クリエイティブRPG

オアシス・ドゥニア防衛戦

リアクション公開中!

 0

オアシス・ドゥニア防衛戦
リアクション
First Prev  14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24  Next Last

★    ★    ★

 ドゥニア市街でひときわ目立っていたのは、ユキノ・北河の操るアーマードクルーザー級エアロシップ豪雪だ。ほぼ全ての艦船が敵艦隊との決戦にむかったため、市街地の上空にはミア・ユリィのデストロイヤーとユキノ・北河の豪雪しかいない。だが、ミア・ユリィは、敵砲撃の集中に、早々と外周部まで下がっている。現在、市街地の中央上空に居座っているのは豪雪だけだ。
「ふむ。アルケブスガンではやや射程が足りぬか。残念だな。――そうは思わないかな」
 一瞥したディッカは、豪雪の処理はカシムに任せることにした。ズルフィカールのハイジャンプで取りつくなり、ミサイルランチャーの一斉射撃で一瞬にして鉄くずにできるが、現場指揮官にはこの程度の処理はできてもらわなければ困る。そのために、ハイサイフォス・ガンナーを預けてあるのだ。
 ディッカの期待通り、カシムはハイサイフォス・ガンナー部隊に豪雪の迎撃を命じた。もっとも、市街地では砲撃がしにくいため、手持ち無沙汰にしていたハイサイフォス・ガンナーの部隊が、格好の獲物を見つけて喜んだというのが正直なところなのだが。
 ユキノ・北河は地獄耳で市街の状況を把握しようとしたが、あちこちから戦闘の音が響いてくるだけであった。その隙を突かれる形で、地上からハイサイフォス・ガンナーの砲撃が始まった。それも一機や二機ではない。十数機からの弾幕である。
 あっという間に、護衛のメガリスが次々に撃ち落とされていった。いくらアーマードクルーザー級とはいえ、集中して攻撃を受ければ装甲が持たない。一斉に艦内モニタの画面にレッドアラートランプが点灯していった
 幸いであったのは、搭載していた各機はすでに降下させていたことであった。もっとも、なるべく中央付近で降ろそうとして前に出すぎた結果がこの集中砲火なのであるが。本来であれば、後方からの支援砲火に徹していれば、逆の立場に立てていたかもしれない。だが、守るべき市街戦で砲撃を行えば、それこそ本末転倒であった。避難済みであれば人的被害は抑えられるが、街を破壊するというアディス・カウンターの目的の一つを手助けするだけのことだ。
『くっ、やはりこの程度では不味い!? 一旦態勢を立て直しますよ!』
 わざと艦外に音声を流して、ユキノ・北河が撤退を開始した。本来は、囮として、追撃してくる敵を味方が待ち構える場所まで誘導する作戦であったのだが、先ほどの台詞はすでに演技ではなくマジだ。
 シンフォニアが試製シンフォニック・タクトで退路を探すが、単純に後退するしかない。前進して強行突破すれば、現在行われている艦隊戦のまっただ中に突っ込んでいくことになる。
 高角砲の鷹殺しのセキュルーションで敵を牽制しつつ、プラズマウェイブで動けなくしようとするが、いかんせん敵が多い。応戦の甲斐なく、次々と豪雪の艤装が破壊されていく。ついには出力低下を起こし、西側のドゥニア市外に墜落していった。爆散しなかったのは、さすがシールドクルーザー級だというべきところか。その様子を見ていたミア・ユリィは、さっさと後退して正解だったと、ほっと胸をなで下ろした。デストロイヤー級など、あんな攻撃を受けたら木っ端微塵だ。

「ああ、豪雪が!!」
 撃墜されていく母艦を見上げて、楽・タチバナが悲痛な声をあげた。守りたくとも、豪雪を砲撃しているハイサイフォスは、カシム率いる敵本隊のむこう、遥か後方にいる。これでは、敵を攻撃することができない。
 そこへ、ハイサイフォスの小隊が接近してくる。当初の作戦通り、ユキノ・北河に誘導されてきたカモではない、こちらを発見して万全の態勢で攻撃を仕掛けてきたアディス・カウンターの精鋭である。
「やってみせるさ!」
 楽・タチバナが、スクラマサクスガードベースのフェイルノートでハイサイフォスを迎え撃った。ディープブルーの機体が、シルバーグレイの腕を振る。デュアルビームソードが二倍の長さに伸び、間合いを取り損ねたハイサイフォスに斬りかかった。ショルダーアーマを破壊されつつそれを凌いだハイサイフォスを中心に、僚機が左右に分かれてフェイルノートを包囲しようとする。
 自動的にそれに呼応した浮遊レーザーポッドが、牽制でビームを放った。一機がショルダーアーマーでそれを防ぎ、もう一機がビームマシンガンで浮遊レーザーポッドを破壊する。
 一瞬射線が外れたのを逃さず、楽・タチバナが機体の陰に潜ませていたシュナイダーでシャドウストライクを仕掛けた。ビームマシンガンを破壊し、ライズエッジで右腕を破壊する。さらに、シュナイダーでもう一機を攻撃すると、サイコバインドで小隊長機を掴んだ。巨大な手の幻影に掴まれて、ハイサイフォスの小隊長機が動けなくなる。
『後は頼むよ! ジャンヌ!』
 楽・タチバナの声に、それまで隠れていたジャンヌ・アルタルフの小隊が躍り出る。
 戦闘を飛ぶユニコーンリッターが、動けないハイサイフォスの膝裏にランスを突き立てた。続くトムキャットが、サイコバインドを発動して動けない楽・タチバナを守って、ハイサイフォスに頭部バルカンを放つ。そして、ジャンヌ・アルタルフの乗るトムキャットベースのカーテナが、ショットガンで動けないハイサイフォスの脚部を完全に破壊した。ジャンヌ・アルタルフは、パワーオブラブを口ずさみながら、上機嫌である。目的の一つに、ハイサイフォスの鹵獲があったからだ。
 サイコバインドを素早く解いた楽・タチバナが、残るハイサイフォスと切り結ぶ。それを援護しようと、ジャンヌ・アルタルフがへビィウェポンの全弾射出で一気に決めようとしたときであった
 閃光と共に、ペガサスリッターが吹っ飛ばされていった。
 コピスの小隊が、フラッシュバズーカをジャンヌ・アルタルフたちにむけて連射してくる。
 応戦しようとしたトムキャットが、突然頭部を切り落とされた。ソードブレーカーを持ったカッツバルゲルの姿が一瞬現れて、そしてまた消える。
 どうやら、爆弾を設置し終えた部隊が、援軍として現れたらしい。
「手土産が増えるだけよ」
 ジャンヌ・アルタルフが、敵を一気に殲滅しようと、へビィウェポンのターゲットをコピスの小隊にむける。それを見て、コピスが散開しつつ後退を開始した。逃がすものかと、ジャンヌ・アルタルフが前進する。そのときであった、カーテナの足許に輝く魔法陣が現れた。コラプストリックの陣形だ。
「まずい、このままじゃ、私の方が捕まっちゃ……」
 カーテナが、機体各部から白い煙をあげて今にも停止しそうになる。
「ジャンヌ!」
 楽・タチバナのフェイルノートが、そこへ飛び込んできた。カーテナの機体をかかえるようにしてコラプストリックの結界から無理矢理引きずり出す。
 なまじ敵を鹵獲しようなどとしなければ、敵の援軍が到着する暇(いとま)を与えなかったのだが、今さらそれを言ってもどうにもならない。楽・タチバナは、フェイルノートのホバーを全開にするとその場から離脱していった。
 だが、黙ってそれを見逃すような敵ではない。
 損傷したハイサイフォスをカッツバルゲルが助けて後退していき、残ったコピスが二機、カーテナをかかえて速度の出ないフェイルノートを追いかけてきた。
 フラッシュバズーカが至近を通り過ぎるのを、振り返ることもせずに楽・タチバナが一目散に逃げる。
 移動しながらの射撃に狙いが安定しないコピスが、急停止して精密射撃を行おうとする。フラッシュバズーカであれば、十分に有効射程内だ。
 そのとき、突然、コピスの片方が、頭部から左腕にかけてをビームソードで切り裂かれて倒れ込む。
 二機のコピスの間をロードマスターの加速力で一気に突き抜けた風間 瑛心の黒いトムキャットが、ダッシュローラーで巧みにバランスを取りながら反転し、バルカンを残るコピスに浴びせかけた。思い切りよくアームディフェンスでフラッシュバズーカを犠牲にしてバルカンの銃撃を防ぐと。コピスが、フラッシュバズーカを投げつけてくる。
 ロードマスターのシールドで撥ね除けるものの、誘爆したフラッシュバズーカの弾体が閃光を発する。それに紛れるようにして、コンパットナイフを構えたコピスが接近戦を仕掛けてきた。
「……やるな!」
 浅く機体に傷をつけられた風間瑛心が、すぐに反撃に転じた。
 敵のMECだけを破壊し、確実に戦力だけを削り取っていくために、風間瑛心は味方と戦闘中の敵を背後などから急襲していた。一見卑怯のようにも見えるが、戦いにそんなことは関係ない。むしろ、不殺を謳う風間瑛心は、確実にMECだけを破壊していた。
 だが、さすがはアディス・カウンター、手練れが多く一筋縄ではいかない。
 コンバットナイフ一つで風間瑛心と互角に切り結んでいたコピスではあったが、さすがに戦いが長引くにつれて防戦一方となっていく。ここまで粘るのは、おそらく援軍を待っているのだろう。
 これ以上時間をかけるわけにはいかない。
 風間瑛心は、ダンシングエッジで一気に勝負をかけた。
 コンバットナイフごと右手から先を切り落とされたコピスが、頭部センサーアイを潰されてあおむけに倒れる。
 脚部にビームソードを突き立てて移動できないようにすると、風間瑛心は急いでその場を離れた。追われていた二機のトムキャットも、無事に逃げ切れたようだ。
 風間瑛心は次の敵を探して、戦場を移動していった。

★    ★    ★

「うーっ、いったい、なんの御冗談でしょう。バイクで索敵ですって。なんて無茶振り……」
 ワラセアバイクのハンドルの上に索敵宝珠改を乗せた青空 鳴が、物陰に身を潜めながらちょっと唸った。バイクの荷台には、三基のメガリスがゴム紐でグルグル巻きにされて載せられている。いざというときの護身用だが、それ以前に、ミサイルの至近弾とか、ビームが掠っただけでおしまいである。だって、生身なんだもの。
 市街地であるから、小回りの利くバイクの方がいいと言われたって、装甲値は紙ですらない空気である。
 とりあえず、無理はしない方針なので、弱そうな敵を狙うことにする。
 全方位索敵で、敵のだいたいの位置は把握できたので、守りの薄そうな弱点である部隊を探す。
 中央にかなりの部隊が集まっていて、どうやら激戦が繰り広げられているらしい。ここは、関わりたくない。
 その他は、小隊ごとに数機で市外各地に分散している。動きが速いので、カッツバルゲルあたりの工作部隊だろう。
「とりあえず、このへんでございましょうか?」
 手頃な敵小隊を見つけると、青空鳴は、その位置を隊長であるウリエッタ・オルトワートに告げた。
 任務完了。
「さあ、死なないうちに撤退ですわ!!」
 ワラセアバイクに跨がると、青空鳴はスカートの裾を靡かせて市街をかっ飛んでいった。

★    ★    ★

『了解。みんな、出撃よ』
 ウリエッタ・オルトワートの号令で、小隊の各員が捕捉した敵小隊へとむかっていった。
『敵を把握したわ』
 敵小隊がウリエッタ・オルトワートたちを認識したとほぼ同時に、ステア・オルトワートが戦場把握をする。敵はハイサイフォスとコピスのペアだ。
 先頭に立って、ステア・オルトワートのブラックバードRverが敵に突っ込んでいく。不穏の輪舞陣形を取った左右六機のシュナイダーが、怪しくブラックバードRverの周囲で舞い踊った。
 それに惑わされることなく、ハイサイフォスがビームショットガンで攻撃してくる。その瞬間、ディフェンスシフト陣形に移行したシュナイダーがブラックバードRverの全面で先端を一つに合わしてシールドを形成した。まるで六つ葉のクローバーのようになってビームを防いだシュナイダーが、次の瞬間、前方にむかって方向を変え、まるで一つに収束した極太のビームのように六条のビームを放った。その光が、敵のビームショットガンに吸い込まれる。
 カウンターでビームショットガンを破壊されたハイサイフォスが、素早く横に移動し、バスタード・ソードを抜き放つ。直後、背後に隠れていたコピスがフラッシュバズーカをステア・オルトワートに放った。手慣れた連携だ。
 かろうじて再びシュナイダーで防いだものの、連続攻撃に、そのうちの二機が動作不能となってだらりと垂れ下がった。
“散光の銀閃”シィルヴィア・コーストだ。さあ、かかってきなさい!』
 シィルヴィア・コーストが、エースオブブライド陣形で名乗りをあげた。ステア・オルトワートを攻撃しようとしていたハイサイフォスが、急遽ターゲットをシィルヴィア・コーストのトムキャットに変える。ステア・オルトワートの方は、コピスに任せたようだ。
 得たりとメックシールドで敵のバスタード・ソードを受け流すと、カウンターでスパイラルブレイカーを突き出す。ショルダーシールドごと半身を砕かれたハイサイフォスが動かなくなった。
 後衛として待機していたマリエッタ・オルトワートのマカイラが、白魔と名づけられ換装パーツドラグーンのロングライフルを構えた。同時に、僚機のマカイラ・ドラグーンがミラージュシフト陣形で、多数の狙撃部隊がいるように見せかける。
 予想以上の数の部隊に襲撃されたと誤認したコピスが、瞬間、ステア・オルトワートとマリエッタ・オルトワートのどちらを攻撃しようかと迷う。そこを、すかさずマリエッタ・オルトワートが僚機と共に狙撃した。直撃を受けたコピスが、中破する。
「ようし、みんな、最後は任せて♪」
 後方にブラックバードRverでどっしりと構えたウリエッタ・オルトワートが、満を持してホーミングミサイルをランチャーから次々と発射した。
 街中でミサイルなんてちょっとどうかとも思うが、そこはホーミングなので一発必中確殺である。被害は最小限……のはずだ。
 事実、言葉どおりに、すでに損傷していたハイサイフォスたちにミサイルが止めを刺していく。
「さあ、次の獲物よ。鳴。鳴?」
 返事のない青空鳴に、呼びかけ続けるウリエッタ・オルトワートであった。

First Prev  14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24  Next Last