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サルマティアグランプリ

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【上納祭:Dブロック】


 始まるDブロック。上納祭のフィールドにて行われる戦いは少しだけ特殊となっている。1階では指定されたアイテムを作成し、それが完成した後に2階へと行かなくてはいけない。それに加えて1階部分での戦闘は禁止されており、戦いが行われるのは2階部分のみ。
 各チームのクラフターは配置につくと指定された物を作るために奔走する。その間にチームの仲間たちがしっかりとサポートをして、必要な材料などを手にして手伝っていく様子が見えた。
「さあ、張り切っていくさー!」
 そう言ってアイテムを手に指定されたアイテムを作ろうとしている『ハーヴェスト』のクラフター、ベルベットことリズ・ロビィが木材と鋼材を手にしている。
 入場してきた時にリズは非常に緊張しており、顔はどや顔をしていたにもかかわらず体は固くなっていて手と足が一緒に出るようなロボットみたいな動きへとなっていた。
 そして、リズが指定されたアイテムは多くのアタッカーが使うであろう片手剣。そして、それと対をなす盾の作成だった。もちろん、これは難しいものではなく、しっかりと剣と盾になっていれば合格となって2階へと上がることができる。
「よーし、始めるさー♪」
 工具箱を手にして始めた剣と盾作り。そこまで凝ったものでなくて良いので、時間節約のために手早く作ることも可能だ。ただ、リズはそういった手抜きをせずに、色んな素材を使い自然をモチーフとした細かいデザインのものを作っていく。
「これをこう叩いて……こう――」
 1階には必要な材料や、それを加工できる設備があるので自分で持ち込まなくても作成が可能だ。それを上手く使っていくことでも指定のアイテムを作ることができる。
「よし! できたさー!」
 そう言ってリズが掲げた剣には柄や鍔部分に考えていた自然を模したデザインに、盾には表側へと同じイメージのデザインをしたものを作成。これを提出すると合格サインが出てハーヴェストの者たちはすぐに2階へと上がっていく。

 Dブロック開始時に同じく『デスマーチ』のクラフターであるゆっきーこと紫月 幸人が指定されたアイテムを作るために材料を自分や仲間たちと一緒に集めると加工する設備へと行く。
「両手剣かぁ……」
 幸人へと出された課題は両手剣。リズのように剣と盾のように2つではないが、両手剣を作るには難しい部分がある。剣としての性能を持っていながらも、しっかりと両手で持てる重さ。そして、斬撃も可能ではあるが打撃としても使えるような剣幅も必要だ。
 そこから両手剣1つといっても、片手剣と盾を作るのと同等の時間を要する鍛冶となっているので、どうやって時間短縮を行いながらしっかりとした物を作れるか幸人は考える。
 ドワーブンハンマーを片手に刃を熱し、それを叩いていく。そして、加工設備に加えフォージを使うことで上手く作成をしていく。
「早く上りたいけど、同じタイミングの方がいいのかなぁ」
 幸人は周囲を見ながらそう呟く。
 同じようなタイミングで階段を上ることができれば、それだけ不意打ちを受けずに戦闘を開始することができる。しかし、早く登ることができればそれだけ戦闘準備ができることも考えると難しいところだ。
「よし、できた!」
 こうして幸人が作成した両手剣。シンプルな形ではあるが、しっかりとしたフォルムに重量感。そして、実際に使うのも可能なものへと仕上がっている。
 実際はもっと早く作ることが可能だったが、早めに完成しそうなチームがいたために、彼らに合わせる形で完成させた。そして、デスマーチの者たちも階段を一気に上がっていく。

 そしてクラフターが3人いる『一時の安らぎ』の面々。そのクラフターであるフェイツイこと成神月 鈴奈ツクモ・オウバージーン、そしてファラこと高峯 ファラが材料を見ながら相談をしていた。
 このチームに課せられたのもまた武器だった。他2チームとは違って、槍と盾という槍兵の装備となっている。しかし、槍というのは両手剣とは少し違うが、長物の一種であるので作るのもなかなか大変だ。それに加えて槍兵の装備ということで小回りの利く小さい盾ではなく、身体を半分隠せるような大きな盾の指定だった。
「3人いれば早く終わるとは思いますが、分担はどうしましょうか?」
「んー、ドワーフである俺が盾を担当するぜ。その間にそっちが終われば手伝ってもらうって感じでどうだ?」
「そうだね、大きめの盾ってなるとやっぱり手先が器用な方がいいだろうし、お願いするよ」
 そう言って決まった役割は盾をドワーフであるツクモが担当。そして、槍を担当するのがファラと鈴奈の2人だ。
 まず鋼材を仲間たちから集めてもらって、それを溶鉱炉へと流し込む。そして、それを型へと流し込み形勢すると2人でハンマーを持って叩き始める。
「持ち手はどうしましょうか? 槍であるならば持ち手が木の物も、鉄の物もありますし……」
「そうだね……。簡単に作れるのは木材なんだけど、やっぱり課題として合格しないと1階は突破できないから、しっかりと鉄素材で作っていこう」
「それなら、こういうのはどうですか?」
「なるほど、この方が手が掛からないかもしれないね」
 そう言って鈴奈から提案されたのは、木材によって作った持ち手を鉄によって耐久度を上げるという物。もちろん、ただ鉄で覆えば木材なので燃えてしまうが、それを木材の鎧のようにして耐久度を上げるということだ。
 槍の先を2人でタイミングよく叩きながら、飛び散る火花が暑く、2人の額には汗がにじんでいる。鍛冶仕事というのは高温の鉄を扱うこととなるので、周囲の温度は非常に高くなる。きちんと水分補給をしないと脱水症状になってしまうほどだ。
 そして盾を作成しているツクモもまた木材の上に鋼材を加工することによって強化を施した盾の作成を行っていた。
「きちんとやらねえと盾の意味をなさねえからな……」
 ラージシールドよりも多少小さい盾は、ツクモの手によって上手く加工されていく。盾の形へと木材を削りとり、それをしっかりとやすりにかける。そうしておかないと盾に金属をはめ込んだ際に寸法が合わなくなってしまうからだ。
 こうしてきちんとやすりをかけた盾の形をした木材に作った金属の部品を取り付けていく。これは盾の周囲へとはめ込むもので、手先が器用なドワーフという種族だからこそ、この速度で作り上げられたものだ。
 ツクモは自身の盾を作りながら槍を作成している2人の様子を確認する。やはり、向こうは2人で作っているからか、自分よりも早く完成することが見て取れた。そして、鈴奈とファラの2人は槍を完成させるとツクモの元へ。
「何かすることはありますか?」
「それじゃ、これを頼むぜ」
「分かったよ、任せて」
 後は縦の前面に取り付ける金属のみ。これを盾へとはめ込んで固定すれば完成だ。
 作成する人数が3人となったことで、作成スピードが一気にあがりすぐに完成する。そして、それを提出すると合格判定。周囲を確認すると一番早く完成したようだ。
 
 一時の安らぎの者たちはすぐさま2階へと上がる階段を駆け上がっていく。
 2階へとたどり着くとすぐに準備のために前衛と後衛とで別れて陣形を組む。アタッカーとタンクはペアとして行動してもらい、しっかりとした連携を取ってもらうためだ。
 クラフターの3人は全て後衛側。そこから皆の支援を行っていく。
 チームの一番前へと立ち上ったタンクのユファこと高峯 ユファラスは竜眼の宝盾を構えると、上ってくる敵達へ備えて体を回転させる。
「来るぞ」
 階段からデスマーチやハーヴェストが登ってきており、その後を追うようにしてヴァンガードの初心者のチームである『ヴァンガード 2nd』の者たちが上がってくるのを確認すると、それをユファラスは仲間たちへと伝える。
 後から階段を上ってきた2チームは同時にアイテムを完成させて登ってきているからか、このままでは乱戦になってしまうことが分かる。こうなればしっかりとタンクは皆を守りながら戦う必要が出てくるだろう。
「松永先輩、後ろへ」
「はい、前は頼みました」
 ユファラスが守る相手は松永 焔子だ。前にユファラスが壁になることでスライムという種族特性を生かしたアタッカーとして戦うこととなる。
 1階部分ではクラフターがアイテムを作るために材料などが置いてあるフィールドであったが、2階部分は特に何かがあるわけではなく純粋に何もないフロアで戦うこととなる。
 そして、ユファラスと焔子の前に現れたのはハーヴェストのシルフェことシルノ・フェリックスとアタッカーのヤクモことヤクモ・ミシバだった。
「上がったらすぐに戦闘とはな、面白い!」
 戦闘意欲を見せているヤクモは紅黒のカーマを構えると、ユファラスへと斬りつける。それを上手く盾で防ぐが、すぐにヤクモはもう1度攻撃。まずは様子を見る形で大技を使ってくる様子はない様だ。しかし、ユファラスもやられているだけではない。持っている双単戟を使ってヤクモへと牽制していく。
「流石にやられっぱなしというわけにはいかない」
「いいじゃないか。でも、盾を上手く使えるのは俺も一緒だ」
 そう言ってユファラスの攻撃をラージシールドで受けると、そのまま体重を乗せてユファラスを押し返していく。アタッカーでありながら、タンクとしてのスキルを持ち合わせているヤクモだからこそできることだ。しかし、メインをタンクとしているユファラスと比べれば見劣りをしてしまうのは仕方がない。
 ヤクモの押し返しを受けたユファラスだったが、しっかりとそれを防御すると、エルテルンヴァッヘにてしっかりとヤクモを見据えて攻撃を弾く。
 このままヤクモは別の方向へと加勢することも可能ではあるが、注意を引かれてしまったのかユファラスとの戦いに集中をしている。
「ヤクモさん流石に危険ですね……」
 その状況を見ていたシルノはダンサーとして味方の鼓舞を行っていたが、ヒーラーとしての仕事としてヤクモの受けたダメージを回復させていく。
 ユファラスを相手にしていることに加えて、焔子もまたその後方から上手く前に出ることでヤクモを攻撃していた。この状況ではヤクモがやられてしまうことは見えている。
 こちらのタンクは別方向の敵を受け持っている。サブでタンクのスキルを使えるヤクモといえどシルノの回復がなければジリ貧だ。しかし、そんな隙を逃す焔子ではない。
「ただのスライムではないですわよ?」
 スライムとしての特性とアサシンという素早さを生かした焔子の接近は非常にやっかいだった。正面のユファラスを相手にしていると、液体状になった彼女が足元を狙って攻撃をしてくる。分かってはいるのだが、それを回避するのは非常に難しい。
「ヤクモさん!」
 シルノは焔子から攻撃を受けたヤクモへ向けてそう言うが、すでに体力が少なくなっているのが分かる。自身のヒールも限界があり、一気に全回復ということはできない。
「そろそろ終わりにしましょう」
 こちらにもダメージを受けて消耗はしているが、ヒツジンこと三好 慶火がヒーラーとして回復をしているので形勢的に言えばこちらのほうが有利だ。
 ヤクモとシルノはこのまま2人に追い込まれて行く。
「ヒツジン28号としてしっかりと仕事をする」
 ヒツジン28号FXを着ている慶火がユファラスと焔子の体力を見ながら、回復するタイミングを見ている。
 前衛の2人から少しだけ離れている慶火だが、レンジヒールを使うことで魔方陣を展開。「ヒツジンパンチ【羊飼いの杖】」を用いてその範囲を少しだけ広げている。そのお陰か少しだけ下がるだけで焔子は回復の範囲に入ることができるので、彼女はそうして回復をしていた。そして、彼女と一緒にいるヒツジはそのもこもこで皆をリラックスさせた戦いができるようにしている。
「こっちは大丈夫。向こうは――」
 慶火が別方向の方を確認する。前衛にいる2人の回復頻度を下げても大丈夫だという判断だ。回復する頻度を減らせるということは、クシャトを使って味方たちを援護することができる。狙いをつけると、そちらの方向へとクシャトを放つ。
 
「うわぁ!」
「お姉様!」
 デスマーチのアタッカーのリモこと葉剣 リブレとヒーラーであるツェツィこと山内 リンドウへ向けて放たれたクシャトは2人のいる範囲へと落とされてダメージを受ける。
「ツェツィお姉様をよくも! 雷よ、降り注げ! レージ!」
 リブレは目の前にいるタンク、メルクリウスことコレット・アンブローズへと雷を落とす。実際はクシャトを放ってきた慶火の方へと攻撃をしたいところではあるが、目の前にいる2人をどうにかしないといけないからだ。
「メルクリウス、平気か?」
「うん、このくらい大丈夫だよ」
 ペアを組んでいるアタッカーのヴァイエトことモニカ・ヴァネルがコレットへとそう言う。しっかりと盾を構えていたコレットはポリアナードの騎士盾と竜眼の宝盾の2つを使って攻撃を防いだ。もちろん、無傷とはいかないがナイトとしての強靭さで耐えることができていた。
「ここですわ! 振りかぶって~…、いっけえええええ!」
 コレットが守っていたところへとクシャトを放つリンドウ。そして、それはコレットとモニカの2人へと当たって同時にダメージを受けることとなる。
「範囲攻撃は流石にやっかいだな。前に出る」
 そう言ってモニカは紅黒のカーマと紫陽花の盾を構えて、先程攻撃してきたリンドウへと接近していく。
「お姉様に手を出すな! スピンダークブロー!」
 技の名前を叫ぶリブレではあるが、実際にやっていることは光闇の杖を持っての回転攻撃。リンドウを守るための魔法ではなく、前へと出て彼女を守ろうとする。
「その攻撃は通さないよ」
 そこへ割り込んできたのはコレットだった。盾で受け止めるとそれを押し返すかのようにしてリブレへと盾を押し付けた。
「状況的にはこっちを狙った方がいいんでな」
 彼女の優先順位はアタッカー、その次点でタンクなのだが、デスマーチの面々にはタンクがいない様子。それならば接近できる隙ができたヒーラーを攻撃していく。
 レンジヒールを使ってパーティーを回復出来ればいいのだが、この状況で使ってはヒーラーのリンドウは動けなくなってしまう。その間は2人に守ってもらう必要があるので、それをすることは難しい。
 上手くメディスンとしての治療でやっていくリンドウだが、限界が近付いてきていることが分かる。
 乱戦となったこの状況で勝てる見込みがないと考えたリンドウは幸人やリブレへと降参しようと伝えると、それを2人も了承。Dブロックでデスマーチの皆は脱落となった。
 
 一時の安らぎの者たちのタンクの中の1人であるモリガン・M・ヘリオトープが回復のために下がった者と入れ替わるように前へ。
「前に出ます! ここは私が!」
 そう言って竜眼の宝盾の向けた先にいたのはハーヴェストのアタッカーのアキラこと砂月 秋良だ。ここまで仲間のタンクを追い詰めたということは注意しなければならない相手ということ。注意していけなくてはいけない。
「スイッチをしている間に準備はできています」
 ソードマスターとしての特性を生かし、力を貯めていた秋良。そして、夜烏を構えた秋良は一気に燕子花にて斬りつける。
「くっ……流石に強い……!」
 ソードマスターの特性として、一撃が強いというものがある。しかし、その一撃を放った後は隙ができるのだが、モリガンが入れ替わっている間にてその隙がなくなり攻撃が可能となっていた。
 その様子を見ながらアリーことアリシーズ・セイクリッドロードが天使の歌声を使用する。眠ってしまうということはないかもしれないが、効果が出る可能性があるものはしっかりと使っていきたいところ。
 アリシーズはダンサーとしてしっかりとパーティー全体を鼓舞し、そのダンスにて魅了ができたならばその隙を使ってアタッカーである秋良に攻撃を加えてもらおうという考えだ。
「それでも、流石に押されているわね……」
 アタッカーの秋良が頑張っているが、人数の差なのか押され始めているのが見て取れる。
 すでにハーヴェスト側のタンクであるヴィオこと古城 偲が他の者を相手しており、こちら側の攻撃を防いでくれるような余裕はないようだ。彼女のサポートとしてマイナデスことイクリマ・オーがヒーラーとしているため、回復は間に合ってはいる。
「アキラ、ヤクモが――」
「仕方ありません。全くの犠牲なくして勝てるとは思っていませんから」
 ヤクモが戦っている最中にダメージを蓄積させられて膝をついている姿が見える。どうにか助けてあげたいと考えはあるのだが、乱戦時に支援にいっている余裕はない。
「それならば、確実に相手のタンクを崩せばいいだけです」
「確かに厳しいかもしれません……。それでもそれまでは皆さんを守り続けます!」
 ガードスタンスを取ってモリガンはしっかりと秋良の攻撃を受けていくが、そのダメージはやはり徐々に積み重なってくる。無垢のガッダを持って彼女を牽制しつつ戦っているが、守りをメインとした戦いなので後方にいるハーヴェストのヒーラーによって回復させられてしまう。
「ここで上手く持ち直せればいいのだけれど……。切り札を使うわ!」
 そう言ってアリシーズが使用したのはグレーターヒール。味方全員を大きく回復させて、ここから一気に攻め込もうと考えたのだ。しかし、相手のヒーラーが全て立っている状況では一時の安らぎの者たちもまた後衛を回復させて、そのまま前衛のサポートへとすぐ向かわれてしまう。
「レンジヒール設置しました、後衛の皆さんは回復し次第味方の前衛をお願いします」
 『・・ーー・・』と名乗っているルキナ・クレマティスがそう伝えると、後衛の皆が集まって回復を行う。他にも回復ができる者はそれぞれを回復させて、すぐに担当をしているタンクやアタッカーなどの前衛へ。
「モリガン、まだ耐えられるな?」
「はい、お嬢様。回復していただけているので、まだ大丈夫です」
 ルキナはタンクのモリガンに確認を取ると、回復しなくていい時間を利用して天使の歌声を相手へ向かって使う。同じく天使の歌声を使われた秋良とアリシーズもまた、寝てしまう程ではないが僅かながら眠気がやってくる。
「一気に決めて次に行かないと……ですね」
 1度モリガンとの距離を空けた秋良。そこから猫又・黒としての攻撃を仕掛けようと、地面を蹴ってモリガンへと再び間合いを詰める。そこから10連引っ掻きを繰り出し、相手の体力を一気に削りに掛かる。
「嫌がらせは出来ましたが……やはり、厳しいですか」
 この状況を確認しながらルキナはそう呟く。このまま持久戦をしていても勝てる可能性はこちらにあるかもしれないが、出来ることならば一気に決めたいところ。
 ふとルキナは鈴奈の方を見ると、こくりと頭を縦に振るのが見えた。これが合図となって、ラブを召喚させてパーティーの皆の能力底上げを行った。
「強化します、一気に決めてください」
 こうして一時の安らぎチームの面々は少ない時間ながら強化されると、一気に攻勢へと出る。
「こうなると流石にきついね」
 敵の攻撃を受けながら偲がそう呟く。
 短い時間のラブ召喚の効果ではあるが、やはり消耗をしている状態でこのように出られると厳しいものがある。
 竜眼の宝盾を持っている偲は攻撃を受けながら、ヒーラーのイクリマを守っており、回復をしてもらっているがその回復も追いつかなくなってきていた。
「くふふ、まあ苦しそう」
 そんな様子を見ながらイクリマは偲に向けてそう言う。きちんと回復はしているのだが、こうして偲が苦しんでいる姿を見て笑ってしまっていたのだ。
 天使の歌声による状態異常などレメディで回復をしつつ、先程のグレーターヒールでパーティーを立て直してはいたが、敵の能力強化で再び防戦になってしまっているハーヴェスト。
「流石に無理、かしらね」
 忍の体力を確認しながらそうイクリマは呟く。基本的に偲の回復を行っていたイクリマだが、タンクとしてある程度体力がなくなった場合はやはり回復が追い付かなくなってくる。そうなると他の者を支援したほうが効率がいいのではないかという彼の考えで、偲をここで切り捨てることにした。
「ヴィオ、お達者で。ここは任せるわ」
「しっかりとお達者するまでは守り切るよ」
 イクリマの言葉に「フッ」と笑いながら偲は答えると盾を持つ手に力を入れて味方の壁として守り続ける。初心者であるヴァンガード 2ndの者たちだが、しっかりと連携を気をつけながら戦っているからかそのチームワークだけを言えば初心者に思えないほどだ。
 しかし、偲はこのまま長く持つことはなく、ハーヴェストのタンクである偲が崩れたことで、守ることがいなくなるという結果となった。このままハーヴェストの面々は一時の安らぎの強化されている短い時間で崩壊。そのまま敗退という形となった。
 クラフターを3人用意するという形をとって、一番先にたどり着くことができた一時の安らぎの者たち。それによってしっかりとした戦闘準備を行うことで敵とじっくり戦うことを可能としたのが勝因なのかもしれない。もちろん、他のチームたちも健闘をしたのだが、階段付近で戦いが起こったことによって乱戦となり飲み込まれる形となった。
 こうしてDブロックの勝者は一時の安らぎの者たちとなるのだった。
 
 
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