イノセンテのトムキャット・ニエーバはウィーピングで回避行動を取るが、アリア・ファールスは避けきれないと判断して、大百足試作型の平をむけてアームディフェンスの体勢をとる。だが、アルケブスガンのビームは易々と大百足試作型を貫通して、グレイハウンドの右肩から先を吹き飛ばした。たまらず、グレイハウンドがハイジャンプで隣の通りへと離脱する。ワンスマニューバがなんとか機体を持ちあげたが、スラスターが空中で小爆発を起こした。
「アリア!」
 アリア・ファールスの無事を確かめる間もなく、トムキャット・ニエーバにズルフィカールが迫る。
「接近戦なら……」
 果敢にも、クラン・イノセンテがコンセントレーションを駆使して、なんとかズルフィカールに接近した。同時に、ライズエッジを放つ。
 ズルフィカールは、それをパイルバンカーのカバーシールドで受けつつ、腕を振ってトムキャット・ニエーバを殴り飛ばした。
 衝撃で、頭部がちょっと嫌な方向に傾ぐ。メインモニタの映像が、激しく乱れた。
『下がれ! こいつの相手は、俺がする! さあ、“厄介な毒虫”ライオネル・バンダービルト、“毒虫”の赤い蠍がお前を狙ってるぜ!』
 そこへ乱入してきたのは深紅のキャヴァルリィ。MECではない。フルアーマーファルカタを改修したアンタレスだ。
“黄昏の護衛”松永 焔子、プリテンダーの刺客として貴方のそっ首頂戴しますわ!』
 続いて肩の『逢魔』の文字もエキゾチックな松永焔子のマカイラ・オウマが、ランページ陣形でシュナイダーの弾幕を張りながら突進してくる。
『キャヴァルリィにはキャヴァルリィをってわけだ!』
 両肩のブレードホルダーから双大剣レサトを引き抜くと、一気に打ち下ろしてズルフィカールの両腕をアームズブレイクで切り落とそうとする。それを、ディッカが素早くパイルバンカーで受け流した。同時に、パイルバンカーを射出して剣を二本とも弾き飛ばす。折れはしなかったものの、強烈な打撃で、剣が二本ともアンタレスの手から離れた。飛ばされた勢いのまま、大剣が街路左右の建物に突き刺さり、文字通り粉砕する。
『その程度で、切り札を自称するか?』
『やってくれる……』
 ウィーピングで素早く機体を動かしながら、ライオネル・バンダービルトがシュツルムシールドからグレネードを射出した。直撃だ。閃光と爆風が舞い、アンタレスの華美なマントをはためかせる。
 ズルフィカールのショルダーアーマーと胸部装甲に損傷が見られたが、みるみるうちに修復されていく。
 だが、それを黙って見ているはずもなく、松永焔子がホーミングミサイルをズルフィカールの全方位から誘導して命中させていく。
 その間に、ライオネル・バンダービルトが態勢を立てなおした。
「キャヴァルリィを使いこなすとは、そういうことか……」
 残念ながら、今のアンタレスにはそこまでの自動回復能力はない。だが、可能性はあると言うことだ。
『今のうちに救助を!』
 ツクモ・オウバージーンの指示で、サイフォスヒーラーが、伊勢日向たちの救助にむかう。
 アンジェラ・メルヴィルの乗ったサイフォスヒーラーも、アイリス・フェリオの指示で損傷した機体の救助にむかった。

★    ★    ★

 裏通りに墜落したトムキャットからは、アリア・ファールスがなんとか脱出していた。かなりの打ち身の痛みはあるが、動くことはできる。そんなアリア・ファールスの許に、近づいてくる二騎のユニコーンリッターの姿があった。リリィ・ウィンタースたちだ。
「ちょっと、どこへいくつもり!?」
 キャヴァルリィ同士が激しく戦っている場所に、身体がむきだしのユニコーンで近づくなど自殺行為だ。
「大丈夫、私とクリスタニアならやれます」
 静かにと口許に指をあててアリア・ファールスに合図すると、リリィ・ウィンタースは土地勘を生かして隠密行動を続けていった。相棒であるユニコーンのクリスタニアは、音をたてずに路地を駆け抜けていく。
 リリィ・ウィンタースたちは、大きく回り込んでズルフィカールの背後へと出た。
「いきますよ。チャンスは一度!」
 シュツルムアタック陣形で、リリィ・ウィンタースたちが果敢にも飛び出した。
 時を同じくして、アイリス・フェリオ麾下のスパイダーリッターの小隊が、するすると建物の屋根を伝って回り込み、救援のサイフォスヒーラーたちを支援するためにズルフィカールに糸を吐きかけた。
 ズルフィカール拘束するにはとても至らなかったが、ズルフィカールの意識がスパイダーリッターたちにむく。
『邪魔をするな!』
 アルケブスガンが、屋根ごとスパイダーリッターたちを灰にして吹き飛ばした。
 その隙を突くかのように、一気撃滅に駆け抜けていくリリィ・ウィンタースたちが、ズルフィカールのダッシュローラーに向けてソートレルWを放つ。結果を確認することもなく、リリィ・ウィンタースたちは駆け抜けていって身を隠した。
 さすがに命中はしなかったものの、足許で突然起こった爆発に、ズルフィカールの動きが一瞬止まった。
 その一瞬を無駄にはしない。
『たとえ、防御機能が揃っていたとしても、これは防ぎきれないだろう! 腕の一本だけでももらう!』
 柊恭也が、大百足でキャヴァルリィブレイクを仕掛けた。
『我が思念の手、地獄に落ちても離しませんわ!!』
 松永焔子がサイコバインドでズルフィカールの動きを止めようと試みる。巨大な手のイメージがズルフィカールを握り潰そうとするが、信道正義のサイコプレッシャーの時と同様、なんなくズルフィカールがそれを撥ね除けた。
 畳みかけるように、ウェポンチェンバーからメックマシンガンを取り出していたライオネル・バンダービルトも射撃を加える。マントとカバーシールドで防ぎつつ、ズルフィカールがアルケブスガンでそれに応えた。
 マカイラ・オウマがトランスユニットの反応性能でなんとか回避をするが、アンタレスが肩を撃ち抜かれる。パージするまでもなく、シュツルムシールドが吹き飛んだ。だが、肝心の肩間接部は、ズルフィカールほどではないものの修復されていく。
 その間に、鬼刃の大百足がズルフィカールに届いた。回転するアダマンチウムの刃が、火花をあげてズルフィカールの装甲を噛み砕いた。
 同時攻撃を受けて、さしものズルフィカールも避けられずに、左腕の装甲を大きく叩き割られる。このダメージであれば、もう左腕は使えないだろう。大幅な戦力低下だ。
 柊恭也がしてやったと思った瞬間、だらりと垂れ下がったかに見えた左腕が鬼刃のコックピットにむかって突き出される。
 ほとんど本能でダッシュローラーによる後退をかけると、前傾させた機体からグライドアーマーをパージする。射出されるかのようにスラスターを全開にして突き進んだ推進ユニットは、そのままズルフィカールを押し飛ばすかと思われたが、轟音と共に砕け散った。何ごともなかったように腕を再生させたズルフィカールが、射出したパイルバンカーをシュンと元の位置へと戻す。
 キャヴァルリィは多少の再生能力を持つが、オリジナルの一機であるズルフィカール、その能力を完全に引き出すディッカというペアにとって、一撃による完全破壊以外は損傷にも数えられない。それほどに、異常な回復性能だ。
『よくも考える。たしかに、お前たち傭兵は多少やっかいな存在だな』
 ズルフィカールが、アルケブスガンを構える。素早く回避した鬼刃が、建物の陰に回り込む。
『無駄だ!』
 建物にむかって、ズルフィカールがアルケブスガンを撃った。石造りの建物が爆散する。貫通したエネルギー弾が鬼刃の右腕をあっけなく吹き飛ばした。アダマンチウムの重装甲がガラスのような細かな破片となって飛び散り、クルクルと回転しながら飛ばされた腕が、大百足を地面に突き立てて止まった。
 建物がなくなって姿が顕わになった鬼刃に、ズルフィカールが止めを刺そうとする。だが、突然、その左肩の装甲が吹き飛んだ。長距離からのロングレンジライフルの狙撃だ。

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