三千界のアバター

サルマティアグランプリ

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【1】Aブロック―決着

 Aブロックバトルロワイヤルは終盤を迎えていた。
 各地の戦闘で生き残った者達が出会い、消耗した状態で再び戦闘を行っている。

 【アナザーシード・セーメ】と【ゲーヒンノム】が戦っていた。
 人数ではアナザーシード・セーメの方が上だが、皆前の戦闘の影響でHP、MP共にかなり消耗している。
 回復もままならず、一人また一人と倒されていくアナザーシード・セーメの面々。
 だが、ただやられるだけでは終わらない。
「てやぁぁぁっ!!」
 味方が前衛を抑えているうちに、アクアが敵後衛へ突撃。ヒーラーのフィオへ攻撃を当てて倒す。
 フィオ自身も反撃を受けて倒れるが、ヒーラーを潰した事でフィオの仲間達が猛攻に出る。
 アナザーシード・セーメ側のヒーラーであるなやりんも既に倒れており、互いに回復無しでの殴り合いとなる。
 
 最終的に残ったのは、シンとサキスの二人だった。
「くっ……かなりやられたな……」
「体力も魔力ももう殆ど残ってない……どうする?」
「諦める、なんて選択肢は持っていないさ。ぶっ倒れるまで戦い続ける、だろ?」
 そう言って不敵な笑みを浮かべるシンに、サキスは頷く。
 だが、そこへ。
(チャンスっ!)
 東城 カンナは隠れていた柱の陰から飛び出す。
 彼女は他のチームが戦い、弱った所を襲撃するために先ほどの戦闘の間ずっとこの場に身を潜めていた。
 戦闘が終わり、生き残ったのはたったの二人。その二人が話し始めた為、これは好機と考え行動を起こしたのである。
 アヴォイドダッチに乗ったカンナは、二人の間を疾風怒濤で駆け抜ける。すれ違いざまに切りつけ、通り過ぎた後は振り向いてゼピュロスブレードを放つ。
 防御スキルを使うだけの魔力は残っていない。シンは盾を構えて攻撃を受け止めるが、後方へ大きく押しやられる。
 サキスは残り少ない魔力を使い、最後の一撃を放つ。ゼピュロスブレードの風の刃同士がすれ違い、互いを切り刻んだ。
 サキスは体力が尽き、その場に倒れる。カンナもダメージを受けたが、それをカルーア(異空 迦楼羅)が治療する。
 シンはカルーアを狙う。
「カンナちゃーん! 助けてくださーい!」
「はいはい、っと」
 カンナはアヴォイドダッチを走らせ、カルーアとシンの間に割り込む。そしてインテンスで力を溜め、近づいてきたシンへ強打を叩き込んだ。
 シンは盾で受け止めるが、衝撃が強すぎて後ろへ吹き飛ばされる。
 すかさず接近して追撃するカンナ。シンは体力が尽き、戦闘不能となった。
「カルーアちゃん大丈夫ー?」
「大丈夫です。治療するのでカンナちゃんこっちに……」
 そう話をしていると。ふいに頭上が光ったように感じた。
 見上げれば、小さな光球が。直後、一筋の光線が降り注ぐ。
「カンナちゃん!!」
 カルーアがカンナを突き飛ばす。光線は今しがたカンナが居た場所へ着弾し、周囲に光を撒き散らした。
 光の破片でダメージを受けるが、二人ともまだ健在だ。カルーアが急いでカンナを治療する。
 だが、ゆっくり回復している時間は無かった。先ほどのクシャトを放ったシヅキ含む【虚構戦団オルギアリス・極夜】の面々が姿を現す。
「やばい、逃げよう!」
「う、うん!」
 流石にこの人数は相手に出来ないと考え、二人は逃げ出す。シヅキ達がその後を追う。
「逃がさないよー」
 遮蔽物に隠れようと魔法が飛んでくる。カンナとカルーアは必死に逃げる。しかし。
「居ました、こちらです!」
 戦闘の音を聞きつけ、【キャンバス・リエータ】がカンナ達の前に現れた。アルジェントが杖と盾を構えて彼女らの前に立ちはだかる。
「カンナちゃん、どうする!?」
「もうこうなったら仕方が無い、やるよ!」
 カンナとカルーアは臨戦態勢。すぐに追ってきた虚構戦団オルギアリス・極夜のメンバーも加わり、乱戦が始まった。
 2チームともまだ余力があるようで、ゼピュロスブレードやクシャトといった広範囲攻撃が飛び交う。
 カンナも負けじとゼピュロスブレードを放つ。アルジェントがエルテルンヴァッヘで全て受け止め、お返しにアレストチェーンを使う。
「嘘!? 動けな……」
「アスール、今です!」
 アルジェントが叫び、アスールがその陰から飛び出してエッジストームを放つ。
「蒼き風よ……切り裂け」
 高速の連続斬りがカンナの体力を削り取っていき、攻撃が終わったときにはカンナは倒れていた。
 カルーアはアスクレピオスの杖を所持しており、カンナを蘇生したいと考える。だが、アスール達が倒れた彼女の近くに留まっている為近寄れない。
 一度離れて隙を見て蘇生……と考えるが。
「あら、どこへ行くのかしら?」
 マーヴィが誘惑を仕掛け、その足を止めさせる。逃げる場所もなく、誘惑状態になったカルーアは操られるような事はないものの、思ったように動けなくなる。
 アスールが動きの止まった彼女へ接近し、双剣の連続斬りで一気に体力を削りきった。
 
 スーがファイアバードを召喚し炎を放つ。カラスバがアイアンヴェールで炎を全て受け止める。
 クロエが相手ヒーラーを狙って突撃するが、それを虚構のラージシールドを掲げたルルが壁となって押し留める。
 攻防を繰り広げる彼らの元へ、さらにもう一組現れる。
「新たな舞台はここね! さあ、今宵の仮面舞踏会<サルマティアグランプリ>最後の一曲を奏でましょう!」
 【黒銀の輝跡】が戦闘に加わった。
 三つ巴の戦い。時に二つのチームを纏めて薙ぎ払い、時に同じ相手を共に攻撃し一時だけの協力関係となり。混戦は続く。
 
 どのチームもこれといった決め手には欠けていた。
 勝利に結びついたのは余力が、余裕があるかどうかの差。つまり、ヒーラーの存在だった。
 アルジェントが寄ってくる針蟲をエルテルンヴァッヘで引き寄せ、攻撃を受け止めた後で跳ね飛ばす。
「ブランさん、今の内に!」
 彼らタンクに守られながら、ブランは味方全員をグレーターヒールで回復する。
「羊は人と人を繋ぐ象徴だから……希望の光は、絶やさせない……!」
 先にMPの尽きたユーリは回復をブランに任せ、ブランを守るように位置取りながら、ヒツジン28号の蹄を使って前衛に混ざって攻撃している。
 ヴェールがラストダークを使い、アリスの盾を腐食させる。
 そこへノワールが突っ込み、猛攻を仕掛けて戦闘から脱落させる。
「やられっぱなしじゃ終わらないわよ!!」
 アイナがノワールの攻撃に対してフレックスカウンターを行い、ゼピュロスブレードに繋げて近くに居る者を纏めて薙ぎ払う。
 唯一のヒーラーであるマキガるうを二チームからの攻撃により倒され、回復手段を失った黒銀の輝跡は現在、アイナだけとなっていた。
 アイナは体力が尽きる寸前まで攻撃を行い、数名を巻き添えに死亡する。
 
 立っている者の数が一桁になって、さらに減っていって。
「これが最後……かな」
 前衛が全滅し、シヅキが残る魔力を全て使ってクシャトを放つ。
 光線を喰らい、ノワールが倒れる。駆け寄ったブランはアスクレピオスの杖を使ってノワールを蘇生させる。
 生き返ったノワールが虚構戦団オルギアリス・極夜の生き残りを倒す。
 
 
『試合終了!!』
 

 直後、スピーカーから声が響き渡った。
 
 
『グランプリ本選Aブロック、バトルロワイヤル勝者は【キャンバス・リエータ】です!!』
 
 
 試合中、ずっと気を張り詰めていたブランは、その声を聞いてぺたんと地面に座り込んだ。
「勝てた……」
 周りを見れば、仲間たちもそれぞれガッツポーズを取ったり、勝利の雄たけびを上げたりしている。


 こうしてAブロックの勝者は決定した。
 だが、彼女らには準決勝の試合が控えている。
 次の相手はBブロックの代表……彼女達と同じように、バトルロワイヤルを勝ち抜いた強豪である。

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