三千界のアバター

サルマティアグランプリ

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【2】ヒーラー防衛



 クロウがしまっちたちと闘っている間に、白夜側のヒーラーたちに迫る影がある。
 カナデ(鳳仙 奏)と、カナデに同行するネージュ(白峰 雪)だ。ラビリンススパーの拍車で勢いをつけたネージュが先頭に立って突撃し、その後ろをカナデが走ってくる。
 汝電気羊為りやがヒーラーを狙っている、というクロウの見立ては正しかったが、しまっちたちが云わば囮になったのだ。

 ネージュは敵ヒーラーたちに急接近すると、両手にポリアナードの騎士盾と竜眼の宝盾をそれぞれ構え、勢いそのままにウォールアタックで突撃する。
 突撃開始までに、ソードマスターとしての能力とスキルとを併せて力をチャージしていたカナデは、そのありったけのパワーをもってネージュに続く。
 それに、コトミとアイゼンがヒーラーたちを護るべく動いた。
 コトミはスライムであることを活かして、敵の物理攻撃に対応しようと間に割って入る。アイゼンもすぐに、ネヴァームーブを足元にぶちまけて、敵の歩みを阻む。
 カナデが雲払で薙ぎ払おうとするも、足元に妨害を受けたせいで、あと少し届かなかった。
 ネージュとカナデが戦闘に入ると、
「やっぱ初回は妓女の十八番! 私の美声に酔いしれるしかないっしょ!」
 と上空から声が降ってきた。
 ピクシーであるフウカ(森妓 風香)が、ジャンプでは届かない程度の上空を、二人をサポートするべく飛び回っているのだ。
 地上で戦闘中の今、集中的に狙われることは無さそうだが……遠距離攻撃は回避に専念しつつ、フウカは支援を行っていく。
 静謐のリュートを奏でながら、天使の歌声を響かせる。演目は、「サキュバスの人間になることを願った、甘く、暗い愛を描いたバラード」だ。
 バードとしての技術を活かして奏でられる音楽は、相手を穏やかな眠りへ誘おうとする。
 カナデはプリーストであるリンネを発見すると、そちらを優先的に狙い、トリプルアサルトを叩き込もうとした。しかしコトミたちのガードが、なかなかかたい。
 一方のネージュは、仲間の護衛や魔力弾の対処へと行動をシフトしていた。
 エルテルンヴァッヘで攻撃を引き受け、アイアンヴェールで皆を護る。ただ防ぐだけでなく、機を見計ってウォールアタックを繰り出し、敵を押し返して態勢を崩す。
 ちょうどこの頃、また魔力弾の動きが活発化し始めていた。
 ネージュは魔法弾が飛んで来れば、火属性のものは騎士盾で弾き飛ばし、水属性の魔法弾からはアーマーライトブルーで身を護り対処していく。
 またウラスベも、魔法弾に対応してくれていた。風属性の魔法弾にウィンドメイルで耐え、他の弾を雪結晶の盾で弾いていく。二人がカバーしきれなかった魔法弾は、しまっちがポリアナードの騎士盾で弾く。

 どうにかコトミたちを突破してリンネを狙いたいカナデだったが、しかしコトミたちの防衛戦が始まったのを合図に、リンネとゼルトも別の動きを始めていた。
「ゼルト、戦車を出すのじゃ! 例の作戦行くぞぃ…」
 リンネの声掛けに、ゼルトも頷く。
「さてと…そろそろ行くかね…。
さあ…俺の前に立つなよ…跳ね飛ばすぜ…」
「皆様、敵の引き受けお願いしますぞぃ…!」
 目前まで、カナデたちの攻撃の手が迫っていたが、ゼルトがヴィッシニリィで前面を薙ぎ払い、チャリオットを発進させた。
 ライダーでありナイトであるゼルトは堂々と馬車を乗りこなし、タンク陣の横から飛び出していくと、風属性の砲台の注意を引くように走る。
 戦車は大きく移動しながら砲台の注意を引きつけつつ、ゼルトのエルテルンヴァッヘによってその砲弾を引き受ける。
 リンネが纏った風の衣で風属性の砲撃をいなし、ゼルトはポリアナードの騎士盾で炎属性の砲撃を受け止め、犬狼ならではの体力で耐える。


 ゼルトの他に、キノコ(忌ノ宮 刀華)もリンネに同行しこのバトルロワイヤルに参加していた。
 しばし二人とは別行動となるキノコは、ホライゾンガントレットを身につけ白煙の外套を着込んでいる。
 プレイガジェットVRの使用により、普段に近いパフォーマンスを可能にすると、ホールアップでタンク陣の陰に身を隠す。
 アサシンとしての能力も活かしながら、戦闘による粉塵に紛れて立ち回る。
「これだけ戦塵が舞ってれば…
紛れるのは楽なのですよぅ~」
 味方の攻撃の穴を埋めるようにして、静寂のカツガを振るい、衝撃波を放っていく。
「闇に紛れ…陰から狙い…心の隙を突き
急所を断つ…これこそ暗殺者の一撃なのです…」
 汝電気羊為りや側の方が各所で戦闘を行っている人員は多いようだが、キノコのこの動きが白夜側のそれぞれの人員不足をカバーしている。
 ある程度奇襲への備えはしていて、大きな怪我がなくとも、対応に時間を割かれてしまうのは間違いなかった。


 しまっちたちとクロウとの戦いは続いている。
 ウラスベがやや大振りにサウザンドレイヴを放ち、クロウはそれに応戦しながら少しずつ後退していく。と、クロウの足元に異変が起きた。
 ――落とし穴だ。
 落とし穴はクロウの態勢を崩させただけでなく、中に金属溶解液爆弾が仕掛けてあったらしく、クロウの装甲が溶かされる。
 付近を護っていたカルヴァたちが付近を見回すと、犯人はすぐに見つかった。ブレイクルドだ。
 先の混戦中に姿を消したブレイクルドは、地突の計で敵の背後に穴を掘り、トラップクラフトを仕掛けていたのだった。
 カルヴァたちが自分を狙っているのに気づくと、ブレイクルドはすぐにしまっちと合流し、再び軍馬の背に乗った。
 ネージュとカナデもまた、戦闘を続けている。フウカは前線で奮闘する二人にアンプルヒールを唱える。
 カナデは雪に守られるようにしてチャージすると、迫りくる相手を雲払で跳ね返す。

 どうもカルヴァを倒さないと、後衛へ攻撃が通りそうにない。
 クロウと対峙していた者たちが、隙を見てカルヴァにも攻撃を仕掛けるのだが、カルヴァはこれには即座に応じず、サモナーとしての能力を活かして精霊を呼び出して攻撃させるに留めた。
 誘いに乗ってこないのならばと、さらなる攻撃を仕掛けても、カルヴァは竜眼の宝盾を構えその攻撃を受けるのみだ。受けきれずに少し攻撃が掠めたが、すぐにヒールを唱えて回復し、態勢を整える。


 メルツ(グッチョ・メルツ)はアサルトチャリオットに乗り込み場内を駆けていた。
 シンデンに同行していたラースタチカ(ローザ・グラナティスも、メルツと行動を共にするため、チャリオットに同乗している。
 メルツは敵の様子などがわかればすぐに味方へ伝えられるよう、チャリオットの機動力を活かしつつ周囲を観察していく。
 想像していたような奇襲の様子などは、今のところは見当たらないが……どうやらカルヴァと真っ向から戦える人手が足りていないらしい。
「メルツのお嬢ちゃん! 派手にガンガンぶちかましな! あたしが癒してやるからね!」
 後方からそう心強い言葉をかけ、ダンサーであるラースタチカは、チャリオットをお立ち台に得意のダンスを披露する。そのダンスは敵を誘惑すると共に、味方の士気を高めていく。
「ローザは私が守るわ」
 とメルツは頷き、カルヴァに接近していく。
 その後ろには、シンデンの姿もある。ダッチに乗り込み、メルツの後ろに隠れるようにして行動していた。メルツたちが前衛を突破したら、後衛との戦闘に加勢するつもりだ。

 しかし魔法騎士の誓いのおかげか、カルヴァは敵の接近に鋭く気づいた。
「……攻撃は最大の……ってな」
 と即座に、相手の顔面へ向けて精霊を突撃させる。
 急接近する敵への対策を固めていたのは、レプリカントが紛れ込んでいた場合を想定しての事だったが……今のところは、その点怪しい者は見当たらないようだ。
 突然飛んできた精霊に思わず足を止めるメルツだったが、その攻撃からドラゴンアーマーで身を護りながら、エルテルンヴァッヘで受ける。



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