三千界のアバター

サルマティアグランプリ

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【1】キャンバス・リエータ VS RWO華撃団

「う~ん、他にぼっちプレイヤーいないのね。出来ればチーム組みたかったけど仕方が無い、一人でだって優勝狙うゾ!」
 リーナ・エストファーネはソロでバトルロワイヤルに挑む。
 一人で大人数のチームを相手にするのは流石に分が悪すぎるので、チーム同士で戦闘中のところに乱入しようと、戦闘の音が聞こえる方向へ向かう。
 
 
 
「蟲が思ったより厄介だ、壁沿いに移動するぞ」
 ノワール(天峰 真希那)が所属するチーム【キャンバス・リエータ】は針蟲の少ない会場外周を移動していた。
 とはいえ、まったく居ない訳ではない。
 針蟲が出てくるたびに、アスール(戒・クレイル)が対処をする。
「後で邪魔されると困りますので、ね」
 敵チームと遭遇した際に針蟲と挟み撃ちにでもなれば、かなり分が悪くなる。
 その為無視して通り過ぎたりはせず、アスールは遭遇した全ての針蟲を駆除していた。
 双剣を手に、素早く蟲達の間を走りぬけ、攻撃される前に切断する。
「蒼き風よ……切り裂け」
 針蟲の数が多い場合はゼピュロスブレードを使い、斬撃と風の刃で纏めて薙ぎ払う。
 先頭を行くカラスバ(三雲 封真)は周囲を警戒しつつ先へ進む。
 敵の奇襲に備え、特に障害物を避ける際は慎重にその裏を覗き込む。陰から誰かが飛び出してきても攻撃を防げるように竜眼の宝盾をしっかりと構えておく。
 
 そうして、どの位進んだときだろうか。
 カラスバの目の前にある瓦礫の陰から誰かが飛び出してきた。

 遮蔽物の陰で待ち伏せしていた【RWO華撃団】ライト(水城 頼斗)は飛び出すと同時にファストアタックを仕掛ける。
 直槍‐汗馬刀槍‐による素早い突き。カラスバは構えていた盾をずらして受け流す。
「ちっ……」
 奇襲を防がれたライトは槍を握りなおし、カラスバの脇を疾風怒濤に駆け抜ける。
 カラスバは武器を地面に突き立て、グリッドバーンで衝撃波を作りだす。
「うぉっ!」
 背中に衝撃波を受けたライトは前方へ押しやられる。倒れるとすぐに前転して起き上がるが、その隙にキャンバス・リエータの後衛達は距離を取った。
 ヴェール(リーオ・L・コルネリア)が味方ヒーラーを背に庇う。アルジェント(セルヴァン・マティリア)はアレストチェーンでライトを捕縛する。
「動けぬ相手を攻撃するのは不本意ではありますが……」
 コタロー(小山田 小太郎)はヴライを構え、ライトへ迫る。
「今は、己が役割(ロール)を果たしましょう」
 ブロウクンポイントを見抜き、ヴライを突き出す。身を捻ってかわしたライトへ、さらにもう一撃入れようとしたところで。
「ぐっ……!」
 急激に隆起した地面が棘となり、コタローの身体に突き刺さる。
「ライトさん、下がってください!」
 近くの遮蔽物の陰にティーナ(関魔 恭子)が隠れていた。彼女はクラックを使いライトへの攻撃を阻止していた。
 魔法の鎖が消滅し、ライトは自由に動けるように。ライトは下がり際にゼピュロスブレードを放つ。
 至近距離でそれを受けたコタローの体力が大きく削られる。さらに、斬撃と共に発生した風の刃が後衛にも迫っていた。
「おっと、通しませんよ」
 アルジェントがエルテルンヴァッヘの動きで後衛に迫る風の刃を全て受け止める。
「コタロー……!!」
 ユーリ(八代 優)がコタローに駆け寄り、メディスンの回復技能で治療する。
 そこへマナミ成神月 真奈美が攻撃を仕掛けた。
 無駄の無い動きでコタローの攻撃を避けつつ、反撃を繰り出す。プレイガジェットVRによる直感的な操作と、ブラインドタッチ、連打・初級の二種のテクを生かして素早く迷いの無い攻撃で果敢に攻める。
「てぃっ!!」
 ヴェールが横合いから盾をぶつけるようにして戦闘に割り込む。そのまま身体を滑り込ませてコタロー達を背後に庇い、マナミの攻撃を受け止める。
 マナミの斬撃を防ぎながら、ヴェールは彼女の動きを観察する。そして相手の攻撃に合わせて盾を傾け、刃を滑らせた。僅かに姿勢を崩されたマナミには隙が出来る。
 ヴェールはフレックスカウンターで反撃した。バリアランスを突き出し、マナミの胴体に命中させる。すぐに盾を構えなおして反撃に備える。
「やってくれましたね……ティーナ!」
 ティーナは遮蔽物の陰から姿を現し、レージを使用する。
 ヴェールの頭上に雷が発生し、その背後に落ちる。地面を伝わってヴェールだけでなくコタローとユーリにもダメージが入った。
「あの魔法使い、早く仕留めた方が良さそうだ」
 クロエ・クロラは味方ヒーラーを守るために、その周囲にブービートラップを仕掛けていた。
 罠を設置し終えたクロエは、身を低くしながら戦場を一気に駆け抜ける。
 ライトが彼女の行動に気がつく。
「ティーナ気をつけろ! 狙われてるぞ!」
 警告し、自身も助けに向かおうとする。だが彼は今カラスバと対峙しており、移動しようとしても行く手を阻まれる。
「ならこれでッ!」
 ライトはカラスバの側面に移動しゼピュロスブレードを放つ。狙いはカラスバではなく、ティーナを狙うクロエだ。
 カラスバが移動しアイアンヴェールの結界を張る。だが範囲が足りず、風の刃が幾つか後ろに抜ける。
「クロエさん、避けて!」
 カラスバの叫びに、クロエが横を向く。目の前に風の刃が迫っていた。咄嗟に飛びのいて避ける。だがすぐに飛来した二つ目がその腕を掠めていった。
 すぐに起き上がり、再び駆け出すクロエ。
「ひっ……! こ、来ないで、下さい……っ!」
 ティーナはクラックで足止めを狙う。
「無駄だ」
 しかしクロエは地面に変化が現れるとすぐに跳び、突き出した針を飛び越える。
「こ、これなら……!」
 ティーナは続けてレージの雷を落とす。距離が近いほど命中率が上がる技だ。既に至近距離まで来ていたクロエは直撃を受け、麻痺などの状態異常にこそならないものの、かなりのダメージを受ける。
 だがそれでもまだ生きていたクロエは足を止めず、ティーナに肉薄。トリプルアサルトを叩き込んだ。
「くぅっ……!」
 遠距離職とはいえアタッカー。ティーナはまだ死なず僅かに体力が残っていた。すぐにもう一度レージを使いそこから逃げようとする。
 ほぼ同時に、クロエは追撃として再びトリプルアサルトを放っていた。目にも留まらぬ三連撃がティーナの背に命中し、そこへティーナが発動させたレージの雷が落ち、クロエに直撃する。
 HPが0になったティーナは戦闘不能になり、倒れる。その隣で、同じく体力の尽きたクロエが地面に伏していた。
「くそっ!!」
 味方が倒され、ライトは舌打ちしつつカラスバに攻撃する。だがいくら攻撃しても防がれ、多少掠めた所で意味は無かった。
 カラスバの後ろにはブラン(天峰 ロッカ)が張り付いており、カラスバがダメージを受けるとすぐに回復させていた。
 ブランはカラスバの動きに合わせ、必ずその背中に隠れていた。ライトが大技を撃ってもカラスバが全て防ぎ、彼女には当たらない。
 ライトはカラスバの盾に槍を叩きつけると、その反動を利用して一回転し、遠心力を乗せた強烈な叩きつけをお見舞いする。
 かなりの勢いで槍と盾がぶつかり、耳をつんざく音が当たりに響く。カラスバはその衝撃でたたらを踏んだ。
 ライトはその隙を逃さず、疾風怒濤で攻撃しながらその脇を駆け抜けマナミの元へ向かう。
 合流すると互いに庇いながら協力して攻撃を行う。だが、マナミは既にかなり負傷していた。戦闘力の差に加え人数の差もあり、むしろここまでよく保った方だ。
 防戦一方となるライトとマナミ。と、そこへ。
「楽しそうだな。この戦い、わたしも混ぜてもらおうか」
 木材で作られた遮蔽物の上から、リーナ・エストファーネはドスの効いた声で告げる。
「喰らえ、大地の棘(アーススパイク)!」
 叫ぶと同時にクラックを使用し、戦闘中のマナミ、さらにはその相手であるヴェールも纏めて地面から飛び出した棘で貫こうとする。
「仲間ごと攻撃……? いや、彼らの仲間では無いのですね。個人参加者でしょうか?」
 針蟲の処理をしていたアスールはリーナの行動に眉をひそめる。最初は相手チームの増援かと思ったが、どうやら違うようだ。
「いいえ、どこかに仲間が隠れているかもしれないわ。皆、周囲の警戒を怠らないで」
 マーヴィ(AHI RU)が仲間達へ注意を促す。
「私が行くわ。もしもの時は援護をお願い」
 ロータス(八葉 蓮花)が新たに現れた敵へ向かっていく。
 背の低い遮蔽物にのぼり、さらに高い場所へ飛び移る。
 ロータスは浄眼を使って周囲を見渡す。これは天狗が持つ透視能力の一種だが、何らかの術に操られている者や呪いが掛かっている者を見抜くための術であり、隠れている者を探し出すことはできなかった。
 浄眼による索敵は諦め、ロータスは気を張り詰めて周囲を警戒。遮蔽物用の木材や瓦礫を足場にリーナへ近づいていく。
 接近される前にリーナは勝利のポーズを取る。ポーズ中は非常に強力な防御判定が発生するが、モーションが終わると同時にそれも消滅する。どうやら事前に使っておくという使い方では意味がないようだ。
 リーナはカイザーフェニックスボウを構えてロータスを迎え撃つ。
「ここは遊戯の世界……だからこそ、全力で打ち倒させて頂くわ」
 ロータスは接近しながら、ソードマスターの特性であるチャージを行う。
 リーナはクロスボウから魔法の矢を放ってロータスを牽制する。ロータスは剣やガントレットを使って体の重要な部位を守り、時折身体を矢が掠めながらも接近を続ける。
 もう少しで射程内、というところで。リーナがトリプルアサルトを放った。
 ロータスは身を捻りつつ、【レイス】鴉天狗の能力で空を飛ぶ。だが避けきれず腹部と足に斬撃を喰らう。
「アスール、蟲は任せる!」
 針蟲を倒していたノワールは見切一閃の一振りで目の前の蟲を仕留め、ロータスの下へ駆ける。
 韋駄天の靴によるスピードと跳躍力を生かし、遮蔽物の上に上る。
 ロータスは空中に留まりリーナの隙を窺っている。だが、飛行していられる時間はあまり残っていない。
「こちらも無視しないで頂けるかしら?」
 マーヴィが誘惑を仕掛ける。しかし完全に効く前にリーナがクラックでマーヴィを攻撃し誘惑を中止させる。
「危ない危ない……」
 そこへ、上空からロータスが襲撃する。
「天狗の剣技……その身に受けなさい」
 急降下して距離を詰めると、目前のリーナへ力を込めた天斬をお見舞いする。
 リーナは振り仰ぐと同時にトリプルアサルトを放って迎撃する。
「三連閃!」
 ロータスの切り上げとリーナの三連撃は、打ち消し合う事なく互いに命中する。
 瀕死になったロータスはすぐにリーナから離れるが、飛行可能時間が切れて着地する。その瞬間を狙ってリーナがクラックで追撃。止めを刺そうとする。
 そこへ、ノワールが到着した。
 リーナの背後へ向けて一直線に駆ける。気付いたリーナが振り向きトリプルアサルトを放つ。
 剣閃がノワールの服をバラバラに切り裂く。だが、切れたのは服だけで本体はそこには居ない。
「残念だったな」
 空蝉の術でトリプルアサルトを回避したノワールは、近くの足場に着地。そこから大きく跳躍してリーナの脇を通り過ぎ、すり抜けざまにインセクトキラーを一閃する。
「悪く思うな、こっちも勝ちにきてるんでなっ!」
 さらに振り向いてその背にトリプルアサルトを叩き込み、止めを刺す。

 ロータスはぎりぎり生存していた。しかし虫の息で、流れ弾が掠っただけでも死にかねない。
 回復が出来るヒーラー二人は今別のチームと戦闘中だ。
 だが、そちらももう終わりが見えていた。
 マナミは戦闘から脱落しており、ライトが一人で奮戦している。
 ヴェールの的確な防御により攻撃はほぼ通らず、それでも相手の反撃後の隙を突いて僅かにダメージを与えている。
 しかしダメージを受ける端からユーリが回復し、キャンバス・リエータ側はほぼ全快状態のままだ。
「気は捉えた……その間を、穿ちます」
 無我の境地に到ったコタローは、ライトの潜在的な隙をつく。ブロウクンポイントを狙い、グラップラーの打撃術を叩き込んだ。
 ここまで最低限の被ダメージで済ませ生き残っていたライトだったが、それでも消耗は大きかった。コタローの一撃でついに限界を迎え、地面に倒れ伏す。
 
 戦闘が終わり、一息つくキャンバス・リエータの一同。だが気は抜かない。他のチームとの遭遇、襲撃に備え、急いで態勢を整える。
「ユーリ、回復を頼めるかしら?」
「分かった……任せて……」
 ユーリがメディスンの技能を使ってロータスを回復させる。
「ノワールさん、アスールさん、回復するよ」
「助かります」
「俺はいいぜ。ちょっと掠った程度だしな」
「それでも一応回復しておこうよ。さっきのロータスさんみたいに、ほんのちょっとの差で生き残れる可能性だってあるしね」
 ブランも仲間の治療を行う。リュネットとサティスファイの効果で回復力が上がっており、体力の減った味方を素早く回復させる。
 一方マーヴィは戦闘不能になったクロエに駆け寄り、アスクレピオスの杖を使用していた。
「すまない、感謝する」
 蘇生されたクロエは立ち上がり、マーヴィに感謝を述べる。
 
 回復が終わると、一同は次の敵を探して移動する。
 
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