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準決勝

【S4U】 対 【一時の安らぎ】


 Cブロックを勝ち上がった『S4U』。Dブロックを勝ち上がった『一時の安らぎ』。彼らは準決勝の場所にやってくる。ここで勝った者たちだけが決勝戦へと進むことができるのだ。
 準決勝のフィールドは特に個性的と言えるものはない。Cブロックのように毒霧やワイヤーがあったり、Dブロックではクラフターならば簡単に作れるであろう課題を出されることもない場所。
 純粋に戦って勝つ、というシンプルな戦場だ。
 開始の合図と同時に動き出したのはS4Uだった。
「行くぞ! やることは変わらん!」
 まおうちゃんこと柊 エセルがチーム全体へとそう言うと、一時の安らぎの面々から後ろを向いて逃げ始めた。
 元々S4Uはこの様にしてCブロックで勝ち上がったのだが、別のブロックにいた一時の安らぎはこの作戦を知らない。そのため、エセルたちを追いかけるようにしてすぐに走り始める。
「そういう作戦できましたか」
 フェイツイこと成神月 鈴奈が逃げていく敵を見て走りながらそう言う。ただ追いかけるだけならばいいが、それではただの鬼ごっこだ。速い者が勝つだけ。しかし、この場所は戦場であって鬼ごっこじゃない。
「向こうに一番早くたどり着きそうなのは誰ですか?」
「アタシは銀狼だし、みんなよりも速く走れる」
「アタシも犬狼だから、速く走れるよ」
 そこで返事をしたのはヴァイエトことモニカ・ヴァネルとファラこと高峯 ファラの2人。2人は互いに種族が銀狼、犬狼のために素早さが上がっている。これならばS4Uの者たちげ追いつくこともできるだろう。
 鈴奈は少しだけ考えて、決定をする。
「2人は先行してください。その間に私たちが追い付きます」
「了解、先行する」
「サポートはアタシがするから安心して」
 アタッカーのモニカとクラフターのファラという2人がS4Uへ追いついて攻撃。足止めをしているところへと合流して戦うという選択肢を選ぶ。
「ふふふ、これは中々の自信作やし、味も中々やで?」
 サエこと三日月 冴はコックとして今後のことも考え、ヌードルマシンを使って皆へと料理を手渡していく。この様にして動きながら配れるのは移動販売車ならではだろう。
 そして、後方からモニカとファラがこちらへ向けて近づいてくるのを確認するエセルは次の行動を考えて、指示を始める。
「準備はどうじゃ?」
「大丈夫や、前ほどやないけど……出来る限り移動しながらやっておいたよ!」
 エセルが冴へと聞くとそう返ってきた。それを聞いてエセルは笑顔で頷くと、自分が一番後ろになるように走り始めた。
「追いついたぞ」
「おーおー、ご苦労なことじゃな」
 モニカに対して不敵な笑みを浮かべながら言うエセル。しかし、モニカは気にせずに武器を構えて攻撃。ファラもまたネヴァームーブを使って敵の移動速度を下げようと試みる。
「……流石に走りながら当てるのは難しいね」
「そうだとしても、ここで止めなくては仲間が追い付かないぞ」
 戦闘意欲によって熱くなっているのかモニカは正面の敵しか見えていない様に見える。Dブロックの際にはタンクのメルクリウスことコレット・アンブローズが間に入ることでマインドリセットを用いることで冷静になることができた。しかし、この状態でファラが落ち着かせるために行動するのは非常に難しい。
 この様子を逃さなかったのがエセルだった。バードであるエセルは歌などを得意とする種族であり、ここで天使の歌声を使い始めると、モニカとファラは眠気が襲ってくるようになる。
「くふふ、脚が止まっておるぞ? 我らをこのまま追ってきてよいのか? このままではぬしら、バラバラじゃぞ?」
「くっ……!」
「このままじゃアタシたちが危ないかもしれないよ」
 エセルに煽られてモニカとファラは考える。ここで足止めをしなければ堂々巡りになる可能性がある。しかし、眠りというデバフを掛けられた状態で追い続けるのも難しいというのも事実だ。
 2人は考えながらもS4Uを追い続けると、2人にとって良くないことが起こる。
「な、なんだ!?」
「これ罠だよ!」
 S4Uの逃げ回っていた先は冴が作っていた罠であった。それに引っかかってしまった一時の安らぎのモニカとファラはバランスを崩すという結果となってしまう。
「今じゃ! ここでこの2人を脱落させるぞ!」
 司令塔であるエセルの言葉を聞いてS4Uの者たちが一斉になって2人へと襲い掛かる。眠気というデバフをかけられ、罠にかかったという動揺で2人は囲まれる形となった。
 いや、デバフがなくとも、二人だけがS4Uの面々を追いかけ始めた時点でそれは彼女らの作戦であり、こうなってしまう事は十分にあり得ると考えられた。
 
「簡単にやられるわけにかいかないのでな……!」
 足を止めてこちらを攻撃してきたのは好機だっただろう。モニカは紅黒のカーマにて一番近くにいたマリアローズこと千桜 一姫へと攻撃を仕掛けた。
「させませんよ」
 ここで出てきたのはタンクのロザリアことローゼ・シャルフシュッツェ。モニカのトリプルアサルトを竜眼の宝盾と紫陽花の盾を持って攻撃を引き受ける。強力な一撃であったが、それを耐えきってローゼを守り切る。
 この状況でファラがするのは敵の足止め。ネヴァームーブを使って行動を阻害させ、て自身のダメージも顧みずにスモークボンブを投げつけて周囲に煙を上げる。
 これによって自分たちの方向を見失うS4Uの面々。しかし、すぐにそこから飛び出して再び逃げの態勢へと入り、走り始めた。
「大丈夫ですか?」
 そこへ合流した一時の安らぎ。すぐにヒーラーの「・・ーー・・」ことルキナ・クレマティスが声を掛けるが、すでに2人は虫の息であり、復帰するのは難しいだろう。
「フェイツイさん」
「いえ、まだ使うときではありません。こうして邪魔をする人もいるみたいですから」
 そう言って煙がなくなって出てきたのは、2つの盾を持っているローゼ1人。他の者たちは逃げていったが彼女だけはここへ残って足止めをしようとしているようだ。
「仲間を守るためにここで待ってもらいます」
 1人で立っている彼女だったが、味方を守るためにという信念が見えるかのようだ。しかし、ここは多勢に無勢。一気にここで敵のタンクを1人片付けてしまうという手も考えられる。
「オレと松永先輩でここを引き受ける。みんなは敵を頼んだ」
「1人であればすぐに追いつきますわ」
 そう言って一番前に出てきたのタンクのユファこと高峯 ユファラス松永 焔子だった。2人で相手にすることで他の者たちをS4Uへと向かわせようとしている。ファラと焔子の2人で相手にすれば、ローゼはS4Uに合流することは難しい。それに加えて2人からの攻撃を受け続けていれば、一気に抜き去って追うこともできるからだ。
 2人の言葉を皮切りに一時の安らぎの者たちはすぐに追いかけ始める。
「行かせない」
「私たちの相手をしていただきますわよ」
 2人で邪魔をされてしまっては、敵全員の足止めをすることは難しい。ここは諦めてユファラスと焔子だけでも止めようとローゼは地面へ両足をつけた。
「姉貴、あたしたちも手伝うぜ」
「4人ならすぐに終わる」
 こうしてここに残ったのはヒツジンことヒーラーの三好 慶火とツクモことツクモ・オウバージーンのバランスの良い者たちだった。
 4人を相手にしなければいけなくなったローゼ。ここで自身は倒れるだろうということが分かるが、それでも時間稼ぎをしなければいけない。
 モニカやファラを罠にかけたように、冴が作った簡易的な罠はすでにいくつもある。追いかけている形となっている一時の安らぎのクラフターは罠を仕掛けたり、解除をする余裕もなく、警戒をしてはいるが引っかけることはまだ可能だろう。
「行きますわよ!」
 ユファラスの後方からスライムの軟体を利用して神度剣を用いての接近、攻撃にてローゼの足へと斬りかかる。上手くそれをローゼは回避するが、目の前にいるユファラスから双単戟で攻撃をされてしまう。
 盾を2つ持ち、エスカッションを使用しての防御をしているが流石にアタッカー、タンク、ヒーラー、クラフターと揃っている状況で全てを守ることは厳しい。
「ほら、これもくれてやるぜ!」
 そう言ってツクモが投げてきたのは金属溶解液爆弾だった。それを盾で受けたローゼは1つの盾が溶けていくことで使い物にならなくなってしまう。そして、ここへ慶火からのクシャトが放たれた。
「ここで……引くわけにはいかないんです」
 どうにかまだ立っていられるローゼ。敵をしっかりと視界に入れて対処するためにもヴィッシニリィを用いて盾で薙ぎ払おうとする。しかし、それをユファラスが自身の盾で受け止めることで不発。そこへアレストチェーンを使ってローゼの足を縛り付けた。
「これ以上守っていられますか?」
 その隙に再び焔子が前進。防御をしている間にローゼの方向へと回り込んで、ゼピュロスブレードを使用する。
 ローゼはエスカッションを展開してどうにか防いだが、ダメージは非常に大きい。ヒーラーがいるのであれば回復をしてくれるかもしれないが、ここには自分しかいない。
 残っている盾を使ってユファラスや焔子が接近したときに殴りつけてはいるが、ヒーラーの慶火がいるからかすぐに回復されてしまう。
 少し後方に陣取ってレンジヒールを張り、ヒツジンパンチによる範囲拡大にて回復する魔方陣に入ることは難しくない。そして、慶火と同じ後衛にいるツクモはユファラスのアレストチェーンを掛けたローゼへとネヴァームーブを使うことで更に行動を阻害。ローゼが倒れるのも時間の問題だろう。
 ユファラスがローゼを抑え込み、抑え込んでいる状態の彼女を焔子が攻撃。それをサポートするようにして慶火とツクモが回復や支援を行い、すでに勝負はついたと言ってもいいだろう。
「松永先輩、味方に状況を使えてすぐに合流した方が良いと思う」
「そうですわね。向かわせるのであれば……ツクモ、行けますか?」
「おう! いつでもいけるぜ!」
 空中戦闘が可能となっているツクモは飛びながら戦闘をすることができる。そして、それを使って地面へと仕掛けられている罠を掻い潜りながら味方へと状況を伝えてもらおうと焔子は考えた。
「それじゃ、行ってくるから姉貴たちを頼むぜ!」
「言われなくても分かってる」
 慶火に笑いながらツクモがいうと2人の方向を見たまま返してきた。
 ツクモはすぐに空中へと飛び上がり味方の元へと向かい始める。そして、この場所の戦いもそれから長く続くこともなく、ローゼはここに倒されるのだった。
 まだここで状況は五分五分と言っていいだろう。人数でいえば一時の安らぎが上回っている状況だが、消耗だけを言えば一時の安らぎの方がしていた。逃げを徹しているS4Uに追いつき戦い逃げ、追いつき戦い逃げ、ということを繰り返している状態。S4Uの者たちは自身のペース配分をしっかり考え、司令塔であるエセルが指示をすることで消耗を抑えながら戦うことができている。そこから人数と消耗の2つを考えて、状況は五分五分ということだ。
「向こうは片付くぜ!」
 味方へと合流したツクモがそう知らせる。1度足を止めている状況でツクモは追いついたからか、それはS4Uの耳にも届くこととなった。
「ロザリアがやられましたかぁ」
 一姫が敵側の情報を聞いて呟く。ローゼがやられたことでタンクは減ってしまったが、まだこちらにはミラ・ヴァンスがいる。それに加えて敵側もこの場所にいるタンクはモリガン・M・ヘリオトープとコレットの2人。
 ここまで追ってきた一時の安らぎの消耗は大きく、アイテムをすでに使っており大技を使ってしまえば回復ができない状態。S4Uは消耗戦をしており、決定的なダメージを与えるためのアタッカーが存在しておらず、勝つためには逃げ続けて完全に消耗させるというところまで逃げ続けなければならない。
「撤退! てったーい! 逃げるが勝ちっすよー」
 冴がそう言うと再びS4Uは全員そろって逃げることを再開。このままでは何もスキルを使えない状況まで消耗をさせられ、最終的にやられてしまうだろう。
「仕方ありません、一気に決めましょう」
「分かりました。皆さん範囲から出ないでください」
 鈴奈の言葉にルキナがそう答える。ここで使うのはラブ召喚。ここで短い時間であっても身体能力を上げて一気に追いつき、決着をつけようと考えたのだ。しかし、この効果が切れる前に倒しきれなかった場合は、確実に消耗し続けて負けてしまうだろう。
 切り札としてラブ召喚をルキナが使うと、パーティー全体の能力を底上げさせる。そして、2倍の速度となった味方たちと一緒に追いついたルキナはラブと一緒に天使の歌声を歌い始める。
 ここまでで眠気というデバフを掛けられたが、今度はこちらからデバフを掛けに行く。一気に決めなくてはいけない状況で出し惜しみをするわけにはいかない。
「モリガン、前は頼んだぞ」
「はい、お嬢様! 私も前へ!」
 そう言ってモリガンはコレットと一緒に前に出ると、S4Uの面々とぶつかった後に無垢のガッダで一番後方にいるミラを突いた。
「ここであたしが倒れるわけにはいかないだわさ!」
 そう言って竜眼の宝盾にてその攻撃を受け止めるミラ。しかし、続けてくる素早いコレットの盾での打撃でバランスを崩してしまう。
「ここでキミを倒せば守れる壁はいなくなるからね。一気にやらせてもらうよ」
「大丈夫ですよぉ、ここには私がいますからねぇ」
 ここには皆が揃っているので、ヒーラーとして一姫がついている。ミラが攻撃を受け止め、ダメージを確認しながらしっかりとメディスンとしての特性で回復させていく。
 一姫はここまででプロパーフィルムを掛けており、グラシアルエイジなどの寒さなどに強くしておき、クラフターからの妨害対策もしていた。そのお陰が大きく影響もなくミラも敵側の攻撃を受け止めることができている。
「ミラ、そのままね」
 エレロこと白森 涼姫はプリマベラ・ブリザを持って盾を持つミラの後方からポイズンアローを放つと、それがコレットへと命中。しかし、毒を回復できるヒーラーが敵にいるので長く効果が続くことはないだろう。
「……向こうの消耗が思ったより少ないですね」
 ルキナは状況を見ながらそう呟いた。
 先程放った天使の歌声によるデバフは一姫のレメディによって解除されてしまっていた。今は再び使うことも可能だが、ラブを召喚したことによっての効果時間を考えるとそろそろ切れる可能性が出てくる。
 一時の安らぎからの攻撃を受けてミラの体力は確実に減っているが、後ろから妨害してくる涼姫や冴というクラフター。そして、ヒーラーとして未だに残っているエセルと一姫。ヒーラーの2人が回復できなくなればそのまま押し切れるのだが――。
「おやぁ?」
 それに先に気付いたのは一姫だった。一時の安らぎの面々の素早さが下がっているということを確認して、不敵な笑いを浮かべている。同じくそれに気付いたエセルはすぐに撤退指示。再びS4Uの面々は逃げ始める。
「間に合わなかったか」
「合流が遅れましたわ、すみません」
「敵は向こうか」
 ツクモはすでにこちら側にいたので、ここでようやくローゼと戦っていた3人が合流。どうして合流が遅れたのかというと、冴が作った罠が関係していた。
 大きな個性がないシンプルなフィールドではあるが、簡易的な罠を仕掛けることが可能なこの場所。逃げ回りながら足を止めていたときにその場所その場所に仕掛けられた罠によって足止めをさせられていたのだ。
 幸いにも殺傷能力がなく、ダメージがない罠ではあるが足止めをするという目的は成功し合流が遅れるという結果となってしまった。
「私はまだポーションがあるから、みんなを回復させる」
 慶火は持っているポーションを使って魔力を回復。そこからレンジヒールを用いて、魔方陣に入っているパーティーメンバーを回復させていく。
 ただ、こうやって回復を行っているという状況がすでに敵の思惑通りなのだ。戦って消耗させられ、戦って消耗させられていくというこの状況を打破しようと使ったラブ召喚も効果が切れてしまった状況。
 ここからは再び追いかけ続けて叩く、という行動に戻るしかない。ただ、S4Uの面々も先程のラブを使われての攻勢で大きく消耗することとなっているので、再び攻め込まれたら負けてしまうということを司令塔のエセルは分かっていた。
 お互いが勝つためにはどうすればいいかを考えている状態。すでに脱落者が出ている両チーム。
 現状で一時の安らぎが有利な部分は人数と、攻めるためのアタッカーが残っているということ。S4Uが有利な部分は罠を仕掛けてあり、敵よりも消耗をしていないということ。
 自分たちの有利な部分を考えて敵を倒すための最適な一手。
「追いましょう」
「このまま逃げ続けるのじゃ!」
 リーダーである鈴奈と司令塔のエセルの言葉で二つのチームの方針が決まる。
「ただ、罠がまだ仕掛けられている可能性があります。足止めをさせられたりということがまたあるかもしれませんから、そこは注意してください」
 鈴奈はここまでの戦いでのことを踏まえてそのように皆へと伝える。
「こっちは消耗戦しかできないからの。それにもう相手も罠を警戒しているじゃろうし……それでも、敵を消耗させるという作戦自体は変わらん」
 S4Uの中にアタッカーがいないというのはバトルロイヤルの時から分かっていること。接近を許し、こちらが足止めをされて攻撃されたらもうおしまいだ。
 Cブロック勝者とDブロック勝者による準決勝は佳境を迎える。
 鈴奈の言葉通りにS4Uを追い続ける一時の安らぎ。そして、エセルの指示通りに逃げ続けるS4Uの者たち。
「ルキナさん、ドラグボーンワンドを松永さんにお願いします」
「そうですね……それしかありませんか」
 残っているアタッカーは焔子の1人。彼女の攻撃力を上げることでタンクを崩し、そこから敵を削り取ろうという最後の切り札だ。焔子はアサシンなので敵に追いつくことも可能だろう。そこから一気に切り込んでもらい、パーティーを崩してもらい、そこを一気に全員で攻め込む。
 自分たちの手元には回復アイテムはもうない。こうなったら防戦ではなく、攻めだけを考えて行動する必要があるだろう。それを考えての鈴奈の言葉。
 ルキナはすぐにドラグボーンワンドにて焔子の攻撃力を高める。そして、すぐに行動を開始。全速力で走っていき、タンクのミラへと攻撃を仕掛けた。
「この攻撃は……ちょっと痛いわさ……!」
 大きく攻撃力が上がった焔子の一撃は重く、ミラの持つ竜眼の宝盾を持っても大きなダメージを受ける。このままではやられてしまうのは分かり切っているが、切り札があるのはミラも同じだった。
「こっちだって簡単にはやられないわさ!」
 そう言って自身の持っている槍で焔子へと攻撃。そして、攻撃をした勢いと共に焔子へと盾を押し付けた。フロラシオンでバランスを崩してしまう焔子だが、この程度であれば攻撃をする準備ができたらすぐに攻撃に移れる。しかし、ミラの攻撃はこれだけでは終わらなかった。
 焔子のトリプルアサルトを盾で防ぎながら槍を向けたミラ。その槍はシュートジャベリンであり、至近距離でその槍を盾から発射させた。
 この隠し玉の攻撃を回避することができずに直撃してしまった焔子は一旦距離を空ける。その隙に一姫がミラの回復を行い、少しでも態勢を整えていった。
 ただミラはこの切り札を使ってしまったことによって槍を射出してしまったことになる。それに加えて焔子を倒しきれなかったことで、再び攻撃をされたら危険だということが分かった。しかし、ここで起こったのは焔子の行動不能だった。
 ドラグボーンワンドは攻撃力を大きく上げることができるが、この術を受けた者は効果が切れた際に行動不能になってしまうというデメリットがある。そして、その効果時間が切れるまでミラはしのぎ切ったことになる。
 ここで形勢が五分ではなくなり、一時の安らぎの者たちの消耗が激しく追いつくことも難しくなっていった。その後もS4Uは逃げ続け消耗戦を続け、最終的に消耗しきった一時の安らぎの者たちを攻撃、撃破となった。
 こうして準決勝の結果はS4Uが勝利ということとなり、決勝へと進むことになるのだった。
 
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