三千界のアバター

サルマティアグランプリ

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【2】形勢逆転



「リンネ! 後ろから砲弾追って来てるか?
そろそろゴールだぜ…」
 チャリオットで大移動をしていたゼルトとリンネは、敵側の背後に迫りつつあった。移動しつつリンネは、この間に装備をドラグポーンワンドへと持ち替えている。リンネはワンドを振るって、味方の攻撃力を高める。もうすぐ、合流だ。

 砲弾を引き連れたチャリオットの接近に、上空から見ていたフウカがいち早く気づき、仲間たちに声をかける。咄嗟に防衛に入る者もいたが、完全には防ぎきれそうにない――。
 砲弾を誘導してきたチャリオットの突撃と共に、リンネの支援を受けたキノコが、ゼピュロスブレードを放つ。なるべく多数の敵を巻き込むようにと、複数の風の刃が飛ばされる。
 奇襲が成功すると、キノコはすぐに撤退し、再びタンクたちの傍へと身を隠した。

 フウカからの連絡を受け、すぐにスイレンがグレーターヒールを唱えて、チーム全体の体力を回復させる。
 このスイレンの動きを厄介と見たのか、敵チームがスイレンを狙うが、ヒツジン28号を着込み、ヒールブレイサーを装備したスイレンはそう簡単にやられてくれそうにない。
 さらスイレンはヒツジン28号を引き連れて、敵タンク陣に反撃も仕掛けていく。
 それにコトミたちが気づき、タンク陣が抑えている隙にと攻め込む。

 その対象には、クロウと対峙するしまっちたちも含まれている。
 しまっちは敵がウラスベやブレイクルドを狙っていることに気づくと、軍馬を走らせ、他の仲間たちと距離を取りつつ応戦する。エルテルンヴァッヘと盾で攻撃を受け流し、無垢のガッタで反撃していく。
 ブレイクルドとウラスベも、再度風計を起こして、敵の攻撃を妨害しようと試みる。
 敵が金属製の武器を振るっているのを見たアイゼンが、そちらに向かって金属溶解液爆弾を投げつけたが、風計によって阻害されてしまった。
 と、その隙にアイゼンや付近のタンクたちに、メルツが迫っていた。
 メルツは敵味方の位置関係を気にしつつ、チャリオットで突撃していく。竜騎兵として培った戦闘力を武器に、間合いの長いグレートランスを振り回して敵を蹴散らす。
 基本は薙ぎ払っていくスタイルだが、適宜突きを繰り出して、器用に前進していく。
 シンデンがそれに続き、静寂のカツガを振るって、トリプルアサルトを叩き込んでく。さらに騒がしい戦闘音を食らって衝撃波を放ち、周囲の敵を弾き飛ばそうと試みる。
 二人の突撃に、アイゼンが咄嗟にグラシアルエイジを放ち、シンデンの足元を一瞬凍らせた。そこへすかさずコトミが加勢すると、エッジストームを叩き込む。
 しかしメルツの動きは、魔力弾の注意を引くための作戦でもあった。メルツは既に、相手が自分と魔力弾の間に来るように位置取りしていた。
 アイゼンたちは魔力弾の威力をまともに食らい、凍結から解かれたシンデンと付近にいたメルツも敵の攻撃を食らい、窮地に陥った。
 なおも追撃しようとするコトミだったが、
「邪魔よ! どきなさい!」
 とメルツが叫び、ヴィッシニリィを繰り出してどうにかこの場を突破した。
 チャリオットのおかげ、すぐに距離をとることはできたが……かなり体力を消耗してしまった。すぐにラースタチカがレメディを発動し、心身ともにメルツを癒す。
 なるべく魔力を温存する方針だったラースタチカも、この状況では温存などと言ってはいられない。
 マジックポーションをがぶ飲みすると、今度はグレーターヒールでメルツやシンデンの体力を回復させる。


 ダッチで素早く戦場を駆け、味方のタンクやヒーラーをヒールで回復して回っていたエリにゃんが、コトミたちの負傷に気づいて駆け寄る。
 アンプルヒールで回復すると同時に、ステータスを上昇させた。コトミの傷が癒えるとエリにゃんは、マジックポーションで魔力を回復しつつ、今度はアイゼンの回復しようとする。
 が、どうやらアイゼンの方がまともに魔力弾を食らったらしい。戦闘不能状態に陥っていた。
 エリにゃんはすぐにアスクレピオスの杖を手にして駆け付けた。
 後方にいたジェイもまた、メディスンとしての回復技能と、アンプルヒールとをうまく使い分けて回復に協力する。
 なんとか、二人は再び戦えるまでに復帰したようだ。

 一方、リンネもプリーストとしてグレーターヒールを唱え、自身もマカロンを食べて回復している。虚構戦団オルギアリス・白夜は、ここで一度態勢を整え直した形だ。
 位置把握と戦況分析を行っていたコトミが、「そろそろだな」とつぶやく。そろそろ、攻めに転じる時分だ。周囲にいたメンバーも、それに頷いた。
 あくまで防御態勢は崩さないようにしつつも、虚構戦団オルギアリス・白夜は攻撃の手を強め始めて再び攻め込む。

 ジェイとエリにゃんも、それに加勢するため動き出す。
「エリにゃん君、そろそろ反撃といこうか」
「だから! 僕は!! エリにゃんではない!!」
 ジェイの言葉に反論しつつも、エリにゃんは共に攻撃の構えに入る。
「飛んで火に入る……だ。行くぞ、ジェイ!!」
 ジェイが頷く。二人は同時にクシャトを発動し、迫りくる敵を退ける。
「一切万象、塵と化せ!!」
 二人は回復のみを行うのだろうと見て油断していた汝電気羊為りやのメンバーたちに、二人の放った光球が飛び、光線が襲い掛かる。
 四方八方へ放たれた光線は攻撃は見事に相手の態勢を崩すも、まだ、勝負はつかない。ジェイは気を抜かず、すぐにマジックポーションで魔力を回復すると、再びヒーラーとしての役目を全うするため後方へ退いた。
 これを好機とみたアイゼンたちも、攻撃の手に加勢する。
「ドワーフ魂見せたらぁー!」
 とアイゼンは、ドワーブンハンマーを掲げて敵に殴り掛かった。
 しまっちは咄嗟に無垢のガッタを回転させ、シールドでそれを防ぐ。が、どうにか反撃しなければ、このままでは囲まれてしまう――。

 一気に巻き返す白夜側だったが、ここで、ある問題が起こった。
 体力は回復してもらったが、後方に退いて状況整理にあたっていたシンデンが、何かに気づいて仲間たちに注意を呼び掛けたのだ。
 敵陣に一斉に攻め込む白夜側のメンバーたちだったが、その足を、トラップが引き留めた。
 先の戦いで、インバスや空猫の旅団のメンバーが仕掛けた罠が、まだ付近に残っていたのである。
 寸でのところで難を逃れると、しまっちが突如として右手を高く上げた。
 すると汝電気羊為りやのメンバーたちが、一斉に耳を塞いだ。この合図があったら全員塞ぐようにと、しまっちから事前に伝えていたのだ。
 皆が耳を塞ぎ、足を取られながらも敵がどうにか迫りくると、しまっちはウィスパー召喚を発動する。界霊獣ウィスパーが、接近していた者たちの精神を乱し始める――。
 それに加勢するように、ブレイクルドも金属溶解液爆弾を投げつけ追撃する。次いでウラスベも、紅黒のカーマを抱えて切りかかった。
 形勢逆転、汝電気羊為りやはこのチャンスを逃すまいと一気に畳みかける――。
 そして見事、Bブロックの勝者は「汝電気羊為りや」に決まったのだった。



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